二級建築士 建築法規 問題No.8【構造強度④ 構造計算】徹底解説※完全無料

主な関係法令【構造強度④ 構造計算】
  • 構造耐力(法第20条)
  • 構造計算(令81条~令第82条の6)
  • 荷重及び外力(令第83条~令第88条)

建築法規の問題で、毎年8問目に出題されるのが、「構造計算、荷重や外力」の問題です。

構造計算(令81条~令第82条の6)が必要な建築物と、荷重及び外力(令第83条~令第88条)の種類について整理しましょう。

出題範囲が比較的広く関係する条文を見つけづらい設問もあるが、過去問で対策すれば2問まで正答の選択肢を絞り込めると思います。

構造計算

構造計算の必要な建築物

  • 法第20条(構造耐力)第1項各号
  • 法第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)第1項2号、3号
  • 令第36条の4(別の建築物とみなすことができる部分)
  • 令第81条(総則)

構造計算が必要又は不要は、法第20条第1項各号及び法第6条第1項2号、3号により判断できます。
また、構造計算の種類は、令第81条により判断できます。

該当条文建物規模構造計算の種類
法20条1号超高層建築物
(高さ>60m)
時刻歴応答解析
法20条2号大規模建築物
木造(高さ>13mまたは軒高>9m)
鉄骨造(階数≧4)
RC造、SRC造(高さ>20m)
高さ>31m保有水平耐力計算
限界耐力計算
高さ≦31m許容応力度等計算
法20条3号中規模建築物
木造(階数≧3または延面積>500㎡)
木造以外(階数≧2または延面積>200㎡)
許容応力度計算
法20条4号小規模建築物構造計算不要
上位の構造計算を採用してもよい

法第20条第2項より、エキスパンションジョイントなど、相互に応力を伝えない構造方法のみで接続する場合には、それぞれ別の建築物とみなされます

構造計算が必要な建築物
  • 法20条1項1号(超高層建築物):高さが60mを超えるもの
  • 法20条1項2号(大規模な建築物):高さが60m以下のもので
    1. 木造:高さ13m超えまたは軒の高さ9m超え
    2. 鉄骨造:4階建て以上
    3. 鉄筋コンクリート造:高さ20m超え
  • 法20条1項3号(中規模な建築物):上記以外のもので
    1. 木造:3階建て以上または延べ面積500㎡超え
    2. 木造以外:2階建て以上または延べ面積500㎡超え

構造計算の必要な建築物から出題された過去問題

【令和5年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。

木造平家建て、延べ面積 500 ㎡、高さ6mの建築物

設問は、必要ない

法第20条第1項各号、法第6条第1項第二号により、木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【令和5年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。

木造 2 階建て、延べ面積 300 ㎡、高さ8mの建築物

設問は、必要ない

法第20条第1項各号、法第6条第1項第二号により、木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【令和5年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。

鉄筋コンクリート造平家建て、延べ面積 200 ㎡、高さ5mの建築物

設問は、必要ない

法第20条第1項各号、法第6条第1項第三号より、木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【令和5年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。

補強コンクリートブロック造平家建て、延べ面積 150 ㎡、高さ4mの建築物

設問は、必要ない

法第20条第1項各号、法第6条第1項第三号より、木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【令和5年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。

鉄骨造 2 階建て、延べ面積 80 ㎡、高さ7mの建築物

設問は、必要がある

法第20条第1項各号、法第6条第1項第三号より、木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【令和4年問題】
木造 3 階建て、延べ面積 250㎡の一戸建て住宅に対し、鉄骨造平家建て、床面積 60㎡の診療所を、エキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接する形で増築する場合には、建築基準法第 20 条第 1 項に規定する基準の適用については、それぞれ別の建築物とみなされる。

設問は、正しい

法第20条第2項、令第36条の4より、エキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接する形で増築する場合には、建築基準法第20条第1項に規定する基準の適用については、それぞれ別の建築物とみなされる。

【令和3年問題】

建築基準法第 20 条第 1 項第三号に掲げる建築物に設ける屋上から突出する煙突については、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算により風圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して構造耐力上安全であることを確かめなければならない。

設問は、正しい

令第129条の2の3第三号より、法第20条第1項第一号から第三号までに掲げる建築物に設ける屋上から突出する水槽、煙突その他これらに類するものにあつては、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算により風圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して構造耐力上安全であることを確かめること。

【平成30年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。


木造平家建て、延べ面積500㎡、高さ6mの建築物

設問は、必要ない

法第20条第1項各号、法第6条第1項第二号により、木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【平成30年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。


木造2階建て、延べ面積200㎡、高さ9mの建築物

設問は、必要ない

法第20条第1項各号、法第6条第1項第二号により、木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【平成30年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。


鉄骨造平家建て、延べ面積150㎡、高さ8mの建築物

設問は、必要ない

法第20条第1項各号、法第6条第1項第三号より、木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【平成30年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。


鉄骨造2階建て、延べ面積100㎡、高さ7mの建築物

設問は、必要がある

法第20条第1項各号、法第6条第1項第三号より、木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【平成30年問題】
建築物の新築に当たって、建築基準法上、構造計算によって安全性を確かめる必要があるものは、次のうちどれか。ただし、地階は設けないものとし、国土交通大臣が指定する建築物には該当しないものとする。


補強コンクリートブロック造平家建て、延べ面積180㎡、高さ5mの建築物

設問は、必要ない

法第20条第1項各号、法第6条第1項第三号より、木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるものは、構造計算によって安全性を確かめる必要がある。

【平成29年問題】

木造3階建て、延べ面積250㎡の一戸建て住宅に対し、鉄骨造平家建て、床面積60㎡の診療所を、エキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接する形で増築する場合には、建築基準法第20条第1項に規定する基準の適用については、それぞれ別の建築物とみなされる。

設問は、正しい

法第20条第2項、令第36条の4より、エキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接する形で増築する場合には、建築基準法第20条第1項に規定する基準の適用については、それぞれ別の建築物とみなされる

保有水平耐力計算と許容応力度計算

  • 令第82条(保有水平耐力計算)
  • 令第82条の2(層間変形角)
  • 令第82条の3(保有水平耐力)
  • 令第82条の4(屋根ふき材等の構造計算)
  • 第3款(令第89条~令第94条)

保有水平耐力計算は、荷重及び外力によって、建築物の構造耐力上主要な部分に生じる応力を計算するものです。

保有水平耐力計算

保有水平耐力計算とは、次に定めるところにより行う構造計算です。

  • 許容応力度計算(令第82条各号)
  • 層間変形角(令第82条の2)
  • 保有水平耐力(令第82条の3)
  • 屋根ふき材等の構造計算(令第82条の4)

許容応力度計算では、
荷重及び外力によつて建築物の構造耐力上主要な部分に生ずる力(表によつて計算した長期及び短期の各応力度)が、各許容応力度を超えないことを確かめるます。

荷重・外力によって生ずる力(令第82条各号)≦許容応力度(第3款(令第89条~令第94条))

許容応力度計算における構造計算に必要な荷重の組合わせは、表のとおりです。

種類荷重・外力の状態一般の区域多雪区域
(特定行政庁が指定)
長期常時G+PG+P
積雪時G+P+0.7S
短期積雪時G+P+SG+P+S
暴風時G+P+WG+P+0.35S+W
地震時G+P+KG+P+0.35S+K
G:固定荷重、P:積載荷重、S:積雪荷重、W:風圧力、K:地震力
チェックポイント
  • 保有水平耐力計算は、「許容応力度計算」「層間変形角」「保有水平耐力」「屋根ふき材等の構造計算」の4つの構造検討をまとめたものだよ。
  • 保有水平耐力計算の中に許容応力度計算も含まれていて、許容応力度計算の問題は、二級建築士試験で出題頻度が高いよ!

層間変形角の計算

令第82条の2(層間変形角)

層間変形角とは、
地震時において各階に生じる水平方向の層間変位の該当各階高さに対する割合をいいます。
この層間変形角が1/200以内であることを確かめないといけません。
ただし、地震力による構造耐力上主要な部分の変形によって建築物に著しい損傷が生じるおそれのない場合は1/120以内まで緩和されます。

チェックポイント
  • 層間変形角の限界値は「1/200以内」です。
  • ただし、建築物に著しい損傷が生じるおそれのない場合は「1/120以内」となります。

保有水平耐力計算から出題された過去問題

【令和4年問題】
ローム層の地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度は、国土交通大臣が定める方法による地盤調査を行わない場合、50 kN/㎡とすることができる。

設問は、正しい

令第93条の表より、ローム層の地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度は、国土交通大臣が定める方法による地盤調査を行わない場合、50 kN/㎡とすることができる。

【令和4年問題】
保有水平耐力計算により、地震時における構造耐力上主要な部分の断面に生ずる短期の応力度を計算する場合、特定行政庁が指定する多雪区域においては、積雪荷重を考慮する。

設問は、正しい

令第82条第二号の表より、地震時における構造耐力上主要な部分の断面に生ずる短期の応力度を計算する場合、特定行政庁が指定する多雪区域においては、積雪荷重を考慮する。

【令和3年問題】

保有水平耐力計算により、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期の応力度を計算する場合、特定行政庁が指定する多雪区域においては、地震力を考慮しなければならない。

設問は、誤っている

令第82条第二号の表より、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期の応力度を計算する場合、特定行政庁が指定する多雪区域において、地震力を考慮しなくてよい。

【令和2年問題】

保有水平耐力計算により、地震時における構造耐力上主要な部分の断面に生ずる短期の応力度を計算する場合、特定行政庁が指定する多雪区域においては、積雪荷重を考慮する。

設問は、正しい

令第82条第二号の表より、地震時における構造耐力上主要な部分の断面に生ずる短期の応力度を計算する場合、特定行政庁が指定する多雪区域においては、積雪荷重を考慮する。

荷重及び外力

荷重及び外力の種類

令第83条(荷重及び外力の種類)

建築物に作用する荷重及び外力は、以下のとおりです。

  • 固定荷重
  • 積載荷重
  • 積雪荷重
  • 風圧力
  • 地震力

その他、建築物の実況に応じて
土圧、水圧、震動及び衝撃による外力

固定荷重

令第84条(固定荷重)

固定荷重とは、
建築物に固定して働く荷重をいい、令84条の表にあるものは、それぞれ表の単位面積当たり荷重の欄に定める数値に面積を乗じて計算することができます。

建築物の部分種別単位面積当たり荷重
(単位 N/㎡)
備考
屋根瓦ぶきふき土がない場合屋根面につき640  下地及びたるきを含み、もやを含まない。
ふき土がある場合980下地及びたるきを含み、もやを含まない。
波形鉄板ぶきもやに直接ふく場合50もやを含まない。
薄鉄板ぶき200下地及びたるきを含み、もやを含まない。
ガラス屋根290鉄製枠を含み、もやを含まない。
厚形スレートぶき440下地及びたるきを含み、もやを含まない。
木造のもやもやの支点間の距離が2m以下の場合屋根面につき50
もやの支点間の距離が4m以下の場合100
天井さお縁天井面につき100つり木、受木及びその他の下地を含む。
繊維板張、打上げ板張、合板張又は金属板張150
木毛セメント板張200
ごう290
しつくい塗390
モルタル塗590
木造の床板張床面につき150根太を含む。
畳敷340床板及び根太を含む。
床ばり張り間が4m以下の場合100 
張り間が6m以下の場合170
張り間が8m以下の場合250
コンクリート造の床の仕上げ板張200根太及び大引を含む。
フロアリングブロック張150仕上げ厚さ1㎝ごとに、その㎝の数値を乗ずるものとする。
モルタル塗、人造石塗及びタイル張200
アスファルト防水層150厚さ1㎝ごとに、その㎝の数値を乗ずるものとする。
木造の建築物の壁の軸組壁面につき150柱、間柱及び筋かいを含む。
木造の建築物の壁の仕上げ下見板張、羽目板張又は繊維板張100下地を含み、軸組を含まない。
木ずりしつくい塗340
鉄網モルタル塗640
木造の建築物の小舞壁830軸組を含む。
コンクリート造の壁の仕上げしつくい塗170仕上げ厚さ1㎝ごとに、その㎝の数値を乗ずるものとする。
モルタル塗及び人造石塗200
タイル張200

固定荷重から出題された過去問題

【令和4年問題】
仕上げをモルタル塗としたコンクリート造の床の固定荷重は、実況に応じて計算しない場合、当該部分の床面積に 150 N/㎡(仕上げ厚さ 1㎝ごとに、そのcmの数値を乗ずるものとする。)を乗じて計算することができる。

設問は、誤っている

令第84条の表より、仕上げをモルタル塗としたコンクリート造の床の固定荷重は、実況に応じて計算しない場合、当該部分の床面積に 200 N/㎡を乗じて計算することができる。

積載荷重

令第85条(積載荷重)

積載荷重とは、
人や家具、設備等の積載によって加わる荷重をいいます。

次の表に掲げる室の床の積載荷重は、表に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。

構造計算の対象
室の種類
大梁

基礎
地震力
住宅の居室
住宅以外の建築物における寝室
病室
1,8001,300600
事務室2,9001,800800
教室2,3002,1001,100
百貨店
店舗の売場
2,9002,4001,300
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂
集会場
その他これらに類する用途に供する建築物の客席又は集会室
固定席2,9002,6001,600
その他3,5003,2002,100
自動車車庫及び自動車通路5,4003,9002,000
廊下、玄関又は階段③から⑤までに掲げる室に連絡するものにあつては、⑤の「その他の場合」の数値による。
屋上広場又はバルコニー①の数値による。
ただし、学校又は百貨店の用途に供する建築物にあつては、④の数値による。

柱又は基礎の垂直荷重による圧縮力を計算する場合は、表の数値は、そのささえる床の数に応じて、次の表の数値を乗じた数値まで減らすことができる。
ただし、同項の表の⑤に掲げる室の床の積載荷重については、この限りでない。

ささえる床の数積載荷重を減らすために乗ずべき数値
20.95
30.9
40.85
50.8
60.75
70.7
80.65
9以上0.6
倉庫業を営む倉庫における床の積載荷重は、実況に応じて計算した数値が3,900N/㎡未満の場合においても、3,900N/㎡とする
チェックポイント
  • 表⑦(廊下、玄関、階段)、表⑧(屋上広場、バルコニー)は表のどこの数値になるか、法令集に色分けして整理するといいよ。
  • 表⑤(劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場などの客席又は集会室)は、ささえる床の数による低減はできないから気をつけてね。

積載荷重から出題された過去問題

【令和3年問題】

倉庫業を営む倉庫における床の積載荷重は、3,900 N/㎡未満としてはならない。

設問は、正しい

令第85条第3項より、倉庫業を営む倉庫における床の積載荷重は、第1項の規定によつて実況に応じて計算した数値が3,900N/㎡未満の場合においても、3,900N/㎡としなければならない。

【令和2年問題】

床の積載荷重については、実況に応じて計算しない場合、室の種類と構造計算の対象に応じて定められた数値に床面積を乗じて計算することができる。

設問は、正しい

令第85条第1項より、表に掲げる室の床の積載荷重については、それぞれ同表に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。

積雪荷重

令第86条(積雪荷重)

積雪荷重とは、
積雪のために加わる雪の荷重をいい、積雪量1㎝ごとに20N/㎡とする。ただし、屋根勾配や雪下ろしの習慣等により軽減できます。

積雪荷重の計算

積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積及びその地方における垂直積雪量を乗じて計算しなければならない。
積雪荷重=積雪単位荷重×屋根の水平投影面積×その地方の垂直積雪量

積雪の単位荷重

  • 積雪量1㎝ごとに20N/㎡以上
  • 垂直積雪量は、大臣が定める基準に基づいて特定行政庁が規則で定める数値

積雪荷重の低減

  • 屋根の積雪荷重は、次式で表される屋根形状係数を乗することにより低減できる。
    (屋根に雪止めがある場合を除き)
    μb=√cos(1.5β)
    μb:屋根形状係数、β:屋根勾配
  • 屋根勾こう配が60度を超える場合は、0とすることができる


屋根面の積雪量が不均等となるおそれのある場合
その影響を考慮して積雪荷重を計算する。

雪下ろしを行う慣習のある地方

  • 垂直積雪量が1mを超える場合、実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。
  • 垂直積雪量を減らして計算した建築物については、その出入口、主要な居室又はその他の見やすい場所に、その軽減の実況その他必要な事項を表示しなければならない。

積雪荷重から出題された過去問題

【令和4年問題】
雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が 1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を 1mまで減らして計算することができる。

設問は、正しい

令第86条第6項より、雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。

【令和2年問題】

雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が 1 mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を 1 mまで減らして計算することができる。

設問は、正しい

令第86条第6項より、雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。

風圧力

令第87条(風圧力)

風圧力とは、
風の力が及ぼす圧力をいい、速度圧に風力係数を乗じて計算します。
また、速度圧は風を有効にさえぎるものがある場合、1/2まで低減することができます。

風圧力の計算

風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない。
風圧力=速度圧×風力係数

速度圧の計算
速度圧q=0.6EV0²
建築物を風の方向に対して有効にさえぎるものがある場合においては、速度圧は、1/2まで減らすことができる
q:速度圧(単位 N/㎡)
E:建築物の屋根の高さ、周辺地域の状況等により決まる係数
V0:各地域の風速(単位 m/s)(30m/sから46m/sまでの範囲内)

風圧力から出題された過去問題

【令和4年問題】
風圧力の計算に当たり、建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物がある場合においては、その方向における速度圧は、所定の数値の 1/2 まで減らすことができる。

設問は、正しい

令第87条第3項より、建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物、防風林その他これらに類するものがある場合においては、その方向における速度圧は、所定の数値の1/2まで減らすことができる。

【令和2年問題】

風圧力の計算に当たり、建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物がある場合においては、その方向における速度圧は、所定の数値の 1/2 まで減らすことができる。

設問は、正しい

令第87条第3項より、建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物、防風林その他これらに類するものがある場合においては、その方向における速度圧は、所定の数値の1/2まで減らすことができる。

地震力

令第88条(地震力)

地震力とは、
地震により生じる力をいい、地上部分の地震力は、建物の荷重(固定荷重+積載荷重+積雪荷重)に地震層せん断力を乗じて計算します。

地震力の計算

地上部分の地震力
地上部分の地震力Qi=Wi×Ci

地震層せん断力係数の計算
Ci=Z×Rt×Ai×Co
Qi:地震力
Wi:固定荷重+積載荷重+積雪荷重※
Ci:地震層せん断力係数
Z:地震地域係数(1.0~0.7)
Rt:振動特性係数
Ai:地震層せん断力係数の高さ方向の分布係数
Co:標準せん断力係数≧0.2
「地盤が著しく軟弱な区域」の木造建築物では≧0.3必要保有水平耐力計算では≧0.1

※Wiは多雪地域の場合のみ積雪荷重を加える

地下部分の地震力
地下部分の地震力Qi=Wi×k
Qi:地震力
Wi:固定荷重+積載荷重
k:水平震度

地震力から出題された過去問題

【令和2年問題】

保有水平耐力計算により、建築物の地上部分に作用する地震力について、必要保有水平耐力を計算する場合、標準せん断力係数は、0.2 以上としなければならない。

設問は、誤っている

令第88条第3項より、建築物の地上部分に作用する地震力について、必要保有水平耐力を計算する場合においては、標準せん断力係数は、1.0以上としなければならない。

問題No.8【構造強度④ 構造計算】のまとめ

主な出題範囲は

  • 構造計算(令81条~令第82条の6)
  • 荷重及び外力(令第83条~令第88条)

構造計算(令81条~令第82条の6)が必要な建築物の種類

該当条文建物規模構造計算の種類
法20条1号超高層建築物
(高さ>60m)
時刻歴応答解析
法20条2号大規模建築物
木造(高さ>13mまたは軒高>9m)
鉄骨造(階数≧4)
RC造、SRC造(高さ>20m)
高さ>31m保有水平耐力計算
限界耐力計算
高さ≦31m許容応力度等計算
法20条3号中規模建築物
木造(階数≧3または延面積>500㎡)
木造以外(階数≧2または延面積>200㎡)
許容応力度計算
法20条4号小規模建築物構造計算不要
上位の構造計算を採用してもよい

荷重及び外力(令第83条~令第88条)の種類は主に以下の5つ
固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風圧力、地震力

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