全20問の解答・解説
平成30年(2018年7月22日実施)の一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)の全20問を、選択肢ごとに正誤の理由を示して解説します。環境工学(熱・空気・光・音・色)と建築設備(空調・給排水・電気・防災)から出題されます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

平成30年 一級建築士試験(学科)の概要
問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)の試験問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各問の枠の右下に出典)。正答は、同センターの合格基準点等(正答肢)と全問を照らし合わせています。
解説は、出題当時の法令・基準によります(法令がからむ問題は平成30年1月1日時点の法令)。その後の改正や基準の改定で答えが変わる問題には「🔶 現在の基準では」、言い方だけが変わった問題には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
分野ごとの問題一覧
環境・設備の20問は、毎年おおむね同じ順番で、分野ごとに出題されます。解きたい問題を押すと、その問題へ移動します。
🌡️ 環境工学の用語・結露・換気・伝熱・防火(No.1〜No.5)
No.1環境工学の用語(長波長放射率・エネルギー代謝率・光幕反射・音の干渉)
環境工学における用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1長波長放射率は、赤外放射域において、「ある部材表面から発する単位面積当たりの放射エネルギー」を「その部材表面と同一温度の完全黒体から発する単位面積当たりの放射エネルギー」で除した値である。2エネルギー代謝率は、労働代謝の基礎代謝に対する比率で表され、人間の作業強度を表す指標である。3光幕反射は、机上面の光沢のある書類に光が当たる場合等、光の反射によって文字等と紙面との輝度対比が大きくなる現象である。4音の干渉は、二つ以上の音波が同時に伝搬する場合、音波の重なり具合によって振幅が変化する現象である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.1
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長波長放射率は、赤外線の範囲で、部材の表面が出す放射エネルギーを、同じ温度の完全黒体が出す放射エネルギーで割った値。
エネルギー代謝率(RMR)は、作業で増えた代謝量(労働代謝)を基礎代謝で割った比率で、作業の強さを表す。
光幕反射は、光沢のある紙面などで光が反射して、文字などと紙面との輝度対比が小さくなり、文字が見えにくくなる現象。輝度対比が大きくなるのではない。
音の干渉は、2つ以上の音波が重なるとき、山と山が重なれば強め合い、山と谷が重なれば弱め合って、振幅が変わる現象。
No.2結露(加熱と露点温度・窓のカーテン・二重サッシ・押入れの襖)
結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1空気を加熱しても、絶対湿度が同じ場合、その空気の露点温度は変化しない。2窓ガラスの室内側にカーテンを設けることは、冬期におけるガラス面の結露の防止対策として期待できない。3冬期において、二重サッシの間の結露を防止するためには、室外側サッシの気密性に比べて室内側サッシの気密性を高くすることが有効である。4冬期において、外壁に接する押入れ内に生じる結露を防止するためには、押入れの襖の断熱性を高くすることが有効である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.2
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露点温度は絶対湿度(水蒸気の量)で決まるので、空気を加熱しても絶対湿度が同じなら、露点温度は変わらない。
窓の室内側にカーテンを付けると、ガラス面が室内の暖かい空気から遮られてさらに冷え、湿った空気はカーテンのすき間から入るので、ガラス面の結露の防止は期待できない(かえって結露しやすい)。
二重サッシの間の結露を防ぐには、室内の湿った空気が入らないよう、室内側のサッシの気密性を室外側より高くする。
押入れの襖の断熱性を高くすると、室内の暖かさが押入れに伝わりにくくなり、押入れの中(外壁側)の温度がさらに下がって結露しやすくなる。外壁側の断熱の強化や通気で防ぐ。
No.3換気(全般換気・第一種機械換気・風力換気・温度差換気)
換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1全般換気は、室全体の空気を入れ替えることにより、室内で発生する汚染物質の希釈、拡散及び排出を行う換気方式のことである。2第一種機械換気方式は、給気機及び排気機を用いるため、正圧に保つ必要のある室にも採用することが可能である。3風圧力によって室内を換気する場合、その換気量は、外部風向と開口条件が一定であれば、外部風速の平方根に比例する。4温度差による換気において、外気温度が室内温度よりも高い場合、外気は中性帯よりも上側の開口から流入する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.3
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全般換気は、室全体の空気を入れ替えて、室内で発生した汚染物質を薄め、広げ、排出する換気方式。
第一種機械換気は給気機と排気機の両方を使うので、給気量を多くすれば室を正圧に保つこともできる。
風力による換気量は、風向と開口の条件が同じなら、外部の風速に比例する(風圧は風速の2乗に比例し、換気量は風圧の平方根に比例するため)。風速の平方根に比例するのではない。
外気が室内より暖かい場合は、室内の冷たい空気が中性帯より下の開口から出て、外気は中性帯より上の開口から入る。
No.4伝熱(断熱と上下温度差・相当外気温度・日射熱取得率・発泡断熱材の気泡)
伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1室の断熱性能を高めることにより、一般に、室温と室内表面温度との差を小さくすることができ、室内の上下の温度差も小さくすることができる。2日射を受ける外壁面に対する相当外気温度(SAT)は、その面における日射吸収量、風速等の影響を受ける。3窓ガラスの日射熱取得率(日射侵入率)は、「ガラスに入射した日射量」に対する「ガラスを透過した日射量」の割合である。4同種の発泡系の断熱材で空隙率が同じ場合、熱伝導率は、一般に、断熱材内部の気泡寸法が大きいものほど大きくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.4
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断熱性能を高めると、壁などの室内表面温度が室温に近づき、冷たい面による下降気流も減るので、室内の上下の温度差も小さくなる。
相当外気温度(SAT)は、外気温度に日射の吸収の効果などを加えた見かけの外気温度で、日射吸収量や、風速で変わる表面の熱伝達率の影響を受ける。
窓ガラスの日射熱取得率は、入射した日射量に対する、透過した日射量と、ガラスが吸収してから室内側に放出した熱量との和の割合。透過した日射量だけの割合は日射透過率。
発泡系の断熱材は、空隙率が同じなら、気泡が大きいほど泡の中の対流や放射で熱が伝わりやすくなり、熱伝導率は大きくなる。
No.5建築物の防火・防災(防火扉の自動閉鎖・層間区画・廊下の煙の流動速度・木材の引火と発火)
建築物における防火・防災に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1防火扉は、火災や煙の伝播・拡大を防ぐために、自動的に閉鎖する機構を有する。2「層間区画」は、上下階の延焼拡大を防止するために、耐火構造や準耐火構造の、スラブ等の水平方向の部材や外壁のスパンドレル等の垂直方向の部材により形成するものである。3火災室から廊下へ流出した煙の水平方向の流動速度は、3~5m/sである。4建築物に使用するアカマツ、ケヤキ等の木材は、一般に、約260℃に達すると引火し、約450℃に達すると自然に発火する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.5
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防火扉は、火災や煙が広がるのを防ぐため、感知器と連動するなどして自動的に閉まる機構をもつ。
層間区画は、上下の階への延焼を防ぐため、耐火構造などの床スラブ(水平の部材)や、外壁のスパンドレル(垂直の部材)でつくる区画。
火災室から廊下に出た煙が水平方向に流れる速さは0.5〜1m/s程度(人の歩く速さと同じくらい)。3〜5m/s は、階段室などの竪穴を上昇するときの速さ。
木材は、約260℃で引火しやすくなり(出火の危険温度)、約450℃になると火種がなくても自然に発火する。
💡 昼光・日射・色彩・音(No.6〜No.10)
No.6窓のある室の点Pの昼光率と照度(水平面照度・内装の色・立体角投射率・窓に近づける)
図のような窓をもつ直方体の室がある。この室内にある机の上の点Pにおける昼光率及び照度に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、窓の外には昼光を遮る障害物はないものとする。
図を押すと大きく表示します 1点Pにおける水平面照度は、窓面における屋外側の鉛直面照度に昼光率を乗じた値となる。2室内の内装材を暗い色にすると、点Pにおける昼光率は小さくなる。3窓ガラスが完全透過で、窓面に占める窓枠等の面積割合が十分に小さく、かつ、間接照度を無視できるとき、点Pにおける昼光率は、その点における窓面の立体角投射率にほぼ等しい。4机の位置をx軸に沿って窓面に近づけると、点Pにおける窓面の立体角投射率は大きくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.6
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昼光率は、室内のある点の照度を、全天空照度(周りに遮るものがない屋外の水平面での天空光による照度)で割った値。点Pの水平面照度は、全天空照度に昼光率を掛けて求める。窓面の屋外側の鉛直面照度に掛けるのではない。
昼光率には、窓から直接届く光(直接昼光率)に加えて、天井・壁・床で反射して届く光(間接昼光率)も含まれる。内装を暗い色にすると反射光が減り、昼光率は小さくなる。
窓ガラスが完全に光を通し、窓枠などが十分に小さく、間接光を無視できれば、点Pの昼光率は、その点から見た窓面の立体角投射率にほぼ等しい。
机を窓に近づけると、点Pから見た窓が大きく見える(立体角が大きくなる)ので、窓面の立体角投射率は大きくなる。
No.7太陽高度60度のときの法線面・南向き鉛直面の直達日射量(計算)
ある地点における南中時の太陽高度が60度のときの水平面直達日射量はJHであった。このときの法線面直達日射量JNと南向き鉛直面直達日射量JVの値の組合せとして、最も適当なものは、次のうちどれか。
JN JV 1. 2JH/√3 JH/√3 2. 2JH/√3 √3/JH 3. 2JH JH/√3 4. 2JH √3JH 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.7
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太陽高度を h とすると、JH=JN×sin h、南中時の JV=JN×cos h。
・JN=JH÷sin60°=JH÷(√3/2)=2JH/√3
・JV=JN×cos60°=2JH/√3×1/2=JH/√3
JN は合っているが、JV は JN×cos60°=JH/√3 で、√3/JH ではない(日射量の単位にもならない)。
JN は JH÷sin60°=2JH/√3。2JH は sin30°(=1/2)で割ってしまった値。
JN・JV ともに違う。JN=2JH/√3、JV=JH/√3。
No.8色彩(色の恒常性・明度とマンセル表色系・分光反射の均等な物体・色光の誘目性)
色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1照明の光がわずかに変化した場合であっても、その光が一様に物体に当たっていれば、色の恒常性により物体の色を同じ色として認識できる。2明度は、視感反射率に対応する値であり、マンセル表色系ではヒューとして表される。3全波長を均等に反射する分光分布をもつ物体を昼間の太陽光のもとで見るとき、その物体の反射率が高いほど、太陽光の色に近い白色に見える。4色光の誘目性は、一般に、色相においては赤が最も高く、青がこれに次ぐ。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.8
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照明の光が少し変わっても、物体全体に一様に当たっていれば、色の恒常性によって、物体の色を同じ色として認識できる。
明度は視感反射率に対応する値で、マンセル表色系ではバリュー(Value)で表す。ヒュー(Hue)は色相。
すべての波長を均等に反射する物体は、太陽光のもとでは無彩色に見え、反射率が高いほど、太陽光の色に近い白に見える。
色光の誘目性(人の目を引きつける度合い)は、色相では赤が最も高く、青がそれに次ぐとされる。
No.9音響(音の強さのレベル・最適残響時間・音の大きさの感覚・カクテルパーティー効果)
音響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1音の強さのレベルを30dB下げるためには、音の強さを1/1,000にする。2コンサートホール等の最適残響時間として推奨される値は、一般に、室容積が大きくなるほど長くなる。3音の大きさの感覚量は、音圧レベルが一定の場合、低音域で小さく、3~4kHz付近で最大となる。4カクテルパーティー効果は、周囲が騒がしいことにより、聞きたい音が聞き取りにくくなる現象をいう。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.9
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レベルの差は 10log(音の強さの比)dB。30dB下げるには、10log(比)=−30 より、比=10−3=1/1,000 にする。
コンサートホールなどの最適残響時間は、室容積が大きいほど長くなる。
音圧レベルが同じなら、人の耳は低い音に鈍感で、3〜4kHz 付近の音を最も大きく感じる。
カクテルパーティー効果は、騒がしい中でも、聞きたい音を選んで聞き取ることができる聴覚の性質。騒がしくて聞き取りにくくなる現象ではない(それはマスキング)。
No.10吸音・遮音(吸音率・板振動型の吸音とグラスウール・吸音と室間音圧レベル差・ダクトの消音)
吸音・遮音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1吸音率は、「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁内部に吸収される音のエネルギー」の割合である。2背後空気層をもつ板振動型吸音機構において、空気層部分にグラスウールを挿入した場合、高周波数域での吸音効果についてはあまり期待できない。3音の反射性が高い面で構成された室に吸音材料を設置すると、壁を隔てた隣室で音を放射したときの2室の室間音圧レベル差(2室間の遮音性能)は大きくなる。4空調用のダクト内の音の伝搬においては、音の強さの減衰が小さいことから、一般に、ダクト内に吸音材を貼る等の遮音上の対策が行われる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.10
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吸音率は、入射した音のエネルギーに対する、壁に吸収された音と壁を透過した音のエネルギーの和(反射されなかった分)の割合。吸収された音だけの割合ではない。
板振動型の吸音構造は低い音を吸うもので、背後の空気層にグラスウールを入れても、高い音の吸音効果はあまり期待できない(低音域の吸音の山が広がる程度)。
音が反射しやすい室に吸音材を設けると、受音室の音圧レベルが下がるので、隣の室で音を出したときの2室間の音圧レベル差は大きくなる。
ダクトの中では音がほとんど減衰せずに伝わるので、ダクト内に吸音材を貼る(消音ダクト・消音器)などの対策をする。
🌀 換気・空気調和設備(No.11〜No.13)
No.11換気設備(営業用厨房の圧力・ボイラー室の給気量・全熱交換器のバイパス・置換換気)
換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1営業用厨房は、一般に、厨房内へ客席の臭気等が流入しないように、厨房側を客席側よりも正圧に保つ。2ボイラー室の給気量は、「燃焼に必要な空気量」に「室内発熱を除去するための換気量」を加えた量とする。3外気取入れ経路に全熱交換器が設置されている場合、中間期等の外気冷房が効果的な状況においては、一般に、バイパスを設けて熱交換を行わないほうが省エネルギー上有効である。4置換換気は、空間上部の高温(汚染)領域と空間下部の低温(新鮮)領域との空気密度差によって生じる、空気の浮力を利用した換気方式である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.11
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営業用厨房は、臭いや熱・水蒸気が客席側へ流れ出ないよう、排気量を給気量より多くして、厨房側を客席側より負圧に保つ。
ボイラー室の給気量は、燃焼に必要な空気量に、室内の発熱を取り除くための換気量を加えた量とする。
中間期など外気で冷房したいときは、全熱交換器で熱交換すると、取り入れた冷たい外気がわざわざ温められてしまう。バイパスで熱交換をしないほうが省エネルギーになる。
置換換気は、空間の上部の高温(汚れた)領域と、下部の低温(新鮮な)領域の空気の密度差による浮力を利用して、汚れた空気を上へ押し上げて排気する方式。
No.12空気調和設備(吸収冷凍機・冷却塔の出口水温・冷却水と湿球温度・APF)
空気調和設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1吸収冷凍機は、一般に、運転中も機内が真空に近い状態であり、圧力による破裂等のおそれがない。2空調熱源用の冷却塔の設計出口水温は、冷凍機の冷却水入口水温の許容範囲内の高い温度で運転したほうが、省エネルギー上有効である。3冷却塔内の冷却水の温度は、外気の湿球温度よりも低くすることはできない。4パッケージユニット方式の空調機のAPF(Annual Performance Factor)は、「想定した年間の空調負荷」と「年間の消費電力量」により求められる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.12
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吸収冷凍機は、運転中も機内が真空に近い状態で使うので、圧力による破裂などのおそれがない。
冷却水の温度が低いほど冷凍機の凝縮温度が下がり、COP がよくなる。冷却塔の出口水温(冷凍機の冷却水入口水温)は、許容範囲内で低い温度で運転したほうが省エネルギーになる。
冷却塔は水の蒸発で冷やすので、冷却水の温度は外気の湿球温度より低くはできない。
パッケージ型空調機の APF(通年エネルギー消費効率)は、想定した年間の空調負荷(冷房と暖房の総合負荷)を、年間の消費電力量で割って求める。
No.13空気調和設備(デシカント空調・床吹出し空調の上下温度差・蓄熱槽と部分負荷・放射暖房)
空気調和設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1デシカント空調方式は、除湿剤等を用いることにより潜熱を効率よく除去することが可能であり、潜熱と顕熱とを分離処理する空調システムに利用することができる。2床吹出し空調方式は、事務所等で利用され、冷房・暖房のいずれにおいても、居住域での垂直温度差が生じにくい。3蓄熱槽を利用した空調方式では、建築物の冷房負荷が小さくなる中間期の冷房においても、冷房負荷の大きい夏期と同様に、冷凍機の成績係数(COP)を高く維持することが可能である。4放射暖房方式は、一般に、室の床、壁、天井や放射パネルを加熱して、その放射熱を利用するものである。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.13
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デシカント空調は、除湿剤で湿気(潜熱)を効率よく取り除けるので、潜熱と顕熱を別々に処理する空調システム(潜顕分離)に使える。
床吹出し空調は、暖房では暖かい空気が足元から上がるので上下の温度差が小さいが、冷房では冷たい空気が床付近にたまるので、居住域で上下の温度差が生じやすい。冷房・暖房のどちらでも温度差が生じにくいのではない。
蓄熱槽があれば、冷房負荷が小さい中間期でも、冷凍機を効率のよい全負荷で運転して蓄熱できるので、夏期と同じように COP を高く保てる。
放射暖房は、床・壁・天井や放射パネルを温め、その放射熱で暖房する方式。
🚰 給水・給湯排水・電気・発電設備(No.14〜No.17)
No.14給水設備(受水槽の点検スペース・消火用水槽・散水栓のバキュームブレーカー・井戸水の配管との接続)
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1上水受水槽の保守点検スペースとして、水槽の上部に100cm、側面及び下部にそれぞれ60cmのスペースを確保した。2上水受水槽と別に設ける消火用水槽として、建築物の地下ピットを利用した。3屋外の散水栓において、逆流を防止するためにバキュームブレーカーを設けた。4断水時にも水が使用できるように、水道直結直圧方式の上水給水配管と井戸水配管とをバルブを介して接続した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.14
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上水の受水槽は外側から六面すべてを点検できるようにし、上部に100cm以上、側面と下部に60cm以上の点検スペースをとる(昭和50年建設省告示第1597号)。
上水の受水槽は建物の躯体を利用できないが、上水と別に設ける消火用の水槽なら、建物の地下ピットを利用できる。
屋外の散水栓は、ホースの先が水たまりなどに入って汚れた水が逆流するおそれがあるので、バキュームブレーカーを設ける。
上水(水道直結)の配管と井戸水の配管をバルブを介してつなぐと、バルブの閉め忘れや漏れで井戸水が上水に混ざるおそれがある。飲料水の配管とほかの配管を直接つなぐクロスコネクションは禁止されている(建築基準法施行令 第129条の2の5第2項第一号。今の第129条の2の4)。
建築基準法施行令 第129条の2の5第2項第一号(飲料水の配管設備とその他の配管設備とは、直接連結させない。試験の基準日の番号で、令和元年6月25日の改正で今の第129条の2の4に繰り上がった)
No.15給排水衛生設備(ガス給湯機の号数・膨張管の止水弁・グリース阻集器・排水槽の通気管)
給排水衛生設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1ガス瞬間式給湯機の給湯能力は、1 l の水の温度を1分間に25℃上昇させる能力を1号として表示される。2給湯設備における加熱装置と膨張タンクとを連結する膨張管には、止水弁を設ける。3営業用厨房の排水設備において、グリース阻集器への流入管には、一般に、トラップを設けない。4排水槽に設ける通気管は、一般に、排水管に接続する通気管とは別に設け、外気に開放させる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.15
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ガス瞬間式給湯機の1号は、1分間に1Lの水の温度を25℃上げる能力。
膨張管は、加熱で膨張した湯を膨張タンクへ逃がして、配管や加熱装置の圧力が異常に上がるのを防ぐ管なので、止水弁を設けてはならない(閉じたままだと逃げ道がなくなり危険)。
グリース阻集器はそれ自体がトラップの機能をもつので、流入管にさらにトラップを設けると二重トラップになる。流入管には一般にトラップを設けない。
排水槽の通気管は、ほかの排水系統の通気管とは別に単独で設け、直接外気に開放する(臭気がほかの系統に入らないようにする)。
No.16電気設備(配電電圧と電線の太さ・スターデルタ始動・進相コンデンサ・スポットネットワーク受電)
電気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1同一容量の負荷設備に電力を供給する場合、同じ種別の電線であれば、配電電圧が200Vより400Vのほうが、電線は細いものを使用することができる。2かご形三相誘導電動機の始動電流は、全電圧始動方式よりもスターデルタ始動方式のほうが大きくなる。3受変電設備における進相コンデンサは、主に、力率を改善するために用いられる。4受電方式には、1回線受電方式の他に、電力供給の信頼性に重点をおいたスポットネットワーク受電方式等がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.16
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同じ容量の負荷に電力を送るとき、電圧が高いほど電流が小さくなるので、400Vのほうが200Vより細い電線を使える。
スターデルタ始動は、始動時に巻線をスター結線にして電圧を下げる方式で、始動電流は全電圧始動の約1/3に小さくなる。
受変電設備の進相コンデンサは、主に力率を改善するために用いる。
受電方式には、1回線受電のほか、供給の信頼性を重視した2回線受電やスポットネットワーク受電などがある。
No.17発電設備(デュアルフューエル・燃料槽の規制・燃料電池の非常電源・コージェネの発電効率)
発電設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1デュアルフュエルタイプの発電機に用いる燃料は、通常時にはガスを用い、災害時等にガスの供給が停止した場合には重油等を用いることができる。2屋内に設置する発電機用の燃料槽は、消防法の規定による指定数量以上の燃料を備蓄する場合、屋内貯蔵所等として規制を受ける。3燃料電池設備は、消防法の規定に適合する場合、消防用設備等の非常電源として用いることができる。4コージェネレーションシステムに使用される発電機の発電効率は、一般に、ガスエンジンに比べてガスタービンのほうが高い。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.17
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デュアルフューエルの発電機は、ふだんはガスを燃料とし、災害でガスが止まったときは重油などに切り替えて運転できる。
屋内の発電機用の燃料槽で、消防法の指定数量以上の燃料(重油など)を貯蔵する場合は、屋内貯蔵所や屋内タンク貯蔵所などとして規制を受ける。
燃料電池設備は、消防法の基準に適合すれば、消防用設備等の非常電源として使える(消防法施行規則 第12条)。
コージェネレーションに使う発電機の発電効率は、一般にガスエンジンのほうがガスタービンより高い。ガスタービンは発電効率は低めだが、高温の排熱を多く回収でき、小型・軽量で振動が小さい。
🔥 防災設備・省エネルギー・環境と設備(No.18〜No.20)
No.18防災設備(高感度型スプリンクラーヘッド・差動式熱感知器・非常用の照明装置の照度・排煙口の水平距離)
防災設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1閉鎖型スプリンクラーヘッドの種別について、感度種別が1種で、かつ、有効散水半径が2.6m以上であるものは「高感度型」に分類される。2自動火災報知設備において、差動式熱感知器は、一般に、厨房、ボイラー室又はサウナ室に設置する。3非常用の照明装置は、常温下で床面において水平面照度で1lx(蛍光灯又はLEDランプを用いる場合には2lx)以上を確保する。4排煙設備の排煙口は、原則として、防煙区画のそれぞれについて、当該防煙区画部分の各部分から排煙口のいずれかに至る水平距離が30m以下となるように設ける。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.18
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閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち、感度種別が1種で、有効散水半径が2.6m以上のものは「高感度型」に分類される。
差動式熱感知器は、温度が急に上がったときに作動するので、ふだんから温度が急に上がる厨房・ボイラー室・サウナ室には向かない(誤作動のおそれ)。これらの室には、一定の温度で作動する定温式熱感知器を設ける。
非常用の照明装置は、常温の床面で水平面照度1lx以上(蛍光灯や LED ランプでは2lx以上)を確保する。
排煙口は、防煙区画のそれぞれについて、区画の各部分から排煙口のいずれかまでの水平距離が30m以下になるように設ける(建築基準法施行令 第126条の3第1項第三号)。
建築基準法施行令 第126条の3第1項第三号(排煙口は、防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が30m以下)
No.19設備計画の省エネルギー(空調ポンプの変流量・ヒートポンプ給湯機・太陽電池の変換効率・エレベーターの群管理)
設備計画における省エネルギーに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1空調用ポンプについては、熱負荷の時刻別の変動が大きい建築物であったため、変流量方式を採用した。2温暖な地域において、大気中の熱エネルギーを利用するため、ヒートポンプ式給湯機を採用した。3太陽光発電設備において、単結晶シリコン太陽電池モジュールよりもエネルギー変換効率が高いアモルファスシリコン太陽電池モジュールを採用した。4大規模な建築物に設置する多数台のエレベーターの管理において、省エネルギーとサービス性の向上との両立を図るため、群管理方式を採用した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.19
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熱負荷が時刻で大きく変わる建物では、空調用ポンプを変流量方式にすると、負荷に応じて流量を減らしてポンプの動力を節約できる。
温暖な地域では大気の熱をくみ上げやすいので、ヒートポンプ式給湯機の効率がよく、省エネルギーになる。
アモルファスシリコン太陽電池は、単結晶シリコン太陽電池よりエネルギー変換効率が低い(単結晶のほうが高い)。変換効率を重視するなら単結晶シリコンを選ぶ。
多数台のエレベーターを群管理方式にすると、呼びに応じて最適な号機を割り当てるので、省エネルギーとサービス(待ち時間の短縮)を両立できる。
No.20環境・設備(CASBEE・BREEAM・LEED・LCCO2・省エネ基準のエネルギー消費量・地域冷暖房)
環境・設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1日本における建築物の総合環境性能評価システムとしてはCASBEEがあり、他国においてはBREEAM(英国)、LEED(米国)等がある。2LCCO2による環境性能評価においては、一般に、「資材生産」、「輸送」、「施工」、「運用」、「保守」、「更新」及び「解体除却」で示される建築物のライフサイクルの各過程におけるCO2排出量を推定する。3「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」に基づく省エネルギー基準の適否の判断に用いられるエネルギー消費量は、電力、ガス、石油等の二次エネルギーの消費量である。4地域冷暖房システムの導入は、一般に、未利用熱の活用による排熱削減が期待でき、ヒートアイランド現象の緩和にも効果的である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.20
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日本の建築物の総合環境性能評価システムは CASBEE で、海外には BREEAM(英国)・LEED(米国)などがある。
LCCO2 では、資材の生産・輸送・施工・運用・保守・更新・解体除却まで、建物のライフサイクルの各段階の CO2 排出量を推定する。
建築物省エネ法の省エネルギー基準で使うエネルギー消費量は、電気・ガス・石油などを、発電所などで使われたエネルギーまでさかのぼって換算した一次エネルギー消費量。二次エネルギーの消費量ではない。
地域冷暖房システムは、まとめて熱をつくることで未利用熱を活用でき、排熱を減らせるので、ヒートアイランド現象の緩和にも効果がある。
平成30年の合格基準点(学科の試験)
配点は各問題1点(学科Ⅰ・Ⅱは各20点、学科Ⅲ・Ⅳは各30点、学科Ⅴは25点、合計125点)で、各科目の基準点と総得点の基準点のすべてに達した人が合格です。
| 学科Ⅰ 計画 | 学科Ⅱ 環境・設備 | 学科Ⅲ 法規 | 学科Ⅳ 構造 | 学科Ⅴ 施工 | 総得点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格基準点 | 11点 | 11点 | 16点 | 16点 | 13点 | 91点 |
※ 平成30年の合格基準点は、各科目が計画11点・環境設備11点・法規16点・構造16点・施工13点、総得点が91点でした。
出典:建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験『学科の試験』の合格基準点等について」
平成30年の環境・設備の基準点は11点(20点中)でした。環境・設備は計算問題もある科目で、20問と問題数が少ないぶん1問の重みが大きいので、用語と式の意味を過去問で正誤の理由まで説明できるようにしておくと安心です。
ほかの年度・ほかの科目の過去問
この記事の問題文と図は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している平成30年 一級建築士試験(学科の試験)の問題から、著作権法第32条の引用として掲載しています。著作権は同センターにあります。
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