過去問題No.20【雑則・罰則】の概要
- 法第6章 雑則
- 法第7章 罰則
建築法規の20問目で出題されるのが、雑則・罰則についての問題です。
既存不適格建築物や仮設建築物への制限の緩和、用途変更、工作物への準用、罰則規定、各種手続き等広範囲から問題が出題されます。
範囲が広いため、対策が比較的難しく感じます。過去問で対策し、類似の問題が出題されれば、正答を絞り込めるようにしよう。
では早速、過去の出題のパターンから、出題傾向を見ていきましょう。
法第6章 雑則規定
既存不適格建築物
第3条 この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一 文化財保護法(昭和25年法律第214号)の規定によつて国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建築物
二 旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和8年法律第43号)の規定によつて重要美術品等として認定された建築物
三 文化財保護法第182条第2項の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物(次号において「保存建築物」という。)であつて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定したもの
四 第1号若しくは第2号に掲げる建築物又は保存建築物であつたものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの
2 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。
3 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、適用しない。
一 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例を改正する法令による改正(この法律に基づく命令又は条例を廃止すると同時に新たにこれに相当する命令又は条例を制定することを含む。)後のこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用の際当該規定に相当する従前の規定に違反している建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分
二 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域若しくは工業専用地域若しくは防火地域若しくは準防火地域に関する都市計画の決定若しくは変更、第42条第1項、第52条第2項第2号若しくは第3号若しくは第8項、第56条第1項第2号イ若しくは別表第三備考三の号の区域の指定若しくはその取消し又は第52条第1項第8号、第2項第3号若しくは第8項、第53条第1項第6号、第56条第1項第2号ニ若しくは別表第三(に)欄の五の項に掲げる数値の決定若しくは変更により、第43条第1項、第48条第1項から第14項まで、第52条第1項、第2項、第7項若しくは第8項、第53条第1項から第3項まで、第54条第1項、第55条第1項、第56条第1項、第56条の2第1項若しくは第61条に規定する建築物、建築物の敷地若しくは建築物若しくはその敷地の部分に関する制限又は第43条第3項、第43条の2、第49条から第50条まで若しくは第68条の9の規定に基づく条例に規定する建築物、建築物の敷地若しくは建築物若しくはその敷地の部分に関する制限に変更があつた場合における当該変更後の制限に相当する従前の制限に違反している建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分
三 工事の着手がこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の後である増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替に係る建築物又はその敷地
四 前号に該当する建築物又はその敷地の部分
五 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合するに至つた建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分
第86条の7 第3条第2項(第86条の9第1項において準用する場合を含む。以下この条、次条、第87条及び第87条の2において同じ。)の規定により第20条、第26条、第27条、第28条の2(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第30条、第34条第2項、第47条、第48条第1項から第14項まで、第51条、第52条第1項、第2項若しくは第7項、第53条第1項若しくは第2項、第54条第1項、第55条第1項、第56条第1項、第56条の2第1項、第57条の4第1項、第57条の5第1項、第58条、第59条第1項若しくは第2項、第60条第1項若しくは第2項、第60条の2第1項若しくは第2項、第60条の2の2第1項から第3項まで、第60条の3第1項若しくは第2項、第61条、第67条第1項若しくは第5項から第7項まで又は第68条第1項若しくは第2項の規定の適用を受けない建築物について政令で定める範囲内において増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替(以下この条及び次条において「増築等」という。)をする場合(第3条第2項の規定により第20条の規定の適用を受けない建築物について当該政令で定める範囲内において増築又は改築をする場合にあつては、当該増築又は改築後の建築物の構造方法が政令で定める基準に適合する場合に限る。)においては、第3条第3項第三号及び第四号の規定にかかわらず、これらの規定は、適用しない。
2 第3条第2項の規定により第20条又は第35条(同条の技術的基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。以下この項及び第87条第4項において同じ。)の規定の適用を受けない建築物であつて、第20条又は第35条に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分(以下この項において「独立部分」という。)が2以上あるものについて増築等をする場合においては、第3条第3項第三号及び第四号の規定にかかわらず、当該増築等をする独立部分以外の独立部分に対しては、これらの規定は、適用しない。
3 第3条第2項の規定により第28条、第28条の2(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第29条から第32条まで、第34条第1項、第35条の3又は第36条(防火壁、防火床、防火区画、消火設備及び避雷設備の設置及び構造に係る部分を除く。)の規定の適用を受けない建築物について増築等をする場合においては、第3条第3項第三号及び第四号の規定にかかわらず、当該増築等をする部分以外の部分に対しては、これらの規定は、適用しない。
4 第3条第2項の規定により建築基準法令の規定の適用を受けない建築物について政令で定める範囲内において移転をする場合においては、同条第3項第三号及び第四号の規定にかかわらず、建築基準法令の規定は、適用しない。
該当法令法第3条(適用の除外)第2項
既存不適格建築物とは適法に建てられた建築物が、法の改正や都市計画の変更により、現行の規定に適合しなくなる場合があります。
これを「既存不適格建築物」と呼んでいます。
既存不適格建築物に対する制限の緩和
該当法令法第86条の7(既存の建築物に対する制限の緩和)
この既存不適格建築物は、現行の規定の一部は適用除外となります。
ただし、違反建築物等はこの緩和規定の適用が除外されます。
適用除外とならないものは、以下のとおりです。
- 法の規定の改正や都市計画等の変更より以前から、違反していた建築物
- 増改築等をする建築物(一定の範囲の増改築については緩和規定あり)
- 適法になった建築物
既存不適格建築物から出題された過去問題
【令和3年問題】
建築基準法第 3 条第 2 項の規定により一部の建築基準法令の規定の適用を受けない建築物について政令で定める範囲内において増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合においては、同条第 3 項第三号及び第四号の規定にかかわらず、引き続き、建築基準法令の規定は、適用しない。
設問は、正しい。
法第86条の7第1項より、建築基準法第 3 条第 2 項の規定により一部の建築基準法令の規定の適用を受けない建築物について政令で定める範囲内において増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合においては、同条第 3 項第三号及び第四号の規定にかかわらず、引き続き、建築基準法令の規定は、適用しない。
【令和2年問題】
建築基準法第 3 条第 2 項の規定により所定の建築基準法令の規定の適用を受けない建築物について政令で定める範囲内において増築をする場合においても、建築基準法第 22 条(屋根)の規定が適用される。
設問は、正しい。
法第86条の7第1項より、第3条第2項の規定により第20条、第26条、第27条、第28条の2(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第30条、第34条第2項、第47条、第48条第1項から第14項まで、第51条、第52条第1項、第2項若しくは第7項、第53条第1項若しくは第2項、第54条第1項、第55条第1項、第56条第1項、第56条の2第1項、第57条の4第1項、第57条の5第1項、第58条、第59条第1項若しくは第2項、第60条第1項若しくは第2項、第60条の2第1項若しくは第2項、第60条の2の2第1項から第3項まで、第60条の3第1項若しくは第2項、第61条、第67条第1項若しくは第5項から第7項まで又は第68条第1項若しくは第2項の規定の適用を受けない建築物について政令で定める範囲内において増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合においては、第3条第3項第三号及び第四号の規定にかかわらず、これらの規定は、適用しない。
よって、建築基準法第 22 条(屋根)の規定は、適用される。
簡易な構造の建築物に対する制限の緩和
第84条の2 壁を有しない自動車車庫、屋根を帆布としたスポーツの練習場その他の政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分で、政令で定める基準に適合するものについては、第22条から第26条まで、第27条第1項及び第3項、第35条の2、第61条、第62条並びに第67条第1項の規定は、適用しない。
第136条の9 法第84条の2の規定により政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分は、次に掲げるもの(建築物の部分にあつては、準耐火構造の壁(これらの壁を貫通する給水管、配電管その他の管の部分及びその周囲の部分の構造が国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限る。)又は第126条の2第2項第一号に規定する防火設備で区画された部分に限る。)とする。
一 壁を有しない建築物その他の国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)であつて、次のイからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が1で床面積が3,000㎡以内であるもの(次条において「開放的簡易建築物」という。)
イ 自動車車庫の用途に供するもの
ロ スケート場、水泳場、スポーツの練習場その他これらに類する運動施設
ハ 不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
ニ 畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場
二 屋根及び外壁が帆布その他これに類する材料で造られている建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)で、前号ロからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が1で床面積が3,000㎡以内であるもの
第136条の10 法第84条の2の規定により政令で定める基準は、次に掲げるものとする。
一 主要構造部である柱及びはりが次に掲げる基準に適合していること。
イ 防火地域又は準防火地域内にある建築物又は建築物の部分(準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)内にあるものにあつては、床面積が500㎡を超えるものに限る。)にあつては、準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られていること。
ロ 準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)内にある建築物若しくは建築物の部分で床面積が500㎡以内のもの、法第22条第1項の市街地の区域内にある建築物若しくは建築物の部分又は防火地域、準防火地域及び同項の市街地の区域以外の区域内にある建築物若しくは建築物の部分で床面積が1,000㎡を超えるものにあつては、延焼のおそれのある部分が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られていること。
二 前号イ又はロに規定する建築物又は建築物の部分にあつては、外壁(同号ロに規定する建築物又は建築物の部分にあつては、延焼のおそれのある部分に限る。)及び屋根が、準耐火構造であるか、不燃材料で造られているか、又は国土交通大臣が定める防火上支障のない構造であること。
三 前条第一号イに該当する開放的簡易建築物にあつては、前二号の規定にかかわらず、次に掲げる基準に適合していること。ただし、防火地域、準防火地域及び法第22条第1項の市街地の区域以外の区域内にあるもので床面積が150㎡未満のものにあつては、この限りでない。
イ 主要構造部である柱及びはり(準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)又は法第22条第1項の市街地の区域内にある開放的簡易建築物で床面積が150㎡未満のものにあつては、延焼のおそれのある部分に限る。)が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られており、かつ、外壁(準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)又は同項の市街地の区域内にある開放的簡易建築物で床面積が150㎡未満のものにあつては、延焼のおそれのある部分に限る。)及び屋根が準耐火構造であるか、不燃材料で造られているか、又は国土交通大臣が定める防火上支障のない構造であること。
ロ 隣地境界線又は当該開放的簡易建築物と同一敷地内の他の建築物(同一敷地内の建築物の延べ面積の合計が500㎡以内である場合における当該他の建築物を除く。)との外壁間の中心線(以下ロにおいて「隣地境界線等」という。)に面する外壁の開口部(防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面又は耐火構造の壁その他これらに類するものに面するものを除く。以下ロにおいて同じ。)及び屋上(自動車車庫の用途に供する部分に限る。以下ロにおいて同じ。)の周囲で当該隣地境界線等からの水平距離がそれぞれ1m以下の部分について、当該外壁の開口部と隣地境界線等との間及び当該屋上の周囲に、塀その他これに類するもので国土交通大臣が通常の火災時における炎及び火熱を遮る上で有効と認めて定める基準に適合するものが設けられていること。
ハ 屋上を自動車車庫の用途に供し、かつ、床面積が1,000㎡を超える場合にあつては、屋根が、国土交通大臣がその屋内側からの通常の火災時における炎及び火熱を遮る上で有効と認めて定める基準に適合しているとともに、屋上から地上に通ずる2以上の直通階段(誘導車路を含む。)が設けられていること。
該当法令法第84条の2(簡易な構造の建築物に対する制限の緩和)
開放的簡易建築物及び膜構造建築物は、第22条から第26条まで、第27条第1項及び第3項、第35条の2、第61条、第62条並びに第67条第1項の規定は、適用しない。
開放的簡易建築物
該当法令令第136条の9(簡易な構造の建築物の指定)
形態
壁を有しない建築物その他大臣が指定する構造の建築物(間仕切壁を有しないものに限る。)
規模
階数が1かつ、床面積が3,000㎡以内
用途
- 自動車車庫の用途に供するもの
- スケート場、水泳場、スポーツの練習場その他これらに類する運動施設
- 不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
- 畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場
膜構造建築物
該当法令令第136条の10(簡易な構造の建築物の基準)
形態
屋根及び外壁が帆布などの材料で造られている建築物(間仕切壁を有しないものに限る。)
規模
階数が1かつ、床面積が3,000㎡以内
用途
- スケート場、水泳場、スポーツの練習場その他これらに類する運動施設
- 不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
- 畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場
簡易な構造の建築物に対する制限の緩和から出題された過去問題
【令和5年問題】
「簡易な構造の建築物に対する制限の緩和」の規定の適用を受ける建築物は、建築基準法第 61条(防火地域及び準防火地域内の建築物)の規定が適用されない。
設問は、正しい。
法第84条の2より、壁を有しない自動車車庫、屋根を帆布としたスポーツの練習場その他の政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分で、政令で定める基準に適合するものについては、第22条から第26条まで、第27条第1項及び第3項、第35条の2、第61条、第62条並びに第67条第1項の規定は、適用しない。
【令和2年問題】
「簡易な構造の建築物に対する制限の緩和」の規定の適用を受ける建築物は、建築基準法第 61条(防火地域及び準防火地域内の建築物)の規定が適用されない。
設問は、正しい。
法第84条の2より、壁を有しない自動車車庫、屋根を帆布としたスポーツの練習場その他の政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分で、政令で定める基準に適合するものについては、第22条から第26条まで、第27条第1項及び第3項、第35条の2、第61条、第62条並びに第67条第1項の規定は、適用しない。
仮設建築物への制限の緩和
第85条 非常災害があつた場合において、非常災害区域等(非常災害が発生した区域又はこれに隣接する区域で特定行政庁が指定するものをいう。第87条の3第1項において同じ。)内においては、災害により破損した建築物の応急の修繕又は次の各号のいずれかに該当する応急仮設建築物の建築でその災害が発生した日から1月以内にその工事に着手するものについては、建築基準法令の規定は、適用しない。ただし、防火地域内に建築する場合については、この限りでない。
一 国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築するもの
二 被災者が自ら使用するために建築するもので延べ面積が30㎡以内のもの
2 災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物については、第6条から第7条の6まで、第12条第1項から第4項まで、第15条、第18条(第25項を除く。)、第19条、第21条から第23条まで、第26条、第31条、第33条、第34条第2項、第35条、第36条(第19条、第21条、第26条、第31条、第33条、第34条第2項及び第35条に係る部分に限る。)、第37条、第39条及び第40条の規定並びに第3章の規定は、適用しない。ただし、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積が50㎡を超えるものについては、第62条の規定の適用があるものとする。
3 前2項の応急仮設建築物を建築した者は、その建築工事を完了した後3月を超えて当該建築物を存続させようとする場合においては、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない。ただし、当該許可の申請をした場合において、その超えることとなる日前に当該申請に対する処分がされないときは、当該処分がされるまでの間は、なお当該建築物を存続させることができる。
4 特定行政庁は、前項の許可の申請があつた場合において、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、2年以内の期間を限つて、その許可をすることができる。
5 特定行政庁は、仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物(次項及び第101条第1項第十号において「仮設興行場等」という。)について安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合においては、1年以内の期間(建築物の工事を施工するためその工事期間中当該従前の建築物に代えて必要となる仮設店舗その他の仮設建築物については、特定行政庁が当該工事の施工上必要と認める期間)を定めてその建築を許可することができる。この場合においては、第12条第1項から第4項まで、第21条から第27条まで、第31条、第34条第2項、第35条の2、第35条の3及び第37条の規定並びに第3章の規定は、適用しない。
6 特定行政庁は、国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により1年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等について、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認める場合においては、前項の規定にかかわらず、当該仮設興行場等の使用上必要と認める期間を定めてその建築を許可することができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
7 特定行政庁は、前項の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
該当法令法第85条(仮設建築物に対する制限の緩和)
制限の緩和対象となる仮設建築物は、以下のとおりです。
- 非常災害用応急仮設建築物(法85条1項)
- 災害時公益的応急仮設建築物(法85条2項)
- 工事用現場事務所(法85条2項)
- 仮設興行場等(法85条5項)
- 特別仮設興行場(法85条6項)
仮設建築物の種類ごとの適用除外になる規定や存知期間、手続き等については、以下のとおりです。
非常災害用応急仮設建築物
対象仮設建築物
非常災害区域等内においては、災害が発生した日から1月以内にその工事に着手する次のもの
- 災害により破損した建築物の応急の修繕
- 国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築するもの
- 被災者が自ら使用するために建築するもので30㎡以内のもの
適用除外となる規定(建築基準法)
全部
存知期間及び手続き
- 3ヶ月以内:許可不要
- 3ヶ月超え、2年以内:許可必要
災害時公益的応急仮設建築物
対象仮設建築物
災害があつた場合に建築する停車場、官公署など
適用除外となる規定(建築基準法)
法6~法7の6、法12-1~4、法15、法18、法19、法21~法23、法26、法31、法33、法34-2、法35、法36、法37、法39、法40、法3章(※防火、準防火地域内の50㎡超え建築物は、法62条適用)
存知期間及び手続き
- 3ヶ月以内:許可不要
- 3ヶ月超え、2年以内:許可必要
工事用現場事務所
対象仮設建築物
工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場など
適用除外となる規定(建築基準法)
法6~法7の6、法12-1~4、法15、法18、法19、法21~法23、法26、法31、法33、法34-2、法35、法36、法37、法39、法40、法3章(※防火、準防火地域内の50㎡超え建築物は、法62条適用)
存知期間及び手続き
工事に必要な期間:許可不要
仮設興行場等
対象仮設建築物
仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗など
適用除外となる規定(建築基準法)
法12-1~4、法21~法27、法31、法34-2、法35の2、法35の3、法37、法3章
存知期間及び手続き
1年以内(建替工事用の仮設建築物等は特定行政庁が必要と認める期間):許可必要
特別仮設興行場
対象仮設建築物
国際的な規模の会議又は競技会など
適用除外となる規定(建築基準法)
法12-1~4、法21~法27、法31、法34-2、法35の2、法35の3、法37、法3章
存知期間及び手続き
1年超えの必要な期間:許可必要(建築審査会の同意必要)
仮設建築物への制限の緩和から出題された過去問題
【令和5年問題】
工事を施工するために現場に設ける事務所は、建築基準法第 20 条(構造耐力)の規定が適用されない。
設問は、誤っている。
法第85条第2項より、災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物については、第6条から第7条の6まで、第12条第1項から第4項まで、第15条、第18条(第25項を除く。)、第19条、第21条から第23条まで、第26条、第31条、第33条、第34条第2項、第35条、第36条(第19条、第21条、第26条、第31条、第33条、第34条第2項及び第35条に係る部分に限る。)、第37条、第39条及び第40条の規定並びに第3章の規定は、適用しない。
よって、建築基準法第 20 条(構造耐力)の規定が適用される。
【令和3年問題】
特定行政庁は、国際的な規模の競技会の用に供することにより 1 年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場について、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認める場合においても、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければ、その建築を許可することはできない。
設問は、正しい。
法第85条第6項及び7項より、特定行政庁は、国際的な規模の競技会の用に供することにより 1 年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場について、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認める場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければ、その建築を許可することはできない。
【令和2年問題】
都市計画区域内において、特定行政庁により、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められ、原則として、 1 年以内の期間を定めて、その建築が許可された仮設店舗は、建築基準法第56 条(建築物の各部分の高さ)及び第 56 条の 2(日影による中高層の建築物の高さの制限)の規定が適用されない。
設問は、正しい。
法第85条第5項より、特定行政庁は、仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物について安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合においては、1年以内の期間を定めてその建築を許可することができる。この場合においては、第12条第1項から第4項まで、第21条から第27条まで、第31条、第34条第2項、第35条の2、第35条の3及び第37条の規定並びに第3章の規定は、適用しない。建築基準法第56 条(建築物の各部分の高さ)及び第 56 条の 2(日影による中高層の建築物の高さの制限)は、第3章の規定である。
【令和2年問題】
工事を施工するために現場に設ける事務所についても、建築基準法第 28 条の 2(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)の規定が適用される。
設問は、正しい。
法第85条第2項より、災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物については、第6条から第7条の6まで、第12条第1項から第4項まで、第15条、第18条(第25項を除く。)、第19条、第21条から第23条まで、第26条、第31条、第33条、第34条第2項、第35条、第36条(第19条、第21条、第26条、第31条、第33条、第34条第2項及び第35条に係る部分に限る。)、第37条、第39条及び第40条の規定並びに第3章の規定は、適用しない。
よって、建築基準法第 28 条の 2(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)の規定は、適用される。
【令和元年問題】
工事を施工するために現場に設ける事務所を建築しようとする場合においては、確認済証の交付を受ける必要がある。
設問は、誤っている。
法第85条第2項より、災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物については、第6条から第7条の6まで、第12条第1項から第4項まで、第15条、第18条(第25項を除く。)、第19条、第21条から第23条まで、第26条、第31条、第33条、第34条第2項、第35条、第36条(第19条、第21条、第26条、第31条、第33条、第34条第2項及び第35条に係る部分に限る。)、第37条、第39条及び第40条の規定並びに第3章の規定は、適用しない。
よって、建築基準法第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)の規定は、適用されないため、確認済証の交付を受ける必要はない。
【令和元年問題】
特定行政庁は、国際的な規模の会議の用に供することにより 1 年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等について、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認める場合においても、 1 年を超える期間を定めてその建築を許可することはできない。
設問は、誤っている。
法第85条第6項より、特定行政庁は、国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により1年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等について、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認める場合においては、前項の規定にかかわらず、当該仮設興行場等の使用上必要と認める期間を定めてその建築を許可することができる。
【平成29年問題】
非常災害が発生した区域又はこれに隣接する区域で特定行政庁が指定するものの内において、被災者が自ら使用するために建築する延べ面積 30㎡以内の応急仮設建築物で、その災害が発生した日から1月以内にその工事に着手するものについては、防火地域内に建築する場合を除き、建築基準法令の規定は、適用しない。
設問は、正しい。
法第85条第1項第二号より、非常災害があつた場合において、非常災害区域等内においては、被災者が自ら使用するために建築するもので延べ面積が30㎡以内のものでその災害が発生した日から1月以内にその工事に着手するものについては、防火地域内に建築する場合を除き、建築基準法令の規定は、適用しない。
伝統的建造物群保存地区内の制限の緩和
伝統的建造物群保存地区内の制限の緩和から出題された過去問題
【令和5年問題】
文化財保護法の規定による伝統的建造物群保存地区内においては、市町村は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、建築基準法令の所定の規定の全部若しくは一部を適用せず、又はこれらの規定による制限を緩和することができる。
設問は、正しい。
法第85条の3より、文化財保護法の規定による伝統的建造物群保存地区内においては、市町村は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、建築基準法令の所定の規定の全部若しくは一部を適用せず、又はこれらの規定による制限を緩和することができる。
一の敷地とみなすこと等による制限の緩和
一の敷地とみなすこと等による制限の緩和から出題された過去問題
【令和5年問題】
一団地内に2以上の構えを成す建築物で総合的設計によって建築されるもののうち、特定行政庁がその各建築物の位置及び構造が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものに対する建築基準法の所定の規定の適用については、当該一団地をこれらの建築物の一の敷地とみなす。
設問は、正しい。
法第86条より、一団地内に2以上の構えを成す建築物で総合的設計によって建築されるもののうち、特定行政庁がその各建築物の位置及び構造が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものに対する建築基準法の所定の規定の適用については、当該一団地をこれらの建築物の一の敷地とみなす。
工作物への準用
該当法令法第88条(工作物への準用)
指定する工作物は、建築基準法の一部の規定が準用されます。
指定する工作物の種類
該当法令令第138条(工作物の指定)
工作物の種類 | 規模 |
---|---|
煙突 | 高さ6m超え |
鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱など | 高さ15m超え |
広告塔、広告板、装飾塔、記念塔など | 高さ4m超え |
高架水槽、サイロ、物見塔など | 高さ8m超え |
擁壁 | 高さ2m超え |
観光用のエレベーター又はエスカレーター | |
高架の遊戯施設(ウオーターシユート、コースターなど) | |
原動機を使用する回転運動をする遊戯施設(メリーゴーラウンド、観覧車、オクトパス、飛行塔など) | |
製造施設、貯蔵施設、遊戯施設、自動車車庫、処理場等 |
工作物への準用から出題された過去問題
【令和3年問題】
高さ 6 mの観覧車を築造する場合においては、建築基準法第 20 条の規定が準用される。
設問は、正しい。
法第88条第1項より、昇降機、ウォーターシュート、飛行塔その他これらに類する工作物で政令で指定するものは法20条の規定は準用される。なお、観覧車は法第138条第2項第三号より、工作物として指定されている。
【令和元年問題】
高さ 2.2 mの擁壁を築造する場合においては、建築基準法第 20 条の規定は準用されない。
設問は、誤っている。
法第88条第1項より、擁壁で政令で指定するもの法第20条の規定が準用される。
令第138条第1項第五号より、政令で指定するものは、高さが2mを超える擁壁である。
【平成29年問題】
高さ2mの擁壁には、建築基準法第 20条の規定が準用される。
設問は、誤っている。
法第88条第1項より、擁壁で政令で指定するもの法第20条の規定が準用される。
令第138条第1項第五号より、政令で指定するものは、高さが2mを超える擁壁である。
用途変更による確認等の手続きの準用
第87条 建築物の用途を変更して第6条第1項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)においては、同条(第3項、第5項及び第6項を除く。)、第6条の2(第3項を除く。)、第6条の4(第1項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第7条第1項並びに第18条第1項から第3項まで及び第14項から第16項までの規定を準用する。この場合において、第7条第1項中「建築主事の検査を申請しなければならない」とあるのは、「建築主事に届け出なければならない」と読み替えるものとする。
2 建築物(次項の建築物を除く。)の用途を変更する場合においては、第48条第1項から第14項まで、第51条、第60条の2第3項及び第68条の3第7項の規定並びに第39条第2項、第40条、第43条第3項、第43条の2、第49条から第50条まで、第60条の2の2第4項、第60条の3第3項、第68条の2第1項及び第5項並びに第68条の9第1項の規定に基づく条例の規定を準用する。
3 第3条第2項の規定により第27条、第28条第1項若しくは第3項、第29条、第30条、第35条から第35条の3まで、第36条中第28条第1項若しくは第35条に関する部分、第48条第1項から第14項まで若しくは第51条の規定又は第39条第2項、第40条、第43条第3項、第43条の2、第49条から第50条まで、第68条の2第1項若しくは第68条の9第1項の規定に基づく条例の規定(次条第1項において「第27条等の規定」という。)の適用を受けない建築物の用途を変更する場合においては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これらの規定を準用する。
一 増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合
二 当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものであつて、かつ、建築物の修繕若しくは模様替をしない場合又はその修繕若しくは模様替が大規模でない場合
三 第48条第1項から第14項までの規定に関しては、用途の変更が政令で定める範囲内である場合
4 第86条の7第2項(第35条に係る部分に限る。)及び第86条の7第3項(第28条第1項若しくは第3項、第29条、第30条、第35条の3又は第36条(居室の採光面積に係る部分に限る。以下この項において同じ。)に係る部分に限る。)の規定は、第3条第2項の規定により第28条第1項若しくは第3項、第29条、第30条、第35条、第35条の3又は第36条の規定の適用を受けない建築物の用途を変更する場合について準用する。この場合において、第86条の7第2項及び第3項中「増築等」とあるのは「用途の変更」と、「第3条第3項第三号及び第四号」とあるのは「第87条第3項」と読み替えるものとする。
第6条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
一 別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるもの
二 木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの
三 木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるもの
四 前3号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成16年法律第110号)第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
(い) | (ろ) | (は) | (に) | |
用途 | (い)欄の用途に供する階 | (い)欄の用途に供する部分((1)項の場合にあつては客席、(2)項及び(4)項の場合にあつては2階、(5)項の場合にあつては3階以上の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計 | (い)欄の用途に供する部分の床面積の合計 | |
(1) | 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの | 3階以上の階 | 200㎡(屋外観覧席にあつては、1,000㎡)以上 | |
(2) | 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの | 3階以上の階 | 300㎡以上 | |
(3) | 学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの | 3階以上の階 | 2,000㎡以上 | |
(4) | 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの | 3階以上の階 | 500㎡以上 | |
(5) | 倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの | 200㎡以上 | 1,500㎡以上 | |
(6) | 自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの | 3階以上の階 | 150㎡以上 |
該当法令法第87条(用途の変更に対するこの法律の準用)、法第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)、法別表第1(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)
建築物の用途を変更して、第6条第1項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合、確認申請等の手続きの規定が一部準用されます。
この場合、工事完了後の手続きは、完了検査申請ではなく、完了届出となります。
第6条第1項第一号の特殊建築物
対象建築物
法別表第1の特殊建築物
※一覧表の建築物
規模
用途の床面積200㎡超え
確認等を要しない類似の用途
該当法令令第137条の18(建築物の用途を変更して特殊建築物とする場合に建築主事の確認等を要しない類似の用途)
類似の用途相互間におけるものである場合は、確認申請の手続きは除かれます。
※法別表第1 特殊建築物の一覧表
区分 | 用途 |
---|---|
不特定多数(集中) 施行令未制定 | 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場 |
宿泊就寝 令15条の3第一号 | 病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等 |
児童福祉施設等(令19条) | |
特定多数 令15条の3第二号 | 学校、体育館 |
博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場 | |
不特定多数 令15条の3第三号 | 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場 |
公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗(床面積10㎡以内除く) | |
火災荷重大 施行令未制定 | 倉庫 |
火災危険大 令15条の3第四号 | 自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ |
映画スタジオ、テレビスタジオ |
用途変更による確認等の手続きの準用から出題された過去問題
【令和元年問題】
延べ面積 250㎡の物品販売業を営む店舗を患者の収容施設がある診療所に用途を変更する場合においては、確認済証の交付を受ける必要はない。
設問は、誤っている。
法第87条第1項より、建築物の用途を変更して第6条第1項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)においては、同条の規定を準用する。
なお、法第6条第1項第一号は、別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものである。
患者の収容施設がある診療所は別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、200㎡を超えているため、確認済証の交付を受ける必要がある。
【平成30年問題】
木造、延べ面積200㎡の住宅を寄宿舎に用途の変更をする場合においては、確認済証の交付を受ける必要がある。
設問は、誤っている。
法第87条第1項より、建築物の用途を変更して第6条第1項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)においては、同条の規定を準用する。
なお、法第6条第1項第一号は、別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものである。
寄宿舎は別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物であるが、200㎡を超えていないため、確認済証の交付を受ける必要がない。
【平成30年問題】
確認済証の交付を受けなければならない用途の変更の場合における確認申請書には、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図及び構造詳細図の添付は不要である。
設問は、正しい。
規則第1条の3第一号より、用途の変更の場合における確認申請書には、表1(は)項にあげる図書は除かれているため、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図及び構造詳細図の添付は不要である。
【平成30年問題】
用途の変更について確認済証の交付を受けた建築物において、当該用途の変更に係る工事を完了したときは、建築主事に届け出なければならない。
設問は、正しい。
法第87条第1項より、法第7条第1項の規定を準用において、第7条第1項中「建築主事の検査を申請しなければならない」とあるのは、「建築主事に届け出なければならない」と読み替えるものとする。
【平成30年問題】
第一種中高層住居専用地域内の平家建て、床面積の合計が90㎡の自動車車庫は、工場に用途の変更をすることができる。
設問は、誤っている。
法別表第2(は)項より、第一種中高層住宅専用地域は、工場を建築することはできないため、工場に用途の変更をすることができない。
消防同意が必要な建築物
第93条 特定行政庁、建築主事又は指定確認検査機関は、この法律の規定による許可又は確認をする場合においては、当該許可又は確認に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長(消防本部を置かない市町村にあつては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長の同意を得なければ、当該許可又は確認をすることができない。ただし、確認に係る建築物が防火地域及び準防火地域以外の区域内における住宅(長屋、共同住宅その他政令で定める住宅を除く。)である場合又は建築主事若しくは指定確認検査機関が第87条の4において準用する第6条第1項若しくは第6条の2第1項の規定による確認をする場合においては、この限りでない。
2 消防長又は消防署長は、前項の規定によつて同意を求められた場合においては、当該建築物の計画が法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(建築主事又は指定確認検査機関が第6条の4第1項第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕、大規模の模様替若しくは用途の変更又は同項第三号に掲げる建築物の建築について確認する場合において同意を求められたときは、同項の規定により読み替えて適用される第6条第1項の政令で定める建築基準法令の規定を除く。)で建築物の防火に関するものに違反しないものであるときは、同項第四号に係る場合にあつては、同意を求められた日から3日以内に、その他の場合にあつては、同意を求められた日から7日以内に同意を与えてその旨を当該特定行政庁、建築主事又は指定確認検査機関に通知しなければならない。この場合において、消防長又は消防署長は、同意することができない事由があると認めるときは、これらの期限内に、その事由を当該特定行政庁、建築主事又は指定確認検査機関に通知しなければならない。
3 第68条の20第1項(第68条の22第2項において準用する場合を含む。)の規定は、消防長又は消防署長が第1項の規定によつて同意を求められた場合に行う審査について準用する。
4 建築主事又は指定確認検査機関は、第1項ただし書の場合において第6条第1項(第87条の4において準用する場合を含む。)の規定による確認申請書を受理したとき若しくは第6条の2第1項(第87条の4において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請を受けたとき又は第18条第2項(第87条第1項又は第87条の4において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた場合においては、遅滞なく、これを当該申請又は通知に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長に通知しなければならない。
5 建築主事又は指定確認検査機関は、第31条第2項に規定する屎尿浄化槽又は建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和45年法律第20号)第2条第1項に規定する特定建築物に該当する建築物に関して、第6条第1項(第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請書を受理した場合、第6条の2第1項(第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請を受けた場合又は第18条第2項(第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた場合においては、遅滞なく、これを当該申請又は通知に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する保健所長に通知しなければならない。
6 保健所長は、必要があると認める場合においては、この法律の規定による許可又は確認について、特定行政庁、建築主事又は指定確認検査機関に対して意見を述べることができる。
該当法令法第93条(許可又は確認に関する消防長等の同意等)
消防同意を得なければ、建築基準法による許可又は確認をすることができません。
消防同意が不要な建築物
防火地域、準防火地域以外の一戸建て住宅
(併用住宅の場合は、住宅以外の用途が住宅部分の1/2未満、50㎡以内)
消防同意が必要な建築物から出題された過去問題
【令和3年問題】
防火地域及び準防火地域以外の区域内における木造 3 階建ての一戸建て住宅(住宅以外の用途に供する部分はない。)について、指定確認検査機関が建築基準法第 6 条の2第1 項による確認をする場合においては、消防長又は消防署長の同意が必要である。
設問は、誤っている。
法第93条第1項より、防火地域及び準防火地域以外の区域内における一戸建て住宅(住宅以外の用途に供する部分はない。)について、確認をする場合においては、消防長又は消防署長の同意は必要ない。
敷地が異なる制限の区域にわたる場合
第91条 建築物の敷地がこの法律の規定(第52条、第53条、第54条から第56条の2まで、第57条の2、第57条の3、第67条第1項及び第2項並びに別表第三の規定を除く。以下この条において同じ。)による建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する禁止又は制限を受ける区域(第22条第1項の市街地の区域を除く。以下この条において同じ。)、地域(防火地域及び準防火地域を除く。以下この条において同じ。)又は地区(高度地区を除く。以下この条において同じ。)の内外にわたる場合においては、その建築物又はその敷地の全部について敷地の過半の属する区域、地域又は地区内の建築物に関するこの法律の規定又はこの法律に基づく命令の規定を適用する。
該当法令法第91条(建築物の敷地が区域、地域又は地区の内外にわたる場合の措置)
敷地が各種規定の制限の異なる区域、地域にわたる場合に、適用する方法は各規定ごとに異なります。
適用する方法をまとめたものは、以下の表のとおりです。
区域、地域等 | 適用する方法 |
---|---|
用途地域(法48条) | 敷地の過半が属する区域等(法91条) |
高度利用地区(法59条) | |
容積率制限(法52条) | それぞれの区域等ごとの敷地面積の加重平均 |
建ぺい率制限(法53条) | |
外壁後退距離(法54条) | 敷地の各部分ごと |
高さ制限(法55条) | |
斜線制限(法56条) | |
22条区域(法22条) | 建築物が存する部分の要求が厳しい区域等 |
防火地域、準防火地域(法67条) | |
日影規制(法56条の2) | 建築物が属する区域等、影が落ちる区域等により適用方法が異なる |
高度地区(法58条) | 都市計画決定による |
地区計画(法68条の2) | 市町村が定める条例により定められた方法 |
敷地が異なる制限の区域にわたる場合から出題された過去問題
【令和2年問題】
建築物の敷地が高度地区の内外にわたる場合においては、その建築物又はその敷地の全部について敷地の過半の属する地区内の建築物に関する法律の規定が適用される。
設問は、誤っている。
法第91条より、建築物の敷地が区域、地域又は地区の内外にわたる場合の措置から、高度地区は除かれている。
建築設備への準用
第87条の4 政令で指定する昇降機その他の建築設備を第6条第1項第一号から第三号までに掲げる建築物に設ける場合においては、同項(第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による確認又は第18条第2項(第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による通知を要する場合を除き、第6条(第3項、第5項及び第6項を除く。)、第6条の2(第3項を除く。)、第6条の4(第1項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第7条から第7条の4まで、第7条の5(第6条の4第1項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第7条の6、第18条(第4項から第13項まで及び第25項を除く。)及び第89条から第90条の3までの規定を準用する。この場合において、第6条第4項中「同項第一号から第三号までに係るものにあつてはその受理した日から35日以内に、同項第四号に係るものにあつてはその受理した日から7日以内に」とあるのは、「その受理した日から7日以内に」と読み替えるものとする。
第146条 法第87条の4(法第88条第1項及び第2項において準用する場合を含む。)の規定により政令で指定する建築設備は、次に掲げるものとする。
一 エレベーター及びエスカレーター
二 小荷物専用昇降機(昇降路の出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高いことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
三 法第12条第3項の規定により特定行政庁が指定する建築設備(屎尿浄化槽及び合併処理浄化槽を除く。)
2 第7章の8の規定は、前項各号に掲げる建築設備について準用する。
該当法令法第87条の4(建築設備への準用)、令第146条(確認等を要する建築設備)
指定する昇降機(エレベーター及びエスカレーター、小荷物専用昇降機)その他の建築設備を法第6条第1項第1号から第3号までに掲げる建築物に設ける場合においては、確認済証の交付を受ける必要があります。
建築設備への準用から出題された過去問題
【令和元年問題】
木造 2 階建て、延べ面積 150㎡、高さ 7 mの既存の一戸建て住宅に、増築を行わずにエレベーターを設ける場合においては、確認済証の交付を受ける必要はない。
設問は、正しい。
法第87条の4より、政令で指定する昇降機その他の建築設備を第6条第1項第一号から第三号までに掲げる建築物に設ける場合においては、第6条(第3項、第5項及び第6項を除く。)の規定を準用する。木造 2 階建て、延べ面積 150㎡、高さ 7 mの既存の一戸建て住宅は、第6条第1項第一号から第三号までに掲げる建築物ではないため、確認済証の交付を受ける必要はない。
法第7章 罰則規定
罰則
建築基準法の第7章に罰則に関する規定があり、二級建築士試験で過去に出題された問題は、法98条と法99条からとなっています。
罰則から出題された過去問題
【令和5年問題】
建築基準法第 12 条第 7 項の規定による立入検査を拒んだ者は、1年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処せられる。
設問は、正しい。
法第99条1項七号より、法第 12 条第 7 項の規定による立入検査を拒んだ者は、1年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処せられる。
【令和3年問題】
建築基準法の構造耐力や防火区画等の規定に違反があった場合において、その違反が建築主の故意によるものであるときは、設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主にも罰則が適用される。
設問は、正しい。
法第98条第2項より、建築基準法の構造耐力や防火区画等の規定に違反があった場合において、その違反が建築主の故意によるものであるときは、設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主にも罰則が適用される。
【平成30年問題】
確認済証の交付を受けなければならないにもかかわらず、確認済証の交付を受けずに用途の変更をした建築主は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
設問は、正しい。
法第99条1項一号より、確認済証の交付を受けなければならないにもかかわらず、確認済証の交付を受けずに用途の変更することは、法第6条第1項及び法第87条1項の規定に違反するため、建築主は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
【平成29年問題】
確認済証の交付を受けた後でなければすることができない建築物の建築の工事を、確認済証の交付を受けないでした工事施工者は、罰則の適用の対象となる。
設問は、正しい。
法第99条第1項第二号より、確認済証の交付を受けた後でなければすることができない建築物の建築の工事を、確認済証の交付を受けないでした工事施工者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の適用の対象となる。
【平成29年問題】
建築基準法第 20条の規定に違反する建築物の設計及び工事監理を建築主が故意に指示し、やむを得ず建築士がそれに従って設計及び工事監理をした場合であっても、当該建築主だけでなく、当該建築士も罰則の適用の対象となる。
設問は、正しい。
法第98条第1項第二号及び同条第2項、法第99条第1項第八号及び同条第2項より、法第 20条の違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。
その他規定
避難施設等の規定からの問題が混ざって出題されました。
【平成29年問題】
木造3階建ての一戸建て住宅の2階及び3階に設けるバルコニーの周囲には、安全上必要な高さが 1.1m以上の手すり壁、柵又は金網を設けなければならない。
設問は、正しい。
令第117条第1項より、階数が3以上である建築物は、令第126条の規定が適用される。
令第126条第1項より、屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
問題No.20【雑則】の解説
法第6章雑則、法第7章罰則の規定から主に出題されます。
既存不適格建築物や仮設建築物への制限の緩和、用途変更、工作物への準用、罰則規定、各種手続き等広範囲から問題が出題されます。