全20問の解答・解説
令和3年(2021年7月11日実施)の一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)の全20問を、選択肢ごとに正誤の理由を示して解説します。環境工学(熱・空気・光・音・色)と建築設備(空調・給排水・電気・防災)から出題されます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

令和3年 一級建築士試験(学科)の概要
問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)の試験問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各問の枠の右下に出典)。正答は、同センターの合格基準点等(正答肢)と全問を照らし合わせています。
解説は、出題当時の法令・基準によります(法令がからむ問題は令和3年1月1日時点の法令)。その後の改正や基準の改定で答えが変わる問題には「🔶 現在の基準では」、言い方だけが変わった問題には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
分野ごとの問題一覧
環境・設備の20問は、毎年おおむね同じ順番で、分野ごとに出題されます。解きたい問題を押すと、その問題へ移動します。
🌡️ 環境工学の用語・温熱・換気・伝熱・防火(No.1〜No.5)
No.1環境工学の用語(露点温度・グレア・ビル風・カクテルパーティ効果)
環境工学における用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1露点温度は、絶対湿度を一定に保ちながら空気を冷却した場合に、相対湿度が100%となる温度である。2グレアは、視野の中に輝度の高い光源が入ってきたときに起こり、周囲の輝度からの影響を受けない。3ビル風は、建築物の見付面積が大きく、風をより多くせき止めるほど、一般に、剥離する領域が大きくなる。4カクテルパーティ効果は、周囲が騒がしい環境であっても聴きたい音を選択的に聴き取ることができる、聴覚上の性質である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.1
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露点温度は、絶対湿度(空気中の水蒸気の量)を変えずに空気を冷やしたとき、相対湿度が100%になって結露が始まる温度。
グレア(まぶしさ)は、視野の中の高い輝度の光源と周囲の輝度との差で起こり、周囲が暗いほど強く感じる。周囲の輝度の影響を受けないのではない。
ビル風は、建物の見付面積が大きく、風を多くせき止めるほど、建物の角などで風がはがれる(剥離する)領域が大きくなり、強い風の範囲が広がる。
カクテルパーティ効果は、騒がしい中でも聞きたい人の声などを選んで聞き取れる、聴覚の性質。
No.2室内の温熱環境(PMV と PPD・平均放射温度・放射の不均一性・着席安静時の代謝量)
室内の温熱環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1予測平均温冷感申告(PMV)の値が0に近づくに従って、予測不満足者率(PPD)は高くなる。2平均放射温度(MRT)は、グローブ温度、空気温度及び気流速度から求められる。3冷たい壁面による不快感を生じさせないためには、放射の不均一性(放射温度の差)を10℃未満にすることが望ましい。4着席安静時における日本人の平均的な体格の成人男性の代謝量は、約100W/人である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.2
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PMV が0(暑くも寒くもない)に近づくほど、不満に思う人の割合(PPD)は低くなり、PMV=0で最小の5%になる。
平均放射温度(MRT)は、グローブ温度・空気温度・気流速度から求める。
冷たい壁面による不快感を防ぐには、方向による放射温度の差(放射の不均一性)を10℃未満にするのが望ましい。
着席安静時の代謝量は1met(約58W/㎡)で、日本人の平均的な成人男性(体表面積約1.7㎡)では約100W/人。
No.3換気(静止型全熱交換器・手術室の換気方式・住宅の自然給気口の高さ・風力換気)
換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1静止型の全熱交換器を採用する場合、全熱交換素子の通気抵抗が大きいので、一般に、給気側と排気側の両方に送風機が必要となる。2汚染空気が周囲から流入してはならない手術室やクリーンルーム等においては、第二種機械換気方式又は室内の気圧を周囲より高くした第一種機械換気方式とする。3住宅の全般換気をトイレ、浴室、台所等の水まわり部分からのファンによる排気によって行う場合、居室に設ける自然給気口は、温熱環境に影響を及ぼさないように、床面から0.5m以下に設置することが望ましい。4建築物が風圧力のみによって換気される場合、その換気量は、外部風向と開口条件が同じであれば、概ね外部風速に比例する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.3
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静止型の全熱交換器は、熱交換素子の通気抵抗が大きいので、一般に給気側と排気側の両方に送風機が必要になる。
汚れた空気が入ってはならない手術室やクリーンルームでは、室内を正圧に保つため、第二種機械換気(または室内の気圧を周囲より高くした第一種機械換気)とする。
居室の自然給気口から入る外気は冬に冷たいので、人に冷気が直接当たらないよう、給気口は床から高い位置(天井近くなど)に設けるのが望ましい。床面から0.5m以下の低い位置は、足元に冷気が流れて不快になりやすい。
風力だけで換気される場合、風向と開口の条件が同じなら、換気量は外部の風速にほぼ比例する。
No.4建築物の伝熱(二重サッシの結露・自然対流熱伝達率・繊維系断熱材の含水・Low-Eガラスの位置)
建築物の伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1冬期において、二重サッシの間の結露を防止するためには、屋外側よりも室内側のサッシの気密性能を高くするとよい。2室内の壁表面における自然対流熱伝達率は、壁表面と室内空気との温度差が大きくなるほど高くなる。3繊維系断熱材は、含水率が増加すると水の熱伝導抵抗が加わるので、断熱性能が向上する。4複層ガラスにおいて、Low-Eガラスを屋外側に用いると、室内側に用いる場合に比べて遮熱性が高まる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.4
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二重サッシの間の結露を防ぐには、室内の湿った空気がサッシの間に入らないよう、室内側のサッシの気密性能を屋外側より高くする。
壁の表面の自然対流熱伝達率は、壁の表面と室内空気の温度差が大きいほど、対流が強くなって大きくなる。
繊維系の断熱材は、内部の空気が熱を伝えにくいことで断熱する。水は空気より熱を伝えやすいので、含水率が増えると熱伝導率が大きくなり、断熱性能は低下する。
Low-E ガラスを屋外側に使うと、日射熱を屋外側で反射するので、室内側に使う場合より遮熱性が高い(冬の断熱を重視するなら室内側)。
No.5建築物の防火・防災(煙の水平方向の速さ・劇場の階段の歩行速度・一時滞留空間・居室内の歩行距離)
建築物における防火・防災に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1火災時に空気と分離した煙が平面方向に広がる速さは、避難における歩行速度にほぼ等しい。2劇場の防災計画において、階段を下りる速度は、一般に、0.6m/秒で想定する。3超高層建築物や医療福祉施設では、災害時に一気に外部まで避難することが困難な場合が想定されるので、避難経路の途中又は途中階に一時的に滞留できる空間を確保することが望ましい。4居室内避難における歩行距離は、一般に、家具の配置にかかわらず、出口に最も遠い地点から出口までの直線距離とする。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.5
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火災のとき、空気と分離した煙が天井に沿って横に広がる速さは0.5〜1m/s程度で、避難のときの歩行速度とほぼ同じ。
劇場など群集が階段を下りる速度は、避難計算では一般に0.6m/秒程度で想定する(水平の歩行は1.0m/秒程度)。
超高層建築物や医療福祉施設では、すぐに外まで避難するのが難しいので、避難経路の途中や途中階に一時的に滞留できる安全な空間を設けるのが望ましい。
居室内の歩行距離は、出口から最も遠い地点から出口までを、家具などの配置を考えて実際に歩く経路で求める(直線距離では短く見積もってしまう)。
💡 日照・照明・色彩・音(No.6〜No.10)
No.6日照・日射(永久日影・4時間日影の面積・落葉樹の位置・縦長窓の均斉度)
日照・日射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1夏至の日に終日日影となる部分を、永久日影という。2建築物の形状と日影の関係において、4時間以上日影となる領域の面積は、一般に、建築物の東西方向の幅よりも高さから受ける影響が大きい。3南面と西面の外壁条件が同一である建築物の周囲に落葉樹を植える場合は、その落葉樹の位置は、一般に、南側より西側としたほうが、その建築物の冷暖房負荷の軽減に有効である。4鉛直壁面の中央付近に設けられる同一面積の窓からの採光においては、一般に、横長窓より縦長窓のほうが、床面の照度の均斉度は高い。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.6
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太陽高度が最も高い夏至の日でも一日中日影になる部分を、永久日影という。
4時間以上日影になる範囲の面積は、建物の高さを高くしてもあまり広がらず、東西方向の幅の影響を大きく受ける(東西に長いほど広い)。
落葉樹は、夏は葉で日射を遮り、冬は葉が落ちて日射を通す。西日は夏の冷房負荷を大きくするので、南より西に植えるほうが、冷暖房負荷を減らすのに効果的。
同じ面積の窓を壁の中央に設けるなら、縦長窓のほうが光が室の奥まで届き、床面の照度の均斉度が高くなる。
No.7照明(明るさと照度・CIE標準曇天空・配光曲線・平均演色評価数)
照明に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1ある視対象面の明るさは、その面に入射する光から求められる照度のみからでは、予測することができない。2CIE標準曇天空では、天頂に対する相対的な輝度分布は、方位にかかわらず、高度のみにより決まる。3配光曲線は、光源の各方向に対する照度の分布を示すものである。4平均演色評価数(Ra)は、相関色温度が同じ光源であっても異なる場合がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.7
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面の明るさの感じ方は、照度だけでなく、面の反射率(輝度)や周りとの対比で変わるので、照度だけでは予測できない。
CIE標準曇天空の輝度の分布は、天頂が最も明るく、方位によらず高度だけで決まる。
配光曲線は、光源の各方向に対する光度の分布を示したもの。照度の分布ではない。
平均演色評価数(Ra)は、光源の分光分布で決まるので、相関色温度が同じ光源でも違う値になることがある。
No.8色彩(マンセルバリューと視感反射率・減法混色・LEDの光色・三刺激値Y)
色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1マンセル表色系において、マンセルバリューが5の色の視感反射率は、一般に、約20%である。2減法混色とは、複数の色光を混ぜ合わせて別の色の知覚を生じさせることをいい、もとの色の数が増加するほど明るくなる。3LED等の人工光源から発せられる光は、相関色温度が等しくても、異なる光色に知覚される場合がある。4XYZ表色系における三刺激値X、Y、Zのうち、Yは、反射物体の色の場合には、視感反射率を示す。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.8
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マンセルバリュー(明度)が5の色の視感反射率は、約20%(明度 V と反射率 Y はおよそ Y≒V(V−1) の関係)。
複数の色光を混ぜて別の色をつくり、混ぜるほど明るくなるのは加法混色。減法混色は、絵の具やフィルターなど光を吸収するものを重ねる混色で、混ぜるほど暗くなる。
LED などの光源は、相関色温度が同じでも、分光分布の違いで光の色が違って見えることがある。
XYZ表色系の三刺激値のうち Y は明るさに対応し、反射物体の色では視感反射率を表す。
No.9吸音・遮音(コインシデンス効果と壁の厚さ・吸音率・重量床衝撃音とカーペット・中空二重壁の共振)
吸音・遮音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1単層壁の遮音において、同一の材料の場合、壁の厚さが薄いほど、コインシデンス効果による遮音性能の低下は、より高い周波数域で発生する。2壁の吸音率は、「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁内部に吸収される音のエネルギーと壁の反対側へ透過する音のエネルギーとの和」の割合である。3子どもの飛び跳ねのような重量床衝撃源による床衝撃音については、カーペット等の柔らかい床仕上げ材を用いても、遮断性能の大幅な向上は期待できない。4中空二重壁の共振透過において、同一の材料を用いて壁間の空気層を厚くすると、共振周波数は高くなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.9
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同じ材料の一重の壁では、薄いほどコインシデンス効果で遮音性能が落ちる周波数が高くなる(厚いほど低くなる)。
壁の吸音率は、壁に入射した音のエネルギーに対する、壁の内部で吸収された音と、壁の反対側へ透過した音のエネルギーの和の割合(反射されなかった割合)。
子どもの飛び跳ねなどの重量床衝撃音は、床スラブ全体を揺らすので、カーペットのような柔らかい仕上げでは大きくは改善できない(軽量床衝撃音には効果がある)。
中空二重壁の共振透過の周波数は、空気層が厚いほど低くなる(空気のばねが柔らかくなる)。厚くすると高くなるのではない。
No.10音響(音の大きさの感覚・防音塀・無限大の面音源・セイビンとアイリングの残響式)
音響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1音の大きさの感覚量は、音圧レベルが一定の場合、低音域で小さく、10kHz付近で最大となる。2防音塀は、音の回折による減衰を利用して、騒音を低減化するものであり、一般に、低音域よりも高音域において有効である。3無限大の面音源から放射された音は、距離減衰することなく伝搬する。4室内の平均吸音率が大きい場合、セイビン(Sabine)の残響式により求めた残響時間は、アイリング(Eyring)の残響式により求めたものに比べると、長くなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.10
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音圧レベルが同じなら、人の耳は低い音に鈍感で、3〜4kHz付近の音を最も大きく感じる。10kHz 付近で最大になるのではない(等ラウドネス曲線)。
防音塀は、音が塀の上を回り込む(回折する)ときの減衰を利用する。波長の短い高音ほど回り込みにくいので、低音域より高音域で効果が大きい。
無限に広い面音源から出た音は、平面波として広がらずに進むので、距離による減衰がない。
平均吸音率が大きい室では、セイビンの残響式は残響時間を実際より長く計算してしまう。アイリングの式のほうが正確で、セイビンの式で求めた値のほうが長くなる。
🌀 空気調和・換気設備(No.11〜No.13)
No.11空気調和設備(水蓄熱槽の利用温度差・密閉式冷却塔のファン制御・遠心冷凍機の冷却水温度・排熱投入型吸収冷温水機)
空気調和設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1空調用水蓄熱槽の利用温度差を確保するために、熱交換器を通過する蓄熱槽からの水量を一定に制御した。2密閉式冷却塔の省エネルギーを図るために、ファン発停制御及びファン回転数制御を行えるようにした。3遠心冷凍機の成績係数を改善するために、中間期においては、夏期よりも低い冷却水入口温度で運転できるようにした。4ガスエンジンから発生する排熱を利用するために、排熱投入型の吸収冷温水機を設置した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.11
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水蓄熱槽の利用温度差(往きと還りの温度差)を確保するには、熱交換器を通る蓄熱槽の水量を、二次側の出口温度などに応じて変える(変流量で制御する)必要がある。水量を一定にすると、負荷が小さいときに還りの温度差が小さくなり、蓄熱槽を有効に使えない。
密閉式冷却塔では、ファンの発停制御や回転数制御で、負荷に合わせて送風量を変えると、省エネルギーになる。
遠心冷凍機は、冷却水の温度が低いほど成績係数(COP)がよくなる。中間期は夏より低い冷却水入口温度で運転できるようにすると効率が上がる。
ガスエンジンの排熱(温水)を利用するには、排熱を直接投入できる排熱投入型の吸収冷温水機を設ける。
No.12事務所の空調方式(定風量と変風量・個別分散方式・放射空調方式・床吹出し空調方式)
事務所の空調方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1定風量単一ダクト方式は、一般に、変風量単一ダクト方式に比べて搬送動力の消費量が大きい。2個別分散方式は、空調機を室単位やゾーン単位ごとに設置する方式であり、一般に、天井内等に機器の設置が可能なため、機器等の設置に必要なスペースを小さくすることができる。3放射空調方式は、一般に、天井等に設置した放射パネルを冷却又は加熱することにより放射パネルと人との間で放射熱交換を行う方式であり、気流や温度むらによる不快感が少ない。4床吹出し空調方式は、二重床の床下空間を利用し、床面に設けた吹出し口から空調空気を吹き出す方式であり、一般に、暖房運転時における居住域高さでの垂直温度差は大きい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.12
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定風量単一ダクト方式は、負荷が小さいときも同じ風量を送るので、風量を減らせる変風量単一ダクト方式より搬送動力が大きい。
個別分散方式は、室やゾーンごとに空調機(パッケージ型など)を置く方式で、天井内などに機器を置けるので、機械室などのスペースを小さくできる。
放射空調方式は、天井などの放射パネルを冷却・加熱し、パネルと人の間の放射の熱交換で冷暖房する方式で、気流や温度むらによる不快感が少ない。
床吹出し空調方式は、床から空調空気を吹き出すので、暖房時には暖かい空気が足元から供給され、居住域の高さでの垂直温度差は小さい(足元が冷えにくい)。
No.13機械換気設備の換気量(事務室・喫茶店・劇場の客席・地下駐車場)
機械換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1200㎡の一般的な事務室(40席)の換気量を、1,200㎥/hとした。2100㎡の喫茶店の客席(40席)の換気量を、1,200㎥/hとした。3500㎡の劇場の客席(400席)の換気量を、6,000㎥/hとした。41,000㎡の自走式屋内地下駐車場の換気量を、14,000㎥/hとした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.13
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事務室:1人当たりの占有面積 N=200÷40=5㎡ なので、必要な有効換気量は V=20×200÷5=800㎥/h(建築基準法施行令 第20条の2)。1,200㎥/h(1人当たり30㎥/h)は足りている。
喫茶店(特殊建築物の居室):N=100÷40=2.5㎡ なので、V=20×100÷2.5=800㎥/h。1,200㎥/h は足りている。
劇場の客席(特殊建築物の居室):N=500÷400=1.25㎡ なので、V=20×500÷1.25=8,000㎥/hが必要(1人当たり20㎥/h)。6,000㎥/h では足りない。
建築物である駐車場は、床面積1㎡につき毎時14㎥以上の換気能力が必要(駐車場法施行令 第12条)。1,000㎡なら14,000㎥/h で、基準を満たしている。
建築基準法施行令 第20条の2第一号ロ(1)(有効換気量 V=20Af/N。N は1人当たりの占有面積で、特殊建築物の居室は3を超えるときは3、その他の居室は10を超えるときは10)、駐車場法施行令 第12条(建築物である路外駐車場は、床面積1㎡につき毎時14㎥以上の換気能力)
🚰 給排水・発電設備・照明率(No.14〜No.17)
No.14給排水衛生設備(排水再利用水の用途・雑用水の受水槽・雨水の量水計・飲料水と雑用水の比率)
給排水衛生設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1排水を再利用した雑用水については、便器洗浄水や修景用水の他に、清掃用水や冷却塔補給水にも使用した。2給水設備において、上水系統と別系統にした雑用水系統の受水槽については、雑用水用ポンプを設置した給排水衛生設備機械室の直下にある鉄筋コンクリート造の床下ピットを利用した。3雨水を便器洗浄水等で再利用した排水が下水道料金の対象となる地域において、雨水使用量を計測する量水計を設置した。4飲食施設を設けない中小規模の事務所ビルの給水設計において、使用水量の比率を、飲料水30%、雑用水70%とした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.14
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排水を再利用した雑用水は、便器の洗浄水・修景用水・清掃用水などに使えるが、冷却塔の補給水には使わない。冷却塔の水はしぶきとして飛散し、人が吸い込むおそれがあるので、補給水には水道法の水質基準に適合する水を使う(建築物衛生法施行規則 第3条の18第一号)。
上水と別系統の雑用水の受水槽なら、鉄筋コンクリート造の床下ピットを利用できる(上水の受水槽は六面点検が必要で、床下ピットは使えない)。
雨水を便器の洗浄水などに使って下水道に流す場合、その水量が下水道料金の対象になる地域では、雨水の使用量を測る量水計を設ける。
飲食施設のない事務所ビルでは、便器の洗浄水などの雑用水の使用量が多く、飲料水30〜40%・雑用水60〜70%程度で計画する。
建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則 第3条の18第一号(冷却塔及び加湿装置に供給する水を、水道法第4条の水質基準に適合させる)
No.15排水設備等(グリース阻集器とトラップ・排水温度・ディスポーザ排水処理システム・即時排水型ビルピット)
排水設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1飲食店の厨房の排水系統に設けるグリース阻集器は、一般に、油脂分を取ることのみを目的としているので、下流に臭気等を防止するトラップを別に設ける必要がある。2公共下水道へ排水する場合には、原則として、排水温度を45℃未満にしなければならない。3ディスポーザ排水処理システムは、ディスポーザ、専用の排水配管及び排水処理装置により構成されており、一般に、排水中のBOD等を基準値以下にして、下水道に放流するものである。4即時排水型ビルピット設備は、排水の貯留時間を短くすることにより、硫化水素等の悪臭物質の発生を抑制することができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.15
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グリース阻集器は、油脂分を分離して取り除くとともに、それ自体がトラップの機能をもつ。下流にさらにトラップを設けると二重トラップになって排水が流れにくくなるので、別に設けない。
公共下水道に流す排水の温度は、原則として45℃未満にする(下水道法施行令 第9条で45度以上は除害施設の対象)。
ディスポーザ排水処理システムは、ディスポーザ・専用の排水配管・排水処理装置で構成され、生ごみを含む排水の BOD などを基準値以下にしてから下水道に流す。
即時排水型ビルピット設備は、排水槽に排水をためる時間を短くするので、硫化水素などの悪臭物質の発生を抑えられる。
No.16発電設備等(非常電源専用受電設備・自家発電設備の電圧確立時間・デュアルフューエル・燃料電池設備)
発電設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1非常電源専用受電設備は、商用電源が停電した場合、消防設備へ電力を供給できなくなるので、大規模な特定防火対象物における消防用設備等の非常電源とすることができない。2消防用設備等の非常電源として用いる自家発電設備で、蓄電池を使用しないものは、常用電源が停電してから電圧確立及び投入までの所要時間を40秒以内とする必要がある。3デュアルフューエルシステムの発電機に用いる燃料は、通常時にはガスを用い、災害等によりガスの供給が停止した場合には重油等を用いることができる。4燃料電池設備は、気体燃料を用いるので、消防用設備等の非常電源とすることができない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.16
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非常電源専用受電設備は、商用電源が停電すると電力を供給できないので、延べ1,000㎡以上の特定防火対象物の消防用設備等の非常電源にはできない(消防法施行規則 第12条第1項第四号)。
消防用設備等の非常電源の自家発電設備(蓄電池を使わないもの)は、常用電源が停電してから電圧が確立して電力を供給するまでの時間を40秒以内とする。
デュアルフューエルシステムの発電機は、ふだんはガスを燃料とし、災害でガスの供給が止まったときは重油などに切り替えて運転できる。
燃料電池設備は、消防庁長官が定める基準に適合すれば、消防用設備等の非常電源として使える(消防法施行規則 第12条第1項第四号に燃料電池設備が定められている)。
消防法施行規則 第12条第1項第四号(屋内消火栓設備などの非常電源は、非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備または燃料電池設備。延べ1,000㎡以上の特定防火対象物は、非常電源専用受電設備を除く)
No.17照明率(器具効率・配光の広がり・室内反射率・室指数)
照明率に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1配光が同じ照明器具においては、器具効率が高いほど照明率は高くなる。2器具効率が同じ照明器具においては、配光の広がりが大きいほど照明率は高くなる。3室の形状を示す室指数が同じであれば、室内反射率が高いほど照明率は高くなる。4室内反射率が同じであれば、室の形状を示す室指数が大きいほど照明率は高くなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.17
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配光が同じなら、器具効率(ランプの光束のうち器具の外に出る割合)が高いほど、照明率は高くなる。
器具効率が同じなら、配光の広がりが大きいほど、光が壁に当たって吸収される割合が増えるので、照明率は低くなる。
室指数が同じなら、天井・壁・床の反射率が高いほど、反射光も作業面に届くので、照明率は高くなる。
室内反射率が同じなら、室指数が大きい(間口・奥行に比べて天井が低い、広い室)ほど、壁に当たる光の割合が減るので、照明率は高くなる。
🔥 消防用設備・建築設備・環境と設備(No.18〜No.20)
No.18消防用設備等(パッケージ型自動消火設備・泡消火設備・ドレンチャー設備・消防用水)
消防用設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1消火薬剤の放射により消火するパッケージ型自動消火設備を、スプリンクラー設備の代替設備として延べ面積1,500㎡の特別養護老人ホームに設置した。2窒息効果と冷却効果により消火する泡消火設備を、地下駐車場に設置した。3水幕を張ることにより外部等からの延焼を防止するドレンチャー設備を、重要文化財の神社に設置した。4消防用水を、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備等の初期消火設備のための専用水源として設置した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.18
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パッケージ型自動消火設備は、消火薬剤を放射して消火する設備で、一定の規模以下の特別養護老人ホームなどでは、スプリンクラー設備の代わりに設置できる。
泡消火設備は、泡で燃焼面を覆う窒息効果と冷却効果で消火し、ガソリンの火災が考えられる地下駐車場などに設ける。
ドレンチャー設備は、建物の外周などに水幕を張って、外からの延焼を防ぐ設備で、木造の重要文化財の社寺などに設ける。
消防用水は、公設の消防隊が消防ポンプ自動車で吸い上げて使う水源(防火水槽など)。屋内消火栓設備やスプリンクラー設備などの初期消火設備の専用の水源ではない。
No.19建築設備(エレベーターの機械室の面積・送風機の並列運転・CO2冷媒のヒートポンプ給湯機・マルチパッケージ型空調機の屋外機の設置)
建築設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1非常用エレベーターの機械室の床面積は、機械の配置及び管理に支障がない場合においては、昇降路の水平投影面積の2倍以上としなくてもよい。2空調用の低圧送風機系統において、同一特性の送風機を2台並列運転させた場合の風量は、一般に、単独運転時の2倍にはならない。3ヒートポンプ給湯機は、大気中の熱エネルギーを給湯の加熱に利用するもので、冷媒に二酸化炭素を用いたものがある。4マルチパッケージ型空調機の屋外機は、屋上に集中設置するよりも各階バルコニーに分散設置するほうが、冷媒管が短く、高低差が少なくなるため、一般に、機器の運転効率は低下する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.19
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エレベーターの機械室の床面積は、昇降路の水平投影面積の2倍以上とするが、機械の配置と管理に支障がない場合はこの限りでない(建築基準法施行令 第129条の9第一号)。
同じ特性の送風機を2台並列で運転しても、ダクトの抵抗が増えるので、風量は単独運転の2倍にはならない。
ヒートポンプ給湯機は、大気の熱をくみ上げて湯を沸かす。冷媒に二酸化炭素を使ったもの(CO2冷媒)がある。
屋外機を各階のバルコニーに分散して置くと、屋上に集中して置くより冷媒管が短く、高低差も小さくなるので、冷媒の圧力損失が減り、機器の運転効率は上がる(低下しない)。
建築基準法施行令 第129条の9第一号(エレベーターの機械室の床面積は昇降路の水平投影面積の2倍以上。機械の配置及び管理に支障がない場合はこの限りでない)
No.20環境・設備(BELSの星の数・住宅の省エネルギー基準・BCP・地域冷暖房システム)
環境・設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の5段階のマークは、BEIの値が大きいほど星の数が増える。2「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」に基づく新築住宅の省エネルギー基準では、原則として、外皮平均熱貫流率(UA値)や冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)を地域の区分に応じた基準値以下となること等が求められる。3被災時に救護場所や避難場所となる可能性が高い病院やホテル等の施設を有する企業のBCPにおいては、電気、ガス、水道等のライフラインの広域停止に備えた設備をあらかじめ計画することが望ましい。4地域冷暖房システムの導入は、一般に、未利用熱の活用による排熱削減が期待でき、ヒートアイランド現象の緩和にも効果的である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験 学科Ⅱ(環境・設備)」No.20
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BELS の星の数は、BEI(設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量)の値が小さいほど増える(省エネ性能が高い)。BEI が大きいほど増えるのではない。
新築住宅の省エネルギー基準では、外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)を、地域区分ごとの基準値以下とすることなどが求められる。
災害時に救護・避難の場所になりうる病院やホテルなどをもつ企業の BCP(事業継続計画)では、電気・ガス・水道の広域の停止に備えて、非常用発電機や受水槽の容量などをあらかじめ計画しておくのが望ましい。
地域冷暖房システムは、まとめて熱をつくることで、ごみ焼却や河川水などの未利用熱を活用でき、排熱を減らせるので、ヒートアイランド現象の緩和にも効果がある。
令和3年の合格基準点(学科の試験)
配点は各問題1点(学科Ⅰ・Ⅱは各20点、学科Ⅲ・Ⅳは各30点、学科Ⅴは25点、合計125点)で、各科目の基準点と総得点の基準点のすべてに達した人が合格です。
| 学科Ⅰ 計画 | 学科Ⅱ 環境・設備 | 学科Ⅲ 法規 | 学科Ⅳ 構造 | 学科Ⅴ 施工 | 総得点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格基準点 | 10点※ | 11点 | 16点 | 16点 | 13点 | 87点 |
※ 合格基準点は、各科目は過半の得点、総得点はおおむね90点程度を基本的な水準として想定し、令和3年は学科Ⅰの難易度が高く、総じて難易度が高かったことから、学科Ⅰ(計画)の基準点が10点、総得点の基準点が87点とされました。
出典:建築技術教育普及センター「令和3年一級建築士試験『学科の試験』の合格基準点等について」
令和3年の環境・設備の基準点は11点(20点中)でした。環境・設備は計算問題もある科目で、20問と問題数が少ないぶん1問の重みが大きいので、用語と式の意味を過去問で正誤の理由まで説明できるようにしておくと安心です。
ほかの年度・ほかの科目の過去問
この記事の問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和3年 一級建築士試験(学科の試験)の問題から、著作権法第32条の引用として掲載しています。著作権は同センターにあります。
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