全20問の解答・解説
平成29年(2017年7月23日実施)の一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)の全20問を、選択肢ごとに正誤の理由を示して解説します。環境工学(熱・空気・光・音・色)と建築設備(空調・給排水・電気・防災)から出題されます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

平成29年 一級建築士試験(学科)の概要
問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)の試験問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各問の枠の右下に出典)。正答は、同センターの合格基準点等(正答肢)と全問を照らし合わせています。
解説は、出題当時の法令・基準によります(法令がからむ問題は平成29年1月1日時点の法令)。その後の改正や基準の改定で答えが変わる問題には「🔶 現在の基準では」、言い方だけが変わった問題には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
分野ごとの問題一覧
環境・設備の20問は、毎年おおむね同じ順番で、分野ごとに出題されます。解きたい問題を押すと、その問題へ移動します。
🌡️ 環境工学の用語・温熱と空気・換気・伝熱・煙制御(No.1〜No.5)
No.1環境工学の用語(色度・音の回折・定常伝熱・剥離流)
環境工学における用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1色度は、色の明度と彩度の二つの属性を含めた知覚的評価の指標である。2音の回折は、音波の伝搬空間に障害物がある場合に、障害物の背後に音が回り込んで伝搬する現象であり、障害物の大きさよりも音の波長が大きいほど回り込みやすい。3壁体の定常伝熱は、壁体の両面の空気温度又は表面温度を長時間一定に保った後も、壁体内の各部の温度が時間の経過によって変化せず、熱流量が一定な場合の伝熱過程をいう。4建築物の壁面に沿った風の流れが、隅角部で建築物から離れる現象を、一般に、剥離流という。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.1
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色度は、色のうち明るさ(明度)を除いた、色相と彩度の二つの属性をまとめて表したもの(xy色度図などで表す)。明度と彩度の組み合わせではない。
音の回折は、障害物の背後に音が回り込んで伝わる現象で、障害物の大きさに比べて音の波長が長い(低い音)ほど回り込みやすい。
定常伝熱は、壁の両側の温度を長い時間一定に保ったあと、壁の内部の温度が時間で変わらず、流れる熱量が一定になった状態の伝熱。
建物の壁面に沿って流れてきた風が、建物の角(隅角部)で壁面から離れる流れを、剥離流という(ビル風の原因の一つ)。
No.2室内の温熱・空気環境(PMV の適用範囲・浮遊粉じん・酸素濃度・平均放射温度)
室内の温熱・空気環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1予測平均温冷感申告(PMV)は、主に均一な環境に対する温熱快適指標であることから、不均一な放射環境や上下温度分布が大きな環境等に対しては、適切に評価できない場合がある。2中央管理方式の空気調和設備を設ける居室においては、浮遊粉じんの量を概ね0.15mg/㎥以下とする。3室内の酸素濃度が18%近くに低下した場合、人体に対しては生理的に大きな影響を与えにくいが、開放型燃焼器具の不完全燃焼をもたらすおそれがある。4平均放射温度(MRT)は、室温によらず、グローブ温度及び気流速度の計測値から概算で求められる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.2
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PMV は均一な環境を前提にした指標なので、不均一な放射環境や上下の温度差が大きい環境では、正しく評価できないことがある。
中央管理方式の空気調和設備を設ける居室では、浮遊粉じんの量をおおむね0.15mg/㎥以下とする(建築基準法施行令 第129条の2の6第3項の表)。
酸素濃度が18%近くまで下がっても人体への生理的な影響はまだ小さいが、開放型の燃焼器具は不完全燃焼を起こし、一酸化炭素が発生するおそれがある。
平均放射温度(MRT)は、グローブ温度・空気温度(室温)・気流速度から求める。室温によらず、グローブ温度と気流速度だけから求めることはできない。
建築基準法施行令 第129条の2の6第3項(中央管理方式の空気調和設備:浮遊粉じんの量は空気1㎥につき0.15mg以下)
No.3換気(室容積と二酸化炭素濃度・必要換気量・温度差換気の換気量・手術室の換気方式)
換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1容積の異なる二つの室において、それぞれの室内の二酸化炭素発生量及び換気回数が同じ場合、定常状態での室内の二酸化炭素濃度は、一般に、容積が大きい室より小さい室のほうが高くなる。2汚染物質が発生している室の必要換気量は、定常状態を想定した場合、室の容積によらず、その室の汚染物質の発生量、許容濃度及び外気中の汚染物質の濃度により求めることができる。3外気に面して上下に同じ大きさの二つの開口部がある室において、無風の条件で温度差換気を行う場合、換気量は、「内外温度差」及び「開口高さの差」に比例する。4手術室やクリーンルーム等のように、汚染空気が周囲から流入してはならない室においては、第二種機械換気又は室内の気圧を周囲よりも高くした第一種機械換気とする。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.3
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定常状態の室内濃度=外気の濃度+発生量÷換気量(換気回数×室容積)。発生量と換気回数が同じなら、容積が小さい室ほど換気量が少なく、濃度は高くなる。
必要換気量=汚染物質の発生量÷(許容濃度−外気の濃度)で、定常状態なら室の容積に関係なく求められる。
温度差換気の換気量は、内外の温度差の平方根と、開口の高さの差の平方根に比例する(換気量∝開口面積×√(高さの差×温度差))。温度差や高さの差にそのまま比例するのではない。
汚れた空気が入ってはならない手術室やクリーンルームでは、室を正圧に保つため、第二種機械換気(または給気を多くした第一種機械換気)とする。
No.4外壁の内部の温度分布(熱伝導率の大小・熱伝導率を変えたときの温度・材料の入れ替えと表面結露)
図は、冬期において、定常状態にある外壁の内部及び周囲の温度分布を示したものである。次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、図中の屋外温度t0、室内温度ti及び材料の厚さdの条件は変わらないものとする。
図を押すと大きく表示します 1材料(A)は、材料(B)より熱伝導率が大きい。2材料(A)の熱伝導率を大きくすると、材料(B)の各部分の温度が下がる。3材料(B)の熱伝導率を大きくすると、材料(A)の各部分の温度が上がる。4室内表面結露の防止には、材料(A)と材料(B)を入れ替えると効果的である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.4
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定常状態では、どの層にも同じ量の熱が流れるので、厚さが同じなら、温度の勾配がゆるやかな層ほど熱伝導率が大きい。図では材料(A)の勾配がゆるやかなので、(A)は(B)より熱伝導率が大きい。
(A)の熱伝導率を大きくすると、壁全体の熱抵抗が小さくなって流れる熱が増える。室内側から見ると、室内表面と(B)の中の温度降下が大きくなるので、(B)の各部分の温度は下がる。
(B)の熱伝導率を大きくすると、壁全体の熱抵抗が小さくなって流れる熱が増える。屋外側から見ると、屋外表面と(A)の中の温度上昇が大きくなるので、(A)の各部分の温度は上がる。
材料を入れ替えても、熱抵抗の合計(熱貫流率)は変わらないので、流れる熱も室内側の表面温度も変わらない。室内表面結露の防止には効果がない(内部結露のしやすさは変わる)。
No.5火災時の煙制御(自然排煙・吸引型の機械排煙・階段室の加圧防煙・第二種排煙)
火災時の煙制御に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1自然排煙方式の排煙の効率は、給気経路によらず、排気を行う開口部の位置及び面積で決まる。2吸引型の機械排煙方式は、発生した煙を外部に排出するとともに、煙が発生した室を減圧することにより、他の空間への煙の拡散防止にも有効である。3高層建築物の階段室に対する加圧防煙システムは、階段室への煙の流入防止とともに、階段室における煙突効果による煙の拡散防止にも有効である。4第二種排煙は、押出型の機械排煙方式であり、所定の排煙量を確保するために、排煙量よりも多い給気量が必要となる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.5
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自然排煙の効率は、排煙口の位置・面積だけでなく、給気の経路(給気口の位置・大きさ)にも左右される。給気が十分でないと、煙はうまく排出されない。
吸引型の機械排煙は、煙を外に出すとともに、火災室の圧力を下げるので、ほかの空間への煙の広がりも防げる。
高層建築物の階段室を加圧すると、階段室への煙の流入を防ぐとともに、階段室の煙突効果で煙が上へ広がるのも防げる。
第二種排煙(押出型)は、機械で給気して煙を排煙口から押し出す方式で、所定の排煙量を得るには、排煙量より多い給気量が必要になる。
💡 日射・昼光・照明・色彩・音(No.6〜No.10)
No.6北緯35度の各面の終日日射量の大小(夏至・冬至の南面・西面・水平面)
北緯35度のある地点において、イ~ニに示す各面の終日日射量の大小関係として、最も適当なものは、次のうちどれか。ただし、終日快晴とし、日射を妨げる要素はないものとする。
イ.夏至の日における南向き鉛直面ロ.夏至の日における西向き鉛直面ハ.冬至の日における南向き鉛直面ニ.冬至の日における水平面1イ > ハ > ロ > ニ2ロ > イ > ハ > ニ3ロ > ハ > イ > ニ4ハ > ロ > ニ > イ出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.6
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夏至の南向き鉛直面(イ)は、太陽高度が高く日射が浅い角度でしか当たらないので、終日日射量は4つの中で最も小さい。イが最大とするのは誤り。
冬至の南向き鉛直面(ハ)が最も大きい。夏至の西向き鉛直面(ロ)や夏至の南向き鉛直面(イ)より大きい。
ハ(冬至の南面)がロ(夏至の西面)より大きく、ニ(冬至の水平面)はイ(夏至の南面)より大きい。
北緯35度の快晴日の終日日射量は、次の順になる。
・ハ 冬至の南向き鉛直面:太陽高度が低く、一日中正面近くから日射を受けるので最も大きい(冬に南面が多く日射を受ける)
・ロ 夏至の西向き鉛直面:午後の長い時間、西日を受けるので大きい
・ニ 冬至の水平面:昼が短く太陽高度も低いので、夏より小さい
・イ 夏至の南向き鉛直面:太陽高度が高く、浅い角度でしか当たらないので最も小さい
よって ハ > ロ > ニ > イ。
No.7昼光・照明(光束・均等拡散面の輝度・基準昼光率・設計用全天空照度)
昼光・照明に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1光束は、ある面を単位時間に通過する光の放射エネルギーの量を、視感度で補正した値である。2受照面が均等拡散面である場合の輝度は、照度と反射率の積に比例する。3長時間の精密な視作業のための基準昼光率は、2%である。4設計用全天空照度は、普通の日(標準の状態)の場合、15,000lxを用いることが多い。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.7
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光束は、ある面を単位時間に通る光の放射エネルギーを、人の目の感度(視感度)で補正した値。
均等拡散面の輝度は、照度×反射率÷π で、照度と反射率の積に比例する。
長時間の精密な視作業の基準昼光率は5%程度。2%は、事務・読書など普通の視作業の目安(全天空照度15,000lxなら300lx)。
設計用全天空照度は、普通の日(標準の状態)では15,000lxを使うことが多い(暗い日は5,000lx)。
No.8色彩(減法混色・三刺激値Y・マンセルの彩度・JISの安全色の緑)
色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1減法混色は、色を吸収する媒体を混ぜ合わせて別の色を作ることをいい、混ぜ合わせを増やすごとに黒に近づく。2XYZ表色系における三原刺激X、Y、ZのうちのYは、光源色の場合、測光的な明るさを表している。3マンセル表色系における彩度は、0から10までの数値で表される。4日本工業規格(JIS)の「安全色-一般事項」において、「緑」は、「安全状態」及び「進行」を表している。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.8
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減法混色は、光を吸収する絵の具やフィルターなどを混ぜて色をつくる方法で、混ぜるほど暗くなって黒に近づく。
XYZ表色系の三刺激値のうち Y は明るさに対応し、光源色では測光的な明るさ(輝度)を表す。
マンセル表色系の彩度(クロマ)は、無彩色を0とし、色が鮮やかになるほど大きくなる。最大値は色相によって違い、10を超えるものもある。0から10までの数値で表されるのは明度(バリュー)。
JIS の安全色で、緑は「安全状態」と「進行」を表す(非常口の表示など)。
No.9音響(セイビンとアイリングの残響式・空気の音響吸収・音響パワーと音圧レベル・無限大の面音源)
音響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1室内の平均吸音率が大きい場合、セイビン(Sabine)の残響式により求めた残響時間は、アイリング(Eyring)の残響式により求めたものに比べて、長くなる。2空気中を伝搬する音のエネルギーの一部は、空気の粘性や分子運動等によって吸収され、その吸収率は、周波数が低くなるほど大きくなる。3音源の音響パワーを4倍にすると、受音点の音圧レベルは、約6dB上がる。4無限大の面音源の場合、音圧レベルは、距離によって減衰しない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.9
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平均吸音率が大きい室では、セイビンの式は残響時間を実際より長く計算する。アイリングの式で求めたものより長くなる。
空気中を伝わる音は、空気の粘性や分子運動などで一部が吸収されるが、その吸収は周波数が高いほど大きい(遠くでは高音が弱まる)。
音響パワーを4倍にすると、10log4 で受音点の音圧レベルは約6dB上がる。
無限に広い面音源から出た音は、平面波として広がらずに進むので、距離によって減衰しない。
No.10吸音・遮音(多孔質材料の厚さ・表面の塗装・合わせガラス・中空二重壁の共振)
吸音・遮音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1剛壁にグラスウール等の多孔質吸音材料を設置する場合、その吸音材料を厚くすると、一般に、低周波数域における吸音率が大きくなる。2ロックウールボード等の多孔質吸音材料の表面を塗装しても、高周波数域における吸音率には、ほとんど影響しない。3ガラス2枚からなる厚さの合計が6mmの合わせガラスの遮音性能は、コインシデンス効果の生じる周波数域以外の周波数域においては、厚さ6mmの単板ガラスの遮音性能とほとんど変わらない。4中空二重壁の共鳴透過について、中空二重壁を構成する二つの壁の面密度をともに2倍にすると、共振周波数は低くなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.10
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剛壁に密着させたグラスウールなどの多孔質吸音材料を厚くすると、低い周波数の吸音率が大きくなる。
多孔質吸音材料の表面を塗装すると、表面のすき間がふさがれて音が材料の中に入りにくくなるので、高い周波数の吸音率が大きく下がる。
合計の厚さが6mmの合わせガラスは、コインシデンス効果が出る周波数以外では、同じ厚さ(面密度)の6mmの単板ガラスとほぼ同じ遮音性能になる(中間膜でコインシデンスの落ち込みは小さくなる)。
中空二重壁の共振周波数は、壁の面密度が大きいほど低くなる。2つの壁の面密度をともに2倍にすると、共振周波数は低くなる。
🌀 空気調和・換気設備・熱負荷計算(No.11〜No.13)
No.11空気調和・換気設備(局部圧力損失・軸流送風機・送風機の並列運転・外気取入れガラリと排気ガラリ)
空気調和・換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1換気ダクトにおいて、ダクトの曲がり部分や断面変化部分に生じる局部圧力損失は、風速の二乗に比例する。2軸流送風機は、一般に、遠心送風機に比べて、静圧の高い用途に用いられる。3並列に接続した2台の同一性能をもつ送風機から単一ダクトに送風する場合、2台を同時に運転するときの風量は、そのうち1台のみを運転するときの風量の2倍よりも小さくなる。4同じ風量用の外気取入れガラリと排気ガラリを比べると、排気ガラリのほうが、一般に、通過風速を高くできることから必要な正面面積は小さくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.11
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ダクトの曲がりや断面の変化による局部圧力損失は、風速の2乗に比例する(動圧×局部抵抗係数)。
軸流送風機は、風量が大きく静圧の低い用途(換気扇・冷却塔など)に向く。静圧の高い用途には、遠心送風機(シロッコファン・ターボファンなど)を使う。
同じ性能の送風機2台を並列でダクトに送風しても、ダクトの抵抗が増えるので、風量は1台のときの2倍より小さくなる。
外気取入れガラリは雨水を吸い込まないよう通過風速を遅くするので、排気ガラリのほうが通過風速を高くでき、同じ風量なら必要な正面面積は小さくなる。
No.12空気調和設備の熱負荷計算(定常と非定常の計算法・TAC温度・人体の潜熱・暖房時の室内発熱)
空気調和設備の熱負荷計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1熱負荷計算法には、一般に、定常計算法、非定常計算法等があり、計算の目的により使い分けられている。2設計用外界条件に用いられるTAC温度は、気象データを統計処理して得られた値であり、所定の超過確率を設定して、稀にみられる猛暑等の要因を取り除いたものである。3室内発熱負荷には、顕熱と潜熱があり、人体に起因する潜熱は、同一作業の場合、室温が高いほど小さくなる。4最大負荷計算において、照明、人体、器具等による室内発熱負荷については、冷房時は計算に含めるが、暖房時は計算に含めないことが多い。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.12
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熱負荷計算には、定常計算法(最大負荷を求める)や非定常計算法(時刻ごとの変化を求める)などがあり、目的に応じて使い分ける。
TAC温度は、気象データを統計処理して、所定の超過確率(例:2.5%)を決め、まれな猛暑などを除いた設計用の外気温度。
人体からの潜熱(汗の蒸発による熱)は、同じ作業なら室温が高いほど大きくなる(暑いと汗をかく)。逆に顕熱は小さくなる。
最大負荷計算では、照明・人体・器具などの室内発熱は、冷房時には負荷として含めるが、暖房時には暖房を助ける方向に働くので、安全側として含めないことが多い。
No.13空気調和設備(蓄熱方式・水熱源ヒートポンプ・部分負荷のCOP・密閉式冷却塔)
空気調和設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1蓄熱方式は、熱源装置の負荷のピークを平準化しその容量を小さくすることができる。2河川水や井戸水を熱源とする水熱源ヒートポンプは、一般に、熱源水の温度が冷房時には外気温度よりも低く、暖房時には外気温度よりも高いことから、空気熱源ヒートポンプより成績係数(COP)が高い。3省エネルギー性能が高い冷凍機の選定に当たっては、定格条件の成績係数(COP)とともに、年間で発生頻度が高い部分負荷時の成績係数(COP)も考慮する必要がある。4冷却水を直接大気に開放しない密閉式冷却塔は、同じ冷却能力の開放式冷却塔に比べて、送風機動力が小さくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.13
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蓄熱方式は、熱源の負荷のピークをならして(平準化して)、熱源装置の容量を小さくできる。
河川水や井戸水は、夏は外気より低く冬は外気より高いので、水熱源ヒートポンプは空気熱源ヒートポンプより COP が高い。
冷凍機は一年の多くを部分負荷で運転するので、定格の COP だけでなく、発生頻度の高い部分負荷時の COP も考えて選ぶ。
密閉式冷却塔は、冷却水をコイルの中に通して間接的に冷やすので熱交換の効率が低く、同じ冷却能力なら開放式より大きくなり、送風機の動力は大きくなる。
🚰 給排水・電気・照明設備(No.14〜No.17)
No.14給排水衛生設備(排水再利用水の原水・二重トラップ・分流式・合流式とトラップます)
給排水衛生設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1排水再利用水の原水としては、手洗器・洗面器や湯沸室からの排水のほかに、厨房からの排水も利用することができる。2利用頻度が低い衛生器具には、器具付きのトラップの下流の配管の途中に、Uトラップを設けることが望ましい。3分流式排水は、建築物内の排水設備においては「汚水」と「雑排水」とを別系統にすることをいい、公共下水道においては「汚水及び雑排水」と「雨水」とを別系統にすることをいう。4公共下水道が合流式の地域において、雨水排水管を一般排水系統の敷地排水管と接続する場合には、トラップますを介して接続する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.14
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排水再利用水の原水には、手洗器・洗面器・湯沸室の排水のほか、適切に処理すれば厨房の排水も使える。
器具付きのトラップの下流にさらに U トラップを設けると二重トラップになり、間の空気が閉じ込められて排水が流れにくくなるので、設けてはならない。利用頻度が低い器具の封水の蒸発には、補給水などで対処する。
分流式は、建物内の排水設備では「汚水」と「雑排水」を別の系統にすること、公共下水道では「汚水及び雑排水」と「雨水」を別の系統にすることをいう(同じ言葉でも意味が違う)。
合流式の地域で、雨水排水管を一般排水の敷地排水管につなぐときは、臭気や害虫が雨水管に入らないよう、トラップますを介して接続する。
No.15給排水衛生設備(ポンプのキャビテーション・揚水管の横引き・雑用水の受水槽・受水槽の間接排水)
給排水衛生設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1作動しているポンプ内のキャビテーションは、水温が一定の場合、ポンプ吸込口の管内圧力が高いときに発生しやすい。2高置水槽方式の給水設備において、揚水管の横引きが長くなる場合は、ウォーターハンマーの発生原因となる水柱分離を防止するために、建築物のできるだけ低い位置で横引き配管を長くする。3給水設備において、上水系統と雑用水系統とを別系統とすることにより、雑用水系統の受水槽は、鉄筋コンクリート造の床下ピットを利用することができる。4上水系統の受水槽の水抜き管とオーバーフロー管は、いずれも十分な排水口空間を介して排水管等への間接排水とする。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.15
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キャビテーションは、ポンプの吸込口の管内の圧力が水の飽和蒸気圧より低くなったときに気泡ができる現象。圧力が高いときに起きやすいのではない。
揚水管の横引きを高い位置にすると、ポンプが止まったときに管内の圧力が下がって水柱分離が起き、ウォーターハンマーの原因になる。横引きはできるだけ低い位置にする。
上水と別系統にすれば、雑用水の受水槽は鉄筋コンクリート造の床下ピットを利用できる。
上水の受水槽の水抜き管とオーバーフロー管は、排水が逆流しないよう、十分な排水口空間をとって排水管へ間接排水とする。
No.16電気設備(雷保護の引下げ導線・接地の種類・接地線の過電流遮断器・埋設接地極の場所)
電気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1鉄骨造の建築物においては、雷保護システムの引下げ導線に、地上部分の構造体の鉄骨を利用することが望ましい。2接地には、外部雷保護用接地、電位上昇による感電等を防ぐ保安用接地、電位変動による電子機器の機能障害を防ぐ機能用接地等がある。3接地工事の接地線には、過電流遮断器を施設してはならない。4埋設接地極は、酸等で腐食するおそれがなく、水気の少ない場所を選定して地中に埋設することが望ましい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.16
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鉄骨造の建物では、構造体の鉄骨を雷保護システムの引下げ導線に利用するのが望ましい。
接地には、雷電流を大地に流す外部雷保護用接地、感電などを防ぐ保安用接地、電位の変動による電子機器の障害を防ぐ機能用接地などがある。
接地線に過電流遮断器(ヒューズなど)を入れると、遮断したときに接地が切れて危険になるので、接地線には過電流遮断器を設けてはならない。
埋設する接地極は、接地抵抗を小さくするため、酸などで腐食するおそれがなく、水気のある(湿った)場所を選んで埋める。水気の少ない場所では接地抵抗が大きくなる。
No.17照明設備(昼白色と電球色の色温度・グレア・アンビエント照明・初期照度補正)
照明設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1蛍光ランプやLEDの光色において、昼白色は、電球色に比べて相関色温度が低い。2グレアは、視野内に輝度の高い光源や極端な輝度対比があることにより生じる現象をいう。3アンビエント照明の設計においては、空間の明るさを確保しつつ省エネルギーを図るために、輝度分布を考慮することが望ましい。4初期照度補正は、経年に伴う光源の出力低下等を考慮した、照明の省エネルギー手法の一つである。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.17
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昼白色の相関色温度は約5,000K、電球色は約2,800Kで、昼白色のほうが電球色より相関色温度が高い。
グレアは、視野の中に輝度の高い光源や極端な輝度の対比があるために起きるまぶしさや見えにくさ。
タスク・アンビエント照明のアンビエント照明(周りの照明)は、空間の明るさ感を保ちつつ省エネを図るため、壁や天井の輝度の分布を考えて設計するのが望ましい。
初期照度補正は、経年による光源の出力の低下を見込んで明るめに設計した分を、設置直後は調光して抑える照明の省エネルギー手法。
🔥 防災設備・エレベーター・環境と設備(No.18〜No.20)
No.18防災設備(高天井の放水型ヘッド・補助散水栓の水平距離・特別避難階段の付室の排煙・客席誘導灯)
防災設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1スプリンクラー設備の設置が必要なホテルにおいて、床面から天井までの高さが12mのロビーに、放水型ヘッドを使用したスプリンクラー設備を設置した。2スプリンクラー設備の設置が必要な店舗において、スプリンクラーヘッドが設けられていない部分に、補助散水栓をホース接続口からの水平距離が25m以内となるように設置した。3特別避難階段の付室に、所定の機械排煙設備を設置した。4劇場の客席誘導灯を、客席内の通路の床面における水平面照度が、0.2lx以上となるように設置した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.18
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天井の高いロビー(床から天井まで10mを超える部分)では、閉鎖型ヘッドが作動しにくいので、放水型ヘッドを使ったスプリンクラー設備を設ける。
スプリンクラーヘッドを設けない部分の補助散水栓は、各部分からホース接続口までの水平距離が15m以下になるように設ける(消防法施行規則 第13条の6第4項第一号)。25m以内では足りない(25mは1号消火栓の距離)。
特別避難階段の付室には、煙の侵入を防ぐため、所定の排煙設備(機械排煙など)を設ける。
劇場の客席誘導灯は、客席内の通路の床面の水平面照度が0.2lx以上になるように設ける。
消防法施行規則 第13条の6第4項第一号(補助散水栓は、防火対象物の階ごとに、その階の各部分からホース接続口までの水平距離が15m以下)
No.19エレベーター(平均運転間隔・ピーク5分間の交通量・設計用水平標準震度・地震時の運転)
エレベーターに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1貸事務所ビルの乗用エレベーターのサービス水準については、エレベーターが2台以上ある場合、平均運転間隔を40秒以下となるように計画することが望ましい。2事務所ビルの乗用エレベーターについては、一般に、出勤時のピーク5分間に発生する交通量に基づき、台数及び仕様を計画する。3エレベーターの設計用水平標準震度は、基礎免震構造を採用しない建築物の場合、建築物の高さが60mを超えると、高さ60m以下の場合に比べて、大きく異なった値となる。4高層建築物の乗用エレベーターは、地震時にできるだけ早く安全な避難階に停止させ、乗客がかごから降りた後に、運転を中止する計画とする。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.19
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貸事務所ビルの乗用エレベーターが2台以上ある場合、サービスの水準として、平均運転間隔を40秒以下にするのが望ましい。
事務所ビルの乗用エレベーターは、一般に、出勤時のピークの5分間に発生する交通量をもとに、台数や仕様を決める。
免震構造でない建物では、エレベーターの設計用水平標準震度は、建物の高さが60mを超えると、60m以下の場合と大きく違う値(上の階ほど大きな値)になる。
地震時管制運転では、地震を感知したら、籠を最寄りの階(昇降路の出入口の戸の位置)に停止させて戸を開き、乗客を降ろす(建築基準法施行令 第129条の10第3項第二号)。避難階まで運ぶのではない。
建築基準法施行令 第129条の10第3項第二号(地震などの加速度を検知して、自動的に籠を昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、戸を開く装置)
No.20環境・設備(ZEH・CASBEE の評価・BELS・eマーク)
環境・設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1「ZEH(Net Zero Energy House)」は、快適な室内環境を保ちながら、一年間で消費する住宅の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅のことをいう。2「CASBEE-建築(新築)」における評価は、「設計一次エネルギー消費量」を「基準一次エネルギー消費量」で除した数値で判定される。3「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」は、第三者評価機関が建築物の省エネルギー性能を評価し認証する制度で、性能に応じて5段階の星の数等で表示される。4「eマーク(省エネ基準適合認定マーク)」は、建築物が建築物エネルギー消費性能基準に適合していることについて、所管行政庁から認定を受けたことを示すものである。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.20
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ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、快適な室内環境を保ちながら、1年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロになることを目指した住宅。
CASBEE は、建築物の環境品質(Q)を環境負荷(L)で割ったBEE(環境性能効率)で評価する。「設計一次エネルギー消費量」を「基準一次エネルギー消費量」で割った数値は、省エネ基準や BELS で使う BEI。
BELS は、第三者の評価機関が建築物の省エネルギー性能を評価・認証する制度で、性能に応じて5段階の星の数などで表示する。
e マーク(省エネ基準適合認定マーク)は、建築物がエネルギー消費性能基準に適合していることについて、所管行政庁の認定を受けたことを示すもの。
平成29年の合格基準点(学科の試験)
配点は各問題1点(学科Ⅰ・Ⅱは各20点、学科Ⅲ・Ⅳは各30点、学科Ⅴは25点、合計125点)で、各科目の基準点と総得点の基準点のすべてに達した人が合格です。
| 学科Ⅰ 計画 | 学科Ⅱ 環境・設備 | 学科Ⅲ 法規 | 学科Ⅳ 構造 | 学科Ⅴ 施工 | 総得点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格基準点 | 11点 | 11点 | 16点 | 16点 | 13点 | 87点 |
※ 平成29年の合格基準点は、各科目が計画11点・環境設備11点・法規16点・構造16点・施工13点、総得点が87点でした。
出典:建築技術教育普及センター「平成29年一級建築士試験『学科の試験』の合格者基準点等について」
平成29年の環境・設備の基準点は11点(20点中)でした。環境・設備は計算問題もある科目で、20問と問題数が少ないぶん1問の重みが大きいので、用語と式の意味を過去問で正誤の理由まで説明できるようにしておくと安心です。
ほかの年度・ほかの科目の過去問
この記事の問題文と図は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している平成29年 一級建築士試験(学科の試験)の問題から、著作権法第32条の引用として掲載しています。著作権は同センターにあります。
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