全30問の解答・解説
令和8年(2026年7月26日実施)の一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)の全30問を、選択肢ごとに正誤の理由を示して解説します。構造力学(計算)・荷重と外力・各種構造(木造・RC・S・SRC・基礎)・建築材料から出題されます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

令和8年 一級建築士試験(学科)の概要
問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)の試験問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各問の枠の右下に出典)。正答は、同センターの合格基準点等(正答肢)と全問を照らし合わせています。
解説は、出題当時の法令・基準によります(法令がからむ問題は令和8年1月1日時点の法令)。その後の改正や基準の改定で答えが変わる問題には「🔶 現在の基準では」、言い方だけが変わった問題には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
分野ごとの問題一覧
構造の30問は、毎年おおむね同じ順番で、分野ごとに出題されます。解きたい問題を押すと、その問題へ移動します。
📐 構造力学(断面・たわみ・ラーメン・トラス・振動・座屈)(No.1〜No.7)
No.1曲げ応力度が等しい矩形断面と円形断面の断面積の比
図のように高さが等しい矩形断面と円形断面がある。同じ大きさの曲げモーメントが作用するとき、図に示す垂直応力度分布となり、最大・最小垂直応力度±σが2つの断面で等しくなった。このとき、矩形断面と円形断面の断面積をそれぞれAR、ACとすると、それらの比として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、矩形断面と円形断面の断面二次モーメントはそれぞれ bh³/12、πh⁴/64である。
図を押すと大きく表示します
AR : AC 1. 9 : 16 2. 3 : 4 3. 5 : 6 4. 1 : 1 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.1
▼ 解答・解説を見る(No.1)▲ 解答・解説を閉じる
曲げモーメントMが同じで、縁の応力度σ=M/Zが等しいので、2つの断面の断面係数Zが等しい。
・矩形断面:Z=I÷(h/2)=(bh³/12)÷(h/2)=bh²/6
・円形断面(直径h):Z=(πh⁴/64)÷(h/2)=πh³/32
・bh²/6=πh³/32 より、b=3πh/16
・断面積:AR=bh=3πh²/16、AC=πh²/4=4πh²/16
よって、AR:AC=3:4。
No.2曲げ剛性が途中で変わる単純梁の中央のたわみ
図のような集中荷重2Pを受ける単純梁の中央点Bに生じるたわみδとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、梁は、曲げ剛性がAB間で2EI、BC間でEIの弾性部材とし、自重は無視する。
図を押すと大きく表示します 1PL³/(2EI)2PL³/(3EI)3PL³/(4EI)4PL³/(5EI)出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.2
▼ 解答・解説を見る(No.2)▲ 解答・解説を閉じる
単位荷重法(仮想仕事の方法)で求める。
・反力:荷重2Pが中央にあるので、A・C の反力はどちらもP。曲げモーメントは、Aから距離xで M=Px(Cの側も同じ形)
・B に単位の荷重1を置いたときの曲げモーメントは m=x/2
・δ=∫Mm/(EI)dx:AB間(2EI)は (P/(4EI))×L³/3=PL³/(12EI)(係数1/12)、BC間(EI)は (P/(2EI))×L³/3=PL³/(6EI)(係数1/6)
・合計:1/12+1/6=1/4 → δ=PL³/(4EI)
No.33ヒンジの骨組の反力と応力(梁の軸力・せん断力・曲げモーメント・柱のせん断力の比)
図のような水平荷重Pを受ける骨組に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
図を押すと大きく表示します 1梁BC及び梁CDに生じる圧縮軸力の大きさは、2P/3である。2梁BC及び梁CDに生じるせん断力の大きさは、2P/3である。3点Bと点Dの曲げモーメントの大きさはともに、PL/3である。4柱ABと柱EDのせん断力の大きさQABとQEDとの比は、QAB:QED=1:2である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.3
▼ 解答・解説を見る(No.3)▲ 解答・解説を閉じる
A・E はピン支点、C はヒンジ。右の部分(C〜D〜E)は、E の反力が C を通る向きでないとつり合わないので、E の反力は E→C の向き(水平・鉛直の大きさが等しい)になる。
・A まわりのモーメントのつり合い:P×2L=VE×2L+HE×L、HE=VE より、VE=HE=2P/3
・水平のつり合い:HA=P-2P/3=P/3
選択肢ごとに:
1. 梁BC・CDの軸力は、E の水平反力と同じ2P/3 の圧縮(正しい)
2. 梁のせん断力は、E の鉛直反力と同じ2P/3(正しい)
3. 点Bの曲げモーメント=HA×2L=(P/3)×2L=2PL/3、点D=HE×L=(2P/3)×L=2PL/3。PL/3 ではない(誤り)
4. 柱のせん断力は QAB=P/3、QED=2P/3 で、比は1:2(正しい)
No.42層ラーメンの柱の曲げモーメント図から求める水平荷重・梁のせん断力・柱の軸力・鉛直反力
図は、2層のラーメンにおいて、2階に水平荷重P1、R階に水平荷重P2が作用したときの柱の曲げモーメントを示したものである。次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、全ての部材の自重は無視する。
図を押すと大きく表示します 12階に作用する水平荷重P1は、80kNである。22階の梁のせん断力QBは、100kNである。31階右側の柱の軸方向圧縮力NCは、150kNである。4右側の支点の鉛直反力Vは、230kNである。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.4
▼ 解答・解説を見る(No.4)▲ 解答・解説を閉じる
柱のせん断力=(柱頭と柱脚の曲げモーメントの和)÷階高。梁の端の曲げモーメントは、節点で柱の曲げモーメントとつり合う。
・2階の柱(R階〜2階):(200+160)/4=90kN が2本 → P2=180kN
・1階の柱(2階〜1階):(240+320)/4=140kN が2本で280kN → P1=280-180=100kN(80kN ではない)
・2階の梁:端の曲げモーメントは 160+240=400kN・m(両端とも)→ QB=(400+400)/8=100kN(選択肢2は正しい)
・R階の梁:端の曲げモーメントは200kN・m → せん断力は (200+200)/8=50kN
・1階右側の柱の軸力:上の梁のせん断力の合計 50+100=150kN(選択肢3は正しい)
・柱脚の下にも梁(1階の梁)があり、支点はピン。1階の梁の端の曲げモーメントは柱脚の320kN・m なので、せん断力は (320+320)/8=80kN
・右側の支点の鉛直反力:150+80=230kN(選択肢4は正しい。全体のつり合い 180×8+100×4=V×8 からも V=230kN)
No.5トラスの斜材の軸方向力(水平荷重と鉛直荷重を受けるトラス)
図のような荷重を受けるトラスの斜材A及びBに生じる軸方向力をそれぞれNA及びNBとするとき、軸方向力の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、全ての部材は弾性部材とし、自重は無視する。また、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。
図を押すと大きく表示します
NA NB 1. 0 +√2P 2. 0 -√2P 3. +√2P +√2P 4. +√2P -√2P 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.5
▼ 解答・解説を見る(No.5)▲ 解答・解説を閉じる
・反力:左下の支点まわりのモーメントのつり合いで、水平荷重P(高さL)と鉛直荷重P(距離L)の合計2PLを、右の支点の反力×2L が打ち消す → 右の支点の反力はP(上向き)。鉛直のつり合いから、左の支点の鉛直反力は0
・斜材B:右側のパネルで切る(切断法)。切った右側の部分に働く鉛直の力は、右の支点の反力Pと斜材Bの鉛直成分だけ。斜材Bは45°なので、NB×(1/√2)=P → NB=√2P(引張)
・斜材A:左側のパネルで切る。左側の部分の鉛直の力は、左の支点の鉛直反力(0)と斜材Aの鉛直成分だけなので、NA=0
No.6質量と水平剛性が異なる構造物の固有周期の大小
図のような構造物A、B及びCの水平方向の固有周期をそれぞれTA、TB及びTCとしたとき、それらの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、水平力P又は2Pを作用させたときの水平変位δ又は2δは、図のとおりである。なお、柱は弾性部材で伸縮はないものとし、梁は剛体とする。また、柱の質量は考慮しないものとする。
図を押すと大きく表示します 1TA<TB<TC2TA<TB=TC3TA=TB<TC4TB<TA<TC出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.6
▼ 解答・解説を見る(No.6)▲ 解答・解説を閉じる
固有周期は T=2π√(m/k)。水平剛性 k=(水平力)÷(水平変位)。
・A:k=P/δ、m=2M → m/k=2Mδ/P
・B:k=2P/δ、m=16M → m/k=8Mδ/P
・C:k=P/(2δ)、m=4M → m/k=8Mδ/P
よって TA<TB=TC(TB・TCはTAの2倍)。
No.7正方形断面の長柱の弾性座屈荷重(長さ・断面積・ヤング係数・材端条件)
中心圧縮力を受ける正方形断面の長柱の弾性座屈荷重Peに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、柱は全長にわたって等質等断面とする。
1Peは、柱の長さが1/2倍になると4倍になる。2Peは、正方形断面を保ちながら柱断面積が2倍になると16倍になる。3Peは、柱のヤング係数が2倍になると2倍になる。4Peは、柱の材端条件が「一端自由他端固定の場合」に比べて「両端ピンの場合」のほうが大きくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.7
▼ 解答・解説を見る(No.7)▲ 解答・解説を閉じる
弾性座屈荷重は Pe=π²EI/lk²。座屈長さが1/2倍になると、Peは(1/2)²の逆数で4倍になる。
正方形断面の断面二次モーメントは I=a⁴/12(aは一辺)。断面積が2倍になると a² が2倍なので、I は2²=4倍、Peも4倍になる。16倍ではない。
Peはヤング係数Eに比例するので、Eが2倍なら2倍になる。
座屈長さは、一端自由他端固定で2l、両端ピンでl。座屈長さが短い両端ピンのほうがPeは大きい(4倍)。
🌬️ 荷重・外力・木造(No.8〜No.10)
No.8建築基準法における荷重及び外力(地震層せん断力・積載荷重の大小・速度圧・基準風速)
建築基準法における荷重及び外力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1建築物の地上部分における各層の地震層せん断力Qiは、最下層の値が最も大きくなる。2単位床面積当たりの積載荷重の大小関係は、建築物の実況に応じて計算しない場合、「地震力を計算する場合」<「大梁、柱又は基礎の構造計算をする場合」<「床の構造計算をする場合」である。3風圧力の計算に用いる速度圧qは、その地方について定められている基準風速V0の2乗に比例する。4風圧力の計算に用いる基準風速V0は、極めて稀に発生する暴風時(再現期間が概ね500年)を想定して定められている。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.8
▼ 解答・解説を見る(No.8)▲ 解答・解説を閉じる
地震層せん断力は、その層より上の部分の重さに層せん断力係数を掛けたもの(建築基準法施行令 第88条第1項)。上の部分の重さが最も大きい最下層の値が最も大きくなる。
実況に応じて計算しない場合の積載荷重は、床の構造計算>大梁・柱・基礎の構造計算>地震力の計算 の順に大きい(建築基準法施行令 第85条第1項の表。例:事務室 2,900・1,800・800N/㎡)。
速度圧は q=0.6EV0² で、基準風速の2乗に比例する(建築基準法施行令 第87条第2項)。
基準風速V0は、稀に発生する暴風(再現期間おおむね50年)を想定して地方ごとに定められた値(30〜46m/s。平成12年建設省告示第1454号)。極めて稀に発生する暴風(再現期間おおむね500年)は、限界耐力計算で風圧力を1.6倍して確かめるときの考え方(建築基準法施行令 第82条の5第二号の表「G+P+1.6W」)。
建築基準法施行令 第85条第1項(積載荷重の表)・第87条第2項(速度圧 q=0.6EV₀²)・第88条第1項(地震力)、平成12年建設省告示第1454号(基準風速 V₀)
No.9木造軸組工法による地上2階建ての建築物(準耐力壁等・筋かいの端部・必要壁量・風圧力の見付面積)
木造軸組工法による地上2階建ての建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1壁量計算において、垂れ壁を存在壁量として算入するために、垂れ壁の両側は準耐力壁とした。2筋かいの端部について、一方を柱と横架材との仕口に緊結し、もう一方を柱に緊結した。3平面が長方形の建築物において、地震力に対する必要な耐力壁の有効長さ(必要壁量)を張り間方向及び桁行方向について同じ値とした。4風圧力に対する必要な耐力壁の有効長さ(必要壁量)は、桁行方向の耐力壁については、桁行方向の立面の見付面積を用いて求めた。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.9
▼ 解答・解説を見る(No.9)▲ 解答・解説を閉じる
垂れ壁・腰壁などを存在壁量に算入するには、その両側が耐力壁または準耐力壁であることが条件(昭和56年建設省告示第1100号・令和7年4月施行の改正)。
筋かいの両端は、柱または横架材に金物で緊結し、いずれか一方の端部は柱と横架材との仕口の部分とする(建築基準法施行令 第45条第3項)。一方を仕口、もう一方を柱に緊結するのは適当。
地震力に対する必要壁量は、床面積に係数を掛けて求めるので、平面が長方形でも張り間方向と桁行方向で同じ値になる。
風圧力に対する必要壁量は、風を受ける面の見付面積から求める。桁行方向の耐力壁は、桁行方向に吹く風(張り間方向の立面の見付面積)に抵抗する。桁行方向の立面の見付面積を使うのは、張り間方向の耐力壁の場合。
建築基準法施行令 第45条第3項(令和8年1月1日の版:筋かいの両端は柱又は横架材に金物で緊結し、いずれか一方は柱と横架材との仕口とする)・第46条第4項
No.10四分割法で張り間方向の計算に用いる側端部分(L形に欠けた平面)
図のような平面を有する木造軸組工法による平家建て建築物(桁行12.0m、張り間10.0m)について、「木造の建築物の軸組の構造方法及び設置の基準を定める件(昭和56年建設省告示第1100号)」第4(いわゆる四分割法)に従って耐力壁等が釣合いよく配置されていることを確認する場合の、張り間方向の計算に用いる側端部分を示す図として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、図中における寸法の単位はmとする。
図を押すと大きく表示します 1図の12図の23図の34図の4出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.10
▼ 解答・解説を見る(No.10)▲ 解答・解説を閉じる
張り間方向の計算に用いる側端部分は、桁行方向の両端から、桁行方向の長さの1/4の部分。長さは、建築物の最も長い所(12.0m)の1/4=3.0m で区切る。
・左端:0〜3.0m の帯(張り間10.0mの全体)
・右端:右端から3.0m の位置(左端から9.0m)より右の部分。上半分は9.0〜12.0m(幅3.0m)、下半分は建物が10.0mまでなので9.0〜10.0m(幅1.0m)
これを示すのは図の3。図の1は下半分の右端(10.0mの位置)から別に3.0mをとり、図の2・図の4は下半分を短いほうの長さ10.0mの1/4(2.5m)で区切っているので誤り。
昭和56年建設省告示第1100号 第4(四分割法:建築物の両端からそれぞれ1/4の部分=側端部分の壁量充足率と壁率比で釣合いを確かめる)
🏢 鉄筋コンクリート構造(No.11〜No.14)
No.11鉄筋コンクリート構造の配筋(副あばら筋のフック・柱主筋の継手位置・スラブ上端筋の定着・完全スリットの鉄筋)
鉄筋コンクリート構造の配筋に関する次の図と記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、図に記載のない鉄筋は適切に配筋されているものとする。
図を押すと大きく表示します 図を押すと大きく表示します 1両側にスラブが取り付いた梁の副あばら筋において、必要な余長を確保したうえで、副あばら筋の上側の末端を90度フックとした。2柱主筋の配筋において、同一断面内に継手が重ならないように相互にずらして、ガス圧接継手を柱頭部に設けた。3両側スラブの配筋において、梁端からの必要な定着長さを確保したうえで、スラブの上端筋を直線定着した。4柱と壁との間に設けた完全スリットにおいて、面外変形を抑えるための鉄筋を設けた。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.11
▼ 解答・解説を見る(No.11)▲ 解答・解説を閉じる
両側にスラブが付く梁の副あばら筋は、スラブで拘束されるので、必要な余長をとれば上側の末端を90°フックとしてよい。
柱主筋の継手は、応力の大きい柱頭・柱脚(梁との接合部の近く)を避け、応力の小さい柱の中間部(梁上端から500mm以上離れた位置など)に設ける。同一断面に集中させないことは正しいが、柱頭部に設けるのは不適当。
両側にスラブがある場合のスラブの上端筋は、梁端から必要な定着長さを確保すれば直線定着としてよい。
完全スリットでは、柱と壁が切り離されて壁の面外への倒れが心配になるので、防錆処理をした鉄筋(振れ止め筋)を設けて面外変形を抑える。
No.12鉄筋コンクリート構造(帯筋による拘束・ヤング係数比・壁式構造の耐力壁の靱性・付着割裂強度)
鉄筋コンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1帯筋によるコンクリートの拘束の度合いが大きいほど、一般に、柱の軸方向圧縮耐力は大きくなり、最大耐力以降の耐力低下の度合いは緩やかになる。2柱の断面算定において、コンクリートに対する鉄筋のヤング係数比nは、一般に、コンクリートの設計基準強度が高くなるほど小さな値となる。3壁式構造の耐力壁では、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が同じ場合、一般に、壁板両端に柱があるラーメン構造の耐力壁に比べて、靱性は低下する。4主筋間のあきが大きくなるほど、一般に、付着割裂強度は小さくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.12
▼ 解答・解説を見る(No.12)▲ 解答・解説を閉じる
帯筋によるコンクリートの拘束が大きいほど、柱の圧縮耐力は大きくなり、最大耐力の後の耐力の低下も緩やかになる。
ヤング係数比n(鉄筋とコンクリートのヤング係数の比)は、コンクリートの設計基準強度が高いほど(コンクリートのヤング係数が大きいほど)小さい値になる。
壁式構造の耐力壁は、両端に柱(側柱)がないので、側柱のあるラーメン構造の耐力壁に比べて靱性が低い。
主筋間のあきが大きいほど、主筋に沿って割れるコンクリートの部分が大きくなるので、付着割裂強度は大きくなる。
No.13鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算(柱の許容曲げモーメント・片持ちバルコニーの鉛直震度・スラブ筋の算入・柱梁接合部)
鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1柱の許容曲げモーメントは、「圧縮縁がコンクリートの許容圧縮応力度に達したとき」、「圧縮側鉄筋が許容圧縮応力度に達したとき」及び「引張鉄筋が許容引張応力度に達したとき」に対して算定したそれぞれの曲げモーメントの値のうち、最大となるものとした。2建築物の外壁から突出する部分の長さが2m以下の片持ちのバルコニーについて、鉛直方向の振動の励起が生じにくいものと判断して、鉛直震度による突出部分に作用する応力の割増しを行わなかった。3引張側にスラブが取り付く大梁の短期許容曲げ耐力の算定時に、スラブ筋の耐力を算入しなかった。4柱梁接合部の許容せん断力を大きくするために、設計基準強度がより高いコンクリートを採用した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.13
▼ 解答・解説を見る(No.13)▲ 解答・解説を閉じる
柱の許容曲げモーメントは、コンクリートの圧縮縁・圧縮側鉄筋・引張鉄筋のどれかが許容応力度に達したときの曲げモーメントのうち、最小のものとする。最大のものでは、ほかの部分が許容応力度を超えてしまう。
鉛直震度の割増し(1.0)が必要なのは、外壁から2mを超えて突出する片持ちのバルコニーなど(平成19年国土交通省告示第594号)。2m以下なら割増しをしなくてよい。
許容応力度計算で、引張側のスラブ筋の耐力を算入しないのは、梁の耐力を小さめに見積もることになり、安全側の扱い。
柱梁接合部の許容せん断力は、コンクリートの許容せん断応力度(設計基準強度に応じて大きくなる)に比例するので、設計基準強度を高くすれば大きくなる。
No.14鉄筋コンクリート構造の保有水平耐力計算(柱のせん断終局耐力と軸力・部材種別 FD・脆性破壊する柱・大梁のせん断スパン比)
鉄筋コンクリート構造の保有水平耐力計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1柱のせん断終局耐力は、一般に、平均軸応力度がコンクリートの設計基準強度の0.4倍以下の場合、軸方向圧縮応力度が大きいほど大きくなる。2架構のメカニズム時にヒンジが生じない状態の柱のせん断終局耐力が、架構のメカニズム時のせん断力に対して1.1倍の場合、一般に、部材種別はFDとなる。3局部崩壊に至る脆性破壊を生じる柱を有する建築物では、一般に、当該柱を無視した靭性部材のみで構成された建築物とみなして、当該柱がある階の保有水平耐力を算定する。4大梁のせん断終局耐力は、一般に、有効せいに対するせん断スパンの比が小さいほど大きくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.14
▼ 解答・解説を見る(No.14)▲ 解答・解説を閉じる
柱のせん断終局耐力は、平均軸応力度が設計基準強度の0.4倍程度までは、軸方向圧縮力が大きいほど大きくなる。
メカニズム時のせん断力に対して、せん断終局耐力に十分な余裕(技術基準解説書の値)がない柱は、せん断破壊のおそれがあるので部材種別を FD とする。1.1倍では余裕が足りない。
局部崩壊に至る脆性破壊を生じる柱がある場合は、その柱を無視するのではなく、その柱が破壊する時点で保有水平耐力を算定する(部材種別 FD の部材を含む階として扱う)。無視して靱性部材だけの建築物とみなすと、耐力を過大に見積もる。
大梁のせん断終局耐力は、有効せいに対するせん断スパンの比が小さい(短い梁)ほど大きくなる(アーチ機構が働くため)。
🔩 鉄骨構造(No.15〜No.18)
No.15鉄骨構造(許容疲労強さ・限界細長比と許容圧縮応力度・板厚と許容引張応力度・たわみ)
鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1多数回の繰返し応力を受ける梁フランジを建築構造用圧延鋼材SN400Bから同一断面のSN490Bに変更しても、継手などの形式及び総繰返し数が同じであれば、許容疲労強さは変わらない。2柱を建築構造用圧延鋼材SN400Bから同一断面のSN490Bに変更しても、細長比がSN400Bの限界細長比より大きければ、許容圧縮応力度は変わらない。3建築構造用圧延鋼材SN490Bの板厚を25mmから50mmに変更しても、許容引張応力度は変わらない。4大スパンの梁部材を建築構造用圧延鋼材SN400Bから同一断面のSN490Bに変更しても、鉛直荷重による梁の弾性たわみは変わらない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.15
▼ 解答・解説を見る(No.15)▲ 解答・解説を閉じる
許容疲労強さは、継手などの形式と総繰返し数で決まり、鋼材の強度(SN400B・SN490B)には左右されない。
細長比が限界細長比より大きい柱は弾性座屈で決まり、許容圧縮応力度はヤング係数と細長比だけで決まる(鋼材の強度に関係しない)。SN490B の限界細長比は SN400B より小さいので、SN400B の限界細長比より大きければ、どちらも弾性座屈の範囲。
SN490B の基準強度 F は、板厚40mm以下で325N/mm²、40mmを超え100mm以下で295N/mm²(平成12年建設省告示第2464号)。板厚を25mmから50mmにすると F が小さくなり、許容引張応力度も小さくなる。
たわみは、ヤング係数と断面二次モーメントで決まる。SN400B と SN490B のヤング係数は同じなので、同じ断面ならたわみは変わらない。
平成12年建設省告示第2464号(鋼材の基準強度 F:SN490B は板厚40mm以下で325N/mm²、40mmを超え100mm以下で295N/mm²)
No.16鉄骨構造の接合部(溶接の入熱とパス間温度・露出柱脚のアンカーボルトの定着長さ・高力ボルト摩擦接合)
鉄骨構造の接合部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1溶接接合において、溶接部の強度を低下させないために、入熱量及びパス間温度が規定値より小さくなるように管理した。2露出形式柱脚において、所定の構造計算を行わなかったので、アンカーボルトの基礎に対する定着長さをアンカーボルトの径の15倍とした。3高力ボルト摩擦接合部において、2面摩擦接合2本締めの許容せん断耐力を、同一径の1面摩擦接合4本締めの場合と同じ値とした。4高力ボルト摩擦接合部において、すべり耐力以下の繰返し応力に対しては、ボルト張力の低下や摩擦面の状態の変化を考慮しなかった。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.16
▼ 解答・解説を見る(No.16)▲ 解答・解説を閉じる
入熱量やパス間温度が大きすぎると溶接部の強度や靱性が下がるので、規定値以下になるように管理する。
所定の構造計算を行わない露出形式柱脚では、アンカーボルトの基礎に対する定着長さをアンカーボルトの径の20倍以上とする(平成12年建設省告示第1456号)。15倍では足りない。
高力ボルト摩擦接合の許容せん断耐力は、摩擦面の数×ボルトの本数に比例する。2面摩擦2本(2×2=4)と1面摩擦4本(1×4=4)は同じ。
すべり耐力以下の繰返し応力では、ボルト張力の低下や摩擦面の変化は小さいので考えなくてよい。
平成12年建設省告示第1456号(露出形式柱脚:アンカーボルトの基礎に対する定着長さはアンカーボルトの径の20倍以上など)
No.17鉄骨構造の耐震計算(ルート1-2 の適用範囲・層間変形角と剛性率・筋かいの応力割増し・角形鋼管柱の柱梁耐力比)
鉄骨構造の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1最大スパンが9mで、高さ9m、延べ面積が450㎡の2階建ての建築物を「ルート1-2」で設計した。2「ルート1-2」の計算において、標準せん断力係数を0.3として地震力の算定を行ったので、層間変形角及び剛性率の確認を行わなかった。3「ルート2」の計算において、筋かいの水平力分担率の値に応じて、地震時の応力を割り増した。4冷間成形角形鋼管を柱に用いた建築物の「ルート2」の計算において、中間階の各柱梁接合部の梁の全塑性モーメントの和が、柱の全塑性モーメントの和の1.5倍以上となるようにした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.17
▼ 解答・解説を見る(No.17)▲ 解答・解説を閉じる
ルート1-2 は、地階を除く階数2以下・高さ13m以下・軒高9m以下・スパン12m以下・延べ面積500㎡以内(平家建ては3,000㎡以内)などの鉄骨造に使える(平成19年国土交通省告示第593号)。最大スパン9m・高さ9m・延べ面積450㎡の2階建ては適用できる。
ルート1-2 は、標準せん断力係数を0.3以上として許容応力度計算を行うルートで、層間変形角・剛性率の確認(ルート2 以上で求められるもの)は要らない(偏心率などの確認は必要)。
ルート2 では、筋かいの水平力分担率に応じて地震時の応力を割り増す。
冷間成形角形鋼管を柱に使う建築物のルート2 では、柱梁接合部で柱の全塑性モーメントの和が、梁の全塑性モーメントの和の1.5倍以上となるようにする(柱を強くして梁に先に塑性ヒンジを生じさせる)。設問は柱と梁が逆。
No.18鉄骨構造の設計(角形鋼管の許容曲げ応力度・H形鋼の梁の幅厚比・幅厚比の規定・柱梁接合部パネル)
鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1角形鋼管を用いた柱は、横座屈が生じるおそれがないので、材長にかかわらず、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値にすることができる。2骨組の塑性変形能力を確保するために定められているH形鋼(炭素鋼)の梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが小さい。3鋼材断面の幅厚比の規定は、局部座屈防止のために設けられたものであり、鋼材の降伏点に影響される。4柱梁接合部パネルは、大地震時において、接合される梁や柱より早期に降伏しても、一般に、骨組の剛性は直ちに低下しない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.18
▼ 解答・解説を見る(No.18)▲ 解答・解説を閉じる
角形鋼管は閉断面で横座屈を生じにくいので、材長にかかわらず、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値にできる。
H形鋼の梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きい(例:部材種別 FA で、フランジ 9√(235/F)、ウェブ 60√(235/F))。ウェブはせいが大きく、幅厚比の値そのものが大きいので、上限も大きく定められている。
幅厚比の規定は局部座屈を防ぐためのもので、上限値は降伏点(F値)が高いほど小さくなる(√(235/F) に比例)。
柱梁接合部パネルは、梁や柱より先に降伏しても、ひずみ硬化などで耐力を保つので、骨組の剛性は直ちには低下しない。
🪨 地盤・基礎(No.19〜No.21)
No.19土質及び地盤(含水比と細粒分・飽和度・有効応力・減衰定数)
土質及び地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1土の含水比は、一般に、細粒分含有率が大きくなるほど小さくなる。2土の飽和度は、水の体積を間隙の体積で除したものである。3地盤の有効応力は、全応力と間隙水圧との差である。4地震動が作用している軟弱な地盤においては、地盤のせん断ひずみが大きくなるほど、地盤の減衰定数は増大する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.19
▼ 解答・解説を見る(No.19)▲ 解答・解説を閉じる
細粒分(粘土・シルト)が多い土ほど水を多く含むので、含水比は細粒分含有率が大きいほど大きくなる。
飽和度は、間隙の体積に対する水の体積の割合。
有効応力は、全応力から間隙水圧を引いたもの。
地盤のせん断ひずみが大きくなるほど、剛性は下がり、減衰定数は大きくなる(非線形性)。
No.20地下外壁及び基礎(地下水以深の土圧・地表面荷重による土圧・根入れ深さと支持力・圧密沈下)
地下外壁及び基礎に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1地下外壁の設計において、地下水以深の部分は、一般に、静止土圧と水圧を考慮する。2地下外壁に作用する土圧は、地表面全面に等しく荷重度が作用する場合、一般に、「地表面荷重がない場合の土圧」に「地表面の荷重度に静止土圧係数を乗じた値」を加えたものとする。3直接基礎の極限鉛直支持力は、一般に、根入れ深さが深いほど小さくなる。4粘性土地盤に建築物を建築する場合、過圧密粘土の地盤よりも正規圧密粘土の地盤のほうが、大きな圧密沈下が発生する可能性が高い。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.20
▼ 解答・解説を見る(No.20)▲ 解答・解説を閉じる
地下水位より深い部分の地下外壁には、静止土圧と水圧を考える。
地表面に一様な荷重がある場合の土圧は、荷重がない場合の土圧に、地表面の荷重度×静止土圧係数を加える。
直接基礎の極限鉛直支持力は、根入れが深いほど上にある土の重さ(押さえ)が大きくなるので、大きくなる(平成13年国土交通省告示第1113号の支持力の式でも、根入れ深さの項が加わる)。
正規圧密粘土は、過去に受けた以上の荷重がかかるので、過圧密粘土より大きな圧密沈下が起きやすい。
平成13年国土交通省告示第1113号(地盤の許容応力度:支持力の式に根入れ深さ D_f の項がある)
No.21基礎(水平地盤反力係数と杭径・支持力と基礎の形状・即時沈下と基礎の幅・塔状の建築物の杭)
基礎に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1一様な地盤において、杭の水平抵抗の検討に用いる水平地盤反力係数(単位 kN/㎥)は、杭径が小さいほど大きくなる。2同一の砂質地盤を支持層とする直接基礎において、極限鉛直支持力は、基礎の底面積のみならず、基礎底面の形状にも依存する。3同一の砂質地盤において、正方形で剛な直接基礎の底面に単位面積当たり同じ荷重が作用する場合、一般に、基礎底面の幅が小さいほど、即時沈下量は大きくなる。41スパンで、幅に対する高さの比が大きい建築物では、一般に、圧縮側の杭の破壊が、直ちに杭基礎全体の極限状態につながりやすい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.21
▼ 解答・解説を見る(No.21)▲ 解答・解説を閉じる
水平地盤反力係数は杭径のおよそ−3/4乗に比例するので、杭径が小さいほど大きくなる。
直接基礎の極限鉛直支持力は、底面積だけでなく、形状係数を通して底面の形状(正方形・長方形・円形など)にも左右される。
同じ荷重度がかかる場合、即時沈下量は基礎底面の幅が大きいほど大きくなる(荷重の影響が地中の深い所まで及ぶため)。幅が小さいほど大きくなるのではない。
1スパンで塔状比の大きい建築物は、転倒モーメントで圧縮側の杭に力が集中するので、圧縮側の杭の破壊が杭基礎全体の極限状態につながりやすい。
🧱 各種構造・耐震・構造計画・材料(No.22〜No.30)
No.22鉄骨鉄筋コンクリート構造(引張軸力が生じる柱脚・非埋込み柱脚の Ds・耐力壁の縦横筋・耐力壁の種別)
鉄骨鉄筋コンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1地震時に引張軸力が生じる1階の柱脚の鉄骨部分は、原則として、非埋込み形式とする。2非埋込み形式の鉄骨柱脚が曲げ降伏する場合、その柱を鉄筋コンクリート造とみなして、構造特性係数Dsの算定を行う。3耐力壁の縦横筋を周囲の鉄骨鉄筋コンクリート造の柱や梁に定着できない場合、縦横筋による耐力は無視する。4構造特性係数Dsの算定において、耐力壁の想定される破壊モードがせん断破壊である場合、その耐力壁の種別はWCとする。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.22
▼ 解答・解説を見る(No.22)▲ 解答・解説を閉じる
地震時に引張軸力が生じる1階の柱脚は、鉄骨の引張力を確実に基礎へ伝えるため、原則として埋込み形式とする。
非埋込み形式の柱脚が曲げ降伏する場合は、その柱を鉄筋コンクリート造とみなして構造特性係数Dsを算定する。
耐力壁の縦横筋を周囲の柱・梁に定着できない場合は、その縦横筋の耐力を無視する。
想定される破壊モードがせん断破壊の耐力壁は、Dsの算定で種別 WC とする。
No.23各種建築構造(壁式RCの壁量・直交壁・ポストテンション・プレストレストコンクリートの減衰)
各種建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1壁式鉄筋コンクリート構造の建築物では、使用するコンクリートの設計基準強度を高くすると、一般に、必要壁量を小さくすることができる。2壁式鉄筋コンクリート構造の建築物では、直交壁の取り付いた耐力壁の曲げ剛性を評価する場合、一般に、直交壁の効果を考慮する必要がある。3プレストレストコンクリート構造におけるポストテンション方式は、コンクリートの硬化後、PC鋼材に引張力を導入する方式である。4建築物の安全限界時の各部材の減衰特性を表す数値は、一般に、プレストレストコンクリート造の部材のほうが、鉄筋コンクリート造の部材に比べて大きい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.23
▼ 解答・解説を見る(No.23)▲ 解答・解説を閉じる
壁式鉄筋コンクリート造では、コンクリートの設計基準強度を高くすると、必要壁量を小さくできる(平成13年国土交通省告示第1026号)。
直交壁が取り付く耐力壁は、直交壁がフランジのように働くので、曲げ剛性の評価に直交壁の効果を考える。
ポストテンション方式は、コンクリートが硬化した後に、シース内の PC鋼材を緊張して引張力を導入する方式。
プレストレストコンクリート造の部材は、ひび割れが閉じて元に戻りやすく、エネルギーの吸収が少ないので、減衰特性を表す数値は鉄筋コンクリート造の部材より小さい(そのため構造特性係数Dsは鉄筋コンクリート造より大きくとる)。
平成13年国土交通省告示第1026号(壁式鉄筋コンクリート造:コンクリートの設計基準強度に応じて壁量を低減できる)
No.24免震構造(ダンパーの減衰力と応答・積層ゴムの1次形状係数・オイルダンパーの配置・天然ゴム系積層ゴム)
免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1免震構造において、免震層に設置するダンパーの減衰力を大きくすると、上部構造の地震時応答せん断力は単調に小さくなる。2免震構造に用いられる、積層ゴムのアイソレータの1次形状係数S1(ゴム1層の自由表面積(側面積)に対するゴムの拘束面積(受圧面積)の比)は、主に積層ゴムの鉛直剛性及び曲げ剛性に関係する。3免震構造に用いられるオイルダンパーは、免震層平面の外周部に設置すると、免震層のねじれ変形を抑制する効果がある。4免震構造で用いられる天然ゴム系積層ゴムのアイソレータには、復元機能はあるが、減衰機能はほとんどない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.24
▼ 解答・解説を見る(No.24)▲ 解答・解説を閉じる
免震層のダンパーの減衰力を大きくすると、免震層の変位は小さくなるが、減衰力が大きすぎると上部構造に伝わる力が増えるので、上部構造の応答せん断力は単調には小さくならない(ある程度を超えると大きくなる)。
1次形状係数S1(ゴム1層の受圧面積÷側面積)が大きいほど、積層ゴムの鉛直剛性と曲げ剛性は大きくなる。
オイルダンパーを免震層の外周部に設けると、ねじれ変形を抑える効果が大きい。
天然ゴム系積層ゴムは、復元力はあるが減衰はほとんどないので、ダンパーと組み合わせて使う。
No.25鉄筋コンクリート構造の耐震設計及び耐震改修(せん断補強筋の材料強度・固有周期の算定・減築・そで壁と耐震スリット)
鉄筋コンクリート構造の建築物の耐震設計及び耐震改修に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1耐震設計において、部材のせん断終局耐力を計算する場合のせん断補強筋の材料強度は、JIS規格品の鉄筋であっても、せん断破壊に対する余裕度を確保するために基準強度の割増しはしない。2耐震設計において、設計用一次固有周期 T を固有値解析等の精算によって求める場合には、建築物の振動特性はコンクリートにひび割れのない初期剛性を用い、基礎や基礎杭の変形はないものと仮定する。3耐震改修には強度補強、靱性改善、損傷集中の回避のほかに、減築等により建築物に作用する地震力を低減する方法もある。4耐震改修において、そで壁付き柱の耐力の向上を図る方法の一つに、「柱とそで壁との間に耐震スリットを設ける方法」がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.25
▼ 解答・解説を見る(No.25)▲ 解答・解説を閉じる
せん断終局耐力を計算するときのせん断補強筋の材料強度は、せん断破壊への余裕を確保するため、JIS規格品でも基準強度の割増し(1.1倍)をしない。
設計用一次固有周期を固有値解析などで求めるときは、ひび割れのない初期剛性を使い、基礎や杭の変形はないものと仮定する。
耐震改修には、強度の補強・靱性の改善・損傷集中の回避のほか、減築などで建築物に作用する地震力そのものを小さくする方法もある。
柱とそで壁との間に耐震スリットを設けるのは、柱を短柱にしないようにして靱性を高める方法で、柱の耐力は(そで壁の分が減るので)むしろ小さくなる。耐力の向上を図る方法ではない。
No.26建築物の構造計画及び構造設計(P−Δ効果・剛床でない場合の妻面の耐力壁・X形筋かいの耐力・CFTの幅厚比)
建築物の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1地震時水平力を受けて骨組の水平変形が大きくなると、 P-Δ効果による付加的な応力及び水平変形が無視できなくなる。2建築物の平面形状が細長く、耐力壁が短辺方向の両妻面のみに配置され、剛床と仮定できない場合、両妻面の耐力壁の負担せん断力は、剛床と仮定した場合より大きくなる。3鉄骨構造の筋かい付き骨組の保有水平耐力計算において、X形筋かいの耐力は、引張側筋かいの耐力と、変形の適合を考慮した圧縮側筋かいの座屈後安定耐力を加えたものとすることができる。4コンクリート充塡鋼管(CFT)構造の柱は、鉄骨構造の柱に比べて塑性変形能力が優れているので、鋼管の幅厚比制限を緩和することができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.26
▼ 解答・解説を見る(No.26)▲ 解答・解説を閉じる
水平変形が大きくなると、鉛直荷重が偏心して付加的な応力と変形(P−Δ効果)が生じ、無視できなくなる。
剛床と仮定できない細長い平面では、床が変形して中間の架構もそれぞれの負担範囲の水平力を受けるので、両妻面の耐力壁の負担せん断力は剛床と仮定した場合より小さくなる(剛床なら水平力が剛性の高い妻面の耐力壁に集まる)。その分、中間の架構の負担が大きくなるので、中間の架構も確かめる。
X形筋かいの耐力は、引張側の筋かいの耐力に、変形の適合を考えた圧縮側の筋かいの座屈後の安定耐力を加えたものにできる。
CFT の柱は、充塡したコンクリートが鋼管の局部座屈を抑えるので塑性変形能力が高く、鋼管の幅厚比の制限を緩和できる。
No.27木材及び木質系材料(CLTの基準強度・集成材の強度の方向・気乾状態・木表と木裏の反り)
木材及び木質系材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1CLT(直交集成板)の圧縮、引張、面外曲げ及び面内曲げの基準強度は、CLTを構成するラミナ(挽板)の強度を用いた算定式で与えられている。2構造用集成材の強度性能は、一般に、繊維方向と積層方向で異なる。3木材を大気中で十分に乾燥させ、木材中の結合水と大気中の湿度が平衡に達した状態を、気乾状態という。4木裏は、一般に、木表に比べて乾燥収縮率が大きいので、乾燥時に木裏側に凹に反る性質がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.27
▼ 解答・解説を見る(No.27)▲ 解答・解説を閉じる
CLT の圧縮・引張・面外曲げ・面内曲げの基準強度は、構成するラミナ(挽板)の強度を使った算定式で与えられている(国土交通省告示)。
構造用集成材の強度は、繊維方向と積層方向で異なる。
木材を大気中で十分に乾かし、木材中の水分が大気の湿度とつり合った状態を気乾状態という(含水率15%前後)。
乾燥収縮率は、木表のほうが木裏より大きいので、乾燥すると木表側が凹になるように反る。設問は木表と木裏が逆。
No.28コンクリート(せん断弾性係数・引張強度・寸法効果・軽量コンクリートのヤング係数)
コンクリートに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1コンクリートのせん断弾性係数は、一般に、ヤング係数の0.4倍程度である。2コンクリートの引張強度は、一般に、コンクリートの圧縮強度が大きいほど大きくなる。3コンクリートの圧縮強度は、一般に、コンクリート供試体の形状が相似の場合、供試体寸法が大きいほど大きくなる。4軽量コンクリート1種のヤング係数は、一般に、同じ設計基準強度の普通コンクリートのヤング係数に比べて小さい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.28
▼ 解答・解説を見る(No.28)▲ 解答・解説を閉じる
せん断弾性係数は G=E/{2(1+ν)}。ポアソン比ν≒0.2 なので、G≒E/2.4≒0.4E。
コンクリートの引張強度は、圧縮強度が大きいほど大きくなる(圧縮強度のおよそ1/10〜1/13)。
形状が相似の供試体では、寸法が大きいほど内部の欠陥を含みやすく、圧縮強度は小さくなる(寸法効果)。
軽量コンクリートは骨材のヤング係数が小さいので、同じ設計基準強度の普通コンクリートよりヤング係数が小さい。
No.29鋼材(BCR295・SN400A・高温時の引張強さ・板厚方向の強度)
鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1(一社)日本鉄鋼連盟の製品規定「建築構造用冷間ロール成形角形鋼管」に適合するBCR295材の降伏点又は耐力の下限値は、295N/mm²である。2建築構造用圧延鋼材SN400Aは炭素量の上限と降伏点の下限が規定されているが、十分な変形性能は保証されていない。3建築構造用圧延鋼材の常温から400℃程度までの引張強さは、一般に、その鋼材の基準強度(F 値)よりも大きい。4熱間圧延鋼材の板厚方向(Z方向)の強度は、圧延方向(L方向)や圧延方向に直角な方向(C方向)よりも大きい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.29
▼ 解答・解説を見る(No.29)▲ 解答・解説を閉じる
BCR295 の降伏点(耐力)の下限値は295N/mm²(日本鉄鋼連盟の製品規定)。
SN400A は、炭素量の上限と降伏点の下限が規定されているが、降伏比などの規定がなく、塑性変形能力(十分な変形性能)は保証されていない(弾性範囲で使う部材向け)。
鋼材の引張強さは、300℃前後で常温より大きくなり、400℃程度までは基準強度(F値)より大きい。
熱間圧延鋼材の板厚方向(Z方向)は、圧延で延ばされた介在物の影響で、圧延方向(L方向)や直角方向(C方向)より強度や延性が小さい(ラメラテアの原因)。
No.30建築物の構造計画及び構造設計(荷重の便宜的な数値・電炉材・エキスパンションジョイント・余裕のある設計)
建築物の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1建築物に作用する荷重及び外力の性質には、いろいろな種類があり取扱いが難しいので、法規及び基規準は、荷重及び外力の数値を扱いやすいように便宜的に提示している。2鋼材スクラップから再生した電炉材を適切に用いることは、建築物の資材製造段階の二酸化炭素排出量を削減する方法の一つである。3平面が不整形な建築物をエキスパンションジョイントを用いて整形な建築物に分割すると、一般に、構造体の地震時の挙動が明確になるが、温度応力やコンクリートの乾燥収縮に対しては、不利になる。4床の積載荷重や部材断面設計において、適度に余裕をもたせて設計することは、イニシャルコスト増となるが、一般に、建築物の寿命を延ばし、ライフサイクルコストの節減に結びつく。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30
▼ 解答・解説を見る(No.30)▲ 解答・解説を閉じる
荷重や外力は性質が多様で扱いが難しいので、法規や規準では設計に使いやすいよう便宜的な数値として示している。
鋼材スクラップから再生した電炉材を適切に使うことは、資材製造段階の二酸化炭素の排出量を減らす方法の一つ。
エキスパンションジョイントで整形な建築物に分けると、地震時の挙動が明確になり、温度応力やコンクリートの乾燥収縮に対しても有利になる(1つの建物の長さが短くなるため)。不利になるのではない。
積載荷重や断面に適度な余裕をもたせると、初期費用は増えるが、用途の変更などに対応しやすく建築物の寿命が延び、ライフサイクルコストの節減につながる。
令和8年の合格基準点(学科の試験)
配点は各問題1点(学科Ⅰ・Ⅱは各20点、学科Ⅲ・Ⅳは各30点、学科Ⅴは25点、合計125点)で、各科目の基準点と総得点の基準点のすべてに達した人が合格です。
| 学科Ⅰ 計画 | 学科Ⅱ 環境・設備 | 学科Ⅲ 法規 | 学科Ⅳ 構造 | 学科Ⅴ 施工 | 総得点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格基準点 | 11点 | 11点 | 16点 | 16点 | 13点 | 94点 |
※ 合格基準点は、各科目は過半の得点、総得点はおおむね90点程度を基本的な水準として想定し、令和8年は総じて難度が低かったことから、総得点の基準点が94点とされました。
出典:建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験『学科の試験』の合格基準点等について」
令和8年の構造の基準点は16点(30点中)でした。構造は前半に計算問題がまとまって出る科目です。計算問題は解き方の型を身につければ確実に得点でき、後半の各種構造・材料は過去問のくり返しが効きます。
ほかの年度・ほかの科目の過去問
この記事の問題文と図は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和8年 一級建築士試験(学科の試験)の問題から、著作権法第32条の引用として掲載しています。著作権は同センターにあります。
関連記事
一級建築士の過去問の一覧や、学科の教材・勉強の進め方は次の記事で紹介しています。











