- 法第35条の2(特殊建築物等の内装)
- 法別表第1(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)
- 令第5章の2 特殊建築物等の内装
(令第128条の3の2~令第128条の5)
建築法規の問題で、毎年11問目に出題されるのが、内装制限です。
内装制限を受ける対象建築物及び対象部分ごとに求められる内装仕様について整理しましょう。
内装制限
- 令第128条の4(制限を受けない特殊建築物等)
- 令第128条の3の2(制限を受ける窓その他の開口部を有しない居室)
- 令第128条の5(特殊建築物等の内装)
内装制限を受ける対象建築物は、
- 令第128条の4第1項第1号の特殊建築物
- 令第128条の4第1項第2号の自動車車庫等
- 令第128条の4第1項第3号の地階の特殊建築物
- 令第128条の4第2・3項の大規模建築物
- 令第128条の4第4項の火気使用室
- 令第128条の3の2の無窓居室
の大きく分けて6パターンです。
また、令第128条の5より対象部分ごとに求められる内装仕様が定められています。
建築物の用途や規模、構造ごとに内装制限部分の仕様は、以下の①~⑧に分けられます。
内装制限を受ける建築物 ①
特殊建築物(劇場、映画館等)
内装制限が適用される建築物の1つ目は、劇場や映画館などの特殊建築物です。
対象建築物令第128条の4第1項第1号表(1)
用途
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
建築物の規模・構造
- 耐火建築物:客席400㎡以上
- 準耐火建築物:客席100㎡以上
- その他の建築物:客席100㎡以上
内装の制限令第128条の5第1項
対象部分:壁・天井
居室等(用途部分)の制限:難燃材料
※1.2m以下の腰壁部分除く(腰壁緩和)
※3階以上の居室の天井は準不燃
廊下・階段などの制限:準不燃材料
内装制限を受ける建築物 ②
特殊建築物(病院、共同住宅等)
内装制限が適用される建築物の2つ目は、病院、共同住宅、児童福祉施設等などの特殊建築物です。
対象建築物令第128条の4第1項第1号表(2)
用途
病院、診療所(有床)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等
建築物の規模・構造
- 耐火建築物:3階以上の合計300㎡以上
- 準耐火建築物:2階部分300㎡以上
- その他の建築物:床面積200㎡以上
※床面積の合計100㎡(共同住宅は200㎡)以内ごとに準耐火構造の床、壁又は防火設備で区画されたものを除く
内装の制限令第128条の5第1項
対象部分:壁・天井
居室等(用途部分)の制限:難燃材料
※1.2m以下の腰壁部分除く(腰壁緩和)
※3階以上の居室の天井は準不燃
廊下・階段などの制限:準不燃材料
内装制限を受ける建築物 ③
特殊建築物(百貨店、マーケット等)
内装制限が適用される建築物の3つ目は、百貨店、マーケット、展示場などの特殊建築物です。
対象建築物令第128条の4第1項第1号表(3)
用途
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗(床面積10㎡以内除く)
建築物の規模・構造
- 耐火建築物:3階以上の合計1,000㎡以上
- 準耐火建築物:2階部分500㎡以上
- その他の建築物:床面積200㎡以上
内装の制限令第128条の5第1項
対象部分:壁・天井
居室等(用途部分)の制限:難燃材料
※1.2m以下の腰壁部分除く(腰壁緩和)
※3階以上の居室の天井は準不燃
廊下・階段などの制限:準不燃材料
内装制限を受ける建築物 ④
自動車車庫等
内装制限が適用される建築物の4つ目は、自動車車庫等の建築物です。
対象建築物令第128条の4第1項第2号
用途
自動車車庫、自動車修理工場
建築物の規模・構造
すべての建築物
内装の制限令第128条の5第2項
対象部分:壁・天井
居室等(用途部分)の制限:準不燃材料
廊下・階段などの制限:準不燃材料
内装制限を受ける建築物 ⑤
地階の特殊建築物
内装制限が適用される建築物の5つ目は、地階の特殊建築物です。
対象建築物令第128条の4第1項第3号
用途
地階で令第128条の4第1号表の用途に供するもの
建築物の規模・構造
すべての建築物
内装の制限令第128条の5第3項
対象部分:壁・天井
居室等(用途部分)の制限:準不燃材料
廊下・階段などの制限:準不燃材料
内装制限を受ける建築物 ⑥
大規模建築物
内装制限が適用される建築物の6つ目は、大規模建築物です。
対象建築物令第128条の4第2・3項
用途
すべての建築物
※学校等除く
※100㎡以内ごとに防火区画され、特殊建築物の用途でない、高さ31m以下の居室除く
※令第128条の4第1号表(2)の用途の高さ31m以下除く
建築物の規模・構造
- 階数3以上で延面積500㎡超え
- 階数2以上で延面積1,000㎡超え
- 階数1で延面積3,000㎡超え
内装の制限令第128条の5第4項
対象部分:壁・天井
居室等(用途部分)の制限:難燃材料
※1.2m以下の腰壁部分除く(腰壁緩和)
廊下・階段などの制限:準不燃材料
内装制限を受ける建築物 ⑦
調理室等
内装制限が適用される建築物の7つ目は、調理室等です。
対象建築物令第128条の4第4項
用途
住宅の調理室、浴室ボイラー室等(階数2以上の建築物の最上階以外の階)
住宅以外の調理室、浴室ボイラー室等
建築物の規模・構造
すべて
※主要構造部を耐火構造としたものを除く
内装の制限令第128条の5第6項
対象部分:壁・天井
居室等(用途部分)の制限:準不燃材料
廊下・階段などの制限:なし
内装制限を受ける建築物 ⑧
無窓の居室
内装制限が適用される建築物の8つ目は、無窓の居室です。
対象建築物令第128条の3の2
用途
排煙上の無窓居室(床面積50㎡超え)
温室度調整を要する作業室等
建築物の規模・構造
すべて
内装の制限令第128条の5第5項
対象部分:壁・天井
居室等(用途部分)の制限:準不燃材料
廊下・階段などの制限:準不燃材料
内装の制限から出題された過去問題
【令和5年問題】
内装の制限を受ける特殊建築物の居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の床の仕上げについては、建築基準法施行令第 128 条の5第1項第二号に掲げる仕上げとしなければならない。
設問は、誤っている。
令第128条の5第1項より、内装制限の対象部分は、壁及び天井である。
床については、内装の制限を受けない。
【令和5年問題】
自動車車庫の壁の室内に面する部分の仕上げのうち、床面からの高さが 1.2 m以下の部分には、難燃材料を使用することができない。
設問は、正しい。
令第128条の4第1項第二号より、自動車車庫又は自動車修理工場の用途に供する特殊建築物は内装の制限を受ける。
また、令第128条の5第2項より、自動車修理工場の用途に供する部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げは、準不燃材料としなければならない。
【令和5年問題】
内装の制限を受ける居室の窓台は、内装の制限の対象とはならない。
設問は、正しい。
令第128条の5第1項カッコ書きより、窓台は、内装の制限の対象とはならない。
【令和5年問題】
内装の制限を受ける調理室等に天井がない場合においては、当該調理室等の壁及び屋根の室内に面する部分の仕上げが内装の制限の対象となる。
設問は、正しい。
令第128条の5第1項カッコ書きより、内装の制限を受ける室に天井がない場合は、壁及び屋根の室内に面する部分の仕上げが内装の制限の対象となる。
【令和5年問題】
地階に設ける居室で飲食店の用途に供するものを有する特殊建築物は、その構造及び規模にかかわらず、内装の制限を受ける。
設問は、正しい。
令第128条の4第1項第三号より、地階又は地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室で法別表第1(い)欄(1)項、(2)項又は(4)項に掲げる用途に供するものを有する特殊建築物は、その構造及び規模にかかわらず、内装の制限を受ける。
飲食店は、令第115条の3第三号より、法別表第1(い)欄(4)項に該当する。
【令和4年問題】
主要構造部を耐火構造とした中学校は、その規模にかかわらず、内装の制限を受けない。
設問は、正しい。
令第128条の4(制限を受けない特殊建築物等)第2項より、学校等の用途に供するものは、内装制限を受けない。
【令和4年問題】
内装の制限を受ける調理室等の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げには、準不燃材料を使用することができる。
設問は、正しい。
令第128条の5(特殊建築物等の内装)第6項より、内装の制限を受ける調理室等の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げは、準不燃材料を使用することができる。
【令和4年問題】
住宅に附属する鉄骨造平家建て、延べ面積 30㎡の自動車車庫は、内装の制限を受けない。
設問は、誤っている。
令第128条の4(制限を受けない特殊建築物等)第1項第二号より、自動車車庫又は自動車修理工場の用途に供する特殊建築物は、その構造及び規模にかかわらず、内装の制限を受ける。
【令和4年問題】
内装の制限を受ける居室の天井の回り縁は、内装の制限の対象とはならない。
設問は、正しい。
令第128条の5(特殊建築物等の内装)第1項より、天井の回り縁は、内装の制限の対象とはならない。
【令和4年問題】
内装の制限を受ける特殊建築物の居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の床については、内装の制限を受けない。
設問は、正しい。
令第128条の5(特殊建築物等の内装)第1項より、内装制限の対象部分は、壁及び天井である。
床については、内装の制限を受けない。
【令和3年問題】
主要構造部を準耐火構造とした延べ面積 200㎡、客席の床面積の合計が 100㎡の集会場( 1 時間準耐火基準に適合しないもの)は、内装の制限を受ける。
設問は、正しい。
集会場は、法別表第1(い)欄(1)項にあげる用途であるため、令第128条の4第1項の表(1)より、主要構造部を準耐火構造( 1 時間準耐火基準に適合するものを除く)とした客席の床面積の合計が 100㎡以上の集会場は、内装の制限を受ける。
【令和3年問題】
主要構造部を準耐火構造とした平家建て、延べ面積 3,500㎡の旅館( 1 時間準耐火基準に適合しないもの)は、内装の制限を受ける。
設問は、正しい。
令第128条の4第3項より、階数が1で延べ面積が3,000㎡を超えるものは、内装の制限を受ける。
【令和3年問題】
木造 2 階建て、延べ面積 200㎡の事務所兼用住宅の 2 階にある火を使用する設備を設けた調理室は、内装の制限を受けない。
設問は、正しい。
令第128条の4第4項より、火を使用する設備又は器具を設けたものは、階数が2以上の住宅(住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるものを含む。)の用途に供する建築物(主要構造部を耐火構造としたものを除く。)の最上階以外の階は、内装の制限を受ける。
【令和3年問題】
自動車修理工場の用途に供する部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げは、準不燃材料とすることができる。
設問は、正しい。
令第128条の4第1項第二号より、自動車車庫又は自動車修理工場の用途に供する特殊建築物は内装の制限を受ける。
また、令第128条の5第2項より、自動車修理工場の用途に供する部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げは、準不燃材料としなければならない。
【令和3年問題】
地階に設ける居室を有する建築物は、当該居室の用途にかかわらず、内装の制限を受ける。
設問は、誤っている。
令第128条の4第1項第三号より、地階又は地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室で法別表第1(い)欄(1)項、(2)項又は(4)項に掲げる用途に供するものを有する特殊建築物が、内装の制限を受ける。
【令和2年問題】
内装の制限を受ける居室の天井の回り縁は、内装の制限の対象とはならない。
設問は、正しい。
令第128条の5第1項より、天井の回り縁は、内装の制限の対象とはならない。
【令和2年問題】
自動車車庫は、その構造及び規模にかかわらず、内装の制限を受ける。
設問は、正しい。
令第128条の4第1項第二号より、自動車車庫又は自動車修理工場の用途に供する特殊建築物は、その構造及び規模にかかわらず、内装の制限を受ける。
【令和2年問題】
地階に設ける居室で飲食店の用途に供するものを有する特殊建築物は、その構造及び規模にかかわらず、内装の制限を受ける。
設問は、正しい。
令第128条の4第1項第三号より、地階又は地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室で法別表第1(い)欄(1)項、(2)項又は(4)項に掲げる用途に供するものを有する特殊建築物は、その構造及び規模にかかわらず、内装の制限を受ける。
【令和2年問題】
延べ面積 250㎡の障害者支援施設で、当該用途に供する部分の床面積の合計が 180㎡のものは、内装の制限を受けない。
設問は、正しい。
令第128条の4第1項の表より、障害者支援施設で、当該用途に供する部分の床面積の合計が 180㎡のものは、内装の制限を受けない。
障害者支援施設は、法別表第1(い)欄(2)項に掲げる用途に該当し、その構造及び規模により、内装制限の対象になる。
【令和2年問題】
主要構造部を耐火構造とした 3 階建て、延べ面積 600㎡の学校は、内装の制限を受ける。
設問は、誤っている。
令第128条の4第2項より、学校等の用途に供するものは、内装制限を受けない。
【令和元年問題】
次の建築物のうち、その構造及び床面積に関係なく建築基準法第 35 条の 2 の規定による内装の制限を受けるものはどれか。ただし、自動式の消火設備及び排煙設備は設けられていないものとする。
- 病院
- 学校
- 物品販売業を営む店舗
- 自動車修理工場
- 観覧場
内装の制限を受けるものは、自動車修理工場である。
令第128条の4第1項第二号より、自動車車庫又は自動車修理工場の用途に供する特殊建築物は、その構造及び床面積に関係なく建築基準法第 35 条の 2 の規定による内装の制限を受ける。
【平成30年問題】
地階に物品販売業を営む店舗(床面積が50㎡)が設けられた特殊建築物は、内装の制限を受ける。
設問は、正しい。
令第128条の4第1項第三号より、地階又は地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室で法別表第1(い)欄(1)項、(2)項又は(4)項に掲げる用途に供するものを有する特殊建築物は、内装の制限を受ける。
【平成30年問題】
自動車修理工場の用途に供する部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げは、準不燃材料としなければならない。
設問は、正しい。
令第128条の4 第1項第二号より、自動車車庫又は自動車修理工場の用途に供する特殊建築物は、内装の制限を受ける。
令第128条の5第2項より、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げは、準不燃材料としなければならない。
【平成30年問題】
主要構造部を耐火構造とした2階建ての店舗併用住宅の1階にある火を使用する設備を設けた調理室は、内装の制限を受けない。
設問は、正しい。
令第128条の4第4項より、主要構造部を耐火構造としたものは、内装の制限を受けない。
【平成30年問題】
耐火建築物である病院の3階にある内装の制限を受ける病室(床面積の合計100㎡以内ごとに準耐火構造の壁等で区画されていないものとする。)の壁の室内に面する部分にあっては、準不燃材料としなければならない。
設問は、誤っている。
令第128条の5第1項第一号イより、内装の制限を受ける病室の壁の室内に面する部分にあっては、難燃材料とすることができる。
なお、3階以上の階に居室を有する建築物の当該各用途に供する居室の天井の室内に面する部分にあつては、準不燃材料としなければならない。
【平成30年問題】
内装の制限を受ける居室の天井の回り縁は、内装の制限の対象とはならない。
設問は、正しい。
令第128条の5第1項より、天井の回り縁は、内装の制限の対象とはならない。
【平成29年問題】
内装の制限を受ける2階建ての有料老人ホームの当該用途に供する居室の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げには、難燃材料を使用することができる。
設問は、正しい。
令第128条の5第1項第一号より、有料老人ホームの当該用途に供する居室の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げには、難燃材料を使用することができる。
【平成29年問題】
患者の収容施設がある2階建ての準耐火建築物の診療所で、当該用途に供する部分の床面積の合計が 200㎡のものは、内装の制限を受けない。
設問は、正しい。
令第128条の4第1項第一号より、患者の収容施設がある2階建ての準耐火建築物の診療所は、2階の部分(診療所については、その部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計が300㎡以上のものが内装の制限を受ける。
【平成29年問題】
平家建て、延べ面積 25㎡の自動車車庫は、内装の制限を受けない。
設問は、誤っている。
令第128条の4第1項第二号より、自動車車庫は、規模にかかわらず内装の制限を受ける。
【平成29年問題】
木造3階建て、延べ面積 150㎡の一戸建て住宅の3階にある火を使用する設備を設けた調理室は、内装の制限を受けない。
設問は、正しい。
令第128条の4第4項より、内装の制限を受ける調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備又は器具を設けたものは、階数が2以上の住宅の用途に供する建築物の最上階以外の階である。
設問は、3階建ての住宅の3階にある火を使用する設備を設けた調理室であるため、内装の制限を受けない。
【平成29年問題】
主要構造部を耐火構造とした学校は、その規模にかかわらず、内装の制限を受けない。
設問は、正しい。
令第128条の4第2項及び3項より、学校は、その規模にかかわらず、内装の制限を受けない。
問題No.11【内装制限】のまとめ
内装の制限を受ける対象建築物とそれぞれの建築物の内装の制限を受ける対象部分に求められる内装の仕様について法令集を線引きして整理しておきましょう。
【過去問題一覧】二級建築士試験「建築法規」【解答・解説付】※完全無料