要点と過去問10年分
一級建築士試験 学科Ⅳ(建築構造)の No.30 を中心に出題される「非構造部材・特定天井・住宅性能表示」について、特定天井、非構造部材の設計用地震力、日本住宅性能表示基準の構造の安定を要点にまとめ、令和8年〜平成29年の過去問を解説します。

非構造部材・特定天井・住宅性能表示の出題の傾向(令和8年〜平成29年)
非構造部材・特定天井・住宅性能表示は、No.30 に4年出ています(ほかの年も No.24・No.30 の選択肢に)。正答は、特定天井が3回、住宅性能表示の耐震等級が2回、エスカレーターの鉛直震度が1回です。
No.30 に出題(10年のうち5年・5問)。ほかの問題の選択肢から、この分野のもの(4問から)も載せています。この記事で解説する選択肢は22肢です。
過去問の問題文と選択肢は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している一級建築士試験の問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各選択肢の枠の右下に出典)。正答は、同センターの「合格基準点等(正答肢)」と照らし合わせています。
「要点」は、今の建築基準法・告示や日本建築学会の規準などでまとめています。過去問の解説は、年度別の記事と同じく出題当時の基準によります。その後の改定で答えが変わる選択肢には「🔶 現在の基準では」の枠を付けています。
🏛️ 特定天井
📖 特定天井の決まり
特定天井は、どんな天井が該当するかと、技術基準の目標・検証の要否が問われます。10年で3回正答になっています。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 特定天井 | 吊り天井で、人が日常立ち入る場所にあり、高さ6m超・水平投影面積200㎡超・単位面積質量2kg/㎡超のもの(支持方式にかかわらず該当するのではない) |
| 技術基準の目標 | 稀に生じる地震動(中地震時)で天井が損傷しないことを検証し、中地震を超える地震でも脱落を低減する |
| 構造方法 | 壁などとの間に隙間を設ける方法と、設けない方法がある。隙間を設けない方法でも、地震時の脱落に対する安全性の検証は省略できない |
| 免震建築物 | 地震時の加速度が抑えられていても、特定天井の技術基準は適用され、検証が必要 |
| 既存建築物の増改築 | ネットやワイヤーで一時的に脱落を防ぐ落下防止措置も認められる(平成17年国土交通省告示第566号) |
✏️ 過去問:特定天井(10年で10肢)
答えを考えてから、選択肢の下の「解説を見る」を開いてください。解説は出題当時の基準によります。
問題:特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
高さが6mを超え、水平投影面積が200㎡を超え、かつ単位面積質量が2kg/㎡を超える天井は、天井の支持方式にかかわらず、特定天井に該当する。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢1
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特定天井は、吊り天井であって、人が日常立ち入る場所に設けられ、高さ6m超・水平投影面積200㎡超・単位面積質量2kg/㎡超のもの(平成25年国土交通省告示第771号)。支持方式にかかわらず該当するのではない。
問題:特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
「建築物における天井脱落対策に係る技術基準(国土交通省)」において、特定天井は、稀に生じる地震動の発生時(中地震時)において、天井の損傷を防止することにより、中地震時を超える一定の地震時においても天井の脱落の低減を図ることを目標としている。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢1
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天井脱落対策の技術基準は、中地震時に天井の損傷を防ぐことで、中地震を超える一定の地震でも天井の脱落を低減することを目標としている。
問題:特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
天井脱落対策に係る技術基準では、稀に生じる地震動(中地震時)において天井が損傷しないことを検証することとしている。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢2
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問題:建築物等の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
特定天井の構造方法には、壁等と天井面との間に隙間を設ける方法と設けない方法がある。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢4
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問題:建築物の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
特定天井のうち、天井と周囲の壁等との間に隙間を設けない構造方法では、天井と壁等とが一体となって動くので、地震時における天井材の脱落に対する安全性の検討を省略することができる。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢2
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隙間を設けない特定天井でも、地震時に天井と壁などの間で力が伝わり天井材が壊れるおそれがあるので、脱落に対する安全性の検証は省略できない(平成25年国土交通省告示第771号)。
問題:特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
特定天井のうち、天井と周囲の壁等との間に隙間を設けない構造方法であっても、地震時における天井材の脱落に対する安全性の検証を行う必要がある。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢4
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問題:特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
免震構造の採用により、地震時の加速度が十分に抑えられている場合においても、特定天井についての構造耐力上の安全性の検証は行う必要がある。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢3
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問題:特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
免震建築物においても、特定天井については、天井脱落対策に係る技術基準が定められている。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢4
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問題:特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
既存建築物の増改築においては、特定天井の落下防止措置として、ネットやワイヤーにより一時的に天井の脱落を防ぐ方法は認められていないので、新築時と同様の技術基準に適合させる必要がある。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢2
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既存建築物の増改築では、ネットやワイヤーなどで天井の落下を防ぐ措置(落下防止措置)も認められている(平成17年国土交通省告示第566号)。新築と同じ技術基準に必ず適合させる必要はない。
問題:特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
既存建築物においては、落下防止措置としてネットやワイヤーにより一時的に天井の脱落を防ぐ方法も許容される。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢3
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🧱 非構造部材
📖 非構造部材の決まり
非構造部材は、塀・屋上の水槽・設備機器・エスカレーター・屋根葺き材の設計用地震力や風圧力が問われます。
| 部材 | ポイント |
|---|---|
| 補強コンクリートブロック造の塀 | 設計用地震力は地表面から突出する煙突に準じる。地下部分の水平震度は建築物の地下部分と同じように計算してよい。高さ1.2mを超えるものは、控壁を3.4m以下ごと、基礎の丈35cm以上・根入れ30cm以上(施行令 第62条の8) |
| 屋上から突出する水槽など | 水平震度は Z×1.0以上。転倒・移動の危害を防ぐ有効な措置を講じれば、1/2を超えない範囲で減らせる(平成12年建設省告示第1389号) |
| 設備機器 | 設計用水平震度は、上層階ほど揺れが大きいので、中間階より上層階を大きくする |
| エスカレーター | 固定部分の設計用鉛直震度は、その階の水平震度に応じて求めるので、階によって異なる(全ての階で同じではない) |
| 屋根葺き材の吹上げ | 屋根の縁は風の剥離で局部的に大きな負圧が生じるので、中央より縁のほうを大きくする |
✏️ 過去問:非構造部材(塀・水槽・設備機器・エスカレーター・屋根葺き材)(10年で7肢)
答えを考えてから、選択肢の下の「解説を見る」を開いてください。解説は出題当時の基準によります。
問題:非構造部材等の設計用地震力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
補強コンクリートブロック造の塀の構造設計に用いる地震力は、地表面から突出する構造物となる煙突に準じたものとする。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢1
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問題:建築物等の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
補強コンクリートブロック造の塀の構造計算に用いる地下部分の水平震度は、建築物の地下部分と同様に計算することができる。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和7年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢1
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問題:建築物等の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
高さ1.2mを超える補強コンクリートブロック造の塀は、原則として、所定の数値以下の間隔で控壁を設けるとともに、必要な根入れ深さ等を確保した基礎としなければならない。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢3
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高さ1.2mを超える補強コンクリートブロック造の塀は、3.4m以下ごとに控壁を設け、基礎の丈35cm以上・根入れの深さ30cm以上とする(建築基準法施行令 第62条の8)。
問題:非構造部材等の設計用地震力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
建築物の屋上から突出する水槽等の耐震設計において、転倒等に対して危害を防止するための有効な措置が講じられている場合は、地震力を一定の範囲で減じることができる。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢2
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屋上から突出する水槽などの地震力は、水平震度をZ×1.0以上として計算するが、転倒・移動などによる危害を防ぐ有効な措置を講じた場合は、その値の1/2を超えない範囲で減らすことができる(平成12年建設省告示第1389号)。
問題:非構造部材等の設計用地震力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
高層建築物に設置する設備機器の耐震設計において、設計用水平震度は、一般に、中間階に比べて上層階のほうを大きくする。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢3
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問題:非構造部材等の設計用地震力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
一端固定状態のエスカレーターにおける固定部分の設計用地震力の算定において、設計用鉛直標準震度は、一般に、全ての階で同じ数値とする。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢4
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設計用鉛直震度は、一般に、その階の設計用水平震度に応じて(水平震度の1/2程度として)求めるので、水平震度と同じく階によって異なる。全ての階で同じ数値とはしない。
問題:建築物の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
片流れ屋根の屋根葺き材の構造設計において、風による吹上げ力は、屋根面の中央に位置する部位より、縁に位置する部位のほうを大きくする。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.24 選択肢4
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🏠 住宅性能表示(構造の安定)
📖 住宅性能表示の決まり
日本住宅性能表示基準の「構造の安定」は、等級の向きと、各等級が表すものが問われます。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 耐震等級 | 等級1〜3で、最も高いのは等級3(等級1は建築基準法と同じ程度)。要求レベルを高くするなら、等級を大きくする |
| 耐風等級 | 暴風に対する構造躯体の倒壊・崩壊等のしにくさと、損傷の生じにくさを表示する |
| 耐積雪等級 | 多雪区域にある住宅に適用される |
| 基礎の構造 | 直接基礎では、基礎の構造方法及び形式を表示する |
✏️ 過去問:住宅性能表示(構造の安定)(10年で5肢)
答えを考えてから、選択肢の下の「解説を見る」を開いてください。解説は出題当時の基準によります。
問題:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」における構造の安定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
「耐震等級」には、等級1、等級2及び等級3があり、耐震性能の要求レベルが最も高いのは等級1である。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢4
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耐震等級は等級1〜3で、要求される耐震性能が最も高いのは等級3(等級1は建築基準法と同じ程度)。
問題:建築物の構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
耐震性能の要求レベルを高くするために、建築主と協議のうえ、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」に規定される「耐震等級」を、等級3から等級1に変更した。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢1
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日本住宅性能表示基準の耐震等級は、等級1が建築基準法と同じ程度で、等級3が最も高い。耐震性能の要求レベルを高くするなら、等級1から等級3へ変更する。
問題:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」における構造の安定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
「耐風等級」は、暴風に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさ及び構造躯体の損傷の生じにくさを表示している。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢3
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問題:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」における構造の安定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
「耐積雪等級」は、建築基準法施行令に規定する多雪区域に存する住宅に適用されるものである。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢2
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問題:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」における構造の安定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
基礎の構造の性能について表示すべき事項は、直接基礎にあっては、基礎の構造方法及び形式である。
出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30 選択肢1
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まとめ:非構造部材・特定天井・住宅性能表示で覚えておくこと
試験の前に見直すことを、章ごとにまとめました。左が覚える数字や言葉、右がその説明です。「要点 ›」を押すと、くわしい説明に戻ります。
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