【過去問題】No.16「面積関係② 図面・図形形式」二級建築士 建築法規【徹底解説】※完全無料

問題No.16【面積関係② 図面・図形形式】の概要

主な関係法令【面積関係② 図形・図面形式】
  • 法第52条(容積率)
  • 法第53条(建蔽率)
  • 令第2条(面積、高さ等の算定方法)

建築法規の16問目に出題されるのは、面積関係に関する図形・図面形式の問題です。
毎年必ず出題され、過去には令和2年のように、図形・図面形式の問題が2問出題される年もあります。
問題は、以下の3パターンだけです。

  • 容積率の算定の基礎となる延べ面積の最高限度
  • 容積率の算定の基礎となる延べ面積
  • 建築面積の最高限度

建蔽率、容積率が異なる地域にわたる敷地や、2項道路に面した敷地条件で出題されています。
条文を算式に変換して、求められる数値を計算する必要があるため、問題No.15【面積関係①】より多少難易度は上がります。

では早速、過去の出題のパターンから、出題傾向を見ていきましょう。

容積率

(容積率算定の基礎となる)延べ面積の最高限度

法第52条(容積率)より、容積率について定められています。

容積率

容積率とは、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合です。
容積率=延べ面積/敷地面積

容積率の限度
① 容積率の限度は、都市計画において定められた数値以下とします。(1項各号)
② また、敷地の前面道路幅員が12m未満の場合は、道路幅員に4/10または6/10を乗じたもの以下とします。(2項各号)

用途地域住居系の用途地域住居系以外の用途地域
適用基準
前面道路幅員12m以上の場合都市計画で定められた数値
前面道路幅員12m未満の場合①の容積率以下かつ、道路幅員×4/10①の容積率以下かつ、道路幅員×6/10
前面道路が2以上あるときは、②については幅員最大のものを採用する

容積率算定の緩和

地階の住宅、老人ホーム等
建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にある住宅又は老人ホーム等の用途に供する部分の床面積について、その用途に供する部分の床面積の合計1/3は、延べ面積に不算入(3項)

エレベーターの昇降路
共同住宅、老人ホーム等の共用廊下、階段部分
容積率の算定の基礎となる延べ面積には不算入(6項)

敷地が制限の異なる2以上の地域にわたる場合
敷地面積に対するの加重平均
それぞれの地域ごとに算出した延べ面積の限度の合計が、その敷地全体についての延べ面積の限度とします。(7項)

住宅の容積率限度の割増し
定められた条件に該当する場合、住宅の容積率は、当該地域に関する都市計画において定められた容積率の 1.5倍以下で、政令で定める方法で算出した数値を容積率の限度とみなして適用することができます。(8項)

特定道路による前面道路幅員の加算
建築物の敷地が、幅員15m以上の道路(特定道路)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路で、特定道路からの延長が70m以内の部分において接する場合は、その幅員に、令第135条の18(容積率の制限について前面道路の幅員に加算する数値)で定める数値を加えたものとします。(9項)

Wa=(12-Wr)(70-L)/70
Wa:前面道路の幅員に加算できる数値(m)
Wr:前面道路の幅員(m)
L:特定道路から敷地が接する前面道路の部分の直近の端までの延長(m)

(容積率算定の基礎となる)延べ面積の最高限度から出題された過去問題

【令和3年問題】
図のような敷地において、建築基準法上、新築することができる建築物の延べ面積(同法第 52 条第 1 項に規定する容積率の算定の基礎となる延べ面積)の最高限度は、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定等はないものとする。また、特定道路の影響はないものとし、建築物には容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない部分及び地階はないものとする。

  1.  630 ㎡
  2.  660 ㎡
  3.  690 ㎡
  4.  750 ㎡
  5.  780 ㎡

延べ面積の最高限度は、660㎡である。

法第42条第2項より、2項道路と敷地の道路境界線は、道路中心線からの水平距離2mの線をその道路の境界線とみなす。
法第52条第2項より、前面道路の幅員による容積率の限度を算出する。
第一種低層住居専用地域 6m×4/10=24/10>20/10より、容積率の限度は20/10である。
第一種住居地域 6m×4/10=24/10<30/10より、容積率の限度は24/10である。
法第52条第7項より、建築物の敷地が容積率に関する制限を受ける地域の2以上にわたる場合においては、容積率の限度にその敷地の当該地域にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下とする。
よって、容積率の限度は、(150㎡×20/10)+(150㎡×24/10)=660㎡である。

【令和2年問題】
図のような敷地において、建築基準法上、新築することができる建築物の延べ面積(同法第 52 条第 1 項に規定する容積率の算定の基礎となる延べ面積)の最高限度は、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定等はないものとする。

  1.  240㎡
  2.  312㎡
  3.  360㎡
  4.  468㎡
  5.  500㎡

延べ面積の最高限度は、468㎡である。

法第52条第9項より、前面道路の幅員は、建築物の敷地が、幅員15m以上の道路に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路のうち当該特定道路からの延長が70m以内の部分において接することから、令第135条の18より、Wa=(12-Wr)(70-L)/70により算出された数値を加える。
Wa=(12-6)(70-49)/70=1.8m
前面道路の幅員は、6m+1.8m=7.8mとなる。
法第52条第2項より、前面道路の幅員による容積率の限度を算出する。
近隣商業地域 7.8m×6/10=46.8/10>50/10より、容積率の限度は46.8/10である。
よって、延べ面積の最高限度は、100㎡×46.8/10=468㎡である。

(容積率算定の基礎となる)延べ面積

容積率算定に算入しない床面積部分は、法第52条による緩和及び令第2条ただし書きによる除外部分となります。

(容積率算定の基礎となる)延べ面積

容積率算定の緩和

法第52条(容積率)第3項及び第6項より、容積率算定の緩和について規定されています。

地階の住宅、老人ホーム等
建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にある住宅又は老人ホーム等の用途に供する部分の床面積について、その用途に供する部分の床面積の合計1/3は、延べ面積に不算入(3項)

エレベーターの昇降路
共同住宅、老人ホーム等の共用廊下、階段部分
容積率の算定の基礎となる延べ面積には不算入(6項)

延べ面積

令第2条(面積、高さ等の算定方法)第1項第四号より、延べ面積について定義されています。

延べ面積とは、建築物の各階の床面積の合計です。

容積率算定のための延べ面積には、以下の表の部分は床面積に算入しない。

不算入部分不算入限度
自動車車庫等部分1/5
備蓄倉庫部分1/50
蓄電池設置部分1/50
自家発電設備設置部分1/100
貯水槽設置部分1/100
宅配ボックス設置部分1/100

(容積率算定の基礎となる)延べ面積から出題された過去問題

【令和4年問題】
図のような共同住宅(宅配ボックス設置部分を有するもの)を新築する場合、建築基準法上、容積率の算定の基礎となる延べ面積は、次のうちどれか。ただし、自動車車庫等の用途に供する部分及びエレベーターはないものとし、地域、地区等及び特定行政庁の指定等は考慮しないものとする。

  1.  165 ㎡
  2.  168 ㎡
  3.  170 ㎡
  4.  195 ㎡
  5.  200 ㎡

容積率の算定の基礎となる延べ面積は、168㎡である。

法第52条(容積率)第6項により、共同住宅の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。
令第2条(面積、高さ等の算定方法)第1項第四号へ及び同条第3項第六号より、宅配ボックス設置部分は、建築物の各階の床面積の合計に1/100に定める割合を乗じて得た面積は床面積に算入しない。
建築物の各階の床面積の合計200㎡×1/100=2㎡

1階の算入する床面積100㎡−20㎡(共用の廊下等)-2㎡(宅配ボックス)= 78㎡
2階の算入する床面積100㎡-10㎡(共用の廊下等)=90㎡
よって、容積率の算定の基礎となる延べ面積は、78㎡+90㎡= 168㎡

【令和元年問題】
図のような事務所を併用した一戸建て住宅を新築する場合、建築基準法上、容積率の算定の基礎となる延べ面積は、次のうちどれか。ただし、自動車車庫等の用途に供する部分はないものとし、地域、地区等及び特定行政庁の指定等は考慮しないものとする。

  1.  180 ㎡
  2.  240 ㎡
  3.  250 ㎡
  4.  270 ㎡
  5.  300 ㎡

容積率の算定の基礎となる延べ面積は、250㎡である。

法第52条第3項より、容積率の算定の基礎となる延べ面積には、建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積は、当該床面積が当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の1/3を限度に算入しないものとする。
住宅部分の床面積は、150㎡のため、地階の住宅部分の床面積は、150㎡×1/3=50㎡を限度に算入しない。
よって、地階の住宅部分の算入する床面積は、60㎡-50㎡=10㎡
容積率の算定の基礎となる延べ面積は、250㎡である。

【平成30年問題】
図のようなエレベーターのない共同住宅を新築する場合、建築基準法上、同法第52条第1項に規定する容積率の算定の基礎となる延べ面積は、次のうちどれか。ただし、自動車車庫等の用途に供する部分はないものとし、地域、地区等及び特定行政庁の指定等は考慮しないものとする。

  1.  235㎡
  2.  250㎡
  3.  280㎡
  4.  375㎡
  5.  420㎡

容積率の算定の基礎となる延べ面積は、250㎡である。

法第52条第3項により、建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積は、住宅の用途に供する部分の床面積の合計の1/3を限度に、算入しないものとする。
同条第6項により、共同住宅の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。
地階の算入しない床面積は、(165㎡+165㎡+90㎡)/3 = 140㎡
地階の算入する床面積165㎡−140㎡ = 25㎡
1階の算入する床面積165㎡−15 ㎡= 150㎡
2階の算入する床面積90㎡−15㎡ = 75㎡
よって、容積率の算定の基礎となる延べ面積は、25㎡+150㎡+75㎡= 250㎡

建蔽率

法第53条(建蔽率)より、建蔽率について定められています。

建蔽率

建蔽率とは、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合です。
(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)
建蔽率=建築面積/敷地面積

建蔽率は、都市計画において定められた数値以下とします。(1項)

敷地が制限の異なる2以上の地域にわたる場合
敷地面積に対するの加重平均
それぞれの地域ごとに算出した建築面積の限度の合計が、その敷地全体についての建築面積の限度とします。(2項)

建蔽率の緩和
街区の角にある敷地や防火・準防火地域内の耐火・準耐火建築物等は緩和規定により、建蔽率の限度に表の数値を加算します。(3項)

街区の角+10%

防火地域内の耐火建築物等+10%※
※:商業地域及び建蔽率が80%とされている地域は、「建蔽率の制限なし」(6項)

準防火地域内の耐火、準耐火建築物等+10%

敷地が防火・準防火地域内外にわたる場合

敷地が防火地域の内外にわたる場合
敷地内の建築物の全部が耐火建築物等であるときは、その敷地は、全て防火地域内にあるものとみなす(7項)

敷地が準防火地域の内外にわたる場合
敷地内の建築物の全部が耐火建築物等又は準耐火建築物等であるときは、その敷地は、全て準防火地域内にあるものとみなす(8項)

建築面積の最高限度から出題された過去問題

【令和5年問題】
図のような敷地において、準耐火建築物を新築する場合、建築基準法上、新築することができる建築物の建築面積の最高限度は、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定・許可等は考慮しないものとする。

  1. 210 ㎡
  2. 250 ㎡
  3. 260 ㎡
  4. 290 ㎡
  5. 400 ㎡

建築面積の最高限度は、290㎡である。

法第53条第2項より、建築物の敷地が建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の2以上にわたる場合においては、当該建築物の建蔽率は、当該各地域又は区域内の建築物の建蔽率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。


【第二種住居地域の建蔽率の限度の算定】
法第53条第6項第一号及び二号より、準防火地域内にある準耐火建築物等で、街区の角にある敷地として特定行政庁が指定したものは、都市計画で定める建蔽率に2/10を加えたものを建蔽率の限度とする。
第二種住居地域内の建蔽率の限度は、6/10+2/10=8/10となる。
第二種住居地域内の敷地面積は、5m×20m=100㎡
建築面積の限度は、100㎡×8/10=80㎡


【第一種低層住居専用地域の建蔽率の限度の算定】
法第53条第8項より、敷地は、全て準防火地域内にあるものとみなして、第3項第一号の規定を適用する。
法第53条第6項第一号及び二号より、準防火地域内にある準耐火建築物等で、街区の角にある敷地として特定行政庁が指定したものは、都市計画で定める建蔽率に2/10を加えたものを建蔽率の限度とする。
第一種低層住居専用地域内の建蔽率の限度は、5/10+2/10=7/10となる。
第一種低層住居専用地域内の敷地面積:15m×20m=300㎡
建築面積の限度:300㎡×7/10=210㎡


よって、敷地の建築面積の最高限度=80㎡+210㎡=290㎡となる。

【令和2年問題】
図のような敷地において、耐火建築物を新築する場合、建築基準法上、新築することができる建築物の建築面積の最高限度は、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定・許可等はなく、図に示す範囲に高低差はないものとする。

  1.  264㎡
  2.  273㎡
  3.  288㎡
  4.  303㎡
  5.  318㎡

建築面積の最高限度は、318㎡である。

法第42条第2項より、2項道路と敷地の道路境界線は、道路中心線からの水平距離2mの線をその道路の境界線とみなす。
法第53条第2項より、建築物の敷地が建蔽率に関する制限を受ける地域の2以上にわたる場合においては、建蔽率の限度にその敷地の当該地域にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下とする。
同条第3項より、防火地域内にある耐火建築物は、建蔽率の数値に1/10を加えるため、準住居地域内の建蔽率の限度は、6/10+1/10=7/10となる。よって、準住居地域内の建築面積の限度は、240㎡×7/10=168㎡
同条第6項より、防火地域(第1項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が8/10とされている地域に限る。)内にある耐火建築物は、建蔽率の限度は適用しない。商業地域の建蔽率の限度は8/10である。よって、商業地域内の建築面積の限度は、150㎡×10/10=150㎡
よって、建築面積の最高限度は、168㎡+150㎡=318㎡である。

【平成29年問題】
図のような敷地において、耐火建築物を新築する場合、建築基準法上、新築することができる建築物の建築面積の最高限度は、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定・許可等はなく、図に示す範囲に高低差はないものとする。

  1.  246㎡
  2.  255㎡
  3.  276㎡
  4.  285㎡
  5.  297㎡

建築面積の最高限度は、297㎡である。

法第53条第2項より、建築物の敷地が前項の規定による建築物の建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の2以上にわたる場合においては、当該建築物の建蔽率は、同項の規定による当該各地域又は区域内の建築物の建蔽率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
【商業地域の建蔽率の限度の算定】
法第53条第6項第一号より、防火地域(建蔽率の限度が8/10とされている地域に限る。)内にある耐火建築物等は、建蔽率の制限を受けないため、商業地域内の建蔽率の限度は、10/10となる。
商業地域の敷地面積は、15m×10m=150㎡
建築面積の限度は、150㎡×10/10=150㎡
【準住居地域の建蔽率の限度の算定】
法第53条第3項第一号より、防火地域内にある耐火建築物等は、都市計画で定める建蔽率に1/10を加えたものを建蔽率の限度とする。
準住居地域内の建蔽率の限度は、6/10+1/10=7/10となる。
法第42条第2項より、南側の道路の道路境界線は、道路中心線からの水平距離2mの線をその道路の境界線とみなす。
準住居地域内の敷地面積:15m×(15m-1m)=210㎡
建築面積の限度:210㎡×7/10=147㎡
よって、敷地の建築面積の最高限度=150㎡+147㎡=297㎡となる。

問題No.16【面積関係② 図面・図形形式】のまとめ

面積関係での図面・図形形式問題の過去に出題されたものは、以下の3パターンです。

  • (容積率算定の基礎となる)延べ面積の最高限度の算出
  • (容積率算定の基礎となる)延べ面積の算出
  • 建築面積の最高限度の算出

問題No.15【面積関係①】と一緒に学習することで、効率的に対策できます。

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