本サイトでは、二級建築士試験「建築法規」の過去問題について、どこよりも詳しく解説しています。
全て無料で公開していますので、試験合格に向けた勉強にお役立てください。
二級建築士の試験対策教材はこちらを参考にしてください。
【2025年最新】二級建築士学科の教材まとめ!独学におすすめのテキスト・問題集を一挙に紹介- 法第28条(居室の採光及び換気)
- 法第28条の2(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
- 令第19条(学校、病院、児童福祉施設等の居室の採光)
- 令第20条(有効面積の算定方法)
- 令第20条の8(居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
- 令第21条(居室の天井の高さ)
建築法規の問題で、5問目に出題されるのが、「一般構造の図形・図面形式」です。
採光、換気、シックハウス、天井高等について、図面の条件から算出する問題です。
条文を算式に変換する必要があるため、一般構造①より多少難易度は上がりますが、出題されるパターンは限られているため、過去問で対策すれば必ず正答できます。
有効採光面積の算定
法第28条第1項
令第19条
採光に有効な部分の面積の割合
住宅の場合、居室の床面積に対しての1/7以上です。
住宅以外の場合、採光に有効な部分の面積の割合は、以下の表のとおりです。
居室の種類 | 割合 | |
---|---|---|
① | 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校又は幼保連携型認定こども園の教室 | 1/5 |
② | 保育所及び幼保連携型認定こども園の保育室 | |
③ | 病院又は診療所の病室 | 1/7 |
④ | 寄宿舎の寝室又は下宿の宿泊室 | |
⑤ | 児童福祉施設等の寝室(入所する者の使用するものに限る。) 児童福祉施設等(保育所を除く。)の居室のうちこれらに入所し、又は通う者に対する保育、訓練、日常生活に必要な便宜の供与などの目的のために使用されるもの居室 | |
⑥ | ①に掲げる学校以外の学校の教室 | 1/10 |
⑦ | 病院、診療所及び児童福祉施設等の居室のうち入院患者又は入所する者の談話、娯楽などの目的のために使用されるもの居室 |
採光の有効面積の算定方法
有効採光面積=W×A
W:窓の面積、A:採光補正係数
A=d/h×α-β ただし、A≦3
d:窓の直上にある建築物の各部分から隣地境界線等までの水平距離
h:窓の中心から直上の建築物の各部分までの垂直距離
用途地域 | α | β |
---|---|---|
住居系地域 | 6 | 1.4 |
工業系地域 | 8 | 1 |
商業系地域 | 10 | 1 |
天窓:A×3.0
窓の外側に幅90㎝以上の縁側がある開口部:A×0.7
開口部が、道に面する場合にあつては当該道の反対側の境界線とし、公園、広場、川その他これらに類する空地又は水面に面する場合にあつては当該公園、広場、川その他これらに類する空地又は水面の幅の1/2だけ隣地境界線の外側にある線とする。
有効採光面積の算定から出題された過去問題
【令和2年問題】
近隣商業地域内において、図のような断面を有する住宅の 1 階に居室(開口部は幅 1.5 m、面積 3.0㎡とする。)を計画する場合、建築基準法上、有効な採光を確保するために、隣地境界線から後退しなければならない最小限度の距離Xは、次のうちどれか。ただし、居室の床面積は 21㎡とし、図に記載されている開口部を除き、採光に有効な措置については考慮しないものとする。
最小限度の距離Xは、1.5mである。
法第28条第1項より、採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては1/7以上としなければならない。
床面積21㎡×1/7=3㎡ よって、必要な有効採光面積3㎡となる。
令第20条第1項より、有効採光面積は、窓の面積W×採光補正係数Aである。
必要な有効採光面積3㎡=窓の面積3㎡×採光補正係数A
よって、採光補正係数Aは、1となる。
令第20条第2項第三号より、近隣商業地域の採光補正係数は、採光関係比率に10を乗じた数値から1.0を減じて得た算定値である。
採光補正係数A=軒先から境界までの距離d/軒下から窓中心までの距離h×10-1.0
1=d/5×10-1.0 よって、軒先から境界までの距離dは、1m
上記で求めた、軒先から境界までの距離1mに、軒の出0.5mを合わせることで、Xの値は1.5mとなる。
【平成29年問題】
準工業地域内において、図のような断面を有する住宅の1階の居室の開口部(幅 1.5m、面積 3.0㎡)の「採光に有効な部分の面積」として、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。
採光に有効な部分の面積は、9.0㎡である。
令第20条第2項第二号より、準工業地域内の採光補正係数は、採光関係比率に8.0を乗じた数値から1.0を減じて得た算定値である。
採光補正係数A=軒先から境界までの距離d/軒下から窓中心までの距離h×8.0-1.0
よって、採光補正係数は、3/6×8.0-1.0=3.0となる。
令第20条第1項より、有効採光面積は、窓の面積W×採光補正係数Aである。
窓の面積3㎡×採光補正係数3.0=有効採光面積9㎡
ホルムアルデヒドに関する必要有効換気量の算定
法第28条の2
令第20条の4
令第20条の5
令第20条の6
令第20条の7
令第20条の8
化学物質ごとの規制内容
法第28条の2より、シックハウス対策が定められており、対象となる化学物質ごとの、規制内容については政令で定められています。
石綿(アスベスト)
建築材料に石綿を添付しないこと。
石綿を添付した建築材料を使用しないこと。
クロルピリホス
居室を有する建築物の建築材料について、クロルピリホスを添付した建築材料を使用しないこと。
ホルムアルデヒド
内装の仕上げの制限:居室の種類及び換気回数に応じた、ホルムアルデヒド発散材の面積制限
換気設備の義務づけ:24時間換気設備の設置の義務付け
天井裏等の制限(下のいずれか)
- F☆☆☆等級以上の建材使用
- 気密層、通気止めによる措置
- 換気設備による措置
必要有効換気量の算定
令第20条の8より、機械換気設備による場合は、有効換気量が次の式によって計算した必要有効換気量以上であることが定められています。
Vr=nAh
Vr 必要有効換気量(単位 ㎥/h)
n 住宅等の居室にあつては0.5、その他の居室にあつては0.3
A 居室の床面積(単位 ㎡)
h 居室の天井の高さ(単位 m)
ホルムアルデヒドに関する必要有効換気量の算定から出題された過去問題
【令和5年問題】
図のような平面を有する集会場(床面積の合計は 42 ㎡、天井の高さは全て 2.5 mとする。)の新築において、集会室に機械換気設備を設けるに当たり、ホルムアルデヒドに関する技術的基準による必要有効換気量として、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。ただし、常時開放された開口部は図中に示されているもののみとし、居室については、国土交通大臣が定めた構造方法は用いないものとする。
- 18.0 ㎥/時
- 21.0 ㎥/時
- 28.5 ㎥/時
- 30.0 ㎥/時
- 31.5 ㎥/時
必要有効換気量は、28.5㎥/時である。
令第20条の8第1項第一号イ(1)より、必要有効換気量の算定式は、
Vr=nAh
Vr 必要有効換気量(単位 ㎥/h)
n 住宅等の居室にあつては0.5、その他の居室にあつては0.3
A 居室の床面積(単位 ㎡)
h 居室の天井の高さ(単位 m)
居室の床面積は、集会場(24㎡)に常時開放された開口部で接する収納(2㎡+2㎡)及び玄関・廊下(10㎡)を加算する。
24㎡+2㎡+2㎡+10㎡=38㎡
Vr=0.3×38㎡×2.5m よって必要有効換気量は、28.5㎥/時である。
【令和元年問題】
図のような平面を有する集会場(床面積の合計は 42㎡、天井の高さは全て 2.5 mとする。)の新築において、集会室に機械換気設備を設けるに当たり、ホルムアルデヒドに関する技術的基準による必要有効換気量として、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。ただし、常時開放された開口部は図中に示されているもののみとし、居室については、国土交通大臣が定めた構造方法は用いないものとする。
- 19.5㎥/時
- 27.0㎥/時
- 28.5㎥/時
- 30.0㎥/時
- 31.5㎥/時
必要有効換気量は、28.5㎥/時である。
令第20条の8第1項第一号イ(1)より、必要有効換気量の算定式は、
Vr=nAh
Vr 必要有効換気量(単位 ㎥/h)
n 住宅等の居室にあつては0.5、その他の居室にあつては0.3
A 居室の床面積(単位 ㎡)
h 居室の天井の高さ(単位 m)
居室の床面積は、集会場(26㎡)に常時開放された開口部で接する収納(2㎡)及び玄関・廊下(10㎡)を加算する。
26㎡+2㎡+10㎡=38㎡
Vr=0.3×38㎡×2.5m よって必要有効換気量は、28.5㎥/時である。
勾配天井の高さの算定
令第21条
居室の天井高さは、2.1m以上でなければならない。
1室で天井高さが異なるときは、平均の高さによる。
平均の高さ=居室の容積(㎥)/居室の床面積(㎡)
勾配天井の高さの算定から出題された過去問題
【令和4年問題】
図のような一様に傾斜した勾配天井部分をもつ居室の天井の高さとして、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。
- 2.4 m
- 2.5 m
- 2.7 m
- 2.8 m
- 3.0 m
天井の高さは、2.8mである。
令第21条第2項より、居室の天井の高さは、室の床面から測り、1室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする。
居室の体積を、居室の床面積で除して、平均の天井高さを算出する。
平均の高さ=居室の容積(㎥)/居室の床面積(㎡)
居室の容積(㎥)=(36㎡×3m)+(24㎡×(2m+3m)/2)=168㎥
よって、平均の高さ=168㎥/60㎡=2.8m
【平成30年問題】
図のような一様に傾斜した勾配天井部分をもつ居室の天井の高さとして、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。
天井高は、2.850mである。
令第21条第2項より、居室の天井の高さは、室の床面から測り、1室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする。
居室の体積を、居室の床面積で除して、平均の天井高さを算出する。
平均の高さ=居室の容積(㎥)/居室の床面積(㎡)
(42㎡×3m)(18㎡×(2m+3m)/2)=171㎥
171㎥/60㎡=2.850m
問題No.5【一般構造② 図形・図面形式】のまとめ
過去に出題された問題は、以下の3パターンのみです。
- 有効採光面積の算定
- ホルムアルデヒドに関する必要有効換気量の算定
- 勾配天井の天井高の算定
問題No.4【一般構造①】と出題される法令の範囲は同じですので、一緒に対策することで、効率的に学習することができます。
二級建築士 建築法規 問題No.4【一般構造①】徹底解説※完全無料 【過去問題一覧】二級建築士試験「建築法規」【解答・解説付】※完全無料二級建築士の試験対策教材はこちらを参考にしてください。
【2025年最新】二級建築士学科の教材まとめ!独学におすすめのテキスト・問題集を一挙に紹介