- 木造(令第40条~令第49条)
- 組積造(令第51条~令第62条)
- 補強コンクリートブロック造(令第62条の2~令第62条の8)
- 鉄骨造(令第63条~令第70条)
- 鉄筋コンクリート造(令第71条~令第79条)
- 鉄骨鉄筋コンクリート造(令第79条の2~令第79条の4)
- 無筋コンクリート造(令第80条)
建築法規の問題の毎年7問目あたりに出題されるのが「構造別の仕様規定」です。
中でも出題頻度が高いのが「木造の仕様規定」です。
「木造以外の仕様規定」の中で、過去5年間の過去問題で出題されたのは、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3つの構造のみです。
木造と木造以外の仕様規定の問題が混ざって出題される年や、それぞれ1問ずつ出題される年もあります。
木造仕様規定の適用範囲
令第40条
木造の仕様規定である第3節(令40条~令49条)が適用される建築物は以下のとおりです。
- 木造の建築物
- 木造と組積造その他の構造とを併用する建築物の木造の構造部分
木材
令第41条
構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。
土台及び基礎
令第42条
構造耐力上主要な部分である柱で最下階の部分に使用するものの下部には、土台の設定が求められます。
土台は、基礎に緊結しなければならない。
ただし、平家建ての建築物で延べ面積が50㎡以内の場合は、この限りでない。
土台及び基礎から出題された過去問題
【令和4年問題】
木造 2 階建て、延べ面積 300㎡の一戸建て住宅において、構造耐力上主要な部分である 1 階の柱と基礎とをだぼ継ぎその他の国土交通大臣が定める構造方法により接合し、かつ、当該柱に構造耐力上支障のある引張応力が生じないことが国土交通大臣が定める方法によって確かめられた場合には、土台を設けなくてもよい。
設問は、正しい。
令第42条(土台及び基礎)第1項第三号より、当該柱と基礎とをだぼ継ぎその他の国土交通大臣が定める構造方法により接合し、かつ、当該柱に構造耐力上支障のある引張応力が生じないことが国土交通大臣が定める方法によつて確かめられた場合は、土台を設けなくてもよい。
【令和2年問題】
構造耐力上主要な部分である 1 階の柱を鉄筋コンクリート造の布基礎に緊結した場合、当該柱の下部には土台を設けなくてもよい。
設問は、正しい。
令第42条第1項第一号より、構造耐力上主要な部分である 1 階の柱を鉄筋コンクリート造の布基礎に緊結した場合、当該柱の下部には土台を設けなくてもよい。
【令和元年問題】
土台は、基礎に緊結しなければならない。
設問は、正しい。
令第42条第2項より、土台は、基礎に緊結しなければならない。
【平成29年問題】
木造2階建て、延べ面積300㎡の一戸建て住宅において、構造耐力上主要な部分である1階の柱と基礎とをだぼ継ぎその他の国土交通大臣が定める構造方法により接合し、かつ、当該柱に構造耐力上支障のある引張応力が生じないことが国土交通大臣が定める方法によって確かめられた場合には、土台を設けなくてもよい。
設問は、正しい。
令第42条第1項第三号より、当該柱と基礎とをだぼ継ぎその他の国土交通大臣が定める構造方法により接合し、かつ、当該柱に構造耐力上支障のある引張応力が生じないことが国土交通大臣が定める方法によつて確かめられた場合は、土台を設けなくてもよい。
柱の小径
令第43条
柱の小径は、横架材の相互間の垂直距離に対して、次に掲げる割合以上のものとします。
柱の小径=横架材間の垂直距離×表の係数
柱 | 張り間方向又はけた行方向に相互の間隔が10m以上の柱又は学校、保育所、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、物品販売業を営む店舗(床面積の合計が10㎡以内のものを除く。)若しくは公衆浴場の用途に供する建築物の柱 | 左欄以外の柱 | |||
建築物 | 最上階又は階数が1の建築物の柱 | その他の階の柱 | 最上階又は階数が1の建築物の柱 | その他の階の柱 | |
(1) | 土蔵造の建築物その他これに類する壁の重量が特に大きい建築物 | 1/22 | 1/20 | 1/25 | 1/22 |
(2) | (1)に掲げる建築物以外の建築物で屋根を金属板、石板、木板その他これらに類する軽い材料でふいたもの | 1/30 | 1/25 | 1/33 | 1/30 |
(3) | (1)及び(2)に掲げる建築物以外の建築物 | 1/25 | 1/22 | 1/30 | 1/28 |
柱の小径から出題された過去問題
【令和5年問題】
屋根を日本瓦で葺き、壁を鉄網モルタル塗りとした木造 2 階建て、延べ面積 180 ㎡、高さ 8 mの保育所において、横架材の相互間の垂直距離が 1 階にあっては 2.8 m、2 階にあっては2.6 mである場合、建築基準法上、1 階及び 2 階の構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向及び桁行方向の小径の必要寸法を満たす最小の数値の組合せは、次のうちどれか。ただし、柱の小径に係る所定の構造計算は考慮しないものとする。
必要寸法を満たす最小の数値の組合せは、1階の柱の小径13.5㎝、2階の柱の小径10.5㎝である。
令第43条第1項より、構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向及びけた行方向の小径は、それぞれの方向でその柱に接着する土台、足固め、胴差、はり、けたその他の構造耐力上主要な部分である横架材の相互間の垂直距離に対して、表に掲げる割合以上のものでなければならない。
設問の建物は、屋根を日本瓦で葺き、壁を鉄網モルタル塗りとした木造 2 階建ての保育所であることから、表(2)の左欄(3)の柱の割合を採用する。
1階の柱の小径は、2.8m×1/22=0.127m(12.7㎝)以上とする。
2階の柱の小径は、2.6m×1/25=0.104m(10.4㎝)以上とする。
よって、必要寸法を満たす最小の数値の組合せは、1階の柱の小径13.5㎝、2階の柱の小径10.5㎝である。
【令和2年問題】
木造 2 階建て、延べ面積 150㎡、高さ 7 mの一戸建て住宅の構造耐力上主要な部分の構造強度に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、構造計算等による安全性の確認は行わないものとし、国土交通大臣が定めた構造方法は考慮しないものとする。
屋根を金属板でふいた場合、張り間方向及び桁行方向に相互の間隔が 10 m未満の 2 階の柱において、張り間方向及び桁行方向の小径は、横架材の相互間の垂直距離の 1/33 以上としなければならない。
設問は、正しい。
令第43条第1項の表より、屋根を金属板でふいた場合、張り間方向及び桁行方向に相互の間隔が 10 m未満の 2 階の柱において、張り間方向及び桁行方向の小径は、横架材の相互間の垂直距離の 1/33 以上としなければならない。
【令和元年問題】
屋根を金属板で葺き、壁を金属サイディング張りとした木造 3 階建て、延べ面積 180㎡の一戸建て住宅において、横架材の相互間の垂直距離が 1 階にあっては 3.3 m、 2 階にあっては 3.2 m、3 階にあっては 2.5 mである場合、建築基準法上、 1 階、 2 階及び 3 階の構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向及び桁行方向の小径の必要寸法を満たす最小の数値の組合せは、次のうちどれか。ただし、張り間方向及び桁行方向の柱の相互の間隔は 10 m未満とする。また、柱の小径に係る所定の構造計算は考慮しないものとする。
必要寸法を満たす最小の数値の組合せは、1階の柱の小径13.5㎝、2階の柱の小径12.5㎝、3階の柱の小径10.5㎝である。
令第43条第1項より、構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向及びけた行方向の小径は、それぞれの方向でその柱に接着する土台、足固め、胴差、はり、けたその他の構造耐力上主要な部分である横架材の相互間の垂直距離に対して、表に掲げる割合以上のものでなければならない。
設問の建物は、屋根を金属板で葺き、壁を金属サイディング張りで、張り間方向及び桁行方向の柱の相互の間隔は 10 m未満とすることから、表(2)の左欄以外の柱の割合を採用する。
1階の柱の小径は、3.3m×1/30=0.11m(11㎝)以上とする。
同条第2項より、地階を除く階数が2を超える建築物の1階の構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向及びけた行方向の小径は、13.5㎝を下回つてはならない。よって、1階の柱の小径は、13.5㎝である。
2階の柱の小径は、3.2m×1/30=0.106m(10.6㎝)以上とする。
3階の柱の小径は、2.5m×1/33=0.075m(7.5㎝)以上とする。
よって、必要寸法を満たす最小の数値の組合せは、1階の柱の小径13.5㎝、2階の柱の小径12.5㎝、3階の柱の小径10.5㎝である。
【平成30年問題】
延べ面積100㎡の木造住宅の構造耐力上主要な部分である柱の有効細長比を、120とした。
設問は、適合する。
令第43条第6項より、構造耐力上主要な部分である柱の有効細長比は、150以下としなければならない。
はり等の横架材
令第44条
はり等の横架材には、中央部附近の下側に欠込みをしてはならない。
筋かい
令第45条
各部分の筋かいの規定は、以下のとおりです。
引張り力を負担する筋かい
厚さ1.5㎝以上で幅9㎝以上の木材又は径9㎜以上の鉄筋とする。
圧縮力を負担する筋かい
厚さ3㎝以上で幅9㎝以上の木材とする。
筋かい端部
柱とはりその他の横架材との仕口に接近して、金物で緊結しなければなりません。
筋かいの欠込み
原則、禁止。
ただし、必要な補強を行なつたときは、この限りでない。
筋かいから出題された過去問題
【令和3年問題】
木造とするに当たって、木造の筋かいに、たすき掛けにするための欠込みをしたので、必要な補強を行った。
設問は、適合する。
令第45条第4項より、筋かいには、欠込みをしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ない場合において、必要な補強を行なつたときは、この限りでない。
【令和元年問題】
圧縮力を負担する筋かいは、厚さ 1.5㎝以上で幅 9㎝以上の木材を使用したものとしなければならない。
設問は、誤っている。
令第45条第2項より、圧縮力を負担する筋かいは、厚さ3㎝以上で幅9㎝以上の木材を使用したものとしなければならない。
構造耐力上必要な軸組等
令第46条
構造耐力上必要な軸組
構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあつては、壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない。
床組み等
床組及び小屋ばり組には木板などを打ち付け、小屋組には振れ止めを設けなければならない。
ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算した場合においては、この限りでない。
軸組の必要長さの算定
一定規模以上の木造建築物は、張間方向と桁行方向のそれぞれにつき、地震力と風圧力に対して安全である軸組長さとする必要があります。
対象建築物
- 2階建て以上
- 延べ面積50㎡以上
軸組長さの検討
- 地震力に対する軸組長さ
軸組長さ×倍率(表1)≧床面積×(表2)の数値
- 風圧力に対する軸組長さ
軸組長さ×倍率(表1)≧見付面積×(表3)の数値
表1 筋交いの倍率
種類 | 工法 | 倍率 |
---|---|---|
壁によるもの | 土塗壁 | 0.5 |
木ずりを片面に打ち付けた壁 | 0.5 | |
木ずりを両面に打ち付けた壁 | 1.0 | |
筋交いによるもの | 厚さ1.5㎝以上×幅9㎝以上の木材 | 1.0(たすき掛け2.0) |
径9㎜以上の鉄筋 | 1.0(たすき掛け2.0) | |
厚さ3㎝以上×幅9㎝以上の木材 | 1.5(たすき掛け3.0) | |
厚さ4.5㎝以上×幅9㎝以上の木材 | 2(たすき掛け4.0) | |
9㎝角以上の木材 | 3(たすき掛け5.0) | |
大臣の定め | 国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの 国土交通大臣の認定を受けたもの | 0.5から5までの範囲内で大臣が定める数値 |
併用 | 壁と筋かいとを併用 | それぞれの数値との和 |
表2 地震力に対する必要壁量を求めるための階の床面積に乗ずる数値
階の床面積に乗ずる数値(単位 ㎝/㎡) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
地上階数 | 平家建 | 2階建 | 3階建 | |||
屋根などの構造 | 1階 | 2階 | 1階 | 2階 | 3階 | |
土蔵造又は瓦葺などの重い屋根 | 15 | 33 | 21 | 50 | 39 | 24 |
金属板・スレート葺きなどの軽い屋根 | 11 | 29 | 15 | 46 | 34 | 18 |
表3 風圧力に対する必要壁量を求めるための見付面積に乗ずる数値
区域 | 軸組の長さ |
---|---|
一般の区域 | 50 |
特定行政庁が指定する区域 | 50を超え、75以下の範囲内において特定行政庁が定める数値 |
構造耐力上必要な軸組等から出題された過去問題
【令和4年問題】
木造 2 階建て、延べ面積 200㎡の集会場において、床組及び小屋ばり組には木板その他これに類するものを国土交通大臣が定める基準に従って打ち付けし、小屋組には振れ止めを設けなければならない。
設問は、正しい。
令第46条(構造耐力上必要な軸組等)第3項より、床組及び小屋ばり組には木板その他これに類するものを国土交通大臣が定める基準に従つて打ち付け、小屋組には振れ止めを設けなければならない。
【令和2年問題】
構造耐力上必要な軸組の長さの算定において、軸組の種類を、厚さ 4.5㎝で幅 9㎝の木材の筋かいをたすき掛けに入れ、木ずりを柱及び間柱の片面に打ち付けた壁を設けた軸組とした場合、その長さに乗ずる倍率は 5 とすることができる。
設問は、誤っている。
令第46条第4項の表1より、構造耐力上必要な軸組の長さの算定において、軸組の種類を、厚さ 4.5㎝で幅 9㎝の木材の筋かいをたすき掛けに入れ、木ずりを柱及び間柱の片面に打ち付けた壁を設けた軸組とした場合、その長さに乗ずる倍率は4とする。
【令和2年問題】
構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造としたものにあっては、全ての方向の水平力に対して安全であるように、原則として、各階の張り間方向及び桁行方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない。
設問は、正しい。
令第46条第1項より、構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあつては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない。
【令和元年問題】
張り間方向及び桁行方向に配置する壁を設け又は筋かいを入れた軸組の長さの合計は、原則として、それぞれの方向につき、床面積及び見付面積をもとに求めた所定の数値以上としなければならない。
設問は、正しい。
令第46条第4項より、階数が2以上又は延べ面積が50㎡を超える木造の建築物においては、張り間方向及び桁行方向に配置する壁を設け又は筋かいを入れた軸組の長さの合計は、原則として、それぞれの方向につき、床面積及び見付面積をもとに求めた所定の数値以上としなければならない。
【平成29年問題】
木造2階建て、延べ面積200㎡の集会場において、床組及び小屋ばり組には木板その他これに類するものを国土交通大臣が定める基準に従って打ち付けし、小屋組には振れ止めを設けなければならない。
設問は、正しい。
令第46条第3項より、床組及び小屋ばり組には木板その他これに類するものを国土交通大臣が定める基準に従つて打ち付け、小屋組には振れ止めを設けなければならない。
外壁内部等の防腐措置等
令第49条
木造の外壁や構造耐力上主要な部分等には、防腐措置及び必要に応じて防蟻措置を行います。
- 木造の外壁のうち、軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙を使用
- 柱、筋かい及び土台のうち、地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置及び必要に応じて、しろありなどによる害を防ぐための措置
外壁内部等の防腐措置等から出題された過去問題
【令和元年問題】
柱、筋かい及び土台のうち、地面から 1 m以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。
設問は、正しい。
令第49条第2項より、構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。
問題No.7-1【構造強度② 木造の仕様規定】のまとめ
- 木造(令第40条~令第49条)からまんべんなく出題されています。
- 木造は、出題頻度が最も高く、構造強度問題の3問中2問が木造の仕様規定から出題さる年もあります。
他の構造強度の問題と一緒に学習することで、効率的に対策できます。
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