全20問の解答・解説
令和4年(2022年7月24日実施)の一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)の全20問を、選択肢ごとに正誤の理由を示して解説します。環境工学(熱・空気・光・音・色)と建築設備(空調・給排水・電気・防災)から出題されます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

令和4年 一級建築士試験(学科)の概要
問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)の試験問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各問の枠の右下に出典)。正答は、同センターの合格基準点等(正答肢)と全問を照らし合わせています。
解説は、出題当時の法令・基準によります(法令がからむ問題は令和4年1月1日時点の法令)。その後の改正や基準の改定で答えが変わる問題には「🔶 現在の基準では」、言い方だけが変わった問題には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
分野ごとの問題一覧
環境・設備の20問は、毎年おおむね同じ順番で、分野ごとに出題されます。解きたい問題を押すと、その問題へ移動します。
🌡️ 環境工学・結露・換気・伝熱・防火(No.1〜No.5)
No.1環境工学(日照図表・外皮平均熱貫流率・ブーミング現象・空気齢と空気余命)
環境工学に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1日照図表は、周辺の建築物によって対象点への直射日光が遮られるかどうかを検討するものであり、緯度ごと、また、冬至の日などの季日ごとに描かれる。2外皮平均熱貫流率(UA値)は、断熱性能を示す指数で、建築物の内部から屋根や壁、床、開口部等を通過して外部へ逃げる「単位温度差当たりの外皮総熱損失量」を「外皮総面積」で除した値である。3ブーミング現象は、低い周波数領域になるほど、また、室の寸法が小さいほど、固有周波数密度が疎になるので起こりやすい。4空気寿命が一定の条件では、空気齢が小さいほど、室内のある点で発生した汚染質が排気口に至るまでの時間は短くなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.1
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日照図表は、周りの建物で対象点への直射日光が遮られるかどうかを調べる図で、緯度ごと、冬至などの季節(日)ごとに描かれる。
外皮平均熱貫流率(UA値)は、内外の温度差1℃当たりに屋根・壁・床・開口部などから逃げる熱量の合計を、外皮の総面積で割った値で、断熱性能の指標。
ブーミング現象は、室の固有振動で特定の低い音が響く現象。周波数が低いほど、室が小さいほど、固有周波数がまばらになるので起こりやすい。
空気齢(入ってからその点に届くまでの時間)と空気余命(その点から排気口に届くまでの時間)の合計が空気寿命。空気寿命が一定なら、空気齢が小さいほど空気余命は長くなるので、その点で出た汚染質が排気口に届くまでの時間は長くなる。
No.2冬期の結露(外壁の断熱強化・密閉型燃焼器具・防湿層・押入れの襖)
冬期における結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1外壁の室内側の表面結露を防止するため、外壁断熱を強化することにより室内側の壁面温度を上昇させた。2外壁の室内側の表面結露を防止するため、暖房設備を開放型燃焼器具の代わりに密閉型燃焼器具とした。3外壁の内部結露を防止するため、断熱材の室内側に防湿層を設けた。4外壁に接する押入れ内に生じる表面結露を防止するため、押入れの襖の断熱性を高くした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.2
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外壁の断熱を強化すると、室内側の壁の表面温度が上がり、露点温度を下回りにくくなるので、表面結露を防げる。
開放型の燃焼器具は燃焼で水蒸気を室内に出すが、密閉型(屋外から給気し屋外へ排気)は室内に水蒸気を出さないので、表面結露の防止に役立つ。
内部結露を防ぐには、室内の水蒸気が壁の中に入らないよう、断熱材の室内側(高温側)に防湿層を設ける。
押入れの襖の断熱性を高くすると、室内の暖かさが押入れに伝わりにくくなり、押入れの中(外壁側)の温度がさらに下がって結露しやすくなる。押入れの結露を防ぐには、外壁側の断熱を強化したり、押入れの通気をよくしたりする。
No.3在室者がいる居室の定常状態の二酸化炭素濃度(計算)
室容積200㎥の居室に25人の在室者がおり、換気回数4回で換気がなされているとき、定常状態におけるこの室内の二酸化炭素濃度として最も適当な値は、次のうちどれか。ただし、一人当たりの二酸化炭素発生量は0.016㎥/(h・人)とし、在室者から発生した二酸化炭素は直ちに室全体に一様に拡散するものとする。また、外気の二酸化炭素濃度は400ppmとし、隙間風は考慮しないものとする。
1700ppm2800ppm3900ppm41,000ppm出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.3
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室内の濃度は、外気の400ppmに在室者の発生分の500ppmを加えた900ppm。700ppmでは足りない。
800ppmではない。換気量は 4回/h×200㎥=800㎥/h で計算する。
定常状態の室内の濃度=外気の濃度+発生量÷換気量
・発生量:25人×0.016㎥/(h・人)=0.4㎥/h
・換気量:4回/h×200㎥=800㎥/h
・発生量÷換気量:0.4÷800=0.0005=500ppm
・室内の濃度:400+500=900ppm
1,000ppmではない。計算すると900ppmになる。
No.4建築物の伝熱(日射遮蔽係数・日射熱取得率・総合熱伝達率・外壁表面の対流熱伝達率)
建築物の伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1開口部(窓ガラス+ブラインド等)の日射遮蔽係数は、その値が大きいほど日射遮蔽効果が大きくなる。2窓ガラスの日射熱取得率は、「ガラスに入射した日射量」に対する「ガラスを透過した日射量とガラスが吸収した後に室内側に放出された熱量との和」の比率で表される。3壁体の総合熱伝達率は、「対流熱伝達率」と「放射熱伝達率」の合計である。4外壁表面の対流熱伝達率は、外部風速が大きいほど大きくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.4
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日射遮蔽係数は、厚さ3mmの透明ガラスの日射熱取得率を1としたときの比で、値が小さいほど日射を遮る効果が大きい。値が大きいほど効果が大きいのではない。
窓ガラスの日射熱取得率は、ガラスに入射した日射量に対する、ガラスを透過した日射量と、ガラスが吸収してから室内側に放出した熱量との和の割合。
壁の表面の総合熱伝達率は、対流による熱伝達率と放射による熱伝達率の合計。
外壁の表面の対流熱伝達率は、外部の風速が大きいほど大きくなる。
No.5建築物の防火・防災(第二種排煙・籠城区画・ボイド空間の給気・等価可燃物量)
建築物における防火・防災に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1第二種排煙は、押出型の機械排煙方式であり、所定の排煙量を確保するために、排煙量よりも多い給気量が必要となる。2籠城区画は、病院の手術室やICU等の患者を避難させることが困難な室において、内部からの出火を防止するとともに、外からの火災の影響を受けない構造にして、鎮火までたてこもることができるようにした区画のことである。3超高層集合住宅の中央部に設けた屋根のないボイド空間(光庭)に面した開放廊下を避難経路とする場合には、開放廊下への煙の拡散を防ぐために、ボイド空間の下層部分からの給気を抑制する必要がある。4等価可燃物量は、対象となる可燃物の発熱量を、発熱量が等価な木材の重量で表現した値である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.5
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第二種排煙(押出型の機械排煙)は、機械で給気して圧力を上げ、煙を排煙口から押し出す方式で、所定の排煙量を得るには、排煙量より多い給気量が必要になる。
籠城区画は、手術室や ICU のように患者をすぐに避難させられない室を、内部からの出火を防ぎ、外の火災の影響も受けない構造にして、鎮火まで中にとどまれるようにした区画。
屋根のないボイド空間(光庭)に面した開放廊下を避難経路にする場合、煙をボイドの上へ抜けさせて開放廊下に広がらないようにするため、ボイドの下層部分から十分に給気して上昇気流をつくる必要がある。給気を抑制するのではない。
等価可燃物量は、可燃物の発熱量を、同じ発熱量をもつ木材の重さに置き換えて表した値。
💡 日照・日射・照明・色彩・音(No.6〜No.10)
No.6北緯35度の日照・日射(冬至の南面と夏至の西面・春分の南中時・夏至の可照時間・4時間日影の面積)
北緯35度の地点における日照・日射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1冬至の日における南向き鉛直面の終日日射量は、夏至の日における西向き鉛直面の終日日射量より小さい。2春分・秋分の日における南中時の直達日射量は、水平面のほうが南向き鉛直面より大きい。3夏至の日における可照時間は、南向き鉛直面より北向き鉛直面のほうが長い。44時間日影となる領域の面積は、建築面積と高さが同じ直方体の建築物で、ある壁面が東西方向に平行に配置されている場合、一般に、平面形状が正方形より東西に長い形状のほうが大きい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.6
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冬至の日は太陽高度が低いので、南向き鉛直面は一日中日射を正面近くから受け、終日日射量は一年で最も大きい部類になる。夏至の西向き鉛直面の終日日射量より大きい。
春分・秋分の南中時の太陽高度は約55°(90°−35°)。水平面は sin55°、南向き鉛直面は cos55°の割合で直達日射を受けるので、水平面のほうが大きい。
夏至の日は、太陽が真東より北寄りから上り、真西より北寄りに沈む。北向き鉛直面は朝と夕方に日が当たり、可照時間は南向き鉛直面より長い。
建築面積と高さが同じなら、東西に長い形のほうが、長時間(4時間)日影になる範囲が広い(東西の幅が長時間日影に大きく影響する)。
No.7円形光源A・Bの立体角投射率と水平面直接照度(図)
図のような水平に取り付けられた下面発光形の円形光源Aと、それと同じ面積で45°傾いた位置にある下面発光形の円形光源Bが、イ~ホの条件を満たす場合、次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
図を押すと大きく表示します 条件イ.光源Aの中心とその鉛直下にある点Pとの距離は、r mである。ロ.光源Bの中心と点Pとの距離は、r mである。ハ.光源A及び光源Bは、等輝度均等拡散の発光面である。ニ.光源A及び光源Bの面積はS ㎡、輝度はL cd/㎡である。ホ.光源A及び光源Bの外縁と点Pとの距離は、d mである。1光源Aの点Pに対する立体角投射率(%)は、S/(πd2)×100である。2光源Bの点Pに対する立体角投射率(%)をCBとすると、光源Bによる点Pの水平面直接照度(lx)であるEBPは、πL × CB/100× cos 45°である。3光源Aによる点Pの水平面直接照度(lx)であるEAPと、光源Bによる点Pの水平面直接照度(lx)であるEBPの関係は、EAP > EBPである。4rが光源Aの直径の10倍以上の場合、一般に、光源Aは点Pにおいて点光源とみなせる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.7
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真上にある円形の光源の立体角投射率は、光源の半径を a とすると、a²/d²(dは点から光源の外縁までの距離)。光源の面積は S=πa² なので、S/(πd²)×100(%)になる。
均等拡散の光源による水平面直接照度は、πL×(立体角投射率)で求める。立体角投射率には、光源を水平面に投影したときの傾き(cos)の影響がすでに含まれているので、さらに cos45°を掛けるのは誤り。EBP=πL×CB/100。
光源 B は45°傾いているので、点 P から見て水平面に投影した大きさ(立体角投射率)が光源 A より小さい。輝度と面積が同じなら、EAP > EBP。
点から光源までの距離が光源の大きさの約5倍以上あれば、点光源とみなして逆二乗の法則で照度を求められる。10倍以上なら、点光源とみなせる。
No.8色彩(平均演色評価数・サーカディアンリズム・視感測色・記憶色)
色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1平均演色評価数(Ra)は、評価対象となる光源による物体色の見え方と、同じ相関色温度の基準の光の下における物体色の見え方とのずれをもとにした数値である。2短波長成分を多く含む色温度の高い光を午前中に浴びることで、サーカディアンリズムを保つ効果が期待できる。3色票を用いて視感測色を行う際は、一般に、測色する部分の面積を色票の面積と同程度とする。4記憶色(記憶上の色彩)は、一般に、実際の色彩に比べて、彩度が低くなる傾向がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.8
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平均演色評価数(Ra)は、評価する光源で見た物の色と、同じ相関色温度の基準の光で見た物の色とのずれをもとにした数値で、100に近いほど基準の光に近い。
午前中に、青い成分の多い色温度の高い光を浴びると、体内時計がそろい、サーカディアンリズムを保つ効果が期待できる。
色票を使って目で測色するときは、色の見え方が面積で変わる(面積効果)ので、測る部分の面積を色票の面積と同じくらいにする。
記憶色(記憶している色)は、実際の色より彩度が高く、鮮やかに記憶される傾向がある(空の青や草の緑など)。
No.9音響(カラレーション・マスキング・可聴周波数と波長・音源の数と音圧レベル)
音響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1カラレーションは、「直接音」と「短い遅れ時間の反射音」の干渉によって、音の高さの変化が知覚される現象をいう。2聴覚のマスキング現象において、「マスクする音」と「マスクされる音」の高さが異なる場合には、マスクする音より高い周波数の音のほうが低い周波数の音に比べてマスクされやすい。3人の可聴周波数の範囲はおよそ20Hzから20kHzであり、対応する波長の範囲は十数mから十数mmである。4同種で同じ音圧レベルの音源の数が、ほぼ同じ位置において4つになると、音源が1つの場合に比べて、音圧レベルの値は約6dB増加する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.9
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カラレーションは、直接音と、少し遅れて届く反射音が干渉して、音色の変化が知覚される現象。音の高さ(ピッチ)の変化ではない。
マスキングでは、マスクする音より高い周波数の音のほうが、低い周波数の音よりマスクされやすい。
可聴周波数はおよそ20Hz〜20kHzで、音速を約340m/sとすると、波長は約17m〜約17mm(十数m〜十数mm)になる。
同じ音圧レベルの音源が4つになると、エネルギーが4倍になるので、10log4 で約6dB増える(2つなら約3dB)。
No.10遮音(ガラスの厚さとコインシデンス・複層ガラス・床衝撃音の等級・空気音の等級)
遮音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1厚さ6mmの単板ガラスは、厚さ3mmの単板ガラスに比べて全周波数帯域にわたって遮音性能が高いとは限らない。2複層ガラス(厚さ3mmの単板ガラス2枚と乾燥空気を封入した6mmの中空層からなる。)は、その面密度の合計と同じ面密度をもつ単板ガラス(厚さ6mm)に比べて、一般に、500Hz付近の中音域の遮音性能は低下する。3建築物の床衝撃音遮断性能に関する等級において、Lr-40はLr-55に比べて、床衝撃音の遮断性能が低い。4建築物及び建築部材の空気音遮断性能に関する等級において、Dr-50はDr-35に比べて、空気音の遮断性能が高い。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.10
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単板ガラスを厚くすると全体としては遮音性能が上がるが、コインシデンス効果で遮音性能が落ちる周波数が低い側へ移るので、すべての周波数で6mmのほうが高いとは限らない。
複層ガラスは、2枚のガラスと中空層の空気がばねのように共振する(共鳴透過)ため、同じ面密度の単板ガラスより、低い音〜500Hz付近の中音域で遮音性能が下がることがある。
床衝撃音遮断性能の等級(Lr)は、数値が小さいほど遮断性能が高い。Lr-40はLr-55より遮断性能が高い。
空気音遮断性能の等級(Dr)は、数値が大きいほど遮断性能が高い。Dr-50はDr-35より遮断性能が高い。
🌀 空調負荷・空気調和・換気設備(No.11〜No.13)
No.11建築物と空調負荷の特徴(劇場・百貨店・ビジネスホテル・データセンター)
建築物とその空調負荷の一般的な特徴との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
1劇場 ―― ピーク負荷が小さく、予冷・予熱の時間が短い傾向にある。2百貨店 ―― 休日と平日、一日の午前と夕方の時間帯等によって負荷が大きく異なる傾向にある。3ビジネスホテル ―― ピーク負荷が夕方から夜間にかけて発生する傾向にある。4データセンター ―― 外皮負荷や外気負荷より室内で発生する顕熱負荷のほうが大きい傾向にある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.11
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劇場は、公演のときに多数の観客が集まるのでピーク負荷が大きく、使わない時間が長く室容積も大きいので、予冷・予熱の時間が長い傾向にある。
百貨店は、客の数が休日と平日、一日の時間帯で大きく変わるので、空調負荷も大きく変わる。
ビジネスホテルは、客室の利用が夕方から夜間に多いので、ピーク負荷が夕方から夜間にかけて生じる傾向にある。
データセンターは、サーバーなどの機器からの発熱(顕熱)が非常に大きく、外皮負荷や外気負荷よりも室内の顕熱負荷のほうが大きい。
No.12空気調和設備(水蓄熱式・ダクトのアスペクト比・変風量単一ダクト方式・再熱コイル)
空気調和設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1水蓄熱式空調システムは、熱源機器の容量を小さくできるとともに、電力需要の平準化を図ることができる。2送風機のエネルギー消費量は、同じ風量であれば、接続する長方形ダクトのアスペクト比(ダクト断面の短辺に対する長辺の比)を小さくするほど大きくなる。3変風量単一ダクト方式は、VAVユニットを部屋ごと又はゾーンごとに設けることによって、個別の温度制御を行うことができる。4空調機に再熱コイルを設置する場合は、冷房時の部分負荷時において、設定室温での室内の湿度上昇を防ぐことはできるが、エネルギー消費量は多くなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.12
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水蓄熱式空調システムは、夜間電力などで熱を蓄えて昼間に使うので、熱源機器の容量を小さくでき、電力需要の平準化(ピークの抑制)にもなる。
長方形ダクトは、アスペクト比(長辺÷短辺)が大きい(細長い)ほど、同じ断面積でも周長が長くなって摩擦損失が増える。アスペクト比を小さくする(正方形に近づける)ほど送風機のエネルギー消費量は小さくなる。
変風量単一ダクト方式は、部屋ごとやゾーンごとに VAV ユニットを設け、風量を変えて個別に温度を制御できる。
再熱コイルを設けると、冷房の部分負荷時に、十分に冷却除湿した空気を温め直して送れるので湿度の上昇を防げるが、冷やしてから温めるので、エネルギー消費量は多くなる。
No.13換気設備(RI施設のオールフレッシュ空調・ドラフトチャンバー・エアフィルターの捕集率・クリーンルームの清浄度クラス)
換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1RI(ラジオアイソトープ)施設では、一般に、室内への給気を全て排気するオールフレッシュ空調方式が用いられる。2化学処理や実験等に用いられる作業台と排気フードが組み合わされたドラフトチャンバーの排気風量は、作業用開口部の面積と制御風速によって決定される。3換気用エアフィルターの粉じん捕集率は、同一のエアフィルターに対して、質量法や計数法等の測定方法によって異なる値となる。4JISにおけるクリーンルームの空気清浄度は、清浄度クラスの値が大きいほど高くなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.13
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RI(ラジオアイソトープ)施設では、放射性物質で汚れた空気を再循環させないよう、給気をすべて排気するオールフレッシュ空調方式を用いる。
ドラフトチャンバーの排気風量は、作業用の開口部の面積×制御風速(開口部で汚染物質を外に出さないための風速)で決まる。
エアフィルターの粉じん捕集率は、質量法・比色法・計数法など測定方法によって値が違う。
JIS(ISO)のクリーンルームの空気清浄度クラスは、空気1㎥中の粒子の数の上限で決まり、クラスの値が小さいほど清浄度が高い。
🚰 給水・給湯・電気設備(No.14〜No.17)
No.14給水設備(ポンプのキャビテーション・バキュームブレーカー・クロスコネクション・揚水管の横引き)
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1作動している給水ポンプ内のキャビテーションは、水温が一定の場合、ポンプ吸込口の管内圧力が低いときに発生しやすい。2大便器洗浄弁には、逆サイホン作用による汚物の給水管への逆流を防止するために、バキュームブレーカーを設ける。3飲料水用配管から空調設備配管へ給水する場合には、クロスコネクションを防止するために、一般に、逆止め弁を設ける。4高置水槽方式において、揚水管の横引きは、ウォーターハンマーの発生原因となる水柱分離を防止するために、できるだけ低い位置で計画する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.14
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キャビテーションは、ポンプの吸込み側の圧力が水の飽和蒸気圧より下がって気泡ができる現象で、吸込口の管内圧力が低いほど起きやすい。
大便器の洗浄弁には、逆サイホン作用で汚水が給水管に逆流するのを防ぐため、バキュームブレーカーを設ける。
飲料水の配管とほかの配管を直接つなぐクロスコネクションは、逆止め弁を設けても認められない(建築基準法施行令 第129条の2の4第2項第一号)。空調設備の配管へは、吐水口空間をとった水槽などを介して給水する。
高置水槽方式の揚水管の横引きを高い位置にすると、ポンプが止まったときに管内の圧力が下がって水柱分離が起き、ウォーターハンマーの原因になる。横引きはできるだけ低い位置にする。
No.15給湯設備等(潜熱回収型ガス給湯機・水熱源ヒートポンプ給湯・家庭用燃料電池・ハイブリッド給湯システム)
給湯設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1潜熱回収型ガス給湯機は、一般に、潜熱回収時に発生する酸性の凝縮水を機器内の中和器で処理し排出する仕組みとなっている。2水熱源方式のヒートポンプ給湯システムは、下水道処理水、工場や大浴場の温排水等の未利用エネルギーを、熱源として利用することができる。3家庭用燃料電池は、都市ガス等から燃料改質装置で作った水素と空気中の酸素とを反応させて発電するとともに、反応時の排熱で作った温水を給湯に利用する仕組みとなっている。4ハイブリッド給湯システムは、給湯負荷変動が少ないベース負荷を燃焼式加熱機が受け持ち、ベース負荷を超える場合にヒートポンプ給湯機でバックアップする仕組みとなっている。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.15
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潜熱回収型ガス給湯機は、排気の水蒸気の潜熱まで回収するので凝縮水が出る。凝縮水は酸性なので、機器内の中和器で中和してから排出する。
水熱源のヒートポンプ給湯システムは、下水処理水や工場・大浴場の温排水など、ふだんは捨てている未利用のエネルギーを熱源にできる。
家庭用燃料電池は、都市ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素を反応させて発電し、そのときの排熱で温水をつくって給湯に使う。
ハイブリッド給湯システムは、効率のよいヒートポンプ給湯機がベース負荷を受け持ち、それを超える負荷を燃焼式の加熱機(ガス給湯機)がバックアップする仕組み。説明は役割が逆。
No.16JISの配線用図記号(壁付コンセント(接地端子付)・煙感知器・分電盤・配電盤)
JISにおける構内電気設備の名称とその配線用図記号との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
図を押すと大きく表示します 1壁付コンセント(接地端子付)2煙感知器3分電盤4配電盤出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.16
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図の1.は、壁付コンセントの記号(壁側を黒く塗った円)に、接地端子付を表す ET を添えた記号で、正しい。
図の2.は、熱感知器(差動式スポット型感知器)の図記号。煙感知器の図記号は、四角の中に Sを書いた記号(JIS C 0303)。
図の3.は、四角の対角線の片側を黒く塗った分電盤の記号で、正しい。
図の4.は、四角に対角線を2本引いた(×を書いた)配電盤の記号で、正しい。
No.17電気設備(アクティブフィルタ・地絡の保護・シールドケーブル・内部雷保護システム)
電気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1インバータ機器から発生する高調波電流を抑制するために、アクティブフィルタを設置した。2幹線設備における地絡電流による感電、火災、設備の破損等を防止するために、過電流遮断器を設置した。3伝送系の信号線が電源関係ケーブルからの静電誘導によるノイズの影響を受けないようにするために、その信号線には、シールドケーブルを使用した。4外部雷保護システム(受雷部、引下げ導線及び接地極システム)及び建築物等の導電性部材に流れる雷電流による危険な火花放電の発生を防止するために、内部雷保護システムを構築した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.17
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アクティブフィルタは、インバータ機器などが出す高調波電流を打ち消して抑える装置。
地絡電流(漏電)による感電・火災・設備の破損を防ぐには、漏電遮断器(地絡遮断器)を設ける。過電流遮断器は、過負荷や短絡による過電流から回路を守るもので、地絡の保護には向かない。
伝送系の信号線が電源ケーブルからの静電誘導でノイズを受けないよう、信号線にはシールドケーブルを使う。
外部雷保護システムや建物の導電性の部材を流れる雷電流で、危険な火花放電が起きないよう、等電位ボンディングや SPD などの内部雷保護システムを構築する。
🔥 防災設備・建築設備・ZEB(No.18〜No.20)
No.18防災設備(排煙口の水平距離・高天井の放水型ヘッド・ガス漏れ検知器の位置・客席誘導灯)
防災設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1排煙設備の設置が必要な百貨店において、排煙設備の排煙口を、防煙区画のそれぞれについて、当該防煙区画の各部分から排煙口のいずれかに至る水平距離が30m以下となるように設置した。2スプリンクラー設備の設置が必要なホテルにおいて、床面から天井面までの高さが12mのロビーに、放水型ヘッドを使用したスプリンクラー設備を設置した。3プロパンガスを使用する厨房において、ガス漏れ警報器の検知部を、燃焼機器から検知部までの水平距離が8m以内、かつ、天井面から検知部下端までの高さが0.3m以内となるように設置した。4劇場において、客席誘導灯を、客席内の通路の床面における水平面照度が0.2lx以上となるように設置した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.18
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排煙口は、防煙区画のそれぞれについて、区画の各部分から排煙口のいずれかまでの水平距離が30m以下になるように設ける(建築基準法施行令 第126条の3第1項第三号)。
天井の高いロビーなど(床面から天井までが10mを超える部分)では、熱が天井に届きにくく閉鎖型ヘッドが作動しにくいので、放水型ヘッドを使ったスプリンクラー設備を設ける。
プロパンガスは空気より重いので、ガス漏れ検知器は燃焼器から水平距離4m以内、検知器の上端が床面の上方0.3m以内の位置に設ける(消防法施行規則 第24条の2の3)。水平距離8m以内・天井面から0.3m以内は、都市ガスなど空気より軽いガスの場合。
劇場などの客席誘導灯は、客席内の通路の床面の水平面照度が0.2lx以上になるように設ける。
建築基準法施行令 第126条の3第1項第三号(排煙口は、防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が30m以下)、消防法施行規則 第24条の2の3第1項第一号(ガス漏れ検知器:検知するガスが空気より重い場合は、燃焼器から水平距離4m以内・上端が床面の上方0.3m以内)
No.19建築設備(APF・中央管理室・火災時のエレベーター・初期照度補正制御)
建築設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1パッケージ型空調機のAPF (Annual Performance Factor)は、「通年消費電力量」を「冷房期間総合負荷及び暖房期間総合負荷の和」で除した値により表される。2中央管理室は、超高層建築物において、中央管理方式の空気調和設備の制御及び作動状態の監視等を行うための室として、避難階又はその直上階若しくは直下階に設ける。3乗用エレベーターは、火災発生時にエレベーター内の乗客を速やかに避難階に帰着させた後、運転を休止させる計画とする。4照明の省エネルギー手法のうち、初期照度補正制御は、経年による照度低下を見込むことで生じる、照明器具やランプの設置直後等における過剰照度を、適正な照度に補正するものである。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.19
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APF(通年エネルギー消費効率)は、冷房期間と暖房期間の総合負荷の和を、通年の消費電力量で割った値。説明は割る数と割られる数が逆。値が大きいほど効率がよい。
中央管理方式の空気調和設備の制御・監視を行う中央管理室は、避難階またはその直上階・直下階に設ける(建築基準法施行令 第20条の2第二号)。
火災時管制運転では、火災の信号を受けたら、乗用エレベーターを避難階に帰着させて乗客を降ろし、その後は運転を休止する。
初期照度補正制御は、器具やランプの経年による照度の低下を見込んで明るめに設計した分、設置したばかりで明るすぎる照度を、調光して適正な照度に抑える省エネルギーの制御。
No.20我が国の ZEB(ZEB の区分・パッシブ技術とアクティブ技術・既存建築物の ZEB 化・再生可能エネルギーだけでは不十分)
我が国におけるZEBに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1ZEBの定義には、『ZEB』、Nearly ZEB、ZEB Ready及びZEB Orientedがある。2ZEBを実現するための省エネルギー技術のうち、搬送機器のインバータ制御やLED照明はパッシブ技術に含まれる。3ZEBは、既存の建築物であっても、建築物の改修時に、外皮の断熱強化、設備の高効率化等を行うことによって実現可能である。4ZEBを実現するためには、エネルギー消費量の削減が必須であり、再生可能エネルギーの導入のみでは不十分である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.20
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ZEB の定義には、『ZEB』・Nearly ZEB・ZEB Ready・ZEB Oriented の4つの区分がある。
搬送機器のインバータ制御や LED 照明は、設備の効率を上げるアクティブ技術。パッシブ技術は、外皮の断熱、日射の遮蔽、自然換気、昼光の利用など、建物のつくりでエネルギーの需要を減らす技術。
既存の建物でも、改修の際に外皮の断熱強化や設備の高効率化などを行えば、ZEB を実現できる。
ZEB は、まず省エネで消費量を大きく減らすことが前提(ZEB Ready の50%以上の削減)で、再生可能エネルギーを導入するだけでは ZEB にならない。
令和4年の合格基準点(学科の試験)
配点は各問題1点(学科Ⅰ・Ⅱは各20点、学科Ⅲ・Ⅳは各30点、学科Ⅴは25点、合計125点)で、各科目の基準点と総得点の基準点のすべてに達した人が合格です。
| 学科Ⅰ 計画 | 学科Ⅱ 環境・設備 | 学科Ⅲ 法規 | 学科Ⅳ 構造 | 学科Ⅴ 施工 | 総得点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格基準点 | 11点 | 11点 | 16点 | 16点 | 13点 | 91点 |
※ 合格基準点は、各科目は過半の得点、総得点はおおむね90点程度を基本的な水準として想定し、令和4年は総じて難易度が低かったことから、総得点の基準点が91点とされました。
出典:建築技術教育普及センター「令和4年一級建築士試験『学科の試験』の合格基準点等について」
令和4年の環境・設備の基準点は11点(20点中)でした。環境・設備は計算問題もある科目で、20問と問題数が少ないぶん1問の重みが大きいので、用語と式の意味を過去問で正誤の理由まで説明できるようにしておくと安心です。
ほかの年度・ほかの科目の過去問
この記事の問題文と図は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和4年 一級建築士試験(学科の試験)の問題から、著作権法第32条の引用として掲載しています。著作権は同センターにあります。
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