二級建築士「学科の試験」の中で、特に苦手意識を持つ受験生が多いのが「建築法規」の科目です。
「建築法規」は、他の科目と違い、法令集の持ち込みが認められた科目であるが故に、建築基準法を中心に建築に関する法律についてかなり専門的(マニアック)な問題が出題されます。
普段から法律に触れる機会が少ない方には、学習のハードルが非常に高く、つまずく受験生が多い傾向にあります。
しかし、「建築法規」は、計画的に対策を行い、効果的な学習を行うことで、他の科目より安定的に高得点がとりやすい獲得できる科目となります。
「建築法規」の特徴と高得点できる理由
「建築法規」は、過去問題の出題傾向を分析し、出題パターンを理解し効率的に学習を行うことで、25点満点中20点(8割)以上の得点を必ず誰でも、安定的に獲得できる科目です。
- 法令集の持ち込みが認められている
- 出題される問題の範囲が限られている
【理由その1】法令集の持ち込みが認められている
建築法規は、法令集(書籍)の持ち込みが認められた唯一の科目です。
建築法規の問題は、必ずこの法令集に書かれてあるものからしか出題されません。
しかも、この法令集は、認められた範囲内で、「書き込み」「線引き」「インデックスシールの貼付」ができ、自分オリジナルの法令集にセットアップすることができます。
問題の答えが書いてある法令集を持ち込めるのですから、出題される問題が事前に分かってしまえば、確実に得点が獲得できます。
【理由その2】出題される問題の範囲が限られている
建築法規は、出題される問題の範囲がかなり限られるため、対策は難しくありません。
建築法規の問題は、建築基準法を中心に建築関係法令から必ず出題されます。特に二級建築士の建築法規の問題は出題のパターンが限定的で、毎年同じような問題が出題されています。
各問題の出題される項目は、以下の表のとおりです。
問題No. | 出題項目 |
---|---|
1 | 総則① 用語の定義 |
2 | 総則② 確認済証の交付が必要(又は不要)な建築物 |
3 | 総則③ 各種手続き等 |
4 | 一般構造① |
5 | 一般構造② 図形・図面形式 |
6 | 構造強度① 図形・図面形式 |
7 | 構造強度② 構造別の仕様規定 |
8 | 構造強度③ 構造計算 |
9 | 防火区画等 |
10 | 避難施設等 |
11 | 内装制限 |
12 | 道路等 |
13 | 用途地域等① |
14 | 用途地域等② 図面・図形形式 |
15 | 面積関係① |
16 | 面積関係② 図面・図形形式 |
17 | 高さ関係① 図形・図面形式 |
18 | 高さ関係② |
19 | 防火・準防火地域 |
20 | 雑則・罰則 |
21 | 建築士法① 建築士 |
22 | 建築士法② 建築士事務所 |
23 | 関係法令① |
24 | 関係法令② |
25 | 関係法令③ |
出題される法令は限られていて、自分オリジナルに線引きや書き込み等のセットアップ作業した法令集を試験に持ち込めるのですから、建築法規は他の科目より確実に高得点がとりやすい科目なのです。
「建築法規」の科目で、25点満点中20点(8割)以上の得点を獲得できるのであれば、残りの科目は、基準点ギリギリの得点さえ獲得できれば、総合点の合格基準点である60点を獲得できます。
「建築法規」を攻略することが、二級建築士試験「学科の試験」合格の確実で最短のルートなのです。
合格基準点と目標点の設定
「学科の試験」の出題科目は、4科目あり「建築計画」「建築法規」「建築構造」「建築施工」です。
出題数は各25問で、合格基準点は、各科目25点満点中13点、総合点は100点満点中60点と設定されています。
ただ、平均点が例年に比べて著しく高い又は低い場合はで、そのことが試験問題の難易度の差に起因すると認められた場合は、13点から±1点(12点または14点)の基準点の補正が行われます。
この合格基準点は足きり点(最低ライン)のため、どの科目も14点以上は確実に得点できるように対策する必要があります。
もし総合点で、60点の合格基準点を獲得していても、どれか1つの科目でも合格基準点を獲得できなければ不合格となってしまいます。
そこで各科目の目標点は以下の表のとおり設定します。
科目 | 出題数 | 合格基準点 | 目標点 |
---|---|---|---|
建築計画 | 25問 | 13点 | 14点 |
建築法規 | 25問 | 13点 | 20点 |
建築構造 | 25問 | 13点 | 14点 |
建築施工 | 25問 | 13点 | 14点 |
総合 | 100問 | 60点 | 62点 |
「建築法規」で20点以上、その他の科目で14点以上の得点を獲得できれば、総合点は62点となり、過去の合格基準点から1次試験「学科の試験」は、確実に合格することができます。
建築法規の勉強法
建築法規の問題の出題傾向は大きく変わらず、毎年同じような問題が出題されます。
過去問題を繰り返し解くことが、学科試験の1番の対策であり、これをどれだけやれるかが得点に直結します。
建築法規の勉強法は、次の4ステップです。
- 自分にあった法令集を選ぶ
- 法令集を初期セットアップ(線引き、インデックスシール貼付等)
- テキストで出題範囲の確認
- 過去問題を繰り返し解き、法令集をさらにセットアップ
では、それぞれのステップについて詳しく解説していきます。
【ステップ1】法令集選び
まず、始めにやらなければならないのが、法令集選びです。
建築法規の試験は、建築基準法や建築関係法令から出題され、各問題が法令集に規定されている内容に照らして適切かどうかを確認し答えを導き出します。
試験に持ち込める法令集は、公益財団法人建築技術教育普及センターから公表されていますので、その中から必ず選びます。
最新の法令集が毎年11月から12月初旬に各社から出版されます。法律が毎年改正されますので、法令集は必ず最新のものを準備するようにしてください。
法令集の準備後に初期セットアップ作業をしなければなりませんので、できるだけ早く法令集の準備をすることをおすすめします。
法令集によって、書籍の大きさや、文字サイズ、タテ書きかヨコ書き、関連条文の記載、掲載されている告示数等、その特徴は様々です。
建築法規の勉強のしやすさや試験でのパフォーマンスに影響を与える部分ですので、慎重に選んでください。
まずは、どんな法令集があるのか確認し、自分にあった法令集を選びましょう。
自分に合った法令集選びのポイントは、こちらの記事で詳しく解説していきますのでご覧ください。
【2025年最新】一級・二級建築士おすすめ法令集ランキング!選び方のポイントを解説【ステップ2】法令集の初期セットアップ(線引き、インデックスシール貼付等)
法令集の準備ができたら、次にやるのは、法令集の初期セットアップの作業です。
試験に持ち込める法令集には、認められた範囲内で、「書き込み」「線引き」「インデックスシールの貼付」ができます。
この作業が完了しないと、法規の勉強がスタートできません。
前年中にこの作業が完了させることで、絶好のスタートができ、他の受験生に大きく差をつけることができます。
法令集の初期セットアップは、線引き見本のとおりにしていきます。
線引き見本の確認の仕方は各出版社でことなり、TAC出版法令集のようにHP上で無料公開しているものもあれば、出版元のHPから申し込みを行うと送付されてくるものや、購入した法令集に付いているハガキを送り取寄せるものもあります。
個人的には、申し込み等の手間が少なく、その後の営業等を気にしなくて済む、TAC出版書籍販売サイトで無料公開されている線引き見本を参考にカスタマイズするのがおすすめです。
セットアップは、認められた範囲内で行うよう注意しましょう。これに違反する書込みを行うと、試験監督員に法令集を没収されたり、書込みを削除するよう指示をされたりします。
- 目次、見出し、関連法令、条文等の指示(法令、章、節、条等の名称、番号及び掲載ページを限度とする)
- 改正年月日
- アンダーライン(二重線、囲み枠含む)
- 〇、△、✕の記号
線引きと一緒にインデックスシール貼付け作業をしっかり行いましょう。
この初期セットアップ作業は、意外と時間がかかります。目安としては、1週間(15時間)程度は必要ですので、早めの準備を行いましょう。
【ステップ3】テキストで出題範囲をチェック
法令集の初期セットアップが完了したら、市販されているテキストで出題される範囲を確認しましょう。
ここまで準備が完了してようやく、法規の勉強がスタートできます。
まずは、テキストで問題の項目ごと出題範囲を確認しましょう。
テキストと初期セットアップ後の法令集との双方を確認しながらこの作業を行うことで、法令集の中でよく開くページが分かり、線引きや書込みの意味合いや法令の中の重要箇所が見えてきます。
この段階で完全に理解するのは絶対に無理ですので、テキストや法令集を読み込む必要はありません。
「こんな感じの問題が出題されるのか」「法令集のここら辺に書いてあるのか」という概要が分かればそれで十分です。
自分に合った教材選びのポイントについての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
【2025年最新】二級建築士学科と製図試験のおすすめ教材を一挙紹介!独学合格するためのテキストや過去問題集 【2025年最新】一級建築士のテキスト・問題集まとめ!独学におすすめの教材を一挙紹介 【2024年最新】プロの建築士が実務で使う法規の参考書!確認申請に役立つおすすめ本も紹介【ステップ4】過去問題を繰り返し!!法令集をさらにセットアップ
※必要に応じてテキストをチェック
テキストで出題範囲を確認したら、ここからはひたすら過去問題を解きながら、法令集を見やすいようにオリジナルにさらにセットアップしていきます。
まずは、法令集を使うことに慣れることが重要です。
始めは、問題の該当箇所が法令集のどこに掲載されているか分からず、1つ問題を解くのにかなりの時間がかかると思います。
問題を読んだら、すぐに解答や解説で該当法令を確認して、法令集でその掲載ページを開く練習をしましょう。
ここまでできれば、後はひたすら過去問題を解いていくことになります。
目安としては、過去5年分の問題を、5回は繰り返すようにしましょう。
そして、過去問題の出題箇所で法令集の線引きや書込み等が不足している部分があれば、追加でセットアップ作業を行います。
- すぐに解答を見る
- 法令集は必ず開く
- 解説は必ず読み込む
- 過去問題集に書込みをする
1つの問題を解くのに時間をかけず、分からなければすぐに解答を見ましょう。
できるだけ多くの問題を繰り返し解くことで、問題の傾向が分かり、出題頻度が多い問題はしだいに暗記できます。
そして、過去問題を解く際は、必ず法令集を開くようにしてください。この作業を繰り返すことで、法令集の使い方に慣れ、掲載ページを開くスピードが格段に上がります。
試験問題の9割は、過去に出題された問題や類似の問題から出題されますので、解説を読むことで類似の問題にも対応できるようになります。
また、過去問題集の解説部分の重要箇所への線引きや、分からなかった問題には印をつけるなど、問題集に直接書込みをしましょう。
過去問題集に直接書込み等を行うことで、ノートのかわりになり、試験前には解説の線引き部分の確認や、印が付いた部分を重点的に見直すことができ、試験直前の対策に効果的です。
何度も繰り返し過去問題を解くことで、法令集のどこの法令に答えが書いているかが分かるようになります。
終盤には法令集を引かなくても問題を解けるようになり、この状態になれば、合格レベルに達しています。
このサイトでは、二級建築士「建築法規」の過去問題をどこよりも詳しく解説しています。
項目別に過去問題とテキストをまとめて整理することで、市販の教材より充実した内容となっています。
無料で閲覧できますので、二級建築士「建築法規」の勉強の際は、こちらの記事もお役立てください。
また、通信講座を活用し、試験対策を知り尽くした講師や効率的に学習できるカリキュラム、教材により勉強することで、合格する確率がグッと高くなります。
二級建築士のおすすめ通信講座については、ランキング形式で紹介していますのでこちらの記事もご覧ください。
二級建築士「建築法規」の特徴と勉強方法まとめ
- 「建築法規」は、法令集の持ち込みが認められ、出題される問題の範囲が限られているため、他の科目より確実に高得点がとりやすい!
- 「建築法規」20点以上、その他の科目14点以上の得点を獲得できれば、確実に学科試験に合格することができる!
- 「建築法規」の勉強は、テキストで出題範囲を確認したら、ひたすら過去問題を解きながら、法令集をセットアップ!
建築法規の攻略が、学科試験の合格するための最短で確実なルートです。
二級建築士に確実に合格するために、法規対策を最優先に行いましょう。
二級建築士に独学で合格するための勉強方法は、こちらの記事をご覧ください。
二級建築士は独学で合格できる!学科と製図の勉強方法を徹底解説