条文の要点と過去問10年分
二級建築士試験 学科Ⅱ(建築法規)の No.6 で出題されてきた木造の軸組の長さ(壁量計算)の問題について、今の令第46条と2025年4月の改正をまとめ、令和4年〜平成29年の過去問4問を当時の表で解説します。過去問の解説は、年度別の記事と同じく出題当時の法令によります。

No.6 木造の軸組の長さの出題の傾向(令和8年〜平成29年)
軸組の長さの計算問題は、令和4年・令和3年・平成30年・平成29年に出題されました。2025年4月1日に令第46条第4項の表が施行令からなくなり、4問とも今の法令集では施行令の表で確かめられない問題になっています(各問に「🔶 現在の法令では」の枠)。令和5年以降の No.6 は、柱の小径や構造計算などの問題です(分野別 No.7-1・No.8 で解説)。
過去問の問題文と選択肢は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している二級建築士試験の問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各選択肢の枠の右下に出典)。正答は、同センターの「合格基準点等(正答肢)」と照らし合わせています。
「条文の要点」は今の法令でまとめています。過去問の解説は、年度別の記事と同じく出題当時の法令(各年の法令の基準日)によります。その後の改正で答えが変わる選択肢には「🔶 現在の法令では」、条文の番号や言い方だけが変わった選択肢には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
🧱 今の法令の軸組の決まり(令第46条)
📖 令第46条第1項・第4項と2025年4月の改正
木造の建築物は、各階の張り間方向と桁行方向に、壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置します(令第46条第1項)。階数が2以上又は延べ面積が50㎡を超える木造の建築物は、地震と風に対して安全になるよう、国土交通大臣が定める基準に従って軸組を設置します(同条第4項)。
前は、令第46条第4項に「軸組の種類と倍率」「床面積に乗ずる数値」「見付面積に乗ずる数値」の3つの表がありました。今は施行令から表がなくなり、国土交通大臣が定める基準(昭和56年建設省告示第1100号)に従って設置する形です。今の法令集では、下の表の数値は施行令では確かめられません。令和5年以降の試験では、この形の計算問題は出題されていません。
📐 過去問を解くための当時の表と計算の手順
📖 当時の表(2025年3月までの令第46条第4項)
令和6年までの試験の計算問題は、次の当時の表(2025年3月までの令第46条第4項)で解きます。必要な軸組の長さは、地震力(床面積×数値)と風圧力(見付面積×数値)で求めた長さの大きいほうです。
| 当時の表1:軸組の種類 | 倍率 |
|---|---|
| 土塗壁又は木ずりなどを柱・間柱の片面に打ち付けた壁 | 0.5 |
| 木ずりなどを柱・間柱の両面に打ち付けた壁厚さ1.5cm以上×幅9cm以上の木材又は径9mm以上の鉄筋の筋かい | 1 |
| 厚さ3cm以上×幅9cm以上の木材の筋かい | 1.5 |
| 厚さ4.5cm以上×幅9cm以上の木材の筋かい | 2 |
| 9cm角以上の木材の筋かい | 3 |
| 上の筋かい(1.5cm・3cm・4.5cm)をたすき掛けにしたもの | それぞれの2倍 |
| 9cm角以上の筋かいをたすき掛けにしたもの | 5 |
| 土塗壁・木ずりなどの壁と、筋かい(たすき掛けを含む)を併用したもの | それぞれの倍率の和 |
| 当時の表2:床面積に乗ずる数値(cm/㎡) | 平家 | 2階建ての1階 | 2階建ての2階 |
|---|---|---|---|
| 土蔵造など壁の重い建築物、瓦葺など重い屋根の建築物(当時の令第43条第1項の表の(一)・(三)) | 15 | 33 | 21 |
| 金属板葺など軽い屋根の建築物(同じ表の(二)) | 11 | 29 | 15 |
当時の表2には3階建ての数値もありました(重い屋根:1階50・2階39・3階24/軽い屋根:1階46・2階34・3階18)。階数には地階を入れません。
| 当時の表3:見付面積に乗ずる数値(cm/㎡) | 数値 |
|---|---|
| 特定行政庁がしばしば強い風が吹くと認めて規則で指定する区域 | 50を超え75以下で特定行政庁が定める数値 |
| それ以外の区域 | 50 |
✏️ 過去問:必要な軸組の長さ・有効な軸組の長さ(図)(10年で4問)
図や計算の問題は、問題ごとに載せています。法令集を引きながら解いてから「解答・解説を見る」を開いてください。
令和4年 No.6構造耐力上有効な軸組の長さ(図)
図のような平面を有する木造平家建ての倉庫の構造耐力上必要な軸組の長さを算定するに当たって、張り間方向と桁行方向における「壁を設け又は筋かいを入れた軸組の部分の長さに所定の倍率を乗じて得た長さの合計(構造耐力上有効な軸組の長さ)」の組合せとして、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。
図を押すと大きく表示します
構造耐力上有効な軸組の長さ 張り間方向 桁行方向 1. 40 m 26 m 2. 40 m 24 m 3. 36 m 26 m 4. 36 m 24 m 5. 32 m 18 m 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年二級建築士試験 学科Ⅱ(建築法規)」No.6
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令第46条第4項の表1より、軸組の倍率は
・木ずりを柱及び間柱の両面に打ち付けた壁:1
・木ずりを柱及び間柱の片面に打ち付けた壁:0.5
・厚さ4.5㎝×幅9.0㎝の木材の筋かい:2(たすき掛けは2倍の4)
・壁と筋かいを併用した軸組は、それぞれの倍率の和
有効な軸組の長さ=軸組の長さ×倍率の合計
張り間方向:両面の木ずり+たすき掛け(1+4=5)が2m×4か所 → 2m×5×4=40m
桁行方向:両面の木ずり+片筋かい(1+2=3)が2m×4か所、片面の木ずり(0.5)が2m×2か所 → 2m×3×4+2m×0.5×2=24m+2m=26m
よって、正答は1である。
解き方張り間方向は図の縦向きの壁(左右)、桁行方向は横向きの壁(上下)で数える。たすき掛けは片筋かいの2倍、壁と筋かいを併用した軸組は倍率を足す。
2025年4月1日から、令第46条第4項の表(軸組の種類と倍率・必要な軸組の長さ)は施行令からなくなり、「国土交通大臣が定める基準」(告示)に従って軸組を設置する形に変わりました(木造の壁量基準の見直し)。今の法令集では、この問題の倍率を施行令の表では確かめられません。今の倍率は、昭和56年建設省告示第1100号(木造の軸組の構造方法と設置の基準を定めた告示)で確かめてください。
令第46条第4項(表1)
令和3年 No.6必要な軸組の長さ(図)
図のような立面を有する瓦葺屋根の木造2階建て、延べ面積140㎡の建築物に設ける構造耐力上必要な軸組を、厚さ3㎝×幅9㎝の木材の筋かいを入れた軸組とする場合、1階の張り間方向の当該軸組の長さの合計の最小限必要な数値として、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。ただし、小屋裏等に物置等は設けず、区域の地盤及び風の状況に応じた「地震力」及び「風圧力」に対する軸組の割増はないものとし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算は行わないものとする。
図を押すと大きく表示します 11,155㎝21,275㎝31,540㎝41,700㎝52,150㎝出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年二級建築士試験 学科Ⅱ(建築法規)」No.6
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令第46条第4項より、必要な軸組の長さは、地震力と風圧力のそれぞれで求めた長さの大きいほうとする。
【地震力(表2)】瓦葺屋根(重い屋根)の階数2の建築物の1階:33㎝/㎡
1階の床面積 7m×10m=70㎡ → 33㎝/㎡×70㎡=2,310㎝
【風圧力(表3)】特定行政庁の指定がない区域:50㎝/㎡
張り間方向の見付面積は、張り間方向から見た立面(幅10m)のうち、1階の床面から1.35mを超える部分:(2.75m+2.60m+1.10m−1.35m)×10m=5.1m×10m=51㎡ → 50㎝/㎡×51㎡=2,550㎝
2,310㎝<2,550㎝ なので、必要な有効長さは2,550㎝。
【軸組の倍率(表1)】厚さ3㎝×幅9㎝の木材の筋かいを入れた軸組:1.5
必要な軸組の長さ=2,550㎝÷1.5=1,700㎝
解き方必要な軸組の長さは、地震力(床面積×表2)と風圧力(見付面積×表3)で求めた長さの大きいほう。見付面積は、その階の床面から1.35m以下の部分を除く。張り間方向の軸組には、張り間方向から見た立面(幅10mの面)の見付面積を使う。
2025年4月1日から、令第46条第4項の表(軸組の種類と倍率、床面積・見付面積に乗ずる数値)は施行令からなくなり、「国土交通大臣が定める基準」(告示)に従って軸組を設置する形に変わりました(木造の壁量基準の見直し)。今の法令集では、この問題の数値を施行令の表では確かめられません。今の基準は、昭和56年建設省告示第1100号(木造の軸組の構造方法と設置の基準を定めた告示)で確かめてください。
令第46条第4項(表1・表2・表3)
平成30年 No.6木造2階建ての1階の必要な軸組の長さ(図)
図のような立面を有する瓦葺屋根の木造2階建て、延べ面積140㎡の建築物に設ける構造耐力上必要な軸組を、厚さ4.5㎝×幅9㎝の木材の筋かいを入れた軸組とする場合、1階の張り間方向の当該軸組の長さの合計の最小限必要な数値として、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。ただし、小屋裏等に物置等は設けず、区域の地盤及び風の状況に応じた「地震力」及び「風圧力」に対する軸組の割増はないものとし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算は行わないものとする。
図を押すと大きく表示します 11,015.0㎝21,155.0㎝31,250.0㎝41,375.0㎝51,587.5㎝出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年二級建築士試験 学科Ⅱ(建築法規)」No.6
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令第46条第4項より、地震力と風圧力のそれぞれについて必要な軸組の長さを求め、大きい方とする。
【地震力】表2より、瓦葺(重い屋根)の階数2の建築物の1階は、床面積に33㎝/㎡を掛ける。1階の床面積 7m×10m=70㎡ → 70㎡×33㎝/㎡=2,310㎝
【風圧力】表3より、見付面積に50㎝/㎡を掛ける。張り間方向の軸組には、桁行方向の立面(幅10m)の見付面積を使い、1階の床面から1.35m以下の部分は除く。(2.85m+2.50m+1.00m−1.35m)×10m=50㎡ → 50㎡×50㎝/㎡=2,500㎝
【倍率】表1より、厚さ4.5㎝×幅9㎝の木材の筋かいを入れた軸組(たすき掛けではない)の倍率は2。
2,500㎝(大きい方)÷2=1,250㎝
解き方張り間方向の軸組の風圧力は、桁行方向の立面(幅10m)の見付面積で計算し、床面から1.35m以下の部分を除く。地震力(2,310㎝)より風圧力(2,500㎝)の方が大きい。
2025年4月1日から、令第46条第4項の表(軸組の種類と倍率、床面積・見付面積に乗ずる数値)は施行令からなくなり、「国土交通大臣が定める基準」(告示)に従って軸組を設置する形に変わりました(木造の壁量基準の見直し)。今の法令集では、この問題の数値を施行令の表では確かめられません。今の基準は、昭和56年建設省告示第1100号(木造の軸組の構造方法と設置の基準を定めた告示)で確かめてください。
令第46条第1項・第4項(表1・表2・表3)
平成29年 No.6木造平家建ての倉庫の構造耐力上有効な軸組の長さ(図)
図のような平面を有する木造平家建ての倉庫の構造耐力上必要な軸組の長さを算定するに当たって、張り間方向と桁行方向における「壁を設け又は筋かいを入れた軸組の部分の長さに所定の倍率を乗じて得た長さの合計(構造耐力上有効な軸組の長さ)」の組合せとして、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。
図を押すと大きく表示します
構造耐力上有効な軸組の長さ 張り間方向 桁行方向 1. 20 m 42 m 2. 24 m 40 m 3. 32 m 18 m 4. 36 m 26 m 5. 40 m 24 m 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年二級建築士試験 学科Ⅱ(建築法規)」No.6
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令第46条第4項の表1より、軸組の倍率は
・木ずりを片面に打ち付けた壁:0.5、両面:1
・厚さ4.5㎝×幅9㎝の木材の筋かい:2、たすき掛け:4
・壁と筋かいを併用した軸組は、それぞれの倍率の和
軸組の長さ(各2m)×倍率を合計する。
【張り間方向】東西の壁に、片面木ずり+たすき掛け筋かい(0.5+4=4.5)の軸組が4か所
2m×4.5×4=36m
【桁行方向】南北の壁に、両面木ずり+筋かい(1+2=3)の軸組が4か所、片面木ずりの軸組が2か所
2m×3×4+2m×0.5×2=24m+2m=26m
解き方壁と筋かいを併用した軸組は倍率の和(両面木ずり1+筋かい2=3、片面木ずり0.5+たすき掛け4=4.5)。
2025年4月1日から、令第46条第4項の表(軸組の種類と倍率、床面積・見付面積に乗ずる数値)は施行令からなくなり、「国土交通大臣が定める基準」(告示)に従って軸組を設置する形に変わりました(木造の壁量基準の見直し)。今の法令集では、この問題の倍率を施行令の表では確かめられません。今の基準は、昭和56年建設省告示第1100号(木造の軸組の構造方法と設置の基準を定めた告示)で確かめてください。
令第46条第4項(表1)
法令集で開く条文
No.6 の軸組の長さの問題は、主に次の条文で解きます。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 令第46条第1項 | 軸組を釣合い良く配置する |
| 令第46条第4項 | 階数2以上又は延べ面積50㎡超の木造の軸組(今は告示の基準・令和6年までの試験は施行令の表) |
| 当時の令第43条第1項の表 | 屋根の重さによる建築物の区分(重い屋根・軽い屋根) |
| 昭和56年建設省告示第1100号 | 今の軸組の構造方法と設置の基準 |
試験に持ち込む法令集に認められている書き込みは、次の4つだけです。
- 目次・見出し・関連する条文の指示(法令名・章・節・条などの名称、番号、ページまで)
- 改正年月日
- アンダーライン(二重線・囲み枠を含む)
- ○・△・×の記号
言葉の書き足しや、表・図・計算式の書き込み・貼り付けは「解説」「早見表」にあたり、認められません。紛らわしい書き込みがあると、確認が終わるまで法令集なしで受験することになる場合もあります。
どこに線を引き、どこにインデックスを貼るかは、文章で読むより見本を見るほうが確実です。法令集の出版社や資格学校が出している「線引き見本」を見ながら進めてください。
✏️法令集の線引き・インデックスの進め方「二級建築士 建築法規 攻略ガイド」の「STEP 2:法令集の初期セットアップ」で、見本の入手から作業の手順まで紹介しています›出典:建築技術教育普及センター「使用が認められる法令集について」(試験当日の注意事項のページから)
まとめ:No.6 木造の軸組の長さで覚えておく数字
試験の前に見直す数字を、章ごとにまとめました。数字の右の説明が「何の数字か」です。「要点 ›」を押すと、くわしい説明に戻ります。
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分野別の解説(No.1〜No.20)の一覧です。
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