全30問の解答・解説
平成29年(2017年7月23日実施)の一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)の全30問を、選択肢ごとに正誤の理由を示して解説します。構造力学(計算)・荷重と外力・各種構造(木造・RC・S・SRC・基礎)・建築材料から出題されます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

平成29年 一級建築士試験(学科)の概要
問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)の試験問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各問の枠の右下に出典)。正答は、同センターの合格基準点等(正答肢)と全問を照らし合わせています。
解説は、出題当時の法令・基準によります(法令がからむ問題は平成29年1月1日時点の法令)。その後の改正や基準の改定で答えが変わる問題には「🔶 現在の基準では」、言い方だけが変わった問題には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
分野ごとの問題一覧
構造の30問は、毎年おおむね同じ順番で、分野ごとに出題されます。解きたい問題を押すと、その問題へ移動します。
📐 構造力学(組合せ応力・重ね梁・曲げモーメント図・崩壊機構・トラス・座屈・Rt)(No.1〜No.7)
No.1軸力と水平力を受ける片持ち柱の柱脚の縁応力度
図-1のように、脚部で固定された柱の頂部に鉛直荷重N及び水平荷重Qが作用している。柱の断面形状は図-2に示すような長方形断面であり、鉛直荷重N及び水平荷重Qは断面の図心に作用しているものとする。柱脚部断面における引張縁応力度と圧縮縁応力度との組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、柱は等質等断面とし、自重は無視する。また、応力度は弾性範囲内にあるものとし、引張応力度を「+」、圧縮応力度を「-」とする。
図を押すと大きく表示します
引張縁応力度(N/mm²) 圧縮縁応力度(N/mm²) 1. +6 -14 2. +8 -12 3. +11 -19 4. +13 -17 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.1
▼ 解答・解説を見る(No.1)▲ 解答・解説を閉じる
柱脚の断面(幅200mm・せい300mm。Qはせい300mm の方向)には、軸力N=120kN と曲げモーメントM=15kN×2,000mm=30×10⁶N・mm が働く。
・軸方向応力度:N/A=120,000÷(200×300)=2N/mm²(圧縮)
・曲げ応力度:Z=200×300²/6=3×10⁶mm³、M/Z=30×10⁶÷(3×10⁶)=10N/mm²
・引張縁:-2+10=+8N/mm²、圧縮縁:-2-10=-12N/mm²
No.2単一材の梁と重ね梁(スパン2倍)の最大たわみの比
図のような断面形状の単純梁A及びBの中央に集中荷重Pが作用したとき、それぞれ曲げによる最大たわみδA及びδBが生じている。δAとδBとの比として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、梁A及びBは同一材質の弾性部材とし、自重は無視する。また、梁Bは重ね梁であり、接触面の摩擦はないものとする。
図を押すと大きく表示します
δA : δB 1. 1 : 1 2. 1 : 2 3. 1 : 4 4. 1 : 8 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.2
▼ 解答・解説を見る(No.2)▲ 解答・解説を閉じる
中央の集中荷重による最大たわみは δ=PL³/(48EI)(L:スパン)。
・梁A:スパンl、断面はa×aで I=a⁴/12
・梁B:スパン2l(L³は8倍)。摩擦のない重ね梁なので、a×aの梁が2本別々に曲がり、Iは2×a⁴/12(2倍)
・δB/δA=8÷2=4 → δA:δB=1:4
No.3ピン・ローラー支持のラーメンに鉛直荷重と水平荷重が作用したときの曲げモーメント図
図のようなラーメンに鉛直荷重4P及び水平荷重Pが作用したときの曲げモーメント図として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、曲げモーメント図は、材の引張側に描くものとする。
図を押すと大きく表示します 1図の12図の23図の34図の4出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.3
▼ 解答・解説を見る(No.3)▲ 解答・解説を閉じる
左の柱脚はピン、右の柱脚はローラー(鉛直反力だけ)で、静定のラーメン。
・左の支点まわりのモーメント:4P×l+P×2l=(右の鉛直反力)×2l → 右の鉛直反力=3P。左の鉛直反力は上向きP、水平反力は左向きP
・右の柱:ローラーの反力は柱の軸方向だけなので、曲げモーメントは0(右の柱と梁の右端も0)
・左の柱:柱頭の曲げモーメントは 水平反力P×高さ2l=2Pl(柱脚は0)
・梁:左端は2Pl、荷重点(中央)は 右の反力3P×l=3Pl、右端は0
これを示すのは図の1。
No.42層ラーメンの崩壊メカニズム(梁のせん断力・鉛直反力・水平荷重・柱のせん断力)
図は2層のラーメンに水平荷重P及び2Pが作用したときの正しい崩壊メカニズムを示したものである。次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、最上階梁及び2階梁の全塑性モーメントはそれぞれMp及び2Mpとし、1階柱の柱脚の全塑性モーメントは2Mpとする。
図を押すと大きく表示します 1最上階梁のせん断力Qbは、Mp/lである。2鉛直反力Vは、3Mp/lである。3水平荷重Pは、2Mp/lである。41階右側の柱のせん断力Qcは、6Mp/lである。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.4
▼ 解答・解説を見る(No.4)▲ 解答・解説を閉じる
最上階梁の両端はMpなので、せん断力は (Mp+Mp)÷2l=Mp/l。
右側の柱脚の鉛直反力は、2本の梁のせん断力の和:最上階梁Mp/l+2階梁 (2Mp+2Mp)÷2l=2Mp/l で、3Mp/l。
柱の回転角をθとすると、2階の変位はlθ、最上階は2lθ。仮想仕事の式:P×lθ+2P×2lθ=5Plθ=(Mp×2+2Mp×2+2Mp×2)θ=10Mpθ → P=2Mp/l。
1階の層せん断力は P+2P=3P=6Mp/lで、これを左右の柱が等しく負担するので、1階右側の柱のせん断力は3Mp/l。6Mp/l(1階全体の層せん断力)ではない。
No.5平行弦トラスの斜材の軸方向力
図のような荷重が作用するトラスにおいて、部材ABに生じる軸方向力として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。
図を押すと大きく表示します 1-√2P2-√2P/23+√2P/24+√2P出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.5
▼ 解答・解説を見る(No.5)▲ 解答・解説を閉じる
荷重は左右対称なので、支点の反力はどちらも 2P。
・部材AB(左から2番目のパネルの斜材。上のA点から右下のB点へ45°)を含むパネルを切り、左側の部分の鉛直のつり合いを考える
・左側に働く鉛直の力は、反力2P(上向き)とA点の荷重P(下向き)で、差し引き上向きP(パネルのせん断力)
・これを斜材ABの鉛直成分が打ち消すので、NAB×(1/√2)=P → NAB=√2P。左側の部分を右下へ引っ張る向きの力なので引張り → +√2P
No.6支持条件と高さが異なる構造物の柱の弾性座屈荷重の大小
図のような構造物A、B、Cの柱の弾性座屈荷重をそれぞれPA、PB、PCとしたとき、それらの大小関係として正しいものは、次のうちどれか。ただし、全ての柱は等質等断面で、梁は剛体であり、柱及び梁の自重、柱の面外方向の座屈は無視する。
図を押すと大きく表示します 1PA>PC>PB2PB>PA>PC3PC>PA>PB4PC>PB>PA出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.6
▼ 解答・解説を見る(No.6)▲ 解答・解説を閉じる
弾性座屈荷重は P=π²EI/lk²で、座屈長さlkが短いほど大きい。梁は剛体なので、柱頭は回転しない。
・A:柱脚ピン・柱頭は回転拘束で水平移動は自由、高さ2h → lk=2×2h=4h
・B:柱脚固定・柱頭は回転拘束で水平移動は自由、高さ5h → lk=5h
・C:柱脚固定・柱頭は回転拘束で、梁の両側の支持により水平移動も拘束、高さ6h → lk=0.5×6h=3h
座屈長さは C(3h)<A(4h)<B(5h)なので、PC>PA>PB。
No.7振動特性係数 Rt と設計用一次固有周期・地盤の種別の関係を示す図
建築基準法における地震層せん断力係数Ciの計算に用いる振動特性係数Rtは、建築物の設計用一次固有周期Tと地盤の種別に応じて定められている。それらの関係を示す図として、適当なものは、次のうちどれか。
図を押すと大きく表示します 1図の12図の23図の34図の4出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.7
▼ 解答・解説を見る(No.7)▲ 解答・解説を閉じる
振動特性係数Rtは(昭和55年建設省告示第1793号)、
・Tが地盤の種別ごとのTc(第1種地盤0.4秒・第2種地盤0.6秒・第3種地盤0.8秒)より短い間は1.0
・TがTcを超えると、Tが長いほど小さくなる
・同じTでは、軟らかい地盤(第3種)ほど大きい
これを満たすのは、どの地盤も0.4秒以下では1.0で、第1種→第2種→第3種の順に下がり始めが遅く、値が大きい図の1。図の2・図の4は地盤の大小が逆、図の3は短い周期から1.0を下回っているので誤り。
🌬️ 荷重・外力・木造(No.8〜No.10)
No.8建築基準法における荷重及び外力(学校の屋上広場の積載荷重・雪下ろし・Er・地震層せん断力)
建築基準法における荷重及び外力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1学校の屋上広場の単位面積当たりの積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、教室の単位面積当たりの積載荷重と同じ数値とすることができる。2雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。3風圧力における平均風速の高さ方向の分布を表す係数Erは、建築物の高さが同じ場合、一般に、「都市計画区域外の極めて平坦で障害物がない区域」より「都市計画区域内の都市化が極めて著しい区域」のほうが小さい。4建築物の地上部分における各層の地震層せん断力Qiは、最下層の値が最も大きくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.8
▼ 解答・解説を見る(No.8)▲ 解答・解説を閉じる
学校の屋上広場の積載荷重は、建築基準法施行令 第85条第1項の表の(八)により、(四)(百貨店又は店舗の売場)の数値(床の計算用2,900N/㎡)を用いる。教室(2,300N/㎡)と同じではない。
雪下ろしを行う慣習のある地方では、垂直積雪量が1mを超えても、雪下ろしの実況に応じて1mまで減らして計算できる(建築基準法施行令 第86条第6項)。
Erは、地表面が粗いほど小さいので、地表面粗度区分Ⅰ(極めて平坦で障害物がない区域)より区分Ⅳ(都市化が極めて著しい区域)のほうが小さい(平成12年建設省告示第1454号)。
地震層せん断力Qiは、その層より上の部分の重さに層せん断力係数を乗じたものなので、最下層が最も大きい。
建築基準法施行令 第85条第1項(表の(八):屋上広場は(一)の数値、学校又は百貨店は(四)の数値)・第86条第6項(雪下ろしによる1mまでの低減)
No.9木造軸組工法による地上2階建ての建築物(風圧力の必要壁量・筋かいの寸法・たすき掛けの倍率・筋かいと間柱)
木造軸組工法による地上2階建ての建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1平面が長方形の建築物において、必要壁量が風圧力により決定されたので、張り間方向と桁行方向の壁量が、それぞれの方向の必要壁量以上となるように設計した。2圧縮力と引張力の両方を負担する筋かいとして、厚さ3cm、幅9cmの木材を使用した。39cm角の木材の筋かいを入れた軸組の倍率(壁倍率)を3とし、9cm角の木材の筋かいをたすき掛けに入れた軸組の倍率(壁倍率)を6とした。4筋かいが間柱と交差する部分は、間柱の断面を欠き取り、筋かいは欠込みをせずに通すようにした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.9
▼ 解答・解説を見る(No.9)▲ 解答・解説を閉じる
必要壁量が風圧力で決まる場合でも、張り間方向と桁行方向それぞれで、存在壁量を必要壁量以上とする(見付面積が違うので方向ごとに値が異なる)。
圧縮力を負担する筋かいは厚さ3cm以上・幅9cm以上の木材(建築基準法施行令 第45条第2項)。引張力の規定(厚さ1.5cm以上)も満たす。
9cm角以上の木材の筋かいを入れた軸組の倍率は3、それをたすき掛けにした軸組の倍率は5(建築基準法施行令 第46条第4項 表1の(五)・(七))。6 ではない。
筋かいには欠込みをしてはならない(建築基準法施行令 第45条第4項)ので、交差する間柱のほうを欠き取る。
建築基準法施行令 第45条第2項・第4項・第46条第4項 表1(9cm角以上の木材の筋かい 3・たすき掛け 5)
No.10四分割法(X方向の北側の側端部分の必要壁量・存在壁量・壁量充足率・壁率比)
図のような平面の木造軸組工法による平家建ての建築物において、建築基準法における「木造建築物の軸組の設置の基準」(いわゆる四分割法)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、図中の太線は耐力壁を示し、その軸組の倍率(壁倍率)は全て1とする。なお、この建築物の単位床面積当たりに必要な壁量は15cm/㎡とする。
図を押すと大きく表示します 1X方向の北側の側端部分の必要壁量は、3mである。2X方向の北側の側端部分の存在壁量は、5mである。3X方向の北側の側端部分の壁量充足率は、1を超えている。4X方向の壁率比は、0.5を超えている。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.10
▼ 解答・解説を見る(No.10)▲ 解答・解説を閉じる
X方向の北側の側端部分は、北端から8m×1/4=2mの部分(10m×2m=20㎡)。必要壁量は 20×0.15=3m。
北側の側端部分にあるX方向の耐力壁は、北辺の3m(左から1〜4m)と2m(8〜10m)で、壁倍率1なので存在壁量は5m。
北側の壁量充足率は 5÷3≒1.67 で、1を超えている。
南側の側端部分(南端から2m)にあるX方向の耐力壁は、南辺の1m+1m=2mだけ(ほかの壁は南端から3m・4mの位置で、側端部分の外)。充足率は 2÷3≒0.67、壁率比は 0.67÷1.67=0.4で、0.5を超えていない。
🏢 鉄筋コンクリート構造(No.11〜No.14)
No.11鉄筋コンクリート造のひび割れの図と原因(最上階の柱梁接合部・独立基礎のはね出し部分・スラブ上面・耐力壁の乾燥収縮)
鉄筋コンクリート造の建築物において、「躯体に発生したコンクリートのひび割れの状況を示す図」と「その原因の説明」として、最も不適当なものは、次のうちどれか。
図を押すと大きく表示します 1最上階の柱梁接合部が、矢印の方向に曲げモーメントを受けた場合のひび割れ2独立基礎フーチングのはね出し部分が、矢印の方向に地盤からの接地圧を受けた場合のひび割れ3周辺が梁で固定されたスラブが、鉛直荷重を受けた場合のスラブ上面のひび割れ4耐力壁に、乾燥収縮が生じた場合のひび割れ出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.11
▼ 解答・解説を見る(No.11)▲ 解答・解説を閉じる
最上階の柱梁接合部(L形)が、隅を閉じる向きの曲げモーメントを受けると、接合部の外側の隅から内側へ向かう斜めのひび割れが生じる。図はこれを示している。
フーチングのはね出し部分が下から接地圧を受けると、柱の面の付近で下面が引っ張られるので、ひび割れは下面から上へ向かって生じる。図のように上面(柱の付け根の上側)から生じるのではない。
周辺が梁で固定されたスラブに鉛直荷重がかかると、周辺の固定端では上面が引っ張られるので、スラブ上面の周辺に沿ってひび割れが生じる。
耐力壁は周りの柱・梁に拘束されているので、乾燥収縮が生じると、図のような縦方向(中央付近)のひび割れが生じる。
No.12鉄筋コンクリート構造(梁のせん断強度とあばら筋・せん断応力度比と靱性・コンクリートの強度・側柱の帯筋)
鉄筋コンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1梁のせん断強度を大きくするために、あばら筋量を増やした。2曲げ降伏する梁の靱性を高めるために、コンクリートの設計基準強度に対するせん断応力度の比を大きくした。3柱のせん断強度を大きくするために、設計基準強度がより高いコンクリートを採用した。4曲げ降伏する両側柱付き耐力壁の靱性を高めるために、側柱の帯筋量を増やした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.12
▼ 解答・解説を見る(No.12)▲ 解答・解説を閉じる
あばら筋量を増やすと、梁のせん断強度は大きくなる。
設計基準強度に対するせん断応力度の比を大きくすると、せん断破壊しやすくなり、曲げ降伏する梁の靱性は低下する。靱性を高めるには、この比を小さくする。
設計基準強度の高いコンクリートを使うと、柱のせん断強度は大きくなる。
両側柱付き耐力壁の側柱の帯筋を増やすと、側柱のコンクリートが拘束され、靱性が高まる。
No.13鉄筋コンクリート構造の柱・梁の付着(主筋間のあき・太径の主筋・横補強筋の効果・設計用付着応力度)
鉄筋コンクリート構造の柱及び梁における付着に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1主筋間のあきが大きくなると、付着割裂強度は小さくなる。2細径の主筋を用いる場合よりも、太径の主筋を用いる場合のほうが、断面の隅角部に付着割裂破壊を生じやすい。3付着割裂破壊に対する安全性の検討を行う場合、帯筋、あばら筋及び中子筋の効果を考慮して、付着割裂強度を算定してもよい。4部材端部にせん断ひび割れが生じる部材では、主筋の引張応力度を一定とみなす範囲を除いたうえで、設計用付着応力度を算定する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.13
▼ 解答・解説を見る(No.13)▲ 解答・解説を閉じる
主筋間のあきが大きいほど、主筋に沿って割れるコンクリートの部分が大きくなるので、付着割裂強度は大きくなる。
太径の主筋のほうが、細径の主筋より、断面の隅角部に付着割裂破壊を生じやすい。
付着割裂強度の算定では、帯筋・あばら筋・中子筋の拘束の効果を考慮してよい。
部材端部にせん断ひび割れが生じる部材では、主筋の引張応力度を一定とみなす範囲を除いて、設計用付着応力度を算定する。
No.14鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算(柱の長期許容曲げモーメント・引張鉄筋の鋼種・主筋のせん断負担・開口補強筋)
鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1柱の長期許容曲げモーメントの算定において、コンクリートには引張応力度の負担は期待せず、主筋と圧縮コンクリートを考慮して計算を行った。2梁の長期許容曲げモーメントを大きくするために、引張鉄筋をSD345から同一径のSD390に変更した。3柱及び梁の短期許容せん断力の算定において、主筋はせん断力を負担しないものとして計算を行った。4開口を設けた耐力壁において、壁縦筋や壁横筋の寄与分を考慮して、設計用せん断力に対して必要となる開口補強筋量を算定した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.14
▼ 解答・解説を見る(No.14)▲ 解答・解説を閉じる
柱の長期許容曲げモーメントの算定では、コンクリートの引張応力度は期待せず、主筋と圧縮側のコンクリートを考える。
異形鉄筋(径28mm以下)の長期許容引張応力度は F/1.5 で、215N/mm²が上限(建築基準法施行令 第90条)。SD345(345/1.5=230)も SD390(390/1.5=260)も215になるので、鋼種を上げても長期許容曲げモーメントは大きくならない。
柱・梁の短期許容せん断力の算定では、主筋はせん断力を負担しないものとする。
開口を設けた耐力壁では、壁縦筋・壁横筋の寄与分を考えて、設計用せん断力に必要な開口補強筋量を算定する。
建築基準法施行令 第90条 表2(異形鉄筋 径28mm以下の長期許容引張応力度は F/1.5、ただし215N/mm²を超える場合は215)
🔩 鉄骨構造(No.15〜No.18)
No.15鉄骨構造(筋かいの保有耐力接合・溝形鋼の無効長さ・両端ピンの柱の座屈長さ・端部の横補剛)
鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1引張力を負担する筋かいを保有耐力接合とするために、筋かい端部及び接合部の破断耐力より、筋かいの軸部の降伏耐力のほうが大きくなるように設計した。2溝形鋼を用いた筋かいの設計において、接合部のボルト本数に応じた突出脚の無効長さを考慮して、部材の断面積を低減した。3横移動が拘束された両端ピン接合の柱材において、節点間距離を柱材の座屈長さとした。4平面計画上、梁の横座屈を防止するための横補剛を梁の全長にわたって均等間隔に設けることができなかったので、梁の端部に近い部分を主として横補剛する方法を採用した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.15
▼ 解答・解説を見る(No.15)▲ 解答・解説を閉じる
筋かいの保有耐力接合では、筋かいの端部・接合部の破断耐力を、軸部の降伏耐力より大きくして、軸部が先に降伏するようにする。設問は大小が逆。
溝形鋼の筋かいでは、ボルト本数に応じた突出脚の無効長さを考えて、有効断面積を低減する。
横移動が拘束された両端ピンの柱の座屈長さは、節点間距離とする。
梁の全長に均等に横補剛を設けられない場合は、主として梁の端部に近い部分を横補剛する方法を採用できる。
No.16鉄骨構造の柱脚の設計(伸び能力のあるアンカーボルト・根巻形式のせん断力・根巻き高さ・埋込形式の固定位置)
鉄骨構造の柱脚の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1露出形式柱脚に使用する「伸び能力のあるアンカーボルト」には、「建築構造用転造ねじアンカーボルト」等があり、軸部の全断面が十分に塑性変形するまでねじ部が破断しない性能がある。2一般的な根巻形式柱脚における鉄骨柱の曲げモーメントは、根巻鉄筋コンクリート頂部で最大となり、ベースプレートに向かって小さくなるので、根巻鉄筋コンクリートより上部の鉄骨柱に作用するせん断力よりも、根巻鉄筋コンクリート部に作用するせん断力のほうが大きくなる。3根巻形式柱脚において、柱脚の応力を基礎に伝達するための剛性と耐力を確保するために、根巻鉄筋コンクリートの高さが鉄骨柱せいの2.5倍以上となるように設計する。4埋込形式柱脚において、鉄骨柱の剛性は、一般に、基礎コンクリート上端の位置で固定されたものとして算定する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.16
▼ 解答・解説を見る(No.16)▲ 解答・解説を閉じる
建築構造用転造ねじアンカーボルトなど「伸び能力のあるアンカーボルト」は、軸部の全断面が十分に塑性変形するまでねじ部が破断しない。
根巻形式柱脚では、鉄骨柱の曲げモーメントが根巻き頂部で最大になり、ベースプレートに向かって小さくなるので、根巻き部分のせん断力は上部の鉄骨柱より大きい。
根巻形式柱脚の根巻き鉄筋コンクリートの高さは、柱せい(柱幅)の2.5倍以上とする(平成12年建設省告示第1456号)。
埋込形式柱脚の鉄骨柱は、基礎コンクリートの上端では回転が完全には拘束されないので、上端より下の埋込み部分の中の位置で固定されたものとして剛性を算定する(技術基準解説書)。
No.17鋼材ダンパーを用いた制振構造の鉄骨造(主架構の高強度鋼・低降伏点鋼・取付け部の剛性・疲労の検討)
鋼材ダンパーを用いた制振構造を採用した鉄骨造の建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1地震時に主架構を無損傷とする目的で、柱梁部材には建築構造用圧延鋼材SN490に比べて、基準強度Fが大きい建築構造用高性能鋼材SA440を用いた。2地震エネルギーを効率的に吸収させるために、鋼材ダンパーには建築構造用圧延鋼材SN400と比べて、伸び能力の優れた建築構造用低降伏点鋼材LY225を用いた。3制振効果を高めるために、鋼材ダンパーの主架構への取付け部の剛性を小さくした。4せん断パネルタイプの鋼材ダンパーについて、地震等による繰返し変形下の疲労に対して累積損傷度による検討を行った。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.17
▼ 解答・解説を見る(No.17)▲ 解答・解説を閉じる
主架構を地震時に無損傷(弾性)とするため、基準強度Fの大きい SA440 などの高強度鋼を使う。
鋼材ダンパーには、早く降伏して伸び能力の優れた低降伏点鋼 LY225 などを使う。
ダンパーの取付け部の剛性が小さいと、層間変形が取付け部の変形に費やされ、ダンパーが十分に変形せずエネルギーを吸収しにくい。制振効果を高めるには、取付け部の剛性を大きくする。
せん断パネル型の鋼材ダンパーは、繰返し変形による疲労を累積損傷度で検討する。
No.18冷間成形角形鋼管柱を用いた鉄骨造(プレス成形の角部・ダイアフラム形式・柱の継手・ルート1-1)
冷間成形角形鋼管柱を用いた鉄骨造の建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1プレス成形角形鋼管の角部は、成形前の素材と比べて、強度及び変形性能が高くなる。2柱と梁との仕口部の接合形式には、一般に、通しダイアフラム形式、内ダイアフラム形式及び外ダイアフラム形式がある。3柱の継手は、一般に、現場溶接となり、継手位置は曲げ応力が小さくなる位置とすることが望ましい。4「耐震計算ルート1-1」の場合は、標準せん断力係数C0を0.3以上とするとともに、柱の設計用応力を割増して、許容応力度を検討しなければならない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.18
▼ 解答・解説を見る(No.18)▲ 解答・解説を閉じる
プレス成形角形鋼管の角部は、冷間加工で加工硬化するので、強度は成形前より高くなるが、変形性能(延性・靱性)は低下する。
柱と梁の仕口の接合形式には、通しダイアフラム形式・内ダイアフラム形式・外ダイアフラム形式がある。
角形鋼管柱の継手は一般に現場溶接で、曲げ応力が小さい位置に設けることが望ましい。
ルート1-1 では、標準せん断力係数C0を0.3以上とし、柱の設計用応力を割り増して許容応力度を検討する。
🪨 地盤・基礎(No.19〜No.21)
No.19基礎の設計のための地盤調査(孔内水平載荷試験の深さ・平板載荷試験・常時微動測定・粘性土の内部摩擦角)
基礎の設計を行うための地盤調査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1地震時の杭の水平抵抗を検討するための孔内水平載荷試験は、杭頭から約5mの深さ又は最大杭径の約5倍の深さまでで実施する。2平板載荷試験により「地盤の支持力特性」の調査ができる範囲は、載荷板幅の1.5~2.0倍程度の深さまでである。3常時微動測定の結果は、地盤の卓越周期の推定や、建築物の地震力の設定に必要な地盤種別の判定に利用される。4粘性土の内部摩擦角は、一軸圧縮試験により求めることができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.19
▼ 解答・解説を見る(No.19)▲ 解答・解説を閉じる
杭の水平抵抗の検討のための孔内水平載荷試験は、杭頭から約5mの深さ、又は最大杭径の約5倍の深さまでで行う。
平板載荷試験で支持力特性を調べられるのは、載荷板幅の1.5〜2.0倍程度の深さまで。
常時微動測定の結果は、地盤の卓越周期の推定や、地盤種別の判定に使われる。
一軸圧縮試験は、拘束圧をかけずに一軸圧縮強さを求める試験で、粘性土の粘着力(qu/2)はわかるが、内部摩擦角は求められない(三軸圧縮試験で求める)。
No.20杭基礎(先端抵抗と周面摩擦抵抗の発揮の順・液状化と水平地盤反力係数・浮力と引抜き・杭先端の N値)
杭基礎に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1鉛直荷重が作用する杭の抵抗要素には、先端抵抗と周面摩擦抵抗があり、杭頭に作用する上部構造物の荷重による杭の沈下の発生とともに先端抵抗が先行して発揮され、杭の沈下が増加すると周面摩擦抵抗が発揮される。2地震時に液状化のおそれのある地盤において、杭の水平抵抗を検討する場合には、水平地盤反力係数(単位kN/m³)の値を低減しなければならない。3地下水位の高い敷地に計画する低層建築物に地下室を設ける場合には、浮力が作用するので、杭の引抜き抵抗力の検討が必要となる。4杭先端の地盤の許容応力度を計算で求める場合に用いるN値は、杭先端付近のN値の平均値とし、その値が60を超えるときは60とする。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.20
▼ 解答・解説を見る(No.20)▲ 解答・解説を閉じる
杭が沈下し始めると、わずかな沈下で周面摩擦抵抗が先に発揮され、沈下が大きくなると先端抵抗が発揮される。設問は順序が逆。
液状化のおそれのある地盤では、杭の水平抵抗の検討で水平地盤反力係数を低減する。
地下水位が高い敷地で地下室を設けると浮力が働くので、軽い低層建築物では杭の引抜き抵抗の検討が必要になる。
杭先端の地盤の許容応力度を計算で求める場合のN値は、杭先端付近の平均値とし、60を超えるときは60とする(平成13年国土交通省告示第1113号)。
No.21地盤及び基礎(根入れ深さと隣接建築物・杭頭の固定度と曲げモーメント・長さの異なる杭・負の摩擦力)
地盤及び基礎に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1直接基礎の地盤の許容応力度の算定において、根入れ深さDfを評価する場合、隣接する建築物の影響を考慮する必要がある。2杭の長さが長い場合、杭頭の固定度が大きくなるほど、杭頭の曲げモーメントは小さくなる。3支持層が傾斜している地盤に杭基礎を採用する場合、長い杭と短い杭を混用すると、各杭の負担水平荷重の差異やねじれが生じやすい。4地盤沈下のおそれのある敷地において、支持杭を採用する場合には、負の摩擦力による杭の支持力、杭の沈下量等を検討しなければならない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.21
▼ 解答・解説を見る(No.21)▲ 解答・解説を閉じる
直接基礎の許容応力度の算定で根入れ深さDfを評価する場合は、隣接する建築物の根切りなどの影響を考える。
長い杭では、杭頭の固定度が大きいほど杭頭の回転が拘束されて、杭頭の曲げモーメントは大きくなる。
支持層が傾斜していて長い杭と短い杭を混用すると、杭の水平剛性が違うので、負担水平荷重に差が出たり、ねじれが生じたりしやすい。
地盤沈下のおそれのある敷地で支持杭を使う場合は、負の摩擦力による杭の支持力や沈下量を検討する。
🧱 各種構造・構造設計・免震・材料(No.22〜No.30)
No.22建築構造(プレテンション方式・柔らかい層にダンパー・免震構造の適用範囲・壁式RCの階数)
建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1プレストレストコンクリート構造におけるプレテンション方式は、PC鋼材を緊張した状態でその周りに直接コンクリートを打設し、コンクリートが所定の強度に達した後に緊張端の張力を解放して、PC鋼材とコンクリートとの付着によりプレストレスを導入するものである。2制振構造には、特定の層を柔らかく設計して、その層にダンパーを設置し、建築物に入力された地震エネルギーを効果的に吸収させる方法もある。3免震構造は、規模や用途にかかわらず、戸建て住宅や超高層建築物等、幅広く適用することが可能である。4壁式鉄筋コンクリート構造は、一般に、軒高が20mの地上6階建ての建築物においても採用することができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.22
▼ 解答・解説を見る(No.22)▲ 解答・解説を閉じる
プレテンション方式は、PC鋼材を緊張した状態でコンクリートを打ち、硬化後に緊張を解放して、付着でプレストレスを導入する方式。
制振構造には、特定の層を柔らかくしてそこにダンパーを置き、地震エネルギーを集中して吸収させる方法もある。
免震構造は、戸建て住宅から超高層建築物まで、規模や用途にかかわらず幅広く適用できる。
壁式鉄筋コンクリート造は、地上5階以下・軒の高さ20m以下の建築物に適用する(平成13年国土交通省告示第1026号)。地上6階建てには採用できない。
No.23合成構造及び混合構造(合成梁の有効幅・デッキ合成スラブ・CFT 柱の耐火性能・RCコアと鉄骨の外周架構)
合成構造及び混合構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1鉄骨梁と鉄筋コンクリートスラブとを頭付きスタッドを介して緊結した合成梁の曲げ剛性の算定に用いる床スラブの有効幅は、鉄筋コンクリート梁の曲げ剛性の算定に用いる床スラブの有効幅と同じとしてもよい。2デッキ合成スラブは、鋼製デッキプレートとその上に打設されるコンクリートとが一体となる構造で、面内せん断力の伝達も期待することができる。3コンクリート充塡鋼管(CFT)構造の柱は、同一断面で同一板厚の鋼管構造の柱に比べて、水平力に対する塑性変形性能は高いが耐火性能は同等である。4鉄筋コンクリート構造のコア壁を耐震要素とし、外周部を鉄骨構造の骨組とした架構形式は、大スパン化による空間の有効利用に適している。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.23
▼ 解答・解説を見る(No.23)▲ 解答・解説を閉じる
頭付きスタッドで緊結した合成梁の曲げ剛性に用いる床スラブの有効幅は、鉄筋コンクリート梁の場合と同じにできる。
デッキ合成スラブは、デッキプレートとコンクリートが一体となり、面内せん断力の伝達も期待できる。
CFT 柱は、充塡コンクリートが熱を吸収するので、同じ断面の中空鋼管の柱より耐火性能が高い(耐火被覆を減らせる)。
RC のコア壁を耐震要素とし、外周を鉄骨の骨組とする架構は、大スパン化による空間の有効利用に適している。
No.24鉄筋コンクリート造の構造設計(べた基礎への変更・細長い平面の床・床の振動の確認・片持スラブの上下振動)
鉄筋コンクリート造の建築物の構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1圧密沈下のおそれのある地盤において、直接基礎を採用した建築物の設計に当たり、不同沈下による建築物の損傷を生じにくくするために、基礎形式を独立基礎からべた基礎に変更した。2平面形状が細長い建築物の応力解析において、短辺方向に地震力を受ける場合には、床を剛と仮定しなかった。3床組の振動による使用上の支障がないことを、梁及び床スラブの断面の各部の応力を検討することにより確認した。4片持スラブの設計において、長期荷重に加えて地震時の上下振動を考慮して配筋を決定した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.24
▼ 解答・解説を見る(No.24)▲ 解答・解説を閉じる
圧密沈下のおそれのある地盤で、独立基礎をべた基礎に変えると、不同沈下を生じにくくできる。
平面が細長い建築物で短辺方向に地震力を受ける場合は、床の面内変形が大きいので、剛床と仮定しないで解析する。
床組の振動による使用上の支障がないことは、梁や床スラブのたわみ(剛性)を検討して確かめる(平成12年建設省告示第1459号)。断面の応力の検討では振動の支障は確かめられない。
片持スラブは上下振動の影響を受けやすいので、長期荷重に加えて地震時の上下振動を考えて配筋を決める。
No.25建築物の構造設計(X形筋かいの耐力・山形鋼の筋かい・SRC の非埋込形式柱脚・断面二次半径と許容圧縮応力度)
建築物の構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1鉄骨構造の筋かい付き骨組の保有水平耐力計算において、X形筋かいの耐力は、引張側筋かいの耐力と圧縮側筋かいの座屈後安定耐力とを合算して求めることができる。2鉄骨構造の筋かいに山形鋼を用いる場合、小規模な建築物を除き、山形鋼を2本使用し、ガセットプレートの両側に取り付け、偏心を小さくする。3鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱脚を非埋込形式とする場合、柱脚の曲げ終局強度は、アンカーボルトの曲げ終局強度、ベースプレート直下のコンクリートの曲げ終局強度及びベースプレート周囲の鉄筋コンクリートの曲げ終局強度を累加して求める。4鉄骨部材の許容圧縮応力度は、材種及び座屈長さが同じ場合、座屈軸周りの断面二次半径が小さくなるほど大きくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.25
▼ 解答・解説を見る(No.25)▲ 解答・解説を閉じる
X形筋かいの耐力は、引張側筋かいの耐力と圧縮側筋かいの座屈後安定耐力を合算して求めることができる。
山形鋼の筋かいは、小規模な建築物を除き、2本使ってガセットプレートの両側に取り付け、偏心を小さくする。
SRC 造の非埋込形式柱脚の曲げ終局強度は、アンカーボルト・ベースプレート直下のコンクリート・周囲の鉄筋コンクリートの曲げ終局強度を累加して求める。
座屈長さが同じなら、断面二次半径が小さいほど細長比が大きくなり、許容圧縮応力度は小さくなる。
No.26免震構造(上下地震動・面圧・引張軸力への対応・天然ゴム系積層ゴムとダンパー)
免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1積層ゴムアイソレータを用いた免震構造は、一般に、水平地震動に対する免震効果はあるが、上下地震動に対する免震効果は期待できない。2長期荷重を受ける積層ゴムアイソレータの設計に用いる面圧は、支持軸力を積層ゴムの断面積で除した値とする。3転倒モーメントによりアイソレータに大きな引張軸力が生じる場合は、天然ゴム系の積層ゴムアイソレータを採用する。4天然ゴム系の積層ゴムアイソレータを用いた免震構造においては、アイソレータのみでは減衰能力が不足するので、オイルダンパーや鋼材ダンパー等を組み込む必要がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.26
▼ 解答・解説を見る(No.26)▲ 解答・解説を閉じる
積層ゴムは鉛直方向には硬いので、水平地震動には免震効果があるが、上下地震動には期待できない。
長期荷重を受ける積層ゴムの設計に用いる面圧は、支持軸力を積層ゴムの断面積で除した値。
積層ゴムは引張力に弱いので、大きな引張軸力が生じる場合は、天然ゴム系の積層ゴムではなく、引張力に抵抗できる直動型転がり支承などを採用する(又は引張力が生じないよう配置を工夫する)。
天然ゴム系積層ゴムは減衰がほとんどないので、オイルダンパーや鋼材ダンパーなどを組み込む。
No.27木材及び木質系材料(気乾比重と曲げ強度・木表と木裏の反り・LVL・CLT)
木材及び木質系材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1木材の曲げ強度は、一般に、気乾比重が大きいものほど大きい。2木材の木裏は、一般に、木表に比べて乾燥収縮が大きいので、木裏側が凹に反る性質がある。3LVLは、日本農林規格(JAS)において「単板積層材」と呼ばれ、主として各層の繊維方向が互いにほぼ平行となるように積層接着されたもので、柱、梁等の線材に使用される。4CLTは、日本農林規格(JAS)において「直交集成板」と呼ばれ、各層の繊維方向が互いにほぼ直角となるように積層接着されたもので、床版、壁等の面材に使用される。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.27
▼ 解答・解説を見る(No.27)▲ 解答・解説を閉じる
木材の曲げ強度は、気乾比重が大きいものほど大きい。
乾燥収縮は木表のほうが木裏より大きいので、木表側が凹に反る。設問は木表と木裏が逆。
LVL(単板積層材)は、単板の繊維方向をほぼ平行にそろえて積層接着したもので、柱・梁などの線材に使われる。
CLT(直交集成板)は、ひき板の層の繊維方向が互いにほぼ直角になるように積層接着したもので、床版・壁などの面材に使われる。
No.28コンクリート(セメントの粒子と初期強度・水中養生・せん断弾性係数・支圧強度)
コンクリートに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1コンクリートの初期の圧縮強度の発現は、一般に、セメントの粒子が細かいものほど早くなる。2コンクリートの圧縮強度は、一般に、材齢が同じ場合、大気中で養生した供試体よりも、大気と同一温度の水中で養生した供試体のほうが大きくなる。3コンクリートのせん断弾性係数は、一般に、ヤング係数の0.4倍程度である。4局部圧縮を受けるコンクリートの支圧強度は、一般に、全面圧縮を受けるコンクリートの圧縮強度よりも小さい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.28
▼ 解答・解説を見る(No.28)▲ 解答・解説を閉じる
セメントの粒子が細かい(比表面積が大きい)ほど水和が速く進み、初期の強度の発現が早い。
同じ材齢なら、大気中で養生した供試体より、同じ温度の水中で養生した供試体のほうが圧縮強度は大きい。
せん断弾性係数は G=E/{2(1+ν)} で、ν≒0.2 なのでヤング係数の0.4倍程度。
局部圧縮を受けるコンクリートは、周りのコンクリートに拘束されるので、支圧強度は全面圧縮の圧縮強度より大きい。
No.29金属材料(SN400B の基準強度・板厚方向の強度・シャルピー吸収エネルギー・アルミニウムの線膨張係数)
金属材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1板厚40mm以下の建築構造用圧延鋼材SN400Bにおいて、基準強度F及び短期許容引張応力度は、235N/mm²である。2熱間圧延鋼材の強度は、圧延方向に比べて、板厚方向のほうが小さい傾向がある。3シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが小さい鋼材を使用することは、溶接部の脆性的破壊の防止に有効である。4アルミニウムの線膨張係数は、鉄の約2倍である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.29
▼ 解答・解説を見る(No.29)▲ 解答・解説を閉じる
板厚40mm以下の SN400B の基準強度Fは235N/mm²で、短期許容引張応力度はFと同じ。
熱間圧延鋼材の強度は、圧延方向より板厚方向のほうが小さい傾向がある。
シャルピー吸収エネルギーが大きい(靱性の高い)鋼材を使うことが、溶接部の脆性的破壊の防止に有効。小さい鋼材では逆効果。
アルミニウムの線膨張係数(約23×10⁻⁶/℃)は、鉄(約12×10⁻⁶/℃)の約2倍。
No.30建築物の構造設計(耐震等級・角形鋼管柱の許容曲げ応力度・プレキャストのかぶり厚さ・鋼管杭の腐食代)
建築物の構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1耐震性能の要求レベルを高くするために、建築主と協議のうえ、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」に規定される「耐震等級」を、等級3から等級1に変更した。2角形鋼管柱の許容曲げ応力度を、許容引張応力度と同じ値とした。3柱及び梁は、国土交通大臣が定めた構造方法によるプレキャスト鉄筋コンクリート造とし、直接土に接しない部分の鉄筋に対する最小かぶり厚さを2cmとした。4杭を鋼管杭とするに当たり、地盤が強い酸性ではなかったので、その鋼管の腐食代として厚さ1mmを見込んだ。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30
▼ 解答・解説を見る(No.30)▲ 解答・解説を閉じる
日本住宅性能表示基準の耐震等級は、等級1が建築基準法と同じ程度で、等級3が最も高い。耐震性能の要求レベルを高くするなら、等級1から等級3へ変更する。
角形鋼管柱は横座屈を生じないので、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値にできる。
国土交通大臣が定めた構造方法によるプレキャスト鉄筋コンクリートの柱・梁は、直接土に接しない部分の最小かぶり厚さを2cmにできる(平成13年国土交通省告示第1372号)。
鋼管杭は、地盤が強い酸性でなければ、腐食代として厚さ1mmを見込む。
平成29年の合格基準点(学科の試験)
配点は各問題1点(学科Ⅰ・Ⅱは各20点、学科Ⅲ・Ⅳは各30点、学科Ⅴは25点、合計125点)で、各科目の基準点と総得点の基準点のすべてに達した人が合格です。
| 学科Ⅰ 計画 | 学科Ⅱ 環境・設備 | 学科Ⅲ 法規 | 学科Ⅳ 構造 | 学科Ⅴ 施工 | 総得点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格基準点 | 11点 | 11点 | 16点 | 16点 | 13点 | 87点 |
※ 平成29年の合格基準点は、各科目が計画11点・環境設備11点・法規16点・構造16点・施工13点、総得点が87点でした。
出典:建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験『学科の試験』の合格者基準点等について」
平成29年の構造の基準点は16点(30点中)でした。構造は前半に計算問題がまとまって出る科目です。計算問題は解き方の型を身につければ確実に得点でき、後半の各種構造・材料は過去問のくり返しが効きます。
ほかの年度・ほかの科目の過去問
この記事の問題文と図は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している平成29年 一級建築士試験(学科の試験)の問題から、著作権法第32条の引用として掲載しています。著作権は同センターにあります。
関連記事
一級建築士の過去問の一覧や、学科の教材・勉強の進め方は次の記事で紹介しています。











