二級建築士 建築法規 問題No.3【総則③ 各種手続き等】徹底解説※完全無料

主な関係法令【総則③ 各種手続き等】
  • 法第1章総則(法第1条~法第18条の3)
  • 法第6章雑則(法第84条~法第97条の6)

建築法規の問題の3問目に出題されるのが、「各種手続き等」です。

主に建築基準法の第1章総則から、指定確認検査機関による確認の手続きや、中間検査、完了検査、届出、違反建築物等について、五肢択一式の問題で出題されます。

また、選択肢に第6章雑則から仮設建築物に対する制限の緩和等の問題が含まれているのも、問題No.3【総則③ 各種手続き等】の特徴です。

確認申請から完了検査までの手続き

建築基準関係規定

法第6条
令第9条

建築基準関係規定は、法第6条で定義され、対象となる法律や条文は令第9条で定められています。

チェックポイント
  • 令第9条第一号から第十六号に、建築基準関係規定の対象となる16の法律とその対象条文があります。
  • 「バリアフリー法」「都市緑地法」「建築物省エネ法」は、それぞれの法律で建築基準関係規定とみなされています。

建築基準関係規定の対象となる法律及び条文は、以下の表でまとめています。

法律対象条文
消防法第9条
第9条の2
第15条
第17条
屋外広告物法第3条、第4条、第5条
港湾法第40条第1項
高圧ガス保安法第24条
ガス事業法第162条
駐車場法第20条
水道法第16条
下水道法第10条第1項、第3項
第30条第1項
宅地造成等規制法第8条第1項
流通業務市街地の整備に関する法律第5条第1項
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第38条の2
都市計画法第29条第1項、第2項
第35条の2第1項
第41条第2項(第35条の2第4項)
第42条(第53条第2項)
第43条第1項
第53条第1項
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法第5条第1項~第3項(同条第5項で準用)
自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律第5条第4項
浄化槽法第3条の2第1項
特定都市河川浸水被害対策法第8条
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)第14条第1項~第3項
都市緑地法第35条
第36条
第39条第1項
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)第11条

確認申請書に添える設計図書に明示すべき事項

規則第1条の3

規則第1条の3の表1に確認の申請書に添える図面の種類や明示すべき事項が定められています。

チェックポイント

二級建築士試験で規則からの出題は、「確認申請書に添える設計図書に明示すべき事項」くらいです。

確認申請書に添える図書と、それぞれに明示すべき事項は以下のとおりです。

確認申請書に添える図面の種類明示すべき事項
付近見取図方位、道路、目標となる地物
配置図縮尺、方位
敷地境界線、敷地内における建築物の位置、申請に係る建築物と他の建築物との別

擁壁などの措置
土地の高低、道路境界部分との高低差、申請に係る建築物の各部分の高さ
敷地の接する道路の位置、幅員、種類
下水管、下水溝、ためますなどの位置、排出経路、処理経路
各階平面図縮尺、方位
間取、各室の用途、床面積
壁及び筋かいの位置及び種類
通し柱、開口部の位置
延焼のおそれのある部分の外壁の位置、構造
石綿に関する規定の既存不適格建築物に関について増築等する場合、令第137条の4の3第3号に規定する措置
床面積求積図床面積の求積に必要な建築物の各部分の寸法、算式
立面図(2面以上)縮尺
開口部の位置
延焼のおそれのある部分の外壁、軒裏の構造
断面図(2面以上)縮尺
地盤面
各階の床及び天井(天井のない場合は、屋根)の高さ、軒及びひさしの出、建築物の各部分の高さ
地盤面算定表建築物が周囲の地面と接する各位置の高さ
地盤面を算定するための算式
基礎伏図縮尺並びに構造耐力上主要な部分の材料の種別、寸法
各階床伏図
小屋伏図
構造詳細図

国土交通大臣等の指定を受けた者による確認、完了検査、中間検査

法第6条の2
法第7条の2
法第7条の4

指定確認検査機関とは、建築基準法に基づき、建築確認における確認審査・現場検査等を行う機関として国土交通大臣、地方整備局又は都道府県知事から指定された民間企業です。

指定確認検査機関が建築基準関係規定に適合すると認める場合、確認済証や検査済証を交付します。

チェックポイント
  • 申請期限や審査までの期間等の基本的なルールは、建築主事の場合と同じです。
  • 指定確認検査機関が確認済証や検査済証を交付した建築物が建築基準関係規定に適合しないと認めるのは、「建築主事」ではなく「特定行政庁」です。

確認の特例により審査から除外される規定

法第6条第1項

法第6条の4
令第10条

法第6条の4第1項各号より、法第6条第1項第一号から第三号の認定型式の建築物及び、法6条第1項第四号の建築士が設計した建築物は、確認の特例により確認申請時に令第10条で定められた一部の規定の審査が省略されます。

チェックポイント
  • 二級建築士試験では、法第6条第1項第四号の建築士が設計した建築物の確認の特例が出題されます。
  • 「令第10条第三号が一戸建ての住宅」で「令第10条第四号が一戸建て住宅以外の建築物

法6条第1項第四号建築物の確認の特例となる対象建築物と確認審査が省略される規定は、以下の表でまとめています。

対象建築物確認を要しない規定
一戸建て住宅 法第20条(第1項第四号イに係る部分に限る。)、法第21条から法第25条まで、法第27条、法第28条、法第29条、法第31条第1項、法第32条、法第33条、法第35条から法第35条の3まで及び法第37条の規定
 第2章(第1節の3、第32条及び第35条を除く。)、第3章(第8節を除き、第80条の2にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)、第4章から第5章の2まで、第5章の4(第2節を除く。)及び第144条の3の規定
 法第39条から法第41条までの規定に基づく条例の規定のうち特定行政庁が法第6条の4第2項の規定の趣旨により規則で定める規定
上記以外の4号建築物 法第20条(第1項第四号イに係る部分に限る。)、法第21条、法第28条第1項及び第2項、法第29条、法第30条、法第31条第1項、法第32条、法第33条並びに法第37条の規定
 次章(第20条の3、第1節の3、第32条及び第35条を除く。)、第3章(第8節を除き、第80条の2にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)、第119条、第5章の4(第129条の2の4第1項第六号及び第七号並びに第2節を除く。)及び第144条の3の規定
 法第39条から法第41条までの規定に基づく条例の規定のうち特定行政庁が法第6条の4第2項の規定の趣旨により規則で定める規定
※ただし、防火・準防火地域以外、住宅以外の床面積が延べ面積の1/2以上又は50㎡超えを除く

建築物に関する完了検査

法第7条

建築主は、法6条第1項による確認手続きを要する建築物の工事が完了したときは、工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するよう建築主事の検査を申請しなければならない。
また、建築主事は、その申請を受理した日から7日以内に、検査しなければならない。

チェックポイント
  • 完了検査の対象は、法6条第1項の確認申請手続きが必要な建築物です。
  • 「工事完了から4日以内に申請」と「申請から7日以内に検査」に気をつけてね。

建築物に関する中間検査

法第7条の3

建築主は、「特定工程」である階数が3以上の共同住宅の2階の床・梁の配筋と特定行政庁が指定する工事完了後4日以内に、中間検査申請を行い、建築主事等の検査を受けなければならない。

中間検査

対象建築物
階数が3以上である共同住宅

特定工程
2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事の工程

申請時期
特定工程に係る工事を終えた日から4日以内

検査までの期間
申請から4日以内

申請先
建築主事又は指定確認検査機関

チェックポイント
  • 対象建築物と特定工程(3階以上の共同住宅の2階床梁の配筋工事)は、覚えてしまおう。
  • 申請期間と検査までの期間はどちらも「4日」です。

検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限

法第7条の6

法6条1項一号から三号までの建築物で、避難施設に関する工事を含むものは、検査済証の交付を受けた後でなければ、使用してはならない。
ただし、次のいずれかに該当する場合、検査済証の交付前に使用することができる。

  • 特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたとき。
  • 建築主事等が大臣が定める基準に適合していることを認めたとき。
  • 完了検査申請が受理された日から7日を経過したとき。
チェックポイント
  • 対象建築物は、法第6条第1項一号から三号までの建築物です。
  • 特定行政庁が認めたとき等、検査済証交付前に使用できることもあります。

確認申請~完了検査までの手続きから出題された過去問題

【令和5年問題】
建築物の高さの最低限度が定められている区域外で、鉄骨造3階建ての共同住宅の新築工事について確認済証の交付を受けた後に、当該建築物の計画において、建築基準関係規定に適合する範囲内で、建築物の高さが減少する変更を行う場合、建築主は、改めて、確認済証の交付を受ける必要はない。

設問は、正しい

法第6条第1項および規則3条の2より、計画の変更に係る確認を要しない軽微な変更が定められています。
規則3条の2第三号より、建築物の高さが減少する場合における建築物の高さの変更(建築物の高さの最低限度が定められている区域内の建築物に係るものを除く。)とあり、建築物の高さが減少する変更を行う場合、建築主は、改めて、確認済証の交付を受ける必要はない。

【令和5年問題】
消防法に基づく住宅用防災機器の設置の規定については、建築基準関係規定に該当し、建築主事又は指定確認検査機関による確認審査等の対象となる。

設問は、正しい

令第9条第一号より、消防法第9条、第9条の2、第15条及び第17条は建築基準関係規定である。住宅用防災機器の設置の規定については、消防法第9条の2で規定されている。

【令和元年問題】
消防法に基づく住宅用防災機器の設置の規定については、建築基準関係規定に該当し、建築主事又は指定確認検査機関による確認審査等の対象となる。

設問は、正しい

令第9条第一号より、消防法第9条、第9条の2、第15条及び第17条は建築基準関係規定である。住宅用防災機器の設置の規定については、消防法第9条の2で規定されている。

【平成29年問題】
建築基準法第6条第1項の規定による確認の申請書に添える配置図に明示すべき事項には、「縮尺及び方位並びに敷地の接する道路の位置、幅員及び種類」が含まれる。

設問は、正しい

規則第1条の3の表1より、確認の申請書に添える配置図に明示すべき事項には、「縮尺及び方位並びに敷地の接する道路の位置、幅員及び種類」が含まれる。

【令和元年問題】
建築基準法第 6 条第 1 項の規定による確認の申請書に添える付近見取図には、方位、道路及び目標となる地物を明示しなければならない。

設問は、正しい

規則第1条の3の表1より、確認の申請書に添える付近見取図には、方位、道路及び目標となる地物を明示しなければならない。

【令和3年問題】【令和29年問題】
指定確認検査機関確認済証の交付をした建築物の計画について、特定行政庁が建築基準関係規定に適合しないと認め、その旨を建築主及び指定確認検査機関に通知した場合において、当該確認済証は、その効力を失う。

設問は、正しい

法第6条の2第6項より、特定行政庁は、指定確認検査機関が確認済証の交付をした建築物の計画について、建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、当該建築物の建築主及び当該確認済証を交付した同項の規定による指定を受けた者にその旨を通知しなければならない。この場合において、当該確認済証は、その効力を失う。

【令和元年問題】
指定確認検査機関は、建築物に関する完了検査の引受けを工事完了日の前に行ったときは、当該検査の引受けを行った日から 7 日以内に、当該検査をしなければならない。

設問は、誤っている

法第7条の2第4項より、指定確認検査機関は、建築物に関する完了検査の引受けを行つたときは、当該検査の引受けを行つた第6条第1項の規定による工事が完了した日又は当該検査の引受けを行つた日のいずれか遅い日から7日以内に、第1項の検査をしなければならない。

【令和3年問題】
建築基準法第 6 条の4第1 項第三号に掲げる建築物のうち準防火地域内における一戸建ての住宅を新築しようとする場合においては、建築物の建築に関する確認の特例により、建築基準法第 35 条の 2 の規定については審査から除外される。

設問は、誤っている

令第10条第三号より、法第 6 条の4第1 項第三号に掲げる建築物のうち防火地域及び準防火地域以外の区域内における一戸建ての住宅が、建築に関する確認の特例の対象である。
なお、令第10条第三号の規定により確認の特例の対象となる場合、令第法第 35 条の 2 の規定については審査から除外される。

【令和2年問題】
建築基準法第 6 条の4第1 項第三号に掲げる建築物のうち防火地域及び準防火地域以外の区域内における一戸建て住宅(住宅の用途以外の用途に供する部分はない。)を新築しようとする場合においては、建築物の建築に関する確認の特例により、建築基準法第 28 条(居室の採光及び換気)の規定については審査から除外される。

設問は、正しい

令第10条第三号より、法第 6 条の4第1 項第三号に掲げる建築物のうち防火地域及び準防火地域以外の区域内における一戸建ての住宅が、建築に関する確認の特例の対象である。
同条同項イより、法第 28 条の規定については審査から除外される。

【令和5年問題】
建築主は、都市計画区域内において木造2階建て、延べ面積 90 ㎡の一戸建て住宅を新築し、建築主事に完了検査を申請する場合、原則として、当該工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するようにしなければならない。

設問は、正しい

法第7条第2項より、完了検査の申請は、工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。

【令和4年問題】
建築主は、都市計画区域内において、木造 2 階建て、延べ面積 150㎡の一戸建て住宅を新築し、建築主事に完了検査を申請する場合、原則として、当該工事が完了した日から 7 日以内に建築主事に到達するようにしなければならない。

設問は、誤っている

法第7条第2項より、完了検査の申請は、工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。

【令和5年問題】
建築主は、階数が3以上である鉄筋コンクリート造の共同住宅を新築する場合、2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工程に係る工事を終えたときは、特定行政庁の中間検査を申請しなければならない。

設問は、誤っている

法第7条の3第1項より、建築主は、階数が3以上である鉄筋コンクリート造の共同住宅を新築する場合、2階の床及びこれを支持する梁に鉄筋を配置する工程に係る工事を終えたときは、建築主事の検査を申請しなければならない。
特定行政庁ではありません。

【令和4年問題】
建築主は、鉄筋コンクリート造 3 階建て、延べ面積 300㎡の共同住宅の新築において、 2 階の床及びこれを支持する梁に鉄筋を配置する工程に係る工事を終えたときは、建築主事又は指定確認検査機関の中間検査を申請しなければならない。

設問は、正しい。

法第7条の3第1項、法第7条の4第1項より、建築主は、階数が 3 以上である鉄筋コンクリート造の共同住宅を新築する場合、 2 階の床及びこれを支持する梁に鉄筋を配置する工程に係る工事を終えたときは、建築主事又は指定確認検査機関の中間検査を申請しなければならない。

【令和元年問題】
建築主は、階数が 3 以上である鉄筋コンクリート造の共同住宅を新築する場合、 2 階の床及びこれを支持する梁に鉄筋を配置する工程に係る工事を終えたときは、特定行政庁の中間検査を申請しなければならない。

設問は、誤っている

法第7条の3第1項より、建築主は、階数が 3 以上である鉄筋コンクリート造の共同住宅を新築する場合 2 階の床及びこれを支持する梁に鉄筋を配置する工程に係る工事を終えたときは、建築主事の検査を申請しなければならない。

【令和5年問題】
木造 2 階建て、延べ面積 250 ㎡の共同住宅の新築において、指定確認検査機関が安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主は、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。

設問は、正しい

法第7条の6第1項ただし書きによる第二号の規定より、指定確認検査機関が安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主は、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。

【令和4年問題】
鉄骨造 2 階建て、延べ面積 300㎡の倉庫の新築において、指定確認検査機関が、安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主は、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。

設問は、正しい。

法第7条の6第1項ただし書きによる第二号の規定より、指定確認検査機関が安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主は、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。

【平成30年問題】【平成29年問題】
建築基準法第6条第1項第一号の建築物の新築において、指定確認検査機関が安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主は、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。

設問は、正しい

法第7条の6第1項ただし書きによる第二号の規定より、指定確認検査機関が安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主は、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる

違反建築物から届出等の手続き

法第8条(維持保全)~法第18条の3(確認審査等に関する指針等)までの手続き等について過去に出題された問題を整理していきます。

違反建築物に対する措置

法第9条

特定行政庁は、違反建築物の所有者等に対して、施工停止、建築物の除却、修繕、使用制限等の違反是正措置命令を行うことができる。

違反建築物に対する措置

命令の対象者
建築主、工事の請負人(下請人を含む)、現場管理者、所有者、管理者、占有者

命令等の内容
施工の停止又は、相当の猶予期限を付けて、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限

保安上危険な建築物等の所有者等に対する指導及び助言

法第9条の4
法第10条

特定行政庁は、保安上危険な建築物に対して、その危険度に応じた命令等を行うことができます

保安上危険な建築物等の所有者等に対する指導及び助言

放置されることにより、保安上危険な建築物等

  • 命令等の対象者:所有者、管理者、占有者
  • 命令等の内容維持保全に関し必要な指導及び助言をすることができる。

放置されることにより、著しく保安上危険な建築物等

  • 命令等の対象者:所有者、管理者、占有者
  • 命令等の内容:相当の猶予期限を付けて、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限などを勧告することができる。

著しく保安上危険な建築物等

  • 命令等の対象者:所有者、管理者、占有者
  • 命令等の内容:相当の猶予期限を付けて、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限などを命ずることができる。
チェックポイント
  • 「特定行政庁」が命令等を行います。
  • 保安上危険な建築物等の所有者等に対する指導及び助言は、危険度により3段階あります。

報告、検査等

法第12条第1項

令第16条

令第14条の2

法第88条

建築物等の所有者・管理者は、建築物、建築設備(給排水設備、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置)、昇降機等、防火設備について、経年劣化などの状況を定期的に、専門技術を有する資格者に建築物等の調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁へ報告することを定めている。

定期報告

定期調査、報告の対象

  • 安全上、防火上又は衛生上特に重要である特定建築物、特定建築設備等、準用される工作物
  • 特定行政庁が指定するもの

報告義務者
所有者、管理者

調査等資格者
1級建築士、2級建築士、建築物調査員(建築設備の場合は、建築設備等検査員

チェックポイント
  • 具体的な報告対象建築物や設備は、令第16条と令14条の2を確認してね。
  • 法88条より一部の工作物も準用されます。

建築監視員

法第9条の2
令第14条

建築監視員とは、特定行政庁にかわって、違反建築物への措置命令や報告等を求めることができる市町村又は都道府県の職員です。

建築監視員の資格要件
  • 3年以上の建築行政に関する実務の経験を有するもの
  • 建築士で1年以上の建築行政に関する実務の経験を有するもの

届出及び統計

法第15条

10㎡を超える工事は建築主事を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

届出の規定

対象工事
10㎡を超える建築物を建築する工事、除却する工事

届出者
建築主(建築する工事)
除却工事の施工者(除却する工事)

届出先
建築主事を経由して都道府県知事

チェックポイント
  • 10㎡を超えるものが対象です。「以上」ではないから気をつけてね。

違反建築物~届出等の手続きから出題された過去問題

【平成29年問題】
特定行政庁は、建築基準法令の規定に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物に関する工事の請負人等に対して、当該工事の施工の停止を命じることができる。

設問は、正しい

法第9条第1項より、特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

【令和2年問題】
特定行政庁は、所定の建築物の構造について、損傷、腐食その他の劣化が生じ、そのまま放置すれば保安上危険となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物の所有者等に対して、当該建築物の維持保全に関し必要な指導及び助言をすることができる。

設問は、正しい

法第9条の4より、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備について、損傷、腐食その他の劣化が生じ、そのまま放置すれば保安上危険となり、又は衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、修繕、防腐措置その他当該建築物又はその敷地の維持保全に関し必要な指導及び助言をすることができる。

【令和3年問題】
建築基準法第 6 条第 1 項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

設問は、正しい

法第12条第1項より、法第6条第1項第一号の建築物で政令で定めるものの所有者は、特定行政庁へ定期報告をしなければならない。

【令和2年問題】
特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、建築物の工事監理者に対して、当該建築物の施工の状況に関する報告を求めることができる。

設問は、正しい

法第12条第5項より、特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、建築物の工事監理者に対して、当該建築物の施工の状況に関する報告を求めることができる。

【平成30年問題】
特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、建築材料等を製造した者に対して、建築材料等の受取又は引渡しの状況に関する報告を求めることができる。

設問は、正しい

法第12条第5項第一号より、特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、建築材料等を製造した者に対して、建築材料等の受取又は引渡しの状況に関する報告を求めることができる。

【令和4年問題】
一戸建て住宅の一部である床面積 20㎡の部分を除却しようとする場合、当該除却の工事を施工する者は、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

設問は、正しい

法第15条第1項より、建築主が建築物を建築しようとする場合又は建築物の除却の工事を施工する者が建築物を除却しようとする場合においては、これらの者は、建築主事を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
なお、同条ただし書きより、建築物又は当該工事に係る部分の床面積の合計が10㎡以内である場合においては、その旨を都道府県知事に届け出る必要はない。

【令和3年問題】
建築主は、床面積の合計が 10㎡を超える建築物を建築しようとする場合においては、原則として、建築主事を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

設問は、正しい

法第15条第1項より、建築主は、床面積の合計が 10 ㎡を超える建築物を建築しようとする場合においては、建築主事を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

【平成30年問題】
一戸建て住宅の一部である床面積10㎡の部分を除却しようとする場合、当該除却の工事を施工する者は、その旨を都道府県知事に届け出る必要はない。

設問は、正しい

法第15条ただし書きより、建築物又は当該工事に係る部分の床面積の合計が10㎡以内である場合においては、その旨を都道府県知事に届け出る必要はない

雑則規定の手続き

仮設建築物に対する制限の緩和

法第85条各項

仮設建築物の種類に応じて、適用除外となる規定、存知期間や必要な手続きが定められています。

仮設建築物の種類

① 非常災害用応急仮設建築物(法85条1項)
非常災害区域等内においては、災害が発生した日から1月以内にその工事に着手する次のもの

  • 災害により破損した建築物の応急の修繕
  • 国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築するもの
  • 被災者が自ら使用するために建築するもので30㎡以内のもの

② 災害時公益的応急仮設建築物(法85条2項)
災害があつた場合に建築する停車場、官公署など

③ 工事用現場事務所(法85条2項)
工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場など

④ 仮設興行場等(法85条5項)
仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗など

⑤ 特別仮設興行場(法85条6項)
国際的な規模の会議又は競技会など

チェックポイント
  • 仮設建築物は、大きく分けて6種類です。
  • 種類に応じて、適用除外となる規定、存知期間や必要な手続きが定められています。

用途の変更に対するこの法律の準用

法第87条
法第6条
法別表第1
令第137条の18

建築物の用途を変更して、第6条第1項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合、確認申請等の手続きの規定が一部準用されます。
この場合、工事完了後の手続きは、完了検査申請ではなく、完了の届出となります。

対象建築物
法別表第1の特殊建築物

規模
用途の床面積200㎡超え

特殊建築物の一覧表

区分用途
不特定多数(集中)
施行令未制定
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
宿泊就寝
令15条の3第一号
病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等
児童福祉施設等(令19条)
特定多数
令15条の3第二号
学校、体育館
博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場
不特定多数
令15条の3第三号
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場
公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗(床面積10㎡以内除く)
火災荷重大
施行令未制定
倉庫
火災危険大
令15条の3第四号
自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ
映画スタジオ、テレビスタジオ
確認等を要しない類似の用途

類似の用途相互間におけるものである場合は、確認申請の手続きは除かれます

工事現場における確認の表示等

法第89条

法第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、確認表示板の設置や設計図書の備え付けることが定められています。

工事現場における確認の表示等

対象工事
第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事

現場で求められる事項

  • 確認があつた旨の表示
  • 設計図書を当該工事現場に備える

雑則規定から出題された過去問題

【令和3年問題】
災害があった場合において公益上必要な用途に供する応急仮設建築物を建築した者は、その建築工事を完了した後 3 月を超えて当該建築物を存続させようとする場合においては、原則として、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない。

設問は、正しい

法第85条第2項及び第3項より、災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物について建築した者は、その建築工事を完了した後3月を超えて当該建築物を存続させようとする場合においては、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない。

【令和4年問題】
建築主は、建築物の用途の変更に係る確認済証の交付を受けた場合において、当該工事を完了したときは、建築主事に届け出なければならない。

設問は、正しい。

法第87条第1項より、法第7条第1項の規定を準用において、第7条第1項中「建築主事の検査を申請しなければならない」とあるのは、「建築主事に届け出なければならない」と読み替えるものとする。

【令和2年問題】
建築主は、建築物の用途の変更に係る確認済証の交付を受けた場合において、当該工事を完了したときは、建築主事又は指定確認検査機関に届け出なければならない。

設問は、誤っている

法第7条の2より、指定確認検査機関による完了検査が規定されている。
法第87条第1項より、建築物の用途を変更して準用する規定に、法第7条の2は含まれていない
よって、指定確認検査機関に届け出は、誤っている。
なお、法第7条第1項の規定を準用において、第7条第1項中「建築主事の検査を申請しなければならない」とあるのは、「建築主事に届け出なければならない」と読み替えるものとする。

【令和2年問題】

建築基準法第 6 条第 1 項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事に係る設計図書を当該工事現場に備えておかなければならない。

設問は、正しい

法第89条第2項より、第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事に係る設計図書を当該工事現場に備えておかなければならない

【平成30年問題】

建築基準法第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事現場の見やすい場所に、建築主、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る建築主事又は指定確認検査機関の確認があった旨の表示をしなければならない。

設問は、正しい

法第89条第1項より、建築基準法第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事現場の見易い場所に、国土交通省令で定める様式によつて、建築主、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る同項の確認があつた旨の表示をしなければならない

【平成29年問題】

建築審査会は、建築基準法令の規定による特定行政庁、建築主事、指定確認検査機関等の処分又はその不作為についての審査請求の裁決を行う場合、当該関係人等の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

設問は、誤っている

法第94条第3項より、建築審査会は、前項の裁決を行う場合においては、行政不服審査法第24条の規定により当該審査請求を却下する場合を除き、あらかじめ、審査請求人、特定行政庁、建築主事、建築監視員、都道府県知事、指定確認検査機関、指定構造計算適合性判定機関その他の関係人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審査を行わなければならない。
意見の聴取ではないため、誤っている。

問題No.3【総則③ 各種手続き等】のまとめ

  • 主に建築基準法の第1章総則から出題され、選択肢の1つに第6章雑則(仮設建築物に対する制限の緩和等)の問題が含まれています。
  • 出題頻度は、第1章総則(法第6条~法第7条の6までの手続き等)>第1章総則(法第8条~法第18条の3までの手続き等)>第6章雑則となります。
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