二級建築士の試験を検討している方のために、二級建築士の申込から免許取得までの流れから試験の構成、受験要件等まで試験の概要を解説します。
受験申込から免許取得までの流れ
二級建築士の申込から免許取得までの流れは以下のとおりです。
試験等の日程(令和4年参考) |
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試験日程の発表 (3/1(火)) |
受験申込み (4/1(金)から2週間程度) |
設計製図の課題発表 (6/8(水)) |
学科の試験 (7/3(日)) |
学科合格発表 (8/23(火)) |
設計製図の試験 (9/11(日)) |
合格発表 (12/1(木)) |
受験申込は、原則として「インターネットによる受付」のみとなります。
また、インターネットでの申込情報入力後、簡易書留郵便にて必要書類を提出しなければなりません。申込みや書類の提出が期限を過ぎてしまうと受験することができません。
二級建築士の受験申込みは、限られた期間内に受験申込みや受験資格に応じた書類の提出をしなければなりません。
申込みが開始してから、ゆっくり準備していたら「期限内に書類が準備できなかった」「手続きに漏れがあり申込みが完了していなかった」などが理由で受験を断念する受験生が毎年発生します。
受験申込みの時期は毎年ほぼ変りませんので、受験申込み開始前に提出書類などしっかりと準備を行いましょう。
受験申込時に準備する書類は受験資格区分等によって異なります。
初めて受験申込みする方が準備するもの
過去に受験申込みした方が準備するもの
受験資格要件
二級建築士試験は、誰でも受験できるというわけではありません。
勉強を開始したけど「そもそも受験資格を満たしていなかった」という理由で受験を断念することがあると大変です。
受験勉強を始める前に、受験資格を満たしているか必ず事前に確認する必要があります。
二級建築士試験は、建築に関する学歴又は資格等に応じて、必要となる建築実務の経験年数が定められています。
建築に関する学歴又は資格等 | 実務経験年数(試験時) |
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大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、 指定科目を修めて卒業した者 | 最短0年 |
建築設備士 | 0年 |
その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等) | 所定の年数以上 |
建築に関する学歴なし | 7年以上 |
学歴要件
基本的には、建築に関する学歴があれば受験要件を満たします。
ただし、卒業した学校によっては、二級建築士の指定科目の単位数が足りず学歴のみでは受験要件を満たさないこともあります。
また、学校の入学年によっても受験要件が異なります。
あなたが卒業した学校が受験要件を満たすかをしっかり確認する必要があります。
大学・短大・専門学校・高等学校で指定科目を修めて卒業する必要があります。
指定科目とは、国土交通大臣の指定する建築に関する科目のことです。この指定科目を所定の単位数履修することで、二級建築士試験の受験資格を得ることができます。
学校・課程別の二級建築士の受験・免許登録時に必要となる科目と単位数は、建築技術教育普及センターのHPでチェックできます。
二級建築士・木造建築士の受験・免許登録時に必要となる科目と単位数(学校・課程別)
「建築学科又は土木学科」の学校課程を修めて卒業した人は、受験要件を満たします。
建築に関する学歴 | 登録時に必要となる 実務経験年数 | |
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最終卒業学校 | 課程 | |
大学(旧制大学、短期大学を含む)又は 高等専門学校(旧制専門学校を含む) | 建築 | 0年 |
土木 | 卒業後1年以上 | |
高等学校(旧制中等学校を含む) | 建築 | 卒業後2年以上 |
土木 | ||
その他都道府県知事が特に認める者 | 所定の年数以上 |
実務経験要件
実務経験要件を満たす対象実務は、建築物の設計、工事監理、指導監督、調査又は評価、工事施工の技術上の管理などです。
主な実務の例はこちらです。
- 建築物の設計に関する実務
- 建築物の工事監理に関する実務
- 建築工事の指導監督に関する実務
- 建築士事務所の業務として行う建築物に関する調査又は評価に関する実務
- 工事の施工の技術上の管理に関する実務
- 建築基準法第 18 条の3第1項に規定する確認審査等に関する実務
- 消防長又は消防署長が建築基準法第 93 条第1項の規定によって同意を求められた場合に行う審査に関する実務
- 建築行政に関する実務
- 住宅行政に関する実務
- 都市計画行政に関する実務
- 建築教育に関する実務
- 建築物に係る研究開発に関する実務
- 大学院の課程におけるインターンシップなど
※ただし、単なる写図工若しくは労務者としての経験又は庶務、会計その他これらに類する事務に関する経験を含みません。また、実務経験期間によって対象実務の要件が多少異なります。
二級建築士試験の構成
1次試験「学科の試験」
二級建築士試験の学科試験は、以下の4科目で構成されています。
出題科目 | 出題数 | 試験時間 |
---|---|---|
学科Ⅰ(建築計画) | 25問 | 3時間 |
学科Ⅱ(建築法規) | 25問 | |
学科Ⅲ(建築構造) | 25問 | 3時間 |
学科Ⅳ(建築施工) | 25問 |
二級建築士試験の学科の試験は五肢択一式で出題され、出題数は全科目合計100問となっており、試験時間は学科の試験全体で6時間です。配点は、それぞれの科目の正答数をその科目の得点とし、各科目の得点の合計を総得点とします。
(各問題1点、各科目25点満点、合計100点満点)
例年の合格基準点は、各科目及び総得点の基準点は下表のとおりです。
学科Ⅰ (建築計画) | 学科Ⅱ (建築法規) | 学科Ⅲ (建築構造) | 学科Ⅳ (建築施工) | 総得点 | |
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合格基準点 | 13点 | 13点 | 13点 | 13点 | 60点 |
※基準点については、例年、各科目とも13点、総得点60点を原則とします。試験年によっては、各科目の平均点が例年に比べ著しく高い、または低いことが試験問題の難易度の差に起因すると認められる場合は、基準点の補正が行われます。
なお、二級建築士試験は、学科試験のほかに設計製図の試験もあります。
2次試験「設計製図の試験」
あらかじめ公表する課題の建築物についての、5時間以内に設計図書の作成を行います。
二級建築士試験「設計製図の試験」は、「与えられた内容及び条件を充たす建築物を計画し、設計する知識及び技能について設計図書の作成を求めて行う。」ものです。
採点結果については、以下のランクⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4段階に区分されます。
ランクⅠ | 「知識及び技能」※を有するもの |
ランクⅡ | 「知識及び技能」が不足しているもの |
ランクⅢ | 「知識及び技能」が著しく不足しているもの |
ランクⅣ | 設計条件・要求図書に対する重大な不適合に該当するもの |
このうち採点結果における「ランクⅠ」のみが合格となります。
受験資格と免許登録の要件
令和2年に受験資格の見直しが行われ、実務経験なしで受験できる範囲が広がりました。
令和元年までは、高等学校を卒業後に2年間の実務経験を積む必要がありました。しかし、令和2年からは、建築士試験の受験要件であった実務の経験について、免許登録の際までに積めばよいこととなりました。
高校卒業後の二級建築士の免許登録までのイメージ
この見直しで、高校卒業後にすぐに二級建築士試験を受験することや、所定の実務経験の途中で受験することもできるようになりました。
ただし、実務経験のみで二級建築士試験を受験する場合は、受験資格要件として7年間の実務経験が必要です。
学科試験免除の期間が延長
令和2年の見直しで、学科試験合格の有効期間が延長されました。
建築士試験は、1次試験の「学科試験」と2次試験の「設計製図試験」で構成され、学科試験に合格者のみが設計製図試験を受験することができます。
学科試験は、一度合格すると一定の期間が免除され、設計製図試験を受験することがでる制度となっています。
この免除期間が令和2年の見直しにより、3年から5年に変更されました。
この見直し内容は令和2年学科試験合格者から適用されます。
これまでは、学科試験合格後の3年間に仕事や家庭の都合などで設計製図の受験ができない場合は、もう一度学科試験からやり直でした。
しかし、この見直しにより、学科試験合格後すぐには設計製図の試験を受験できない場合も、合格後の5年間であれば学科試験免除での受験が可能です。
設計製図試験のための勉強時間を確保するため、あえて学科試験合格後すぐには受験しないといった戦略をとることも可能となりました。
まとめ
受験申込みや、自身の学歴と実務経験を整理し、「受験資格要件」「受験登録要件」を満たしているかの事前確認は必ず行い、二級建築士の受験勉強を始めましょう。
詳しくは、公益財団法人建築技術教育普及センターのHPをご確認ください。
公益財団法人 建築技術教育普及センター