条文の要点と過去問10年分
一級建築士試験 学科Ⅲ(建築法規)でよく出題される「既存建築物・用途の変更・仮設建築物」について、既存不適格の建築物の増築などの緩和、独立部分、全体計画の認定、用途の変更に準用される規定、一時的な用途の変更、仮設建築物の要点を今の法令でまとめ、令和8年〜平成29年の10年分の過去問を選択肢ごとに解説します。過去問の解説は、年度別の記事と同じく出題当時の法令によります。

既存建築物・用途の変更・仮設建築物の出題の傾向(令和8年〜平成29年)
既存建築物・用途の変更・仮設建築物は、令和8年 No.9・令和7年 No.8・令和6年 No.4・令和5年 No.8・令和4年 No.8・令和2年 No.12 など、年度によって番号を変えて出題されています。既存不適格の建築物の増築・全体計画の認定、用途の変更、一時的に興行場等とする許可、仮設建築物がくり返し出ています。
過去問の問題文と選択肢は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している一級建築士試験の問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各選択肢の枠の右下に出典)。正答は、同センターの「合格基準点等(正答肢)」と照らし合わせています。
「条文の要点」は今の法令でまとめています。過去問の解説は、年度別の記事と同じく出題当時の法令(各年の法令の基準日)によります。その後の改正で答えが変わる選択肢には「🔶 現在の法令では」、条文の番号や言い方だけが変わった選択肢には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
法令集で開く条文
既存建築物・用途の変更・仮設建築物の問題は、主に次の条文から出題されます。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 法第3条 | 適用の除外(文化財・既存不適格・増築等をした場合の適用) |
| 法第85条 | 仮設建築物(応急仮設建築物・工事現場の仮設建築物・仮設興行場など) |
| 法第86条の7・令第137条〜第137条の15 | 既存の建築物に対する制限の緩和(政令で定める範囲・独立部分) |
| 法第86条の8・法第87条の2 | 既存不適格の建築物の全体計画の認定 |
| 法第87条・令第137条の18・令第137条の19 | 用途の変更への準用・類似の用途・用途地域の制限の範囲 |
| 法第87条の3 | 建築物の用途を変更して一時的に使用する場合の制限の緩和 |
試験に持ち込む法令集に認められている書き込みは、次の4つだけです。
- 目次・見出し・関連する条文の指示(法令名・章・節・条などの名称、番号、ページまで)
- 改正年月日
- アンダーライン(二重線・囲み枠を含む)
- ○・△・×の記号
言葉の書き足しや、表・図・計算式の書き込み・貼り付けは「解説」「早見表」にあたり、認められません。紛らわしい書き込みがあると、確認が終わるまで法令集なしで受験することになる場合もあります。
どこに線を引き、どこにインデックスを貼るかは、文章で読むより見本を見るほうが確実です。法令集の出版社や資格学校が出している「線引き見本」を見ながら進めてください。
✏️法令集の線引き・インデックスの進め方二級建築士向けの「建築法規 攻略ガイド」の「STEP 2:法令集の初期セットアップ」で、見本の入手から作業の手順まで紹介しています(書き込みの決まりは一級も同じです)›出典:建築技術教育普及センター「使用が認められる法令集について」(一級建築士試験の試験当日の注意事項のページから)
🏚️ 既存不適格の建築物(法第3条・法第86条の7・法第86条の8)
📖 既存不適格と増築などの緩和・全体計画の認定
法令の施行や改正のときに現に存在する(工事中を含む)建築物で、新しい規定に適合しないものは、その規定を適用しません(既存不適格・法第3条第2項)。増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をすると原則として適用されますが(第3項)、政令で定める範囲内の増築等なら、引き続き適用しません(法第86条の7第1項)。
| 既存不適格の規定 | 引き続き適用しない増築・改築の範囲(主なもの) | 条文 |
|---|---|---|
| 構造耐力(法第20条) | 増築・改築部分が基準時の延べ面積の1/20(50㎡を超えるときは50㎡)以下:増築・改築部分が現行の規定に適合し、それ以外の部分の構造耐力上の危険性が増大しないこと。1/20(50㎡)を超え1/2以下:耐久性等関係規定に適合し、倒壊・脱落などのおそれがない大臣の基準に適合することなど | 令第137条の2 |
| 石綿(法第28条の2第一号・第二号) | 増築・改築部分が基準時の延べ面積の1/2以下で、増築・改築部分が基準に適合し、それ以外の部分は石綿の飛散のおそれがない措置(大臣の基準)をすること | 令第137条の4の2 |
| 非常用の昇降機(法第34条第2項) | 増築部分の高さが31mを超えず、かつ、増築部分の床面積の合計が基準時の延べ面積の1/2以下(改築は1/5以下で、高さが基準時を超えない) | 令第137条の6 |
| しくみ | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 独立部分 | 構造(エキスパンションジョイントなどで接する部分)、防火(火熱遮断壁等で区画された部分)、避難施設・排煙設備(開口部のない耐火構造の床・壁で区画された部分など)の規定ごとに、別の建築物とみなせる部分(独立部分)が2以上あるときは、増築等をする独立部分以外の独立部分には、引き続き適用しない | 法第86条の7第2項・令第137条の14 |
| 全体計画の認定(増築等) | 2以上の工事に分けて増築等を含む工事をする場合、特定行政庁が全体計画を認定すると、工事中・工事の間も既存不適格のまま扱う。基準:分けることがやむを得ない全ての工事の完了後に適合する各工事の完了後も危険性・有害性が増大しない | 法第86条の8第1項 |
| 全体計画の認定(用途の変更) | 法第27条等の規定の既存不適格の建築物で、2以上の工事に分けて用途の変更に伴う工事をする場合も、同じ考え方で特定行政庁が全体計画を認定できる | 法第87条の2第1項 |
✏️ 過去問:既存不適格の建築物の増築など(法第86条の7第1項)(10年で8肢)
正しいか誤りかを考えてから「正しい? 誤り?」を開いてください。解説は出題当時の法令によります。
問題:構造耐力の規定に適合していない部分を有し、建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けている既存建築物に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
基準時における延べ面積が800㎡の既存建築物に床面積50㎡の増築をする場合においては、増築に係る部分が現行の構造耐力の規定に適合し、既存建築物の部分の構造耐力上の危険性が増大しない構造方法とすれば、既存建築物の部分には現行の構造耐力の規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.12 選択肢1
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法第86条の7第1項・令第137条の2第三号より、増築部分が現行の構造耐力の規定に適合し、既存の部分の構造耐力上の危険性が増大しなければよいのは、増築に係る部分の床面積の合計が基準時の延べ面積の1/20(50㎡を超える場合は50㎡)を超えない場合。800㎡の1/20は40㎡なので、50㎡の増築はこれに当たらず、同条第二号(1/20を超え1/2以下)の基準(耐久性等関係規定と国土交通大臣が定める基準への適合など)による。
「増築部分が現行規定に適合し、既存部分の危険性が増大しない」だけでよいのは、増築部分が基準時の延べ面積の1/20(50㎡を超える場合は50㎡)以下のとき(令第137条の2第三号)。800㎡の1/20は40㎡なので、50㎡の増築は対象外。
問題:構造耐力の規定に適合していない部分を有し、建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けている既存建築物に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
基準時における延べ面積が800㎡の既存建築物に床面積400㎡の増築をする場合においては、増築後の建築物の構造方法が、耐久性等関係規定に適合し、かつ、所定の基準に適合するものとすれば、既存建築物の部分には現行の構造耐力の規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.12 選択肢2
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増築部分400㎡は、基準時の延べ面積800㎡の1/2を超えないので、法第86条の7第1項・令第137条の2第二号の範囲。同号イより、増築後の建築物の構造方法が、耐久性等関係規定に適合し、かつ、地震などによる倒壊などのおそれがないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものであれば、既存の部分に現行の構造耐力の規定は適用されない。
問題:構造耐力の規定に適合していない部分を有し、建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けている既存建築物に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
増築をするに当たって、既存の建築物に対する制限の緩和を受ける場合においては、建築確認の申請書に、既存建築物の基準時及びその状況に関する事項を明示した既存不適格調書を添えなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.12 選択肢3
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規則第1条の3の表二より、法第86条の7の規定(既存の建築物に対する制限の緩和)が適用される建築物の確認の申請書には、既存建築物の基準時及びその状況に関する事項を明示した既存不適格調書を添えなければならない。
問題:構造耐力の規定に適合していない部分を有し、建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けている既存建築物に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
柱について過半の修繕を行う場合においては、当該建築物の構造耐力上の危険性が増大しない修繕とすれば、現行の構造耐力の規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.12 選択肢4
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柱の過半の修繕は大規模の修繕(法第2条第十四号)。法第86条の7第1項・令第137条の12第1項より、構造耐力の規定の適用を受けない建築物の大規模の修繕又は大規模の模様替は、当該建築物の構造耐力上の危険性が増大しないものであれば、現行の構造耐力の規定は適用されない。
問題:次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
高さが31mを超えるホテルで、非常用エレベーターを設けていないことにより建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けているものについて増築する場合において、増築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の1/2を超えるときは、非常用エレベーターを設けなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.19 選択肢3
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法第86条の7第1項・令第137条の6第一号より、非常用の昇降機の規定(法第34条第2項)の適用を受けない既存の建築物について増築をする場合に、引き続き適用しないのは、増築に係る部分の建築物の高さが31mを超えず、かつ、増築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の1/2を超えないときなど。1/2を超えるときは、非常用エレベーターを設けなければならない。
問題:ホテルに関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域、地区等の指定はなく、また、特段の記述がない限り、特定行政庁の許可等は考慮しないものとする。
高さが31mを超えるホテルで、非常用の昇降機を設けていないことにより建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けているものについて増築する場合において、増築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の1/2を超えるときは、非常用の昇降機を設けなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和元年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.20 選択肢2
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法第86条の7第1項・令第137条の6第一号より、非常用の昇降機の規定(法第34条第2項)の適用を受けない高さ31mを超える建築物の増築は、増築に係る部分の建築物の高さが31mを超えず、かつ、増築に係る部分の床面積の合計が基準時の延べ面積の1/2を超えない場合に限り、引き続き適用されない。1/2を超える増築では、非常用の昇降機を設けなければならない。
問題:建築設備等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
高さが31mを超える建築物で、非常用エレベーターを設けていないことにより、建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けているものに増築する場合においては、増築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の1/2を超える場合には、非常用エレベーターを設けなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.10 選択肢2
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法第86条の7第1項・令第137条の6第一号より、法第3条第2項の規定により非常用の昇降機の規定(法第34条第2項)の適用を受けない高さ31m超の建築物の増築で、引き続き適用を受けないのは、増築に係る部分の高さが31mを超えず、かつ、増築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の1/2を超えない場合。1/2を超える場合は、非常用エレベーターを設けなければならない。
問題:次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
石綿が添加された建築材料が使用されていることにより建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けている倉庫について、基準時における延べ面積が1,200㎡のものを増築して延べ面積1,500㎡とする場合、増築に係る部分以外の部分においては、石綿が添加された建築材料を被覆すること等の措置が必要となる。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和元年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.5 選択肢3
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法第86条の7第1項・令第137条の4の3より、石綿の規定(法第28条の2)の適用を受けない建築物の増築は、増築に係る部分の床面積の合計が基準時の延べ面積の1/2を超えないこと(1,200㎡→1,500㎡で増築部分300㎡)、増築部分が石綿の基準に適合すること、増築に係る部分以外の部分が、石綿が添加された建築材料を被覆し又は固着する措置について国土交通大臣が定める基準に適合することが条件。
2024年4月1日施行の改正で、石綿の既存不適格の建築物の増築などの範囲は令第137条の4の2に繰り上がりました(増築部分の床面積の合計が基準時の延べ面積の1/2以下であることなどは同じ)。答えは変わりません。
✏️ 過去問:独立部分(法第86条の7第2項)(10年で2肢)
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問題:既存建築物に対する制限の緩和に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
「排煙設備に関する技術的基準」に適合せず、建築基準法第3条第2項の適用を受けている既存の建築物に、開口部のない耐火構造の床又は壁で区画され、かつ、所定の基準に適合する部分を増築する場合は、既存部分に対して当該技術的基準の規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和7年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢1
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法第86条の7第2項より、法第35条(階段等に関する技術的基準:避難施設及び排煙設備に関する技術的基準のうち政令で定めるもの)などの既存不適格建築物で、独立部分が2以上あるものについて、増築等をする独立部分以外の独立部分には、これらの規定は適用されない。令第137条の14第四号より、排煙設備の規定についての独立部分は、令第126条の2第2項各号の部分(開口部のない耐火構造の床又は壁で区画された部分など)。
問題:既存建築物に対する制限の緩和に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
「耐火建築物等としなければならない特殊建築物に関する技術的基準」に適合せず、建築基準法第3条第2項の適用を受けている既存の建築物に、火熱遮断壁等で区画され、かつ、所定の基準に適合する部分を増築する場合、既存部分に対して当該技術的基準の規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和7年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢3
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法第86条の7第2項より、法第27条(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)の既存不適格建築物で独立部分が2以上あるものについて増築等をする場合、増築等をする独立部分以外の独立部分には、法第27条は適用されない。令第137条の14第二号・令第109条の8より、その独立部分は、火熱遮断壁等で区画された部分。
法第27条の既存不適格建築物は、火熱遮断壁等で区画された部分(令第109条の8)を独立部分として増築すれば、既存部分に法第27条は適用されない。
✏️ 過去問:全体計画の認定(法第86条の8・法第87条の2)(10年で4肢)
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問題:既存建築物に対する制限の緩和に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
「避難施設に関する技術的基準」に適合せず、建築基準法第3条第2項の適用を受けている既存の建築物で、2以上の工事に分けて行う増築等を含む工事について、工事に係る全体計画の全ての工事の完了後に建築基準法令の規定に適合することとなる計画で、既存の利用状況等の事情によりやむを得ない等と特定行政庁が認めたときは、段階的に工事を行うことができ、最後の工事に着手するまでは当該技術的基準の規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和7年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢2
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法第86条の8第1項より、既存不適格建築物について2以上の工事に分けて増築等を含む工事を行う場合に、特定行政庁が、全体計画に係る全ての工事の完了後に建築基準法令の規定に適合することとなることなどの基準に適合すると認めたときは、最後の工事に着手するまでは、既存不適格の扱いが続く(現行の規定は適用されない)。
問題:次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
建築基準法第3条第2項の規定により排煙設備の規定の適用を受けない建築物について、2以上の工事に分けて増築を含む工事を行う場合、特定行政庁による工事に係る全体計画の認定を受けていれば、いずれの工事の完了後であっても、現行基準に適合するように排煙設備を設置するための改修を行う必要はない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.20 選択肢3
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法第86条の8第1項より、既存不適格建築物について2以上の工事に分けて工事を行う場合に、特定行政庁が全体計画を認定すると、工事中や工事の間は既存不適格の扱いが続く。ただし、認定の基準として、全体計画に係る全ての工事の完了後には建築基準法令の規定に適合することとなることが必要(同項第二号)なので、最後の工事の完了後には排煙設備を現行の基準に適合させなければならない。
全体計画の認定で既存不適格のままでよいのは、工事中と工事の間だけ。全ての工事の完了後は現行の基準に適合させる(法第86条の8第1項第二号)。
問題:既存建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
建築基準法第3条第2項の規定により排煙設備の規定の適用を受けない「事務所」について、2以上の工事に分けて「集会場」とするための用途変更に伴う工事を行う場合、特定行政庁による工事に係る全体計画の認定を受けていれば、いずれの工事の完了後であっても、現行基準に適合するように排煙設備を設置するための改修を行う必要はない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.9 選択肢1
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法第87条の2第1項より、法第3条第2項により法第27条等の規定の適用を受けない一の建築物について、2以上の工事に分けて用途の変更に伴う工事を行う場合に、特定行政庁が全体計画を認めると、全体計画に係る工事の工事中や工事の間は既存不適格の扱いが続き、最後の工事に着手するまでは、用途変更の際に準用される規定(法第87条第3項)も適用されない。ただし、認定の基準として、全体計画に係る全ての工事の完了後には、建築物及び敷地が建築基準法令の規定に適合することとなることが必要(同項第二号)なので、最後の工事の完了後には排煙設備を現行の基準に適合させなければならない。「いずれの工事の完了後でも改修不要」ではない。
用途の変更に伴う工事を2以上に分けて行う場合の全体計画の認定(法第87条の2)でも、既存不適格のままでよいのは工事中と工事の間だけ。全ての工事が終わった後は、現行の基準に適合させる(同条第1項第二号)。
問題:防火地域及び準防火地域以外の地域における建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、増築、大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないものとする。
建築基準法第3条第2項の規定により排煙設備の規定の適用を受けない「事務所」について、2以上の工事に分けて「飲食店」とするための用途変更に伴う工事を行う場合、特定行政庁による工事に係る全体計画の認定を受けていれば、いずれの工事の完了後であっても、現行基準に適合するように排煙設備を設置するための改修を行う必要はない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.27 選択肢3
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法第87条の2第1項より、既存不適格建築物について2以上の工事に分けて用途の変更に伴う工事を行う場合に、特定行政庁が全体計画を認定すると、工事の途中では現行の規定が適用されないが、その基準の一つは、全体計画に係る全ての工事の完了後において、建築物及びその敷地が建築基準法令の規定に適合することとなること(同項第二号)。いずれの工事の完了後でも改修が不要になるのではなく、最後の工事の完了後には排煙設備を現行基準に適合させなければならない。
用途変更の全体計画の認定(法第87条の2)は、全ての工事の完了後に建築基準法令の規定に適合することが条件(同条第1項第二号)。最後の工事の完了後には現行基準に適合させなければならない。
🔄 用途の変更(法第87条・法第87条の3)
📖 用途の変更に準用される規定と、一時的な用途の変更
用途を変更して法第6条第1項第一号の特殊建築物(その用途の部分の床面積の合計200㎡超)にするときは、確認が必要です(類似の用途どうしを除く・法第87条第1項)。また、用途の変更には用途地域の制限などが準用され(第2項)、既存不適格の建築物の用途を変更するときは、変更後の用途について法第27条・法第35条などの規定が準用されます(第3項)。
| 準用される場合 | 主な規定 | 条文 |
|---|---|---|
| 用途の変更(第3項の建築物を除く) | 用途地域の制限(法第48条第1項〜第14項)、卸売市場などの位置(法第51条)、条例の規定(法第39条第2項・第40条・第43条第3項・第49条〜第50条など) | 法第87条第2項 |
| 既存不適格の建築物の用途の変更 | 耐火建築物等としなければならない特殊建築物(法第27条)、居室の採光・換気(法第28条第1項・第3項)、地階の住宅等の居室(法第29条)、長屋・共同住宅の界壁(法第30条)、避難・消火の技術的基準(法第35条)、内装の制限(法第35条の2)、無窓の居室等の主要構造部(法第35条の3)、用途地域の制限(法第48条)など | 法第87条第3項 |
| 準用しない場合(法第3条第2項の既存不適格の建築物) | 条文 |
|---|---|
| 増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をしない場合で、類似の用途どうしの変更(修繕・模様替をしないか、大規模でない) | 法第87条第3項第二号 |
| 用途地域の制限で、政令の範囲内の変更(原動機の出力・機械の台数・容器の容量や、適合しない用途の部分の床面積の合計が、基準時の1.2倍以下など) | 法第87条第3項第三号・令第137条の19第2項 |
| 一時的な用途の変更 | 決まり | 条文 |
|---|---|---|
| 非常災害区域等で、災害救助用建築物(国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助に使う住宅・病院など)に用途を変更する | 災害の発生から1月以内に着手するものは、建築基準法令の規定を適用しない(防火地域内を除く) | 法第87条の3第1項 |
| 興行場・博覧会建築物・店舗などとして一時的に使う | 特定行政庁が1年以内の期間(工事中の代替建築物は工事の施工上必要な期間)を定めて許可。法第12条第1項〜第4項・第21条・第22条・第24条・第26条・第27条・第34条第2項・第35条の2・第35条の3・第3章・第87条第2項を適用しない | 法第87条の3第6項 |
| 国際的な会議・競技会などで1年を超えて使う特別興行場等 | 特定行政庁が使用上必要な期間を定めて許可(あらかじめ建築審査会の同意) | 法第87条の3第7項・第8項 |
✏️ 過去問:用途の変更(確認・準用される規定)(10年で9肢)
正しいか誤りかを考えてから「正しい? 誤り?」を開いてください。解説は出題当時の法令によります。
問題:建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないものとする。
商業地域内において、鉄筋コンクリート造、延べ面積400㎡、地上3階建ての診療所(患者の収容施設があるもの)の用途を変更して、地域活動支援センターとする場合においては、確認済証の交付を受ける必要がない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.4 選択肢1
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法第87条第1項より、用途を変更して特殊建築物とする場合は確認が必要だが、政令で指定する類似の用途相互間の用途変更は除かれる。令第137条の18第三号より、診療所(患者の収容施設があるもの)と児童福祉施設等(地域活動支援センターを含む)は類似の用途なので、商業地域内での用途変更は確認不要。
問題:建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないものとする。
鉄筋コンクリート造、延べ面積800㎡、地上2階建ての劇場の用途を変更して、公会堂とする場合においては、確認済証の交付を受けなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.4 選択肢2
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令第137条の18より、類似の用途は、第一号「劇場、映画館、演芸場」、第二号「公会堂、集会場」などのグループごとに定められている。劇場と公会堂は別のグループなので類似の用途に当たらず、延べ面積800㎡の公会堂(法別表第1(い)欄(1)項の特殊建築物で200㎡を超える)への用途変更は、確認済証の交付を受けなければならない。
劇場・映画館・演芸場は互いに類似の用途だが、公会堂・集会場とは別のグループ(令第137条の18第一号・第二号)。
問題:防火地域及び準防火地域以外の地域における建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、増築、大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないものとする。
延べ面積150㎡の「一戸建ての住宅」を「物品販売業を営む店舗」に用途変更しようとする場合、所定の基準に適合させる必要があるが、用途変更に伴う確認済証の交付を受ける必要はない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.27 選択肢2
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法第87条第1項より、用途を変更して法第6条第1項第一号の特殊建築物(その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるもの)とする場合は確認が必要。延べ面積150㎡の物品販売業を営む店舗とする用途変更には確認済証は要らないが、法第87条第3項より、法第24条、第27条、第28条、第35条などの所定の規定は準用されるので、これらの基準には適合させなければならない。
問題:建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないものとする。
建築物の用途の変更についての確認済証の交付を指定確認検査機関から受けた場合においては、建築主は、建築物の用途の変更に係る工事が完了したときは、当該指定確認検査機関に届け出なければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.4 選択肢4
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法第87条第1項より、用途変更の確認には法第7条第1項が準用され、「建築主事の検査を申請しなければならない」は「建築主事に届け出なければならない」と読み替えられる。指定確認検査機関から確認済証の交付を受けた場合でも、工事が完了したときの届出先は建築主事で、指定確認検査機関ではない。
用途変更の確認を受けた場合の工事完了の届出は、指定確認検査機関で確認を受けたときも、建築主事に届け出る(法第87条第1項の読替え)。
2024年4月1日施行の改正で建築副主事の制度ができ、法第87条第1項の読替えは「建築主事等(当該用途の変更が大規模建築物に係るものである場合にあつては、建築主事)に届け出なければならない」になりました。工事完了の届出(完了検査の申請ではない)であることは同じで、答えは変わりません。
問題:延べ面積2,000㎡の「寄宿舎」を「有料老人ホーム」に用途の変更(大規模の修繕又は大規模の模様替は伴わないものとする。)をする場合の取扱いについて、次の記述のうち、建築基準法その他の建築関係法令の規定の適用に関する内容として、誤っているものはどれか。
用途の変更に当たって、工事に着手する前に建築確認の申請を行い、当該工事の完了後は完了検査の申請を行わなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.29 選択肢4
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寄宿舎と有料老人ホーム(児童福祉施設等)は、令第137条の18の類似の用途(第五号「下宿、寄宿舎」、第三号「診療所、児童福祉施設等」)に当たらないので、法第87条第1項より、用途の変更には確認が必要。ただし、同項より準用する法第7条第1項は「建築主事の検査を申請しなければならない」が「建築主事に届け出なければならない」と読み替えられるので、工事の完了後に完了検査の申請を行う決まりはない。
用途の変更の確認を受けた場合、工事が完了したときは、完了検査の申請ではなく建築主事に届け出る(法第87条第1項の読替え)。
2024年4月1日施行の改正で建築副主事の制度ができ、法第87条第1項の読替えは「建築主事等(当該用途の変更が大規模建築物に係るものである場合にあつては、建築主事)に届け出なければならない」になりました。工事完了の届出(完了検査の申請ではない)であることは同じで、答えは変わりません。
問題:既存建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
延べ面積150㎡、高さ10m、地上3階建ての「一戸建ての住宅(耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物)」を「旅館」に用途変更しようとする場合、有効かつ速やかに火災の発生を感知して報知できるものとする技術的基準に従って警報設備を設置すれば、主要構造部を耐火構造とする必要はない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.9 選択肢2
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法第27条第1項第一号より、法別表第1(い)欄(2)項の旅館の用途に3階を供する建築物は、原則として耐火建築物などとしなければならないが、階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの((2)項の用途で政令で定めるものは、令第110条の5の技術的基準に従って警報設備を設けたものに限る)は除かれる。延べ面積150㎡・地上3階建ての旅館は、この警報設備を設ければ、主要構造部を耐火構造とする必要はない。
問題:防火地域及び準防火地域以外の地域における建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、増築、大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないものとする。
延べ面積150㎡、高さ15m、地上3階建ての「一戸建ての住宅(耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物)」を「旅館」に用途変更しようとする場合、有効かつ速やかに火災の発生を感知して報知できるものとする技術的基準に従って警報設備を設置すれば、主要構造部を耐火構造とする必要はない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.27 選択肢1
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法第87条第3項より、用途の変更には法第27条が準用される。旅館(法別表第1(い)欄(2)項)を3階に設けると法第27条第1項第一号に当たるが、括弧書より、階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの((2)項の用途で政令で定めるもの(令第110条の4)は、政令で定める技術的基準(令第110条の5)に従って警報設備を設けたものに限る。)は除かれる。延べ面積150㎡で警報設備を設置すれば、主要構造部を耐火構造とする必要はない(高さ15m・3階建てなので法第21条第1項にも当たらない)。
問題:既存建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
「幼稚園」を「幼保連携型認定こども園」に用途変更する場合、原則として、その用途に供する居室及び当該居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路には、非常用の照明装置を設けなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.9 選択肢4
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令第126条の4より、法別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物の居室など(幼保連携型認定こども園は、令第115条の3第一号の児童福祉施設等として(2)項)には、非常用の照明装置を設けなければならない。同条ただし書第三号で除かれる「学校等」は、令第126条の2第1項第二号で「学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館…」とされているので、幼稚園は除かれるが、幼保連携型認定こども園は除かれない。
非常用の照明装置が不要な「学校等」から、幼保連携型認定こども園は除かれている(令第126条の2第1項第二号)。
問題:建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないものとする。
原動機の出力の合計が3.0kWの空気圧縮機を使用する自動車修理工場において、その建築後に用途地域が変更されたため、原動機の出力の合計が現行の用途地域の規定に適合せず、建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けているものについては、原動機の出力の合計を3.5kWに変更することができる。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.4 選択肢3
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法第87条第3項第三号・令第137条の19第2項第二号より、用途地域の規定(法第48条)に適合しない事由が原動機の出力による既存不適格建築物は、用途変更後の出力の合計が基準時の1.2倍を超えない範囲であれば、法第48条の規定は準用されない。3.0kW×1.2=3.6kWなので、3.5kWに変更できる。
✏️ 過去問:一時的な用途の変更(法第87条の3)(10年で6肢)
正しいか誤りかを考えてから「正しい? 誤り?」を開いてください。解説は出題当時の法令によります。
問題:既存建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
建築物の用途を変更して一時的に「店舗」として使用する場合において、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして特定行政庁の許可を受けたものについては、内装の制限に関する規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.9 選択肢3
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法第87条の3第6項より、特定行政庁は、建築物の用途を変更して興行場等(興行場、博覧会建築物、店舗その他これらに類する建築物)とする場合に、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、1年以内の期間を定めて、興行場等として使用することを許可できる。この場合、法第35条の2(内装の制限)などの規定は適用しない。
問題:既存建築物に対する制限の緩和に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
建築物の用途を変更して一時的に興行場として使用する場合において、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして1年以内の期限を定めて、特定行政庁の許可を受けたものについては、「出入口その他の避難施設に関する技術的基準」の規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和7年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢4
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法第87条の3第6項より、特定行政庁は、建築物の用途を変更して興行場等とする場合に、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、1年以内の期間を定めて使用を許可できる。この場合に適用しない規定は、法第12条第1項から第4項まで、第21条、第22条、第24条、第26条、第27条、第34条第2項、第35条の2、第35条の3、法第三章などで、法第35条(出入口その他の避難施設などの技術的基準)は含まれない。避難施設の規定は適用される。
一時的な興行場の許可(法第87条の3第6項)で適用しなくなる規定に、法第35条(避難施設など)は入っていない。
問題:仮設建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
建築物の用途を変更して一時的に使用する興行場で、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして特定行政庁の許可を受けるものについては、排煙設備に関する規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢4
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法第87条の3第6項より、建築物の用途を変更して興行場等として一時的に使用する許可を受けた場合に適用しない規定は、法第12条第1項から第4項まで、第21条、第22条、第24条、第26条、第27条、第34条第2項、第35条の2、第35条の3、第三章及び第87条第2項。排煙設備の規定の根拠である法第35条は含まれないので、排煙設備に関する規定は適用される。
用途を変更して一時的に興行場等とする許可(法第87条の3第6項)で適用しない規定に、法第35条(排煙設備などの避難施設)は含まれない。内装の制限(法第35条の2)は含まれる。
問題:仮設建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
建築物の用途を変更して一時的に興行場として使用する場合において、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして特定行政庁の許可を受けたものについては、内装の制限に関する規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢4
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当時の法第87条の3第5項より、建築物の用途を変更して興行場等として一時的に使用する許可を受けた場合は、法第12条第1項から第4項まで、第21条、第22条、第24条、第26条、第27条、第34条第2項、第35条の2(内装の制限)、第35条の3、第三章及び第87条第2項の規定は適用しない。
2022年5月31日施行の改正で、用途を変更して一時的に興行場等とする許可は法第87条の3第6項に、項の番号が繰り下がりました(内容は同じ)。答えは変わりません。
問題:防火地域及び準防火地域以外の地域における建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、増築、大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないものとする。
既存建築物の用途を変更して、国際的な規模の競技会を行うための「特別興行場等」として利用する場合、特定行政庁の許可を受けることにより、建築基準法第21条及び第27条の規定に基づく主要構造部に対する規制等を受けることなく、一年を超えて使用することができる。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.27 選択肢4
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法第87条の3第6項より、特定行政庁は、建築物の用途を変更して特別興行場等(国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により1年を超えて使用する特別の必要がある興行場等)とする場合で、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認めるときは、使用上必要と認める期間を定めて使用を許可することができる。同条第5項後段の準用により、法第21条、第27条などの規定は適用されない。
2022年5月31日施行の改正で法第87条の3に項が加わり、特別興行場等の許可は今は第7項(1年以内の興行場等の許可は第6項)です。答えは変わりません。
問題:仮設建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
非常災害があった場合において、非常災害区域等のうち準防火地域内にある学校の用途を変更して地方公共団体が災害救助のために使用する病院で、その災害が発生した日から1月以内に当該用途の変更に着手するものについては、建築基準法令の規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢3
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法第87条の3第1項より、非常災害があった場合において、非常災害区域等内にある建築物の用途を変更して災害救助用建築物(国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために使用する住宅、病院など)として使用するとき(その災害が発生した日から1月以内に用途の変更に着手するときに限る)は、建築基準法令の規定は適用しない。同項ただし書で除かれるのは防火地域内にある建築物だけなので、準防火地域内の学校を用途の変更をして使用する場合には、建築基準法令の規定は適用されない。
⛺ 仮設建築物・文化財(法第85条・法第3条第1項)
📖 仮設建築物の決まり(法第85条)
| 仮設建築物 | 決まり | 条文 |
|---|---|---|
| 非常災害区域等の応急仮設建築物(国・地方公共団体・日本赤十字社が建築するもの、被災者が自ら使う延べ面積30㎡以内のもの) | 災害が発生した日から1月以内に工事に着手するものは、建築基準法令の規定を適用しない(防火地域内を除く) | 法第85条第1項 |
| 災害時の公益上必要な応急仮設建築物、工事現場に設ける事務所・下小屋・材料置場など | 確認・検査(法第6条〜第7条の6)、第3章の規定などを適用しない。第20条(構造耐力)・第28条の2(石綿など)は適用する | 第2項 |
| 応急仮設建築物を3月を超えて存続させる | 特定行政庁の許可(2年以内) | 第3項・第4項 |
| 仮設興行場・博覧会建築物・仮設店舗など | 特定行政庁の許可(1年以内)。第3章の規定などを適用しない | 第6項 |
| 国際的な規模の会議・競技会などで1年を超えて使う仮設興行場等 | 特定行政庁が使用上必要な期間を定めて許可。あらかじめ建築審査会の同意が必要 | 第7項・第8項 |
✏️ 過去問:仮設建築物(法第85条)(10年で6肢)
正しいか誤りかを考えてから「正しい? 誤り?」を開いてください。解説は出題当時の法令によります。
問題:仮設建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
災害があった場合において建築する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物については、避難施設に関する規定が適用されず、当該建築物を建築した者は、その建築工事を完了した後3月を超えて当該建築物を存続させようとする場合、原則として、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢1
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法第85条第2項より、災害があった場合において建築する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物には、法第35条(避難施設等)などの規定は適用しない。法第85条第3項より、その建築工事を完了した後3月を超えて存続させようとする場合は、その超えることとなる日前に、特定行政庁の許可を受けなければならない。
問題:仮設建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
非常災害があった場合において、準防火地域である非常災害区域等に地方公共団体が災害救助のために建築する、延べ面積1,000㎡、地上3階建ての応急仮設建築物の病院で、災害が発生した日から1月以内にその工事に着手するものについては、建築基準法令の規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢1
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法第85条第1項より、非常災害区域等内において、国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築する応急仮設建築物の建築で、その災害が発生した日から1月以内にその工事に着手するものには、建築基準法令の規定は適用しない。除かれるのは防火地域内に建築する場合だけなので、準防火地域内の病院には適用されない(規模の制限もない)。
問題:仮設建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
災害があった場合において、準防火地域内に国が建築する、延べ面積500㎡、地上2階建ての応急仮設建築物である官公署については、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関する規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢2
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法第85条第2項より、災害があった場合において建築する官公署などの応急仮設建築物には第三章の規定などは適用しないが、同項ただし書より、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積が50㎡を超えるものには、法第62条(屋根)の規定が適用される。準防火地域内の延べ面積500㎡の官公署には、屋根の規定が適用される。
災害時の応急仮設建築物でも、防火地域・準防火地域内で延べ面積50㎡を超えるものには屋根の規定(法第62条)が適用される(法第85条第2項ただし書)。
問題:仮設建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
建替えのためその工事期間中、当該従前の建築物に代えて必要となる仮設店舗で、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして特定行政庁の許可を受けたものについては、内装の制限に関する規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢2
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法第85条第6項より、建替えのため工事期間中従前の建築物に代えて必要となる仮設店舗で、特定行政庁が許可したものには、法第12条第1項から第4項まで、第21条から第27条まで、第31条、第34条第2項、第35条の2(内装の制限)、第35条の3、第37条の規定並びに第三章の規定は適用しない。
問題:仮設建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
防火地域内に建築する仮設店舗で、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして特定行政庁の許可を受けたものについては、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分への防火戸等の防火設備の設置に関する規定は適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.8 選択肢3
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当時の法第85条第5項より、特定行政庁が許可した仮設店舗などの仮設建築物には、法第12条第1項から第4項まで、第21条から第27条まで、第31条、第34条第2項、第35条の2、第35条の3、第37条の規定並びに第三章の規定は適用しない。外壁の開口部で延焼のおそれのある部分の防火設備の規定(法第61条)は第三章の規定なので、適用されない。
2022年5月31日施行の改正で、仮設興行場・仮設店舗などの許可は法第85条第6項に、項の番号が繰り下がりました(内容は同じ)。答えは変わりません。
問題:次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
国際的な規模の会議の用に供することにより、1年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場を建築する場合は、特定行政庁の許可を受けなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.4 選択肢3
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法第85条第7項より、特定行政庁は、国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により1年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等について、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認める場合は、その使用上必要と認める期間を定めてその建築を許可することができる。許可を受けなければ建築できない。
✏️ 過去問:文化財の原形の再現(法第3条第1項第四号)(10年で1肢)
正しいか誤りかを考えてから「正しい? 誤り?」を開いてください。解説は出題当時の法令によります。
問題:ホテルに関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域、地区等の指定はなく、また、特段の記述がない限り、特定行政庁の許可等は考慮しないものとする。
文化財保護法の規定によって重要文化財として指定された建築物であったものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたものについては、建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定は、適用されない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和元年一級建築士試験 学科Ⅲ(法規)」No.20 選択肢4
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法第3条第1項第四号より、文化財保護法の規定によって重要文化財などとして指定された建築物などであったものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたものには、建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定は適用されない。
まとめ:既存建築物・用途の変更・仮設建築物で覚えておく数字
試験の前に見直す数字を、章ごとにまとめました。数字の右の説明が「何の数字か」です。「要点 ›」を押すと、くわしい説明に戻ります。
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