【過去問題】No.18「高さ関係②」二級建築士 建築法規【徹底解説】※完全無料

問題No.18【高さ関係②】の概要

主な関係法令【高さ関係②】
  • 法第55条~法第56条の2
  • 令第130条の10~令第135条の10

建築法規の18問目で出題されるのが高さ関係に関する問題です。

高さ制限等の種類
  • 道路斜線による高さ制限(法第56条第1項第1号)
  • 隣地斜線による高さ制限(法第56条第1項第2号)
  • 北側斜線による高さ制限(法第56条第1項第3号)
  • 低層住居地域等の絶対高さ制限(法第55条)
  • 日影規制による高さ制限(法第56条の2)


法に適用される地域、制限の記載があり、施行令に緩和規定が記載されています。

毎年1問出題される問題で、出題範囲は限られているため、対策はしやすいです。

では早速、過去の出題のパターンから、出題傾向を見ていきましょう。

建築物の高さ

令第2条(面積、高さ等の算定方法)第1項第六号より、建築物の高さについて定義されています。

建築物の高さ

建築物の高さとは、地盤面からの高さです。
ただし、道路斜線制限による高さの算定については、前面道路の路面の中心からの高さです。

塔屋等の高さ不算入部分

ロ号及びハ号より、塔屋等については、その一部を高さに算入しません。
塔屋等の取扱いについては、以下の表のとおりです。

建築物の部分

階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓等の屋上部分

高さ制限高さの適用
道路斜線水平投影面積の合計が建築面積の1/8以内の場合は、その部分の高さは、12mまでは高さに算入しない
隣地斜線
北側斜線高さに算入する
絶対高さ水平投影面積の合計が建築面積の1/8以内の場合は、その部分の高さは、5mまでは高さに算入しない
日影規制水平投影面積の合計が建築面積の1/8以内の場合は、その部分の高さは、5mまでは高さに算入しない

建築物の部分

棟飾、防火壁の屋上突出部等の屋上突出物

高さ制限高さの適用
すべて高さに算入しない

低層住居地域等内の高さの限度等

外壁の後退距離

外壁の後退距離

適用地域内の建築物の外壁等は、敷地境界線から一定の距離、離させなければなりません。
この外壁等から敷地境界線までの距離を「外壁の後退距離」と言います。

適用地域

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域

後退距離の限度

1m又は1.5m(都市計画により定められる)

高さの限度

高さの限度

適用地域内の建築物は、一定の高さの限度を超えてはなりません。

適用地域

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域

高さの限度

10m又は12m(都市計画により定められる)

緩和規定

高さの限度が10mと定められた地域内で、その敷地内に空地を有し、かつ、その敷地面積が1,500㎡以上で、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、12mとします。

適用除外

  • その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて特定行政庁が許可したもの
  • 学校その他の建築物であつて、その用途によつてやむを得ないと認めて特定行政庁が許可したもの

低層住居地域等内の高さの限度等から出題された過去問題

【平成29年問題】

都市計画において建築物の高さの限度が 10mと定められた第一種低層住居専用地域内においては、建築物の敷地面積が 700㎡であって、かつ、その敷地内に政令で定める空地を有し、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、12mとする。

設問は、誤っている

法第55条第2項及び令第130条の10第2項より、建築物の高さの限度が10mと定められた第一種低層住居専用地域内においては、その敷地内に空地を有し、かつ、その敷地面積が1,500㎡以上である建築物であつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、同項の規定にかかわらず、12mとする。
設問は、敷地面積が700㎡のため、建築物の高さの限度は10mとなる。

道路斜線による高さ制限

道路斜線による高さ制限の概要

法第56条(建築物の各部分の高さ)第1項1号より、道路斜線制限について定められています。

道路斜線制限

道路斜線制限による建築物の高さは、敷地の前面道路の反対側の境界線までの「水平距離」に「斜線勾配」を乗じた数値以下とします。
ただし、「適用距離」を超えれば、道路斜線制限は適用されません。

道路斜線制限による高さの限度=水平距離×斜線勾配(1.25又は1.5)

適用地域

都市計画区域内すべて

道路斜線勾配

法別表第3より、地域ごとの斜線勾配は、以下のとおりです。
住居系の用途地域:1.25※
商業系の用途地域:1.5
工業系の用途地域:1.5
指定なし:1.25または1.5

※第一種住居、第二種住居、準住居について定められた高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の2/3以上であるものの斜線勾配は、1.5となります。

前面道路の境界線から後退した建築物

道路斜線制限の「前面道路の反対側の境界線」とあるのは、最小の水平距離だけ、さらに外側にあるものとします

道路斜線による高さ制限の緩和規定等

施行令の条文に、道路斜線による高さ制限の緩和規定等について定められています。

道路斜線制限の緩和規定等

後退距離の算定上、建築物の部分から除外するもの

該当法令令第130条の12(前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限に係る建築物の後退距離の算定の特例)

後退距離の算定上、建築物の部分から除外するものは、次のとおりです。

建築物の部分条件
地盤面下にあるもの
物置その他これに類する用途の部分
※右記の条件すべて該当するもの
軒の高さが2.3m以下で、かつ、床面積の合計が5㎡以内
当該部分の水平投影の前面道路に面する長さ/敷地の前面道路に接する部分の水平投影の長さ≦1/5
当該部分から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものが1m以上であるもの
ポーチその他これに類する部分
※右記の条件すべて該当するもの
高さが5m以下であるもの
当該部分の水平投影の前面道路に面する長さ/敷地の前面道路に接する部分の水平投影の長さ≦1/5
当該部分から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものが1m以上であるもの
道路に沿って設けられる門又は塀高さ2m以下の門又は塀
(高さが1.2mを超えるものにあつては、当該1.2mを超える部分が網状その他これに類する形状)
隣地境界線に沿って設けられる門又は塀
歩廊渡り廊下その他これらに類する建築物の部分特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況を考慮して規則で定めたもの
上記以外の部分高さが1.2m以下のもの

建築物の敷地が2以上の区域にわたる場合

該当法令令第130条の11(建築物の敷地が2以上の地域、地区又は区域にわたる場合の法別表第3(は)欄に掲げる距離の適用の特例)

建築物の敷地が2以上の区域にわたる場合においては、それぞれの区域の建築物の部分の制限を適用します。

前面道路が2以上ある場合

該当法令令第132条(2以上の前面道路がある場合)第1項

前面道路が2以上ある場合で、以下に該当する区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなします

  • 幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内の区域
  • その他の前面道路の中心線からの水平距離が10mをこえる区域

公園、広場、水面等がある場合

該当法令令第134条(前面道路の反対側に公園、広場、水面その他これらに類するものがある場合)第1項

前面道路の反対側に公園、広場、水面等がある場合前面道路の反対側の境界線は、公園、広場、水面等の反対側にあるものとみなします

地盤面が高い場合

該当法令令第135条の2(道路面と敷地の地盤面に高低差がある場合)第1項

建築物の敷地の地盤面が前面道路より1m以上高い場合前面道路の高さは、敷地の地盤面と前面道路との高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなします。
前面道路の高さ+((敷地の地盤面と前面道路との高低差-1m)×1/2)

道路斜線による高さ制限から出題された過去問題

【令和5年問題】
建築物の敷地の前面道路に沿って塀(前面道路の路面の中心からの高さが 2.2 mで、1.2 mを超える部分が網状であるもの)が設けられている場合においては、前面道路の境界線から後退した建築物に対する道路高さ制限の緩和は適用されない。

設問は、正しい

令第130条の12より、道路に沿つて設けられる高さが2m以下の門又は塀(高さが1.2mを超えるものにあつては、当該1.2mを超える部分が網状その他これに類する形状であるものに限る。)は、後退距離の算定上、建築物の部分から除外するため、前面道路の境界線から後退した建築物に対する道路高さ制限の緩和を適用することができる。
設問は、高さが 2.2 mのため緩和は適用されない。

【令和4年問題】
建築物の敷地の前面道路に沿って塀(前面道路の路面の中心からの高さが 1.2mのもの)が設けられている場合においては、前面道路の境界線から後退した建築物に対する道路高さ制限の緩和を適用することができる。

設問は、正しい。

令第130条の12(前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限に係る建築物の後退距離の算定の特例)より、道路に沿つて設けられる高さが2m以下の門又は塀(高さが1.2mを超えるものにあつては、当該1.2mを超える部分が網状その他これに類する形状であるものに限る。)は、後退距離の算定上、建築物の部分から除外するため、前面道路の境界線から後退した建築物に対する道路高さ制限の緩和を適用することができる。

【令和4年問題】
前面道路の境界線から後退した建築物に対する道路高さ制限において、後退距離は、原則として、当該建築物から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。

設問は、正しい。

法第56条(建築物の各部分の高さ)第2項より、建築物の後退距離とは、当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。

【令和2年問題】

高架の工作物内に設ける建築物で特定行政庁が周囲の状況により交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものについては、道路高さ制限は適用されない。

設問は、正しい

法第57条第1項より、高架の工作物内に設ける建築物で特定行政庁が周囲の状況により交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものについては、道路高さ制限は適用されない。

【令和元年問題】

道路高さ制限において、建築物の敷地の地盤面が前面道路より 1 m以上高い場合においては、その前面道路は、敷地の地盤面と前面道路との高低差から 1 mを減じたものの 1/2 だけ高い位置にあるものとみなす。

設問は、正しい

令第135条の2第1項より、建築物の敷地の地盤面が前面道路より1m以上高い場合においては、その前面道路は、敷地の地盤面と前面道路との高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなす。

隣地斜線による高さ制限

隣地斜線による高さ制限の概要

法第56条(建築物の各部分の高さ)第1項2号より、隣地斜線制限について定められています。

隣地斜線制限

隣地斜線制限による建築物の高さは、隣地境界線までの「水平距離」に「斜線勾配」を乗じた数値に、立上高さ「20m又は31m」を加算した数値以下とします。

隣地斜線制限による高さの限度=水平距離×斜線勾配(1.25又は2.5)+立上高さ(20m又は31m)

適用地域

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域以外の都市計画区域内

隣地斜線勾配と立上がり

用途地域ごとの斜線勾配および立上がり高さは、以下のとおりです。

住居系の用途地域
勾配:1.25、立上がり:20m

商業系の用途地域
勾配:2.5、立上がり:31m

工業系の用途地域
勾配:2.5、立上がり:31m

指定なし
勾配:1.25または2.5、立上がり:20または31m

※第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域内は隣地斜線制限の適用を受けません。

隣地斜線による高さ制限の緩和規定等

施行令の条文に、隣地斜線による高さ制限の緩和規定等について定められています。

隣地斜線制限の緩和規定等

公園、広場、水面等に接する場合

該当法令令第135条の3(隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限の緩和)1項1号

建築物の敷地が公園、広場、水面等に接する場合隣地境界線は、その公園、広場、水面等の幅の1/2だけ外側にあるものとみなします。

地盤面が低い場合

該当法令令第135条の3第1項2号

建築物の敷地の地盤面が隣地の地盤面より1m以上低い場合は、敷地の地盤面は、当該高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなします。
敷地の地盤面+((敷地の地盤面と隣地との高低差-1m)×1/2)

隣地斜線による高さ制限から出題された過去問題

【令和5年問題】
準住居地域内における高さが 20 m以下の建築物については、隣地高さ制限は適用されない。

設問は、正しい

法第56条第1項第二号より、準住居地域内で隣地高さ制限が適用されるのは高さ20mを超える部分を有するものである。

【令和4年問題】
第一種低層住居専用地域内においては、隣地高さ制限は適用されない。

設問は、正しい。

法第56条(建築物の各部分の高さ)第1項第二号より、第一種低層住居専用地域内においては、隣地高さ制限は適用されない。

【令和2年問題】

第二種低層住居専用地域内においては、隣地高さ制限は適用されない。

設問は、正しい

法第56条第1項第二号より、第二種低層住居専用地域内においては、隣地高さ制限は適用されない。

北側斜線による高さ制限

北側斜線による高さ制限の概要

法第56条(建築物の各部分の高さ)第1項3号より、北側斜線制限について定められています。

北側斜線制限

北側斜線制限による建築物の高さは、前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの「真北方向の水平距離」に「斜線勾配1.25」を乗じた数値に、立上高さ「5m又は10m」を加算した数値以下とします。

北側斜線制限による高さの限度=真北方向の水平距離×斜線勾配(1.25)+立上高さ(5m又は10m)

対象の地域

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 田園住居地域
  • 第一種中高層住居専用地域※
  • 第二種中高層住居専用地域※

※ただし、日影規制が適用される中高層専用地域内の建築物は除きます。

北側斜線勾配と立上がり

用途地域ごとの斜線勾配および立上がり高さは、以下のとおりです。

第一種低層住居専用、第二種低層住居専用、田園住居地域
勾配:1.25、立上がり:5m

第一種中高層住居専用第二種中高層住居専用地域
勾配:1.25、立上がり:10m

北側斜線による高さ制限の緩和規定等

施行令の条文に、北側斜線による高さ制限の緩和規定等について定められています。

北側斜線制限の緩和規定等

水面、線路敷等のある場合

該当法令令第135条の4(北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限の緩和)1項1号

北側の前面道路の反対側又は敷地の北側の水面、線路敷等のある場合敷地境界線は、当該水面、線路敷等の幅の1/2だけ外側にあるものとみなす。

地盤面が低い場合

該当法令令第135条の4第1項2号

建築物の敷地の地盤面が北側の隣地の地盤面より1m以上低い場合、敷地の地盤面は、高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなす。
敷地の地盤面+((敷地の地盤面と北側の隣地との高低差-1m)×1/2)

北側斜線による高さ制限から出題された過去問題

【令和5年問題】
北側高さ制限における建築物の高さの算定においては、階段室の屋上部分の水平投影面積が当該建築物の建築面積の 1/8 以内である場合には、その階段室の高さは 12 mまでは当該建築物の高さに算入しない。

設問は、誤っている

令第2条第1項第六号ロより、法第56条第1項第三号の北側高さ制限では、階段室の高さは建築物の高さに算入する
なお、道路斜線による高さ制限や隣地斜線による高さ制限における建築物の高さの算定においては、算入しない。

【令和2年問題】

第二種中高層住居専用地域のうち、日影規制の対象区域内においては、北側高さ制限は適用されない。

設問は、正しい

法第56条第1項第三号より、第二種中高層住居専用地域のうち、日影規制の対象区域内においては、北側高さ制限は適用されない。

【令和元年問題】

第一種低層住居専用地域内のうち、日影規制の対象区域内においては、北側高さ制限が適用される。

設問は、正しい

法第56条第1項第三号及び法別表第4より、第一種低層住居専用地域内のうち、日影規制の対象区域内においては、北側高さ制限が適用される。

【令和元年問題】

第一種中高層住居専用地域内のうち、日影規制の対象区域内においては、北側高さ制限は適用されない。

設問は、正しい

法第56条第1項第三号及び法別表第4より、第一種中高層住居専用地域内のうち、日影規制の対象区域内においては、北側高さ制限は適用されない。

【平成29年問題】

北側高さ制限において、建築物の敷地が北側で公園に接する場合、当該隣地境界線は、当該公園の反対側の境界線にあるものとみなす。

設問は、誤っている

令第135条の4第1項第一号より、北側の前面道路の反対側に水面、線路敷その他これらに類するものがある場合又は建築物の敷地が北側で水面、線路敷その他これらに類するものに接する場合においては、当該前面道路の反対側の境界線又は当該水面、線路敷その他これらに類するものに接する隣地境界線は、当該水面、線路敷その他これらに類するものの幅の1/2だけ外側にあるものとみなす。

天空率と各斜線制限との関係

法第56条(建築物の各部分の高さ)第7項より、天空率が定められています。

天空率

天空率は、道路斜線、隣地斜線、北側斜線による高さの制限の適用を緩和できる規定として追加されたものです。

各斜線による高さ制限により確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が天空率の計算により確保されるものであれば、天空率と各斜線による高さの制限のどちらを適用させるかは自由に選択できます。

天空率の計算を行うことにより緩和できるのは、各斜線(道路斜線、隣地斜線、北側斜線)であり、法第55条(第一種低層住居専用地域等内における建築物の高さの限度)は該当しません。

天空率から出題された過去問題

【令和元年問題】

第一種低層住居専用地域内における 10 m又は 12 mの建築物の高さの限度については、天空率の計算を行うことにより、特定行政庁の許可又は認定を受けなくても、その高さの限度を超えることができる。

設問は、誤っている

法第56条第7項各号より、天空率の計算を行うことによる各部分の高さの制限の規定の緩和に、法第55条の第一種低層住居専用地域等内における建築物の高さの限度は該当しない。

日影規制による中高層建築物の制限

日影規制による中高層建築物の制限の概要

法第56条の2(日影による中高層の建築物の高さの制限)第1項より、日影規制による中高層建築物の制限が定められています。

日影規制による中高層建築物の制限

概要

対象区域内にある規制対象建築物は冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間において、それぞれ、平均地盤面からの高さの水平面に、敷地境界線からの水平距離が5mを超える範囲において、地方公共団体が条例で指定する時間以上日影となる部分を生じさせてはいけません。

ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合又は当該許可を受けた建築物を周囲の居住環境を害するおそれがないものとして政令で定める位置及び規模の範囲内において増築し、改築し、若しくは移転する場合においては、日影規制は適用されない。

法別表第4(日影による中高層の建築物の制限)より、対象区域内規制対象建築物平均地盤面からの高さの測定面までの高さ地方公共団体が条例で指定する日影時間がそれぞれ定められています。

対象建築物の判断ポイント

日影規制の対象建築物かの判断ポイントと注意点は、以下のとおりです。

該当法令法第56条の2(日影による中高層の建築物の高さの制限)第1項

用途地域ごとに定められた地盤面からの建物高さ階数により判断します。

該当法令令第2条(面積、高さ等の算定方法)第1項第六号

屋上の階段室、昇降機塔などで、水平投影面積の合計が建築面積の1/8以内の場合は、その部分の高さは、5mまでは高さに算入しません

該当法令令第2条第2項

敷地に3mを超える高低差がある場合の地盤面は、高低差3m以内ごとの平均の高さにおける水平面です。

同一の敷地内に2以上の建築物がある場合

該当法令法第56条の2第2項

同一の敷地内に2以上の建築物がある場合は、これらの建築物を一の建築物とみなして、日影規制を適用する

対象区域外にある高さが10mを超える建築物

該当法令法第56条の2第4項

対象区域外にある高さが10mを超える建築物で、冬至日において、対象区域内に日影を生じさせるものは、日影規制を適用する

日影規制による中高層建築物の制限の緩和規定等

施行令の条文に、日影規制による中高層建築物の制限の緩和規定等について定められています。

日影規制による中高層建築物の制限の緩和規定等

日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合

該当法令令第135条の13(建築物が日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合等の措置)

日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合は、日影を生じさせる区域ごとにその区域の日影時間の制限を受ける

道路、水面、線路敷等に接する場合

該当法令令第135条の12(日影による中高層の建築物の高さの制限の適用除外等)第3項第一号

建築物の敷地が道路、水面、線路敷等に接する場合の敷地境界線は、その道路、水面、線路敷等の幅の1/2だけ外側にあるものとみなす
ただし、道路、水面、線路敷等の幅が10mを超えるときは、その道路、水面、線路敷等の反対側の境界線から敷地の側に水平距離5mの線を敷地境界線とみなす。

地盤面が低い場合

該当法令令第135条の12(日影による中高層の建築物の高さの制限の適用除外等)第3項第二号

建築物の敷地の平均地盤面が隣地の地盤面より1m以上低い場合は、その建築物の敷地の平均地盤面は、当該高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなす。
敷地の平均地盤面+((敷地の平均地盤面と隣地との高低差-1m)×1/2)

日影規制による中高層建築物の制限から出題された過去問題

【令和5年問題】
工業地域内においては、原則として、日影規制は適用されない。

設問は、正しい

法第56条の2第1項より、日影規制が適用される地域は、別表第4(い)欄の各項に掲げる地域であり、別表第4(い)欄の各項に工業地域はないことこら、日影規制は適用されない

【令和5年問題】
日影規制が適用されるか否かの建築物の高さの算定は、平均地盤面からの高さではなく、地盤面からの高さによる。

設問は、正しい

令第2条第1項第六号より、法別表第4(ろ)欄各項の日影規制が適用されるか否かの建築物の高さの算定は、地盤面からの高さによる。

【令和4年問題】
第一種中高層住居専用地域内にある高さが 10mを超える建築物において、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合は、日影規制は適用されない。

設問は、正しい。

法第56条の2(日影による中高層の建築物の高さの制限)第1項ただし書きより、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合又は当該許可を受けた建築物を周囲の居住環境を害するおそれがないものとして政令で定める位置及び規模の範囲内において増築し、改築し、若しくは移転する場合においては、日影規制は適用されない。

【令和4年問題】
日影規制において、建築物の敷地が用途地域の異なる地域の内外にわたる場合は、その建築物の全部について敷地の過半の属する地域の規定が適用される。

設問は、誤っている。

令第135条の13(建築物が日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合等の措置)より、日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合は、日影を生じさせる区域ごとにその区域の日影時間の制限を受ける。

【令和3年問題】

商業地域内においては、原則として、日影規制は適用されない。

設問は、正しい

法第56条の2第1項より、日影規制が適用される地域は、別表第4(い)欄の各項に掲げる地域であり、別表第4(い)欄の各項に商業地域はないことこら、日影規制は適用されない。

【令和3年問題】

日影規制が適用されるか否かの建築物の高さの算定は、平均地盤面からの高さではなく、地盤面からの高さによる。

設問は、正しい

令第2条第1項第六号より、法別表第4(3)欄の当該各項の日影規制が適用されるか否かの建築物の高さの算定は、平均地盤面からの高さではなく、地盤面からの高さによる。

【令和3年問題】

同一の敷地内に 2 以上の建築物がある場合、これらの建築物をそれぞれ別の建築物として、日影規制を適用する。

設問は、誤っている

法第56条の2第2項より、同一の敷地内に2以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の建築物とみなして、日影規制を適用する。

【令和3年問題】

田園住居地域内においては、原則として、軒の高さが 7 mを超える建築物又は地階を除く階数が 3 以上の建築物について、日影規制を適用する。

設問は、正しい

法別表第4第(ろ)欄1の項より、田園住居地域内においては、原則として、軒の高さが 7 mを超える建築物又は地階を除く階数が 3 以上の建築物について、日影規制を適用する。

【令和3年問題】

建築物の敷地が幅員 10 m以下の道路に接する場合、当該道路に接する敷地境界線は、当該道路の幅の 1/2 だけ外側にあるものとみなす。

設問は、正しい

令第135条の12第3項第一号より、建築物の敷地が道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する場合においては、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する敷地境界線は、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの幅の1/2だけ外側にあるものとみなす。ただし、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの幅が10mを超えるときは、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの反対側の境界線から当該敷地の側に水平距離5mの線を敷地境界線とみなす。

【令和2年問題】

用途地域の指定のない区域においては、地方公共団体の条例で日影規制の対象区域とすることができない。

設問は、誤っている

法第56条の2第1項及び法別表第4(い)欄の4項より、用途地域の指定のない区域は、地方公共団体の条例で日影規制の対象区域とすることができる。

【令和2年問題】

第一種中高層住居専用地域内にある高さ 10 mを超える建築物において、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合は、日影規制は適用されない。

設問は、正しい

法第56条の2第1項ただし書きより、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合又は当該許可を受けた建築物を周囲の居住環境を害するおそれがないものとして政令で定める位置及び規模の範囲内において増築し、改築し、若しくは移転する場合においては、日影規制は適用されない。

【令和元年問題】

商業地域内にある高さが 10 mを超える建築物が、冬至日において、隣接する第一種住居地域内の土地に日影を生じさせる場合は、当該建築物が第一種住居地域内にあるものとみなして、日影規制を適用する。

設問は、正しい

法第56条の2第4項より、対象区域外にある高さが10mを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなして、日影規制を適用する。

【平成30年問題】

日影規制が適用されるか否かの建築物の高さの算定は、平均地盤面からの高さではなく、地盤面からの高さによる。

設問は、正しい

令第2条第1項第六号より、建築物の高さとは、地盤面からの高さによる。

【平成30年問題】

建築物の敷地が幅員10m以下の道路に接する場合、当該道路に接する敷地境界線は、当該道路の幅の1/2だけ外側にあるものとみなす。

設問は、正しい

令第135条の12第3項第一号より、建築物の敷地が道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する場合においては、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する敷地境界線は、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの幅の1/2だけ外側にあるものとみなす。

【平成30年問題】

同一の敷地内に2以上の建築物がある場合、これらの建築物をそれぞれ別の建築物として、日影規制を適用する。

設問は、誤っている

法第56条の2第2項より、同一の敷地内に2以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の建築物とみなして、日影規制の規定を適用する。

【平成30年問題】

商業地域内においては、原則として、日影規制は適用されない。

設問は、正しい

法別表第4より、商業地域内においては、日影規制は適用されない。

【平成30年問題】

第二種低層住居専用地域内においては、原則として、軒の高さが7mを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物について、日影規制を適用する。

設問は、正しい

法別表第4(ろ)欄の1項より、第二種低層住居専用地域は、軒の高さが7mを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物について、日影規制を適用する。

【平成29年問題】 

道路高さ制限において、建築物の敷地の地盤面が前面道路より1m以上高い場合においては、その前面道路は、敷地の地盤面と前面道路の高低差の 1/2 だけ高い位置にあるものとみなす。

設問は、誤っている

令第135条の2第1項より、建築物の敷地の地盤面が前面道路より1m以上高い場合においては、その前面道路は、敷地の地盤面と前面道路との高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなす。

【平成29年問題】 

建築物の敷地が幅員 12mの道路に接する場合においては、原則として、当該道路の反対側の境界線から当該敷地の側に水平距離5mの線を敷地境界線とみなして、日影規制を適用する。

設問は、正しい

令第135条の12第3項第一号ただし書きより、道路、水面、線路敷その他これらに類するものの幅が10mを超えるときは、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの反対側の境界線から当該敷地の側に水平距離5mの線を敷地境界線とみなす。

【平成29年問題】

日影規制において、地方公共団体が条例で用途地域の指定のない区域を対象区域とし、高さが 10mを超える建築物を指定した場合においては、平均地盤面からの高さが 1.5mの水平面に生じる日影について日影規制を適用する。

設問は、誤っている

法第56条の2第1項及び法別表第4(は)欄4の項ロより、用途指定のない区域において、高さが10mを超える建築物の日影規制は、平均地盤面からの高さが4mの水平面に生じる日影について規制される。

問題No.18【高さ関係②】のまとめ

法規の18問目で出題される高さ関係の問題の傾向は以下のとおりです。

  • 日影規制に関する問題が出題の頻度は多い傾向にあります。
  • 各種斜線制限(道路斜線、隣地斜線、北側斜線等)は、施行令の緩和規定等からの問題が多く出題されています。
  • 低層地域内の高さ制限や、天空率による斜線制限の緩和についてもまれに出題されます。

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