- 木造(令第40条~令第49条)
- 組積造(令第51条~令第62条)
- 補強コンクリートブロック造(令第62条の2~令第62条の8)
- 鉄骨造(令第63条~令第70条)
- 鉄筋コンクリート造(令第71条~令第79条)
- 鉄骨鉄筋コンクリート造(令第79条の2~令第79条の4)
- 無筋コンクリート造(令第80条)
建築法規の問題の毎年7問目あたりに出題されるのが「構造別の仕様規定」です。
中でも出題頻度が高いのが「木造の仕様規定」です。
「木造以外の仕様規定」の中で、過去5年間の過去問題で出題されたのは、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3つの構造のみです。
木造と木造以外の仕様規定の問題が混ざって出題される年や、それぞれ1問ずつ出題される年もあります。
補強コンクリートブロック造の仕様規定
補強コンクリートブロック造とは
コンクリートブロックを組積し、鉄筋で補強された耐力壁を有する構造です。
適用の範囲
令第62条の2
補強コンクリートブロック造の仕様規定は、第3章の第4節の2(令62条の2~令62条の8)にあり、この規定が適用されるのは以下の建築物です。
- 補強コンクリートブロツク造の建築物
- 併用する建築物の補強コンクリートブロツク造の構造部分
耐力壁
令第62条の4
補強コンクリートブロック造の耐力壁及びその鉄筋は以下のとおりです。
耐力壁の部分 | 耐力壁の規定 | |
---|---|---|
水平投影面積 | 60㎡以下 | |
耐力壁の長さ | 15㎝/1㎡(その階の床面積) | |
耐力壁の厚さ | 15㎝以上かつ、耐力壁の水平力に対する支点間の距離の1/50以上 | |
鉄筋径 | 鉄筋端部、隅各部 | 鉄筋径12㎜ |
その他の部分 | 鉄筋径9㎜、縦横間隔80㎝以下 | |
縦筋 | 末端 | かぎ状に曲げる |
定着 | 40d以上 | |
重ね継手 | 空胴内で継がない | |
横筋 | 末端 | かぎ状(端部以外の部分における異形鉄筋の末端にあつては除外) |
定着 | 25d以上 | |
重ね継手 | 25d以上 |
耐力壁の規定
- 耐力壁の中心線により囲まれた部分の水平投影面積は、60㎡以下としなければなりません。
- 各階の張間方向、桁行方向に配置する耐力壁の長さのそれぞれの方向の合計は、その階の床面積1㎡につき15㎝以上としなければなりません。
- 耐力壁の厚さは、15㎝以上で、かつ、耐力壁の水平力に対する支点間の距離の1/50以上としなければなりません。
耐力壁の鉄筋の規定
- 鉄筋の径は、端部及び隅角部に径12㎜以上とし、その他の部分は径9㎜以上の鉄筋を縦横に80㎝以内の間隔で配置しなければなりません。
- 鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げる。ただし、端部以外の部分における異形鉄筋の末端にあつては除外します。
- 鉄筋の継手の重ね長さは、径の25倍以上です。
- 鉄筋の定着は、基礎、基礎ばり、臥梁、屋根版は、径の40倍以上とし、その他の部分は、径の25倍以上です。
耐力壁から出題された過去問題
【令和5年問題】
補強コンクリートブロック造とするに当たって、耐力壁の水平力に対する支点間の距離が8mであったので、耐力壁の厚さを 15 ㎝とした。
設問は、適合しない。
令第62条の4第3項より、補強コンクリートブロツク造の耐力壁の厚さは、15㎝以上で、かつ、その耐力壁に作用するこれと直角な方向の水平力に対する構造耐力上主要な支点間の水平距離の1/50以上としなければならない。
支店間の距離8m×1/50=0.16m
よって、16㎝以上としなければなりません。
【令和2年問題】
補強コンクリートブロック造平家建て、延べ面積 40㎡、高さ 3 mの自動車車庫において、張り間方向及び桁行方向に配置する耐力壁の長さのそれぞれの方向についての合計は、張り間方向に 6 m以上、桁行方向に 6 m以上としなければならない。
設問は、正しい。
令第62条の4第2項より、各階の張り間方向及びけた行方向に配置する補強コンクリートブロツク造の耐力壁の長さのそれぞれの方向についての合計は、その階の床面積1㎡につき15㎝以上としなければならない。
40㎡×15㎝/㎡=6mであることから、張り間方向及び桁行方向に配置する耐力壁の長さは、6 m以上としなければならない。
臥梁
令第62条の5(臥梁)
補強コンクリートブロツク造の耐力壁には、その各階の壁頂に鉄筋コンクリート造の臥梁を設けなければならない。
ただし、階数が1の建築物で、鉄筋コンクリート造の屋根版が接着する場合は、この限りでない。
臥梁の有効幅は、20㎝以上で、かつ、耐力壁の水平力に対する支点間の距離の1/20以上
目地及び空洞部
令第62条の6(目地及び空胴部)
補強コンクリートブロック造の目地及び空洞部の規定は、以下のとおりです。
- 目地塗面の全部にモルタルが行きわたるように組積する。
- 鉄筋を入れた空胴部及び縦目地に接する空胴部は、モルタル又はコンクリートで埋める。
- 耐力壁、門又はへいの縦筋は、溶接接合する場合を除き、空胴部内で継がない。
帳壁
令第62条の7(帳壁)
帳壁は、鉄筋で、木造及び組積造以外の構造耐力上主要な部分に緊結しなければならない。
塀
令第62条の8(塀)
補強コンクリートブロック造の塀の仕様規定については以下のとおりです。
高さ
2.2m以下
壁の厚さ
15㎝以上(高さ2m以下は、10㎝以上)
鉄筋
壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径9㎜以上
壁内には、径9㎜以上の鉄筋を縦横に80㎝以下の間隔
控壁※
間隔は、3.4m以内ごとに設置
鉄筋は、径9㎜以上を縦横に80㎝以下の間隔
基礎面からの壁の高さの1/5以上突出させる
フック
鉄筋の末端は、フックをつけて定着
ただし、縦筋をその径の40倍以上基礎に定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
基礎※
基礎の丈は、35㎝以上
根入れの深さは、30㎝以上
塀から出題された過去問題
【令和3年問題】
建築物に附属する高さ 1.2 mの塀を補強コンクリートブロック造とするに当たって、壁の厚さを 10 cmとし、控壁を設けなかった。
設問は、適合する。
令第62条の8より、高さ1.2m以下の塀にあつては、控壁は設けなくてよい。
【令和元年問題】
補強コンクリートブロック造の塀の壁内に配置する鉄筋の縦筋をその径の 40 倍以上基礎に定着させる場合、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしなくてもよい。
設問は、正しい。
令第62条の8第六号ただし書きより、縦筋をその径の40倍以上基礎に定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
【令和元年問題】
補強コンクリートブロック造、高さ 1.4mの塀において、基礎の丈は、35㎝以上とし、根入れの深さは 30㎝以上としなければならない。
設問は、正しい。
令第62条の8第七号より、基礎の丈は、35㎝以上とし、根入れの深さは30㎝以上としなければならない。
【平成30年問題】
高さ2mの補強コンクリートブロック造の塀の壁の厚さを、10㎝とした。
設問は、適合する。
令第62条の8第二号より、壁の厚さは、15㎝(高さ2m以下の塀にあつては、10㎝)以上とすること。
鉄骨造の仕様規定
適用の範囲
令第63条(適用の範囲)
鉄骨造の仕様規定は、第3章の第5節(令63条~令70条)にあり、この規定が適用されるのは以下の建築物です。
- 鉄骨造の建築物
- 鉄骨造と鉄筋コンクリート造その他の構造とを併用する建築物の鉄骨造の構造部分
材料
令第64条(材料)
構造耐力上主要な部分の材料は、以下のとおりです。
- 炭素鋼
- ステンレス
- 鋼鋳鉄(鋳鉄は、圧縮応力又は接触応力以外の応力が存在する部分には、使用してはならない)
材料から出題された過去問題
【令和3年問題】
鉄骨造とするに当たって、柱の材料を炭素鋼とし、その柱の脚部をアンカーボルトにより基礎に緊結した。
設問は、適合する。
令第64条第1項より、鉄骨造の建築物の構造耐力上主要な部分の材料は、炭素鋼若しくはステンレス鋼(この節において「鋼材」という。)又は鋳鉄としなければならない。
また、令第66条より、柱の脚部は、アンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。
圧縮材の有効細長比
令第65条(圧縮材の有効細長比)
構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮力を負担する部材は有効細長比の限度が定められています。
鉄骨の圧縮材の有効細長比は、以下のとおりです。
部材(構造耐力上主要な部分) | 有効細長比の限度 |
---|---|
柱 | 200以下 |
柱以外 | 250以下 |
圧縮材の有効細長比から出題された過去問題
【令和5年問題】
鉄骨造とするに当たって、柱以外に用いる鋼材の圧縮材の有効細長比を 210 とした。
設問は、適合する。
令第65条より、構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材の有効細長比は、柱にあつては200以下、柱以外のものにあつては250以下としなければならない。
【令和2年問題】
鉄骨造平家建て、延べ面積 250㎡、高さ 4 mの物品販売業を営む店舗において、構造耐力上主要な部分である圧縮力を負担する柱の有効細長比は、200 以下としなければならない。
設問は、正しい。
令第65条より、構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材の有効細長比は、柱にあつては200以下、柱以外のものにあつては250以下としなければならない。
柱の脚部
令第66条(柱の脚部)
構造耐力上主要な部分である鉄骨の柱の脚部は、大臣が定める基準に従ったアンカーボルトにより基礎に緊結しなければならない。
ただし、滑節構造である場合においては、この限りでない。
接合
令第67条(接合)
鋼材の種類ごとの接合部の種類は以下の表とおりです。
鋼材の種類 | ボルト接合 | 高力ボルト接合 | 溶接接合 | リベット接合 | 大臣認定 |
---|---|---|---|---|---|
炭素鋼 | △※ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ステンレス鋼 | △※ | 〇 | 〇 | ✕ | 〇 |
接合から出題された過去問題
【令和3年問題】
鉄骨造とするに当たって、張り間が 13 m以下であったので、鋼材の接合は、ボルトが緩まないように所定の措置を講じたボルト接合とした。
設問は、適合する。
令第67条第1項ただし書きより、軒の高さが9m以下で、かつ、張り間が13m以下の建築物(延べ面積が3,000㎡を超えるものを除く。)にあつては、ボルトが緩まないように所定の措置を講じたボルト接合によることができる。
【令和2年問題】
鉄骨造 2 階建て、延べ面積 200㎡、高さ 8 m、張り間が 10 mの飲食店において、構造耐力上主要な部分である鋼材の接合は、ボルトが緩まないように当該ボルトに使用するナットの部分を溶接する措置を講じたボルト接合によることができる。
設問は、正しい。
令第67条第1項ただし書きより、軒の高さが9m以下で、かつ、張り間が13m以下の建築物(延べ面積が3,000㎡を超えるものを除く。)にあつては、ボルトが緩まないように措置を講じたボルト接合によることができる。
なお、第二号より、当該ボルトに使用するナットの部分を溶接することは、ボルトが緩まないように措置に該当する。
【令和元年問題】
鉄骨造の建築物において、構造耐力上主要な部分である鋼材の接合は、接合される鋼材がステンレス鋼であるときは、リベット接合とすることができる。
設問は、誤っている。
令第67条第1項より、構造耐力上主要な部分である鋼材の接合は、接合される鋼材がステンレス鋼であるときは高力ボルト接合若しくは溶接接合又はこれらと同等以上の効力を有するものとして国土交通大臣の認定を受けた接合方法に、それぞれよらなければならない。リベット接合とすることはできない。
高力ボルト、ボルト及びリベット
令第68条(高力ボルト、ボルト及びリベット)
ボルト等の相互間の中心距離と孔の径等は以下のとおりです。
ボルト等の相互間の中心距離
高力ボルト、ボルト又はリベットの相互間の中心距離は、その径の2.5倍以上
ボルトの孔の径
- 高力ボルトの径+2㎜
(高力ボルトの径が27㎜以上であり、かつ、構造耐力上支障がない場合は、高力ボルトの径+3㎜) - ボルトの径+1㎜
(ボルトの径が20㎜以上であり、かつ、構造耐力上支障がない場合は、ボルトの径+1.5㎜)
リベット
リベット孔に十分埋まるように打たなければならない。
高力ボルト、ボルト及びリベットから出題された過去問題
【令和5年問題】
鉄骨造とするに当たって、高力ボルト接合における径 24 ㎜の高力ボルトの相互間の中心距離を 60 ㎜以上とし、高力ボルト孔の径を 26 ㎜とした。
設問は、適合する。
令第68条第1項より、高力ボルト、ボルト又はリベットの相互間の中心距離は、その径の2.5倍以上としなければならない。
高力ボルトの相互間の中心距離は、径24㎜×2.5=60㎜以上とする。
また、令第68条第2項より、高力ボルトの孔の径は、高力ボルトの径より2㎜を超えて大きくしてはならない。
高力ボルトの孔径は、径24㎜+2㎜=26㎜以内とする。
【平成30年問題】
鉄骨造建築物の高力ボルトの相互間の中心距離を、その径の3倍とした。
設問は、適合する。
令第68条第1項より、高力ボルト、ボルト又はリベットの相互間の中心距離は、その径の2.5倍以上としなければならない。
鉄筋コンクリート造の仕様規定
適用の範囲
令第71条(適用の範囲)
鉄筋コンクリート造の仕様規定は、第3章の第6節(令71条~令79条)にあり、この規定が適用されるのは以下の建築物です。
- 鉄筋コンクリート造の建築物
- 鉄筋コンクリート造と鉄骨造その他の構造とを併用する建築物の鉄筋コンクリート造の構造部分
コンクリートの材料
令第72条(コンクリートの材料)
コンクリートの材料は、以下のとおりです。
- 骨材、水、混和材料は、鉄筋をさびさせ、又はコンクリートの凝結及び硬化を妨げるような酸、塩、有機物又は泥土を含まないこと
- 骨材は、鉄筋相互間及び鉄筋とせき板との間を容易に通る大きさとし、適切な粒度及び粒形のもので、かつ、当該コンクリートに必要な強度、耐久性及び耐火性が得られるものであること
鉄筋の継手及び定着
令第73条(鉄筋の継手及び定着)
鉄筋の定着について
鉄筋の末端はかぎ状に曲げて、コンクリートから抜け出ないようにします。
主筋等の継手の重ね長さは、継手が設けられる部分によって、それぞれ長さが定められています。
継手が設けられる部分 | 継手の重ね長さ |
---|---|
引張力の最も小さい部分に設ける場合 | 主筋等の径の25倍以上 (軽量骨材を使用する場合は30倍) |
上記以外の部分に設ける場合 | 主筋等の径の40倍以上 (軽量骨材を使用する場合は50倍) |
柱に取り付けるはりの引張り鉄筋 (柱の主筋に溶接する場合を除く) | 柱に定着される部分の長さをその径の40倍以上 (軽量骨材を使用する場合は50倍) |
鉄筋の継手及び定着から出題された過去問題
【令和2年問題】
鉄筋コンクリート造 2 階建て、延べ面積 200㎡、高さ 7 mの寄宿舎において、基礎ばりの出すみ部分に異形鉄筋を使用した場合は、その末端を折り曲げなくてもよい。
設問は、正しい。
令第73条第1項より、鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、コンクリートから抜け出ないように定着しなければならない。
ただし、同項各号に掲げる部分以外の部分に使用する異形鉄筋にあつては、その末端を折り曲げないことができる。基礎ばりは、除かれているため、曲げなくてもよい。
【令和元年問題】
鉄筋コンクリート造、延べ面積 200㎡の建築物において、柱の出隅部分に異形鉄筋を使用する場合であっても、その末端を折り曲げなければならない。
設問は、正しい。
令第73条第1項より、鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、コンクリートから抜け出ないように定着しなければならない。
コンクリートの強度
令第74条(コンクリートの強度)
コンクリートの強度は、以下のとおりです。
- コンクリートの強度は、四週圧縮強度は、12N/㎟(軽量骨材を使用する場合においては、9N/㎟)以上とします。または、設計基準強度との関係において大臣が定める基準に適合するもの。
- コンクリートの強度を求める場合は、大臣が指定する強度試験による。
- コンクリートの調合は、打上りが均質で密実になり、かつ、必要な強度が得られるように調合を定める。
コンクリートの養生
令第75条(コンクリートの養生)
コンクリートの養生は、以下のとおりです。
- 養生期間は、コンクリート打込み中及び打込み後5日間です。
- 養生期間の温度管理は、コンクリートの温度が2度を下らないようする。
- 乾燥、震動等によつてコンクリートの凝結及び硬化が妨げられないようする。
型わく及び支柱の除去
令第76条(型わく及び支柱の除去)
構造耐力上主要な部分に係る型わく及び支柱の除去について
コンクリートが自重及び工事の施工中の荷重によつて著しい変形又はひび割れその他の損傷を受けない強度になるまでは、取りはずしてはならない。
柱の構造
令第77条(柱の構造)
構造耐力上主要な部分である柱は、次に定める構造とします。
主筋
- 4本以上
- 帯筋と緊結
- 主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の0.8%以上
帯筋
- 径6㎜以上
- 間隔15㎝以下かつ、最も細い主筋の径の15倍
(柱に接着する壁、はりその他の横架材から上方又は下方に柱の小径の2倍以内の距離にある部分においては、間隔10㎝以下) - 帯筋比0.2%以上
柱の小径
構造耐力上主要な支点間の距離1/15以上
柱から出題された過去問題
【令和3年問題】
鉄筋コンクリート造とするに当たって、柱の小径は、その構造耐力上主要な支点間の距離の1/20 以上とした。
設問は、適合しない。
令第77条第五号より、鉄筋コンクリート造の柱の小径は、その構造耐力上主要な支点間の距離の1/15以上としなければならない。
【令和2年問題】
鉄筋コンクリート造平家建て、延べ面積 250㎡、高さ 4 mの事務所において、構造耐力上主要な部分である柱の帯筋の間隔は、柱に接着する壁、はりその他の横架材から上方又は下方に柱の小径の 2 倍以内の距離にある部分においては、15㎝以下で、かつ、最も細い主筋の径の 15 倍以下としなければならない。
設問は、誤っている。
令第77条第三号より帯筋の間隔は、柱に接着する壁、はりその他の横架材から上方又は下方に柱の小径の2倍以内の距離にある部分においては、10㎝以下で、かつ、最も細い主筋の径の15倍以下とすること。
床版の構造
令第77条の2(床版の構造)
鉄筋コンクリート造の構造耐力上主要な部分である床版は、次に定める構造とします。
- 床版の厚さは、8㎝以上とし、かつ、短辺方向における有効張り間長さの1/40以上
最大曲げモーメントを受ける部分における引張鉄筋の間隔は、短辺方向において20㎝以下、長辺方向において30㎝以下で、かつ、床版の厚さの3倍以下
はりの構造
令第78条(はりの構造)
鉄筋コンクリート造の構造耐力上主要な部分である梁(はり)は、次に定める構造とします。
- 構造耐力上主要な部分であるはりは、複筋ばりとする。
- あばら筋をはりの丈の3/4(臥梁にあつては、30㎝)以下の間隔で配置する。
はりの構造から出題された過去問題
【令和5年問題】
鉄筋コンクリート造とするに当たって、構造耐力上主要な部分であるはり(臥梁を除く。)は、複筋ばりとし、これにあばら筋をはりの丈の3/4 以下の間隔で配置した。
設問は、適合する。
令第78条より、鉄筋コンクリート造の構造耐力上主要な部分であるはりは、複筋ばりとし、これにあばら筋をはりの丈の3/4(臥梁にあつては、30㎝)以下の間隔で配置しなければならない。
耐力壁
令第78条の2(耐力壁)
鉄筋コンクリート造の耐力壁は、以下のとおりです。
耐力壁の部分 | 各部分の規定 | |
---|---|---|
壁の厚さ | 12㎝以上 | |
開口部周囲の補強筋 | 径12㎜以上 | |
壁の配筋 | 縦筋・横筋径 | 径12㎜以上 |
配筋間隔 | シングル配筋30㎝以下、ダブル配筋45㎝以下 (平家建ての建築物は、シングル配筋35㎝以下、ダブル配筋50㎝以下) | |
周囲の柱・梁との接合 | 存在応力を伝えること | |
壁式構造の耐力壁の場合の付加基準 | ||
壁の長さ | 45㎝以上 | |
端部・出隅部の補強筋 | 縦筋径12㎜以上 | |
頂部・脚部の接合 | 壁梁・布基礎・基礎梁に存在応力を伝えること (その厚さ≧耐力壁の厚さ) |
- 壁の厚さは、12㎝以上とする。
- 開口部周囲の補強筋の鉄筋径12㎜以上とする。
- 壁の配筋間隔は、縦横に30㎝以下とする。ただし、複配筋として配置する場合においては45㎝以下とする。
(平家建ての建築物は、シングル配筋35㎝以下、ダブル配筋50㎝以下) - 周囲の柱・梁との接合は、存在応力を伝えること
耐力壁から出題された過去問題
【令和5年問題】
鉄筋コンクリート造壁式構造とするに当たって、耐力壁の長さは 45 ㎝以上とし、その端部及び隅角部には径 12 ㎜以上の鉄筋を縦に配置した。
設問は、適合する。
令第78条の2第2項第一号より、耐力壁の長さは、45㎝以上とすること。
また、同条第二号より、その端部及び隅角部に径12㎜以上の鉄筋を縦に配置すること。
【平成30年問題】
平家建て、延べ面積100㎡の鉄筋コンクリート造建築物(壁式構造ではない。)の耐力壁について、径9㎜の鉄筋を縦横50㎝の間隔で複配筋として配置した。
設問は、適合する。
令第78条の2第1項第三号より、径9㎜以上の鉄筋を縦横に30㎝(複配筋として配置する場合においては、45㎝)以下の間隔で配置すること。ただし、平家建ての建築物にあつては、その間隔を35㎝(複配筋として配置する場合においては、50㎝)以下とすることができる。
鉄筋のかぶり厚さ
令第79条(鉄筋のかぶり厚さ)
鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、以下の表のとおりです。
建築物の部分 | かぶり厚さ | |
---|---|---|
壁 | 耐力壁 | 2㎝ |
耐力壁以外 | 3㎝ | |
床 | 2㎝ | |
柱・梁 | 3㎝ | |
基礎 | 布基礎の立上がり部分 | 4㎝ |
その他(捨てコン除く) | 6㎝ | |
土に接する部分 | 4㎝ |
鉄筋のかぶり厚さから出題された過去問題
【令和2年問題】
布基礎においては、立上り部分以外の部分の鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、捨コンクリートの部分を除いて 6㎝以上としなければならない。
設問は、正しい。
令第79条第1項より、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては2㎝以上、耐力壁、柱又ははりにあつては3㎝以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては4㎝以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて6㎝以上としなければならない。
各構造の共通部分
構造部材の耐久
令第37条(構造部材の耐久)
構造耐力上主要な部分で特に腐食、腐朽又は摩損のおそれのあるものには、腐食、腐朽若しくは摩損しにくい材料又は有効なさび止め、防腐若しくは摩損防止のための措置をした材料を使用しなければならない。
基礎
令第38条(基礎)
建築物の基礎の規定は、以下のとおりです。
基礎の役割
建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとする。
基礎の構造
- 異なる構造方法による基礎を併用してはならない。
- 国土交通大臣が定めた構造方法を用いる。
高さ13m又は延べ面積3,000㎡を超える建築物で、作用する荷重が最下階の床面積1㎡につき100kNを超えるものは、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあつては、当該基礎ぐいの先端)を良好な地盤に達すること。
※構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、適用しない。
基礎ぐい、木ぐいの規定
- 基礎ぐいを設ける際に作用する打撃力などに対して構造耐力上安全なものとする。
- 基礎に木ぐいを使用する場合は、木ぐいは、常水面下にあるようにする。
平家建の木造の建築物に使用する場合を除きます。
基礎から出題された過去問題
【令和元年問題】
木造平家建て、延べ面積 150㎡の一戸建て住宅における構造耐力上主要な部分の構造強度に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、構造計算等による安全性の確認は行わないものとする。
基礎に木ぐいを使用する場合においては、その木ぐいは、常水面下にあるようにしなくてもよい。
設問は、正しい。
令第38条第6項より、建築物の基礎に木ぐいを使用する場合においては、その木ぐいは、平家建の木造の建築物に使用する場合を除き、常水面下にあるようにしなければならない。
【平成30年問題】
地盤の支持層が傾斜していたので、基礎の一部を杭基礎とした。
設問は、適合しない。
令第38条第2項より、建築物には、異なる構造方法による基礎を併用してはならない。
屋根ふき材等
令第39条(屋根ふき材等)
屋根葺き材等(屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁などの建築物の部分、広告塔、装飾塔その他建築物の屋外に取り付けるもの)は、風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によつて脱落しないようにします。
屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁は、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとします。
特定天井とは
脱落によつて重大な危害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める天井です。
特定天井の構造
- 国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの
- 国土交通大臣の認定を受けたもの
特定天井で特に腐食、腐朽その他の劣化のおそれのあるものには、腐食、腐朽その他の劣化しにくい材料又は有効なさび止め、防腐その他の劣化防止のための措置をした材料を使用します。
屋根ふき材等から出題された過去問題
【令和4年問題】
特定天井の構造は、構造耐力上安全なものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
設問は、正しい。
令第39条第3項より、特定天井の構造は、構造耐力上安全なものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
【平成29年問題】
鉄骨造平家建て、延べ面積 400㎡の体育館に設けられた特定天井の構造は、構造耐力上安全なものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
設問は、正しい。
令第39条第3項より、特定天井の構造は、構造耐力上安全なものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
問題No.7-2【構造強度③ 木造以外の仕様規定】のまとめ
- 過去の問題で出題されたのは、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3つの構造のみです。
- 各構造の共通部分についても出題されることがありますので、しっかり対策しましょう。
施行令の各構造の条文を確認すれば、問題の条文を見つけ出すのは難しくありません。法令集に線引きをして、各構造が書かれている場所を整理しましょう。
他の構造強度の問題と一緒に学習することで、効率的に対策できます。
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