- 法第35条(特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準)
- 法別表第1(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)
- 令第5章 避難施設等
(令第116条の2~令第128条の3)
建築法規の10問目で出題されるのが令第5章の避難施設等の問題です。
避難施設等に定められている廊下幅、歩行距離、排煙設備、非常用照明、敷地内通路等から、五肢択一式の問題で毎年必ず1問出題されます。
令第121条「2以上の直通階段」の規定は、用途と規模で対象建築物を判断するのに時間を要するため、他の設問から優先して特のも対策の1つです。ただ、出題頻度は高いため、対策はしっかりしておきましょう。
廊下・避難階段及び出入口
適用の範囲

令第117条(適用の範囲)
第5章第2節(廊下、避難階段及び出入口)の規定の適用範囲は、
令第117条(適用の範囲)~令第126条(屋上広場等)です。
適用される建築物の範囲は、以下のとおりです。
- 特殊建築物
(法別表1(い)欄(1)~(4)までの用途) - 階数が3階以上
- 無窓居室を有する建築物
(採光面積<居室床面積の1/20) - 延面積1,000㎡超の建築物
(同一敷地内に2棟以上ある場合は、その延面積の合計)
客席からの出口の戸

令第118条(客席からの出口の戸)
対象建築物の用途は、不特定多数(集中)のものは、避難するときに出入り口に人が一気に集中します。
避難の際に、客席からの出口が詰まると大きな混乱が生じることから、内開きとしてはならない規定が定められています。
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
客席からの出口の戸から出題された過去問題
【令和4年問題】
集会場における客席からの出口の戸は、内開きとしてはならない。
設問は、正しい。
令第118条より、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場における客席からの出口の戸は、内開きとしてはならない。
廊下の幅

令第119条(廊下の幅)
廊下の用途ごとの廊下幅は、以下のとおりです。
廊下の用途
小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校における児童用又は生徒用のもの
両側に居室がある廊下:2.3m以上
その他の廊下:1.8m以上
廊下の用途
- 病院における患者用のもの
- 共同住宅の住戸若しくは住室の床面積の合計>100㎡の階の共用のもの
- 居室の床面積の合計>200㎡の階(地階100㎡)(3室以下の専用のものを除く)
両側に居室がある廊下:1.6m以上
その他の廊下:1.2m以上
廊下の幅から出題された過去問題
【令和4年問題】
木造 2 階建て、延べ面積 100㎡の一戸建ての住宅においては、廊下の幅に制限はない。
設問は、正しい。
令第117条第1項より、廊下幅の規定は、法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が3以上である建築物、令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室を有する階又は延べ面積が1,000㎡をこえる建築物に限り適用する。
また、令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室を有する階であっても、令第119条より、3室以下の専用のものを除き居室の床面積の合計が200㎡(地階にあつては、100㎡)を超える階におけるものが制限を受ける。
よって、木造 2 階建て、延べ面積 100㎡の一戸建ての住宅においては、廊下の幅に制限はない。
【令和2年問題】
病院における患者用の廊下の幅は、両側に居室がある場合、1.6 m以上としなければならない。
設問は、正しい。
令第119条の表より、病院における患者用の廊下の幅は、両側に居室がある場合、1.6 m以上としなければならない。
【平成30年問題】
小学校の児童用の廊下で、両側に居室があるものの幅は、2.3m以上としなければならない。
設問は、正しい。
令第119条より、小学校の児童用の廊下で、両側に居室があるものの幅は、2.3m以上としなければならない。
直通階段の設置

令第120条(直通階段の設置)
建築物の避難階以外の階は、居室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段までの歩行距離が定められています。
居室の種類ごとの直通階段までの歩行距離は、以下のとおりです。
居室の種類
採光上の無窓居室
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物販店舗(床面積≦10㎡除く)
準耐火構造又は不燃材料:30m以下
上記以外:30m以下
居室の種類
病院、診療所(有床)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等
準耐火構造又は不燃材料:50m以下
上記以外:30m以下
居室の種類
①又は②に掲げる居室以外の居室
準耐火構造又は不燃材料:50m以下
上記以外:40m以下
以下の該当する場合、歩行距離の加算や低減を行います。
- 主要構造部が準耐火構造又は不燃材料でつくられ、居室及び通路の内装を準不燃材料でしたものは、歩行距離の限度を10m加算する。
- 15階以上の階の居室は、歩行距離の限度を10m低減する。
直通階段の設置から出題された過去問題
【令和4年問題】
木造 2 階建ての一戸建て住宅においては、 2 階の居室の各部分から 1 階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離の制限を受けない。
設問は、誤っている。
令第117条第1項より、令第120条の規定は、法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が3以上である建築物、令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室を有する階又は延べ面積が1,000㎡をこえる建築物に限り適用する。
令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室を有する階である場合、木造 2 階建ての一戸建て住宅においては、 2 階の居室の各部分から 1 階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離の制限を受ける。
【令和3年問題】 木造 2 階建て(主要構造部を準耐火構造としたもの)、延べ面積 600 m(各階の床面積 300㎡、 2 階の居室の床面積 250㎡)の物品販売業を営む店舗の避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、避難階は 1 階とする。
2 階の居室の各部分から 1 階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離は、30 m以下としなければならない。
設問は、正しい。
令第115条の3より、物品販売業を営む店舗は法別表第1(い)欄(4)項に該当する。令第120条第1項の表より、法別表第1(い)欄(4)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室の各部分から 1 階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離は、30 m以下としなければならない。
【令和2年問題】
主要構造部を準耐火構造とした 2 階建ての有料老人ホームの避難階以外の階において、主たる用途に供する居室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたものについては、居室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離を 60 m以下としなければならない。
設問は、正しい。
令第120条第1項の表より、主要構造部を準耐火構造とした 有料老人ホームの避難階以外の階においては、居室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離を 50 m以下となる。
また、同条2項より、主要構造部が準耐火構造とした建築物の居室で、当該居室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたものについては、10を加えた数値を同項の表の数値とする。
よって、歩行距離は、50m+10m=60m以下としなければならない。
【平成29年問題】
2階建ての耐火建築物である幼保連携型認定こども園の避難階以外の階において、主たる用途に供する居室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたものについては、居室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離を 60m以下としなければならない。
設問は、正しい。
令第115条の3第一号より、幼保連携型認定こども園は、法別表第1(い)欄(2)項に掲げる用途に供する特殊建築物である。
令第120条第1項表(2)より、耐火建築物である幼保連携型認定こども園の表の数値は50mである。
また、同条第2項より、耐火建築物の居室で、居室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたものについては、表の数値に10mを加える。
よって、居室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離は、50m+10m= 60m以下としなければならない。
2以上の直通階段を設ける場合

令第121条(2以上の直通階段を設ける場合)
建築物の避難階以外の階が次のいずれかに該当する場合は、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
- 対象用途 ①劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場
客席、集会室その他これらに類するものを有する階 - 対象用途 ②床面積の合計1,500㎡超えの物販店舗
売場を有するもの階 - 対象用途 ③キャバレー等
客席、客室その他これらに類するものを有する階 - 対象用途 ④病院若しくは診療所
床面積50㎡超えの病室を有する階※ - 対象用途 ⑤児童福祉施設等
床面積50㎡超えの主たる用途に供する居室を有する階※ - 対象用途 ⑥ホテル、旅館若しくは下宿
床面積100㎡超えの宿泊室を有する階※ - 対象用途 ⑦共同住宅
床面積100㎡超えの居室を有する階※ - 対象用途 ⑧寄宿舎
床面積100㎡超えの寝室を有する階※ - 対象用途 ⑨①~⑧以外の用途
居室を有する下記の階- 居室を有する6階以上の階
- 床面積200㎡超えの居室を有する5階以下の階(避難階の直上階)※
- 床面積100㎡超えの居室を有する5階以下の階(その他の階)※
※主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合、床面積の数値は以下とします。
「50㎡」→「100㎡」
「100㎡」→「200㎡」
「200㎡」→「400㎡」
2以上の直通階段から出題された過去問題
【令和3年問題】
木造 2 階建て(主要構造部を準耐火構造としたもの)、延べ面積 600 m(各階の床面積 300㎡、 2 階の居室の床面積 250㎡)の物品販売業を営む店舗の避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、避難階は 1 階とする。
2 階から 1 階又は地上に通ずる 2 以上の直通階段を設けなければならない。
設問は、誤っている。
令第121条第1項第六号ロより、5階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては200㎡を、その他の階にあつては100㎡を超えるものは、2 以上の直通階段を設けなければならない。しかし、同条第2項より、主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、「200㎡」とあるのは「400㎡」とする。
計画の建物は、主要構造部を準耐火構造としたもので、2 階の居室の床面積 250㎡であることから、2 以上の直通階段を設けなけなくてよい。
【令和2年問題】
2 階建て、各階の床面積がそれぞれ 200㎡の物品販売業を営む店舗(避難階は 1 階)は、避難階以外の階から避難階又は地上に通ずる 2 以上の直通階段を設けなければならない。
設問は、誤っている。
令第121条第1項各号より、2 階建て、各階の床面積がそれぞれ 200㎡の物品販売業を営む店舗は、該当しないため、避難階以外の階から避難階又は地上に通ずる 2 以上の直通階段を設けなくてもよい。
【令和元年問題】
次の 2 階建ての建築物(各階を当該用途に供するものとし、避難階は 1 階とする。)のうち、建築基準法上、 2 以上の直通階段を設けなければならないものはどれか。
共同住宅(主要構造部が不燃材料で造られているものとする。)で、 2 階の居室の床面積の合計が 150㎡のもの
設問は、2 以上の直通階段を設けなけなくてよい。
令第121条第1項第五号より、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計が、それぞれ100㎡を超えるものは、2 以上の直通階段を設けなければならない。しかし、同条第2項より、主要構造部が不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、「100㎡」とあるのは「200㎡」とする。
【令和元年問題】
次の 2 階建ての建築物(各階を当該用途に供するものとし、避難階は 1 階とする。)のうち、建築基準法上、 2 以上の直通階段を設けなければならないものはどれか。
診療所(主要構造部が不燃材料で造られているものとする。)で、 2 階の病室の床面積の合計が100㎡のもの
設問は、2 以上の直通階段を設けなけなくてよい。
令第121条第1項第四号より、診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計が、それぞれ50㎡を超えるものは、2 以上の直通階段を設けなければならない。しかし、同条第2項より、主要構造部が不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、「50㎡」とあるのは「100㎡」とする。
【令和元年問題】
次の 2 階建ての建築物(各階を当該用途に供するものとし、避難階は 1 階とする。)のうち、建築基準法上、 2 以上の直通階段を設けなければならないものはどれか。
事務所(主要構造部が準耐火構造でなく、かつ不燃材料で造られていないものとする。)で、各階の床面積の合計がそれぞれ 180㎡のもの
設問は、2 以上の直通階段を設けなけなくてよい。
令第121条第1項第六号ロより、5階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては200㎡を、その他の階にあつては100㎡を超えるものは、2 以上の直通階段を設けなければならない。
【令和元年問題】
次の 2 階建ての建築物(各階を当該用途に供するものとし、避難階は 1 階とする。)のうち、建築基準法上、 2 以上の直通階段を設けなければならないものはどれか。
飲食店(主要構造部が準耐火構造でなく、かつ不燃材料で造られていないものとする。)で、 2 階の居室の床面積の合計が 150㎡のもの
設問は、2 以上の直通階段を設けなけなくてよい。
令第121条第1項第六号ロより、5階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては200㎡を、その他の階にあつては100㎡を超えるものは、2 以上の直通階段を設けなければならない。
【令和元年問題】
次の 2 階建ての建築物(各階を当該用途に供するものとし、避難階は 1 階とする。)のうち、建築基準法上、 2 以上の直通階段を設けなければならないものはどれか。
寄宿舎(主要構造部が準耐火構造でなく、かつ不燃材料で造られていないものとする。)で、 2 階の寝室の床面積の合計が 120㎡のもの
設問は、2 以上の直通階段を設けなければならない。
令第121条第1項第五号より、寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ100㎡を超えるものは、2 以上の直通階段を設けなければならない。
【平成30年問題】
避難階が1階である2階建ての下宿(主要構造部が不燃材料で造られているもの)で、2階における宿泊室の床面積の合計が200㎡であるものには、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
設問は、誤っている。
令第121条第1項第五号より、ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ100㎡を超えるものは、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
令121条2項より、主要構造部が不燃材料で造られている建築物は、「100㎡」とあるのは「200㎡」とする。設問は、200㎡を超えていないため誤っている。
【平成29年問題】
避難階以外の階をホテルの用途に供する場合、その階における宿泊室の床面積の合計が 250㎡のものは、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
設問は、正しい。
令第121条第1項第五号より、ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ100㎡を超えるものは、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
避難階段の設置
第122条 建築物の5階以上の階(その主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物で5階以上の階の床面積の合計が100㎡以下である場合を除く。)又は地下2階以下の階(その主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物で地下2階以下の階の床面積の合計が100㎡以下である場合を除く。)に通ずる直通階段は次条の規定による避難階段又は特別避難階段とし、建築物の15階以上の階又は地下3階以下の階に通ずる直通階段は同条第3項の規定による特別避難階段としなければならない。ただし、主要構造部が耐火構造である建築物(階段室の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)及び廊下その他の避難の用に供する部分で耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたものを除く。)で床面積の合計100㎡(共同住宅の住戸にあつては、200㎡)以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が0.2㎡以下のものに設けられる法第2条第九号の二ロに規定する防火設備を含む。)で区画されている場合においては、この限りでない。
2 3階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物にあつては、各階の売場及び屋上広場に通ずる2以上の直通階段を設け、これを次条の規定による避難階段又は特別避難階段としなければならない。
3 前項の直通階段で、5階以上の売場に通ずるものはその1以上を、15階以上の売場に通ずるものはそのすべてを次条第3項の規定による特別避難階段としなければならない。

該当法令令第122条(避難階段の設置)
建築物の用途及び階数に応じ、以下のとおり避難階段又は特別避難階段の設置が必要です。
対象建築物 ①
3階以上にある床面積の合計が1,500㎡超えの物販店舗
15階以上の階に通じる直通階段
特別避難階段
5階以上の階に通じる直通階段
避難階段又は特別避難階段※1
各階の売場及び屋上広場に通じる直通階段
避難階段又は特別避難階段※2
※1:1箇所以上を特別避難階段としなければならない。
※2:2以上の直通階段を設けなければならない。
対象建築物 ②
上記以外の建築物(除外規定あり※3)
15階以上の階に通じる直通階段
特別避難階段
5階以上の階に通じる直通階段
避難階段又は特別避難階段
地下2階以下に通じる直通階段
避難階段又は特別避難階段
地下3階以下に通じる直通階段
特別避難階段
※3:除外規定
- 主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物で5階以上の階又は地下2階以下の階の床面積の合計が100㎡以下である場合
- 主要構造部が耐火構造である建築物で床面積の合計100㎡(共同住宅の住戸は、200㎡)以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が0.2㎡以下のものに設けられる防火設備を含む。)で区画されている場合
- (階段室の部分、昇降機の昇降路の部分及び廊下その他の避難の用に供する部分で耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたものを除く。)
避難階段及び特別避難階段の構造
第123条 屋内に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
一 階段室は、第四号の開口部、第五号の窓又は第六号の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
二 階段室の天井(天井のない場合にあつては、屋根。第3項第四号において同じ。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
三 階段室には、窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
四 階段室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室以外の当該建築物の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から90㎝以上の距離に設けること。ただし、第112条第16項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
五 階段室の屋内に面する壁に窓を設ける場合においては、その面積は、各々1㎡以内とし、かつ、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものを設けること。
六 階段に通ずる出入口には、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で第112条第19項第二号に規定する構造であるものを設けること。この場合において、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。
七 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
2 屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
一 階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)から2m以上の距離に設けること。
二 屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。
三 階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。
3 特別避難階段は、次に定める構造としなければならない。
一 屋内と階段室とは、バルコニー又は付室を通じて連絡すること。
二 屋内と階段室とが付室を通じて連絡する場合においては、階段室又は付室の構造が、通常の火災時に生ずる煙が付室を通じて階段室に流入することを有効に防止できるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
三 階段室、バルコニー及び付室は、第六号の開口部、第八号の窓又は第十号の出入口の部分(第129条の13の3第3項に規定する非常用エレベーターの乗降ロビーの用に供するバルコニー又は付室にあつては、当該エレベーターの昇降路の出入口の部分を含む。)を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
四 階段室及び付室の天井及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
五 階段室には、付室に面する窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
六 階段室、バルコニー又は付室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から90㎝以上の距離にある部分で、延焼のおそれのある部分以外の部分に設けること。ただし、第112条第16項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
七 階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けないこと。
八 階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること。
九 バルコニー及び付室には、階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けないこと。
十 屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口には第1項第六号の特定防火設備を、バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口には同号の防火設備を設けること。
十一 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
十二 建築物の15階以上の階又は地下3階以下の階に通ずる特別避難階段の15階以上の各階又は地下3階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積(バルコニーで床面積がないものにあつては、床部分の面積)の合計は、当該階に設ける各居室の床面積に、法別表第1(い)欄(1)項又は(4)項に掲げる用途に供する居室にあつては8/100、その他の居室にあつては3/100を乗じたものの合計以上とすること。

該当法令令第123条(避難階段及び特別避難階段の構造)
屋内に設ける避難階段の構造(令123条1項)
- 階段室は、耐火構造の壁で囲む(4の開口部、5の窓又は6の出入口の部分を除く)
- 階段室の内装は、天井・壁は、下地、仕上げとも不燃材料で造る
- 採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設ける
- 屋外に面する開口部は、階段室以外の開口部から90㎝以上離すか、50㎝以上突出したそで壁・ひさし等を設ける(開口面積が1㎡以内で、防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く)
- 屋内に面して窓を設ける場合は、その面積は1㎡以内とし、防火設備ではめごろし戸であるものを設ける
- 階段に通ずる出入口の防火設備は、常時閉鎖式防火戸又は随時閉鎖できる煙感知器又は熱煙複合式感知器連動の自動閉鎖かつ、直接手で避難の方向に開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸
- 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること
屋外に設ける避難階段の構造(令123条2項)
- 階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部から2m以上の距離に設ける
(開口面積が1㎡以内で、防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く) - 屋内から階段に通ずる出入口の防火設備は、常時閉鎖式防火戸又は随時閉鎖できる煙感知器又は熱煙複合式感知器連動の自動閉鎖かつ、直接手で避難の方向に開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸
- 階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること
特別避難階段の構造(令123条3項)
- 屋内と階段室とは、バルコニー又は付室を通じて連絡すること
- 屋内と階段室とが付室を通じて連絡する場合においては、階段室又は付室の構造は、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとする
- 階段室、バルコニー及び付室は、耐火構造の壁で囲むこと。
(6の開口部、8の窓又は10の出入口の部分を除く) - 階段室及び付室の内装は、天井・壁は、下地、仕上げとも不燃材料で造る
- 階段室には、付室に面する窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設ける
- 階段室、バルコニー又は付室の屋外に面する壁に設ける開口部は、階段室、バルコニー又は付室以外の開口部から90㎝以上離すか、50㎝以上突出したそで壁・ひさし等を設ける。また、延焼のおそれのある部分には設けないこと
- 階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けないこと
- 階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること
- バルコニー及び付室には、階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けないこと
- 屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口には特定防火設備を、バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口には防火設備を設けること。
(特定防火設備及び防火設備は、常時閉鎖式防火戸又は随時閉鎖できる煙感知器又は熱煙複合式感知器連動の自動閉鎖かつ、直接手で避難の方向に開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸) - 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること
- 15階以上の各階又は地下3階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積の合計は、その階に設ける各居室の床面積に、
法別表1(い)欄(1)又は(4)に掲げる用途に供する居室にあつては8/100を乗じたものの合計以上、
その他の居室にあつては3/100を乗じたものの合計以上
避難階段及び特別避難階段の構造から出題された過去問題
【平成29年問題】
屋内に設ける避難階段の階段室の天井(天井がない場合は、屋根)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造らなければならない。
設問は、正しい。
令第123条第1項第二号より、屋内に設ける避難階段は、階段室の天井(天井のない場合にあつては、屋根。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅
第124条 物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物における避難階段、特別避難階段及びこれらに通ずる出入口の幅は、次の各号に定めるところによらなければならない。
一 各階における避難階段及び特別避難階段の幅の合計は、その直上階以上の階(地階にあつては、当該階以下の階)のうち床面積が最大の階における床面積100㎡につき60㎝の割合で計算した数値以上とすること。
二 各階における避難階段及び特別避難階段に通ずる出入口の幅の合計は、各階ごとにその階の床面積100㎡につき、地上階にあつては27㎝、地階にあつては36㎝の割合で計算した数値以上とすること。
2 前項に規定する所要幅の計算に関しては、もつぱら1若しくは2の地上階から避難階若しくは地上に通ずる避難階段及び特別避難階段又はこれらに通ずる出入口については、その幅が1.5倍あるものとみなすことができる。
3 前2項の規定の適用に関しては、屋上広場は、階とみなす。

該当法令令第124条(物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅)
物品店舗の避難階段、特別避難階段の階段の幅及びこれらに通ずる出入口の幅は、以下のとおりです。
階段の幅の合計
その階の直上階以上の階(地階にあつては、当該階以下の階)のうち床面積が最大の階における床面積/100㎡×60㎝以上
出入口の幅の合計
地上階
その階の床面積/100㎡×27㎝以上
地階
その階の床面積/100㎡×36㎝以上
屋外への出口
第125条 避難階においては、階段から屋外への出口の一に至る歩行距離は第120条に規定する数値以下と、居室(避難上有効な開口部を有するものを除く。)の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離は同条に規定する数値の2倍以下としなければならない。
2 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客用に供する屋外への出口の戸は、内開きとしてはならない。
3 物品販売業を営む店舗の避難階に設ける屋外への出口の幅の合計は、床面積が最大の階における床面積100㎡につき60㎝の割合で計算した数値以上としなければならない。
4 前条第3項の規定は、前項の場合に準用する。

該当法令令第125条(屋外への出口)
屋外への出口にかかる規定は、以下のとおりです。
避難階の歩行距離
階段から屋外への出口までの歩行距離
令120条に規定する数値以下
居室の各部分から屋外への出口までの歩行距離
令120条に規定する数値の2倍以下(避難上有効な開口部を有するものを除く。)
客用の屋外への出口の戸
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客用の屋外への出口の戸は、内開きとしない
屋外への出口の幅の合計
物品販売業を営む店舗の避難階に設ける屋外への出口の幅の合計は、床面積が最大の階における床面積/100㎡×60㎝以上とする。
屋外への出口から出題された過去問題
【平成29年問題】
集会場の客用に供する屋外への出口の戸は、集会場の規模にかかわらず、内開きとしてはならない。
設問は、正しい。
令第125条第2項より、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客用に供する屋外への出口の戸は、内開きとしてはならない。
屋上広場等
第126条 屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
2 建築物の5階以上の階を百貨店の売場の用途に供する場合においては、避難の用に供することができる屋上広場を設けなければならない。

該当法令令第126条(屋上広場等)
屋上広場等にかかる規定は、以下のとおりです。
手すり壁等
屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニー等の周囲には、高さ1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設置
屋上広場
5階以上の階を百貨店の売場とする場合は、避難の用に屋上広場を設置
屋上広場等から出題された過去問題
【令和4年問題】
木造 2 階建ての一戸建て住宅において、 2 階にあるバルコニーの周囲には、安全上必要な高さが 1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
設問は、正しい。
令第126条第1項より、屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
【平成30年問題】
共同住宅の2階にあるバルコニーの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁等を設けなければならない。
設問は、正しい。
令第126条第1項より、屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
排煙設備
排煙設備の設置
第126条の2 法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500㎡を超えるもの、階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物(建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに、間仕切壁、天井面から50㎝以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第116条の2第1項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室で、その床面積が200㎡を超えるもの(建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 法別表第1(い)欄(2)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が100㎡(共同住宅の住戸にあつては、200㎡)以内のもの
二 学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
三 階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
四 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
五 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
2 次に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
一 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備でその構造が第112条第19項第一号イ及びロ並びに第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの若しくは国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合における当該区画された部分
二 建築物の2以上の部分の構造が通常の火災時において相互に煙又はガスによる避難上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分

該当法令令第126条の2(設置)
排煙設備の設置が求められる対象建築物や対象部分が定められています。
対象建築物ごとの設置が必要になる延べ床面積は、以下のとおりです。
対象建築物・対象部分 | 設置が必要になる建築物の延床面積 |
---|---|
特殊建築物 (法別表1(い)欄(1)~(4)までの用途) | 500㎡超 |
階数が3以上の建築物 | 500㎡超 |
排煙上の無窓居室 | 全て |
200㎡以上の居室部分 | 1,000㎡超 |
排煙設備の設置を要しない場合
また、令第126条の2(設置)第1項ただし書き各号では、排煙設備の設置を要しない場合が定められています。
対象建築物ごとの排煙設備の除外条件は、以下のとおりです。
対象建築物・対象部分 | 除外のための条件 |
---|---|
病院、診療所(有床)、ホテル、旅館、寄宿舎、児童福祉施設等 | 準耐火構造の床、壁、防火設備で100㎡以下で区画 |
共同住宅の住戸 | 準耐火構造の床、壁、防火設備で200㎡以下で区画 |
学校、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場 | すべて |
階段、昇降機の昇降路 | すべて |
主要構造部が不燃材料の機械製作工場、不燃物保管倉庫、その他同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの | すべて |
その他 | 天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して大臣が定めるもの |
排煙設備の構造
第126条の3 前条第1項の排煙設備は、次に定める構造としなければならない。
一 建築物をその床面積500㎡以内ごとに、防煙壁で区画すること。
二 排煙設備の排煙口、風道その他煙に接する部分は、不燃材料で造ること。
三 排煙口は、第一号の規定により区画された部分(以下「防煙区画部分」という。)のそれぞれについて、当該防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が30㎝以下となるように、天井又は壁の上部(天井から80㎝(たけの最も短い防煙壁のたけが80㎝に満たないときは、その値)以内の距離にある部分をいう。)に設け、直接外気に接する場合を除き、排煙風道に直結すること。
四 排煙口には、手動開放装置を設けること。
五 前号の手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面から80㎝以上1.5m以下の高さの位置に、天井から吊り下げて設ける場合においては床面からおおむね1.8mの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。
六 排煙口には、第四号の手動開放装置若しくは煙感知器と連動する自動開放装置又は遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き閉鎖状態を保持し、かつ、開放時に排煙に伴い生ずる気流により閉鎖されるおそれのない構造の戸その他これに類するものを設けること。
七 排煙風道は、第115条第1項第三号に定める構造とし、かつ、防煙壁を貫通する場合においては、当該風道と防煙壁とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めること。
八 排煙口が防煙区画部分の床面積の1/50以上の開口面積を有し、かつ、直接外気に接する場合を除き、排煙機を設けること。
九 前号の排煙機は、一の排煙口の開放に伴い自動的に作動し、かつ、1分間に、120㎡以上で、かつ、防煙区画部分の床面積1㎡につき1㎥(2以上の防煙区画部分に係る排煙機にあつては、当該防煙区画部分のうち床面積の最大のものの床面積1㎡につき2㎥)以上の空気を排出する能力を有するものとすること。
十 電源を必要とする排煙設備には、予備電源を設けること。
十一 法第34条第2項に規定する建築物又は各構えの床面積の合計が1,000㎡を超える地下街における排煙設備の制御及び作動状態の監視は、中央管理室において行うことができるものとすること。
十二 前各号に定めるもののほか、火災時に生ずる煙を有効に排出することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
2 前項の規定は、送風機を設けた排煙設備その他の特殊な構造の排煙設備で、通常の火災時に生ずる煙を有効に排出することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものについては、適用しない。

該当法令令第126条の3(構造)
排煙設備の構造は、以下のとおりです。
項目 | 構造基準 | |
---|---|---|
防煙区画 | 区画面積 | 床面積500㎡以内ごとに区画 |
排煙口 | 位置 | 防煙区画部分の各部分から水平距離が30㎝以下となるよう設置 天井から80㎝以内を有効部分 |
材料 | 不燃材料で造る | |
構造 | 閉鎖状態を保持 手動開放装置を設ける | |
手動開放装置 | 手で操作する部分 | 壁に設ける場合、床面から80㎝以上1.5m以下 天井から吊り下げて設ける場合、床面からおおむね1.8m |
表示 | 見やすい方法でその使用方法を表示 | |
排煙風道 | 構造 | 建築物に設ける煙突の構造(令115条1項3号)に定める構造 |
防煙壁を貫通部 | 風道と防煙壁とのすき間をモルタル等、不燃材料で埋める | |
排煙機 | 設置が必要な場合 | 排煙口の開口面積が防煙区画部分の床面積の1/50未満 排煙口が直接外気に接しない |
能力 | 排煙口の開放に伴い自動的に作動 排煙容量は、120㎡/分以上 防煙区画部分の床面積1㎡につき1㎥以上 | |
その他 | 予備電源 | 電源を必要とする排煙設備には、予備電源を設ける |
中央管理室 | 高さ31m超えで非常用エレベーターのある建築物 各構えの床面積の合計が1,000㎡を超える地下街 |
排煙設備から出題された過去問題
【令和3年問題】 木造 2 階建て(主要構造部を準耐火構造としたもの)、延べ面積 600 m(各階の床面積 300㎡、 2 階の居室の床面積 250㎡)の物品販売業を営む店舗の避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、避難階は 1 階とする。
火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるものには、排煙設備を設けなくてもよい。
設問は、正しい。
令第126条の2第1項第五号より、火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるものには、排煙設備を設けなくてもよい。
【令和2年問題】
体育館における建築基準法施行令第 116 条の2第1 項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室には、排煙設備を設けなくてもよい。
設問は、正しい。
令第126条の2第1項第二号より、体育館は排煙設備を設けなくてもよい。
非常用の照明装置
非常用の照明装置の設置
第126条の4 法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物の居室、第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
二 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
三 学校等
四 避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの

該当法令令第126条の4(設置)
非常用照明の設置基準は、以下のとおりです。
対象建築物
- 特殊建築物
(法別表1(い)欄(1)~(4)までの用途) - 階数が3以上で延面積500㎡超の建築物
- 無窓居室
(採光面積<居室床面積の1/20) - 延面積1,000㎡超の建築物
(同一敷地内に2棟以上ある場合は、その延面積の合計)
対象部分
- 居室
- 居室から地上に通ずる通路
- 上記に類する部分
(廊下接するロビー、通り抜け避難に用いられる場所、その他通常非常用照明を設置する場所)
除外される建築物又は部分
- 戸建て住宅、長屋、共同住宅の住戸
- 病院の病室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室、その他類する居室
- 学校、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場
- 採光上有効に解放された廊下、通路等
- 無人工場や倉庫、電気室、機械室等、同一階に居室がない場合の廊下
- 避難階、その直上、直下階の居室で避難上支障がないもの
非常用の照明装置の構造
第126条の5 前条の非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。
一 次に定める構造とすること。
イ 照明は、直接照明とし、床面において1ルクス以上の照度を確保することができるものとすること。
ロ 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
ハ 予備電源を設けること。
ニ イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
二 火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において1ルクス以上の照度を確保することができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。

該当法令令第126条の5(構造)
非常用照明の構造
非常用照明の構造基準は、以下のとおりです。
照度
直接照明とし、床面において1ルクス以上の照度を確保
照明器具
火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないもの
電源
予備電源を設ける
その他
非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして大臣が定めた構造方法を用いるもの
非常用の照明装置から出題された過去問題
【令和4年問題】
集会場に設置する非常用の照明装置には、予備電源を設けなければならない。
設問は、正しい。
令第126条の5第一号ハより、非常用の照明装置には、予備電源を設けなければならない。
【令和3年問題】 木造 2 階建て(主要構造部を準耐火構造としたもの)、延べ面積 600 m(各階の床面積 300㎡、 2 階の居室の床面積 250㎡)の物品販売業を営む店舗の避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、避難階は 1 階とする。
居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路で、採光上有効に直接外気に開放されたものには、非常用の照明装置を設けなくてもよい。
設問は、正しい。
令第126条の4第より、居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路で、採光上有効に直接外気に開放されたものには、非常用の照明装置を設けなくてもよい。
【令和2年問題】
3 階建て、延べ面積 600㎡の下宿の宿泊室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路で、採光上有効に直接外気に開放されたものには、非常用の照明装置を設けなくてもよい。
設問は、正しい。
令第126条の4より、採光上有効に直接外気に開放された通路は、非常用の照明装置を設けなくてもよい。
【平成30年問題】
飲食店の用途に供する居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路で、採光上有効に直接外気に開放されたものには、非常用の照明装置を設けなくてもよい。
設問は、正しい。
令第126条の4より、居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路で、採光上有効に直接外気に開放されたものには、非常用の照明装置を設けなくてもよい。
非常用の進入口
非常用の進入口の設置
第126条の6 建築物の高さ31m以下の部分にある3階以上の階(不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供する階又は国土交通大臣が定める特別の理由により屋外からの進入を防止する必要がある階で、その直上階又は直下階から進入することができるものを除く。)には、非常用の進入口を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。
一 第129条の13の3の規定に適合するエレベーターを設置している場合
二 道又は道に通ずる幅員4m以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面に窓その他の開口部(直径1m以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、75㎝以上及び1.2m以上のもので、格子その他の屋外からの進入を妨げる構造を有しないものに限る。)を当該壁面の長さ10m以内ごとに設けている場合
三 吹抜きとなつている部分その他の一定の規模以上の空間で国土交通大臣が定めるものを確保し、当該空間から容易に各階に進入することができるよう、通路その他の部分であつて、当該空間との間に壁を有しないことその他の高い開放性を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを設けている場合

該当法令令第126条の6(設置)
建築物の高さ31m以下の部分にある3階以上の階には、非常用の進入口の設置しなければならないと定められています。
また、ただし書き各号より、設置を要しない場合が定められています。
非常用の進入口の設置を要しない場合
- 不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供する階(その直上階又は直下階から進入することができるもの
- 大臣が定める特別の理由により屋外からの進入を防止する必要がある階(その直上階又は直下階から進入することができるもの
- 非常用のエレベーターを設置している場合
- 道又は道に通ずる幅員4m以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面に「進入口に代わる窓」を10m以内ごとに設けている場合
- (進入口に代わる窓は、直径1m以上の円が内接することができるもの又は幅75㎝以上、高さ1.2m以上のもので、格子その他の屋外からの進入を妨げる構造を有しないもの)
- 吹抜き部分等で一定の規模以上の空間で大臣が定めるものを確保し、当該空間から容易に各階に進入することができるよう、高い開放性を有するものとして、大臣が定めた構造方法を用いるもの又は大臣の認定を受けたものを設けている場合
非常用の進入口の構造
第126条の7 前条の非常用の進入口は、次の各号に定める構造としなければならない。
一 進入口は、道又は道に通ずる幅員4m以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面に設けること。
二 進入口の間隔は、40m以下であること。
三 進入口の幅、高さ及び下端の床面からの高さが、それぞれ、75㎝以上、1.2m以上及び80㎝以下であること。
四 進入口は、外部から開放し、又は破壊して室内に進入できる構造とすること。
五 進入口には、奥行き1m以上、長さ4m以上のバルコニーを設けること。
六 進入口又はその近くに、外部から見やすい方法で赤色灯の標識を掲示し、及び非常用の進入口である旨を赤色で表示すること。
七 前各号に定めるもののほか、国土交通大臣が非常用の進入口としての機能を確保するために必要があると認めて定める基準に適合する構造とすること。

該当法令令第126条の7(構造)
非常用の進入口の構造
非常用の進入口の構造基準は、以下のとおりです。
進入口の設置箇所
道又は道に通ずる幅員4m以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面
進入口の間隔
40m以下
進入口の大きさ
幅75㎝以上、高さ1.2m以上及び床面から下端までの高さ80㎝以下
外部から開放又は破壊して室内に進入できる構造
バルコニー
奥行き1m以上、長さ4m以上
標識
進入口又はその近くに、外部から見やすい方法で赤色灯の標識を掲示、非常用の進入口である旨を赤色で表示
非常用の進入口から出題された過去問題
【平成30年問題】
建築物に非常用の進入口を設けなければならない場合、それぞれの進入口の間隔は、40m以下としなければならない。
設問は、正しい。
令第126条の7第二号より、建築物に非常用の進入口を設けなければならない場合、進入口の間隔は、40m以下としなければならない。
【平成29年問題】
非常用エレベーターを設置している建築物であっても、非常用の進入口を設けなければならない。
設問は、誤っている。
令第126条の6第一号より、第129条の13の3の規定に適合するエレベーターを設置している場合は、非常用の進入口を設けなくてもよい。
第129条の13の3の規定に適合するエレベーターとは、非常用エレベーターである。
敷地内の避難上及び消火上必要な通路等
適用の範囲
第127条 この節の規定は、法第35条に掲げる建築物に適用する。
第35条 別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が3以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計)が1,000㎡をこえる建築物については、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術的基準に従つて、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。

該当法令
法第35条(特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準)
令第127条(適用の範囲)
対象建築物
- 特殊建築物
(法別表1(い)欄(1)~(4)までの用途) - 階数が3階以上
- 無窓居室を有する建築物
(採光面積<居室床面積の1/20)
(排煙面積<居室床面積の1/50) - 延面積1,000㎡超の建築物
(同一敷地内に2棟以上ある場合は、その延面積の合計)
敷地内の通路
第128条 敷地内には、第123条第2項の屋外に設ける避難階段及び第125条第1項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m(階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物の敷地内にあつては、90㎝)以上の通路を設けなければならない。

該当法令
令第128条(敷地内の通路)
対象通路
屋外避難階段及び避難階の出口から道、公園、広場、その他空地へ通ずる通路
通路幅
1.5m(階数が3以下で延面積が200㎡未満の場合は、90㎝)
敷地内の通路から出題された過去問題
【令和3年問題】 木造 2 階建て(主要構造部を準耐火構造としたもの)、延べ面積 600 m(各階の床面積 300㎡、 2 階の居室の床面積 250㎡)の物品販売業を営む店舗の避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、避難階は 1 階とする。
敷地内には、建築基準法施行令第 125 条第 1 項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が 1.5 m以上の通路を設けなければならない。
設問は、正しい。
令第128条より、敷地内には、第123条第2項の屋外に設ける避難階段及び第125条第1項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m(階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物の敷地内にあつては、90㎝)以上の通路を設けなければならない。
問題No.10【避難施設等】のまとめ
避難施設等からの問題は、令第5章(令第116条の2~令第128条の3)の範囲から、まんべんなく問題が出題されています。
- 廊下・避難階段及び出入口
- 排煙設備
- 非常用の照明装置
- 非常用の進入口
- 敷地内の避難上及び消火上必要な通路等




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