全20問の解答・解説
令和8年(2026年7月26日実施)の一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)の全20問を、選択肢ごとに正誤の理由を示して解説します。建築史・各種建築物の計画・都市計画・住まい・建築生産(契約・積算・マネジメント)などから出題されます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

令和8年 一級建築士試験(学科)の概要
問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)の試験問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各問の枠の右下に出典)。正答は、同センターの合格基準点等(正答肢)と全問を照らし合わせています。
解説は、出題当時の法令・基準によります(法令がからむ問題は令和8年1月1日時点の法令)。その後の改正や基準の改定で答えが変わる問題には「🔶 現在の基準では」、言い方だけが変わった問題には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
分野ごとの問題一覧
計画の20問は、毎年おおむね同じ順番で、分野ごとに出題されます。解きたい問題を押すと、その問題へ移動します。
🏯 技術者の倫理・建築史(No.1〜No.3)
No.1技術者の倫理・建築計画の用語(コンプライアンス・モラルハザード・サードプレイス・ABW)
技術者の倫理、建築計画等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1コンプライアンスは、法令等遵守とも訳され、遵守すべき対象は法令・条例に限定されず、社会規範・企業倫理も含まれる。2モラルハザードは、保険の領域から派生した概念であり、企業等が倫理性の欠如のために不正な利益を追求する状態などをいう。3サードプレイスは、自宅や職場、学校等のほかに、それとは異なる場所で、異なる人間関係が期待できる、心地の良い第3の居場所のことをいう。4ABW(Activity Based Working)は、企業の活動拠点を都市部から地方に移転し、1か所に集中させる働き方のことで、企業のランニングコストを抑える効果が期待できる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.1
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コンプライアンスは「法令等遵守」と訳されるが、守る対象は法令・条例だけではなく、社会の規範や企業の倫理も含まれる。
モラルハザードは、もとは保険の分野の言葉(保険に入ったことで注意が緩むこと)。そこから広がり、倫理観が欠けて不正な利益を追い求める状態などもいう。
サードプレイスは、自宅(第1の場所)や職場・学校(第2の場所)とは別の、くつろげて、ふだんとは違う人とのつながりが期待できる「第3の居場所」(カフェなど)のこと。
ABW(Activity Based Working)は、仕事の内容に合わせて、働く人が働く場所や時間を自分で選ぶ働き方(オフィスの中の集中席・打合せ席・カフェなどを使い分ける)。企業の拠点を地方へ移して1か所に集める働き方のことではない。
No.2日本の歴史的建築物(円覚寺舎利殿・石山寺多宝塔・平等院鳳凰堂・薬師寺東塔)
日本の歴史的建築物(所在地)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1円覚寺舎利殿(神奈川県)は、垂木を扇垂木とし、組物を柱の上のみならず柱と柱の間にも組んで詰組とした禅宗様の建築物である。2石山寺多宝塔(滋賀県)は、円形平面の塔身の上に宝形の屋根をのせ、塔身の周囲に方形の裳階を付した現存最古とされる多宝塔の建築物である。3平等院鳳凰堂(京都府)は、中央に阿弥陀堂としての中堂、左右に翼廊、背部に尾廊を設け、池の中島に建つ、浄土を具現したような平安時代の建築物である。4薬師寺東塔(奈良県)は、上層に行くほど大きさを逓減した五重塔で、雲斗雲肘木が軒を支え、卍崩し等の装飾がみられる飛鳥様式の建築物である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.2
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円覚寺舎利殿は禅宗様の代表的な建築物。垂木を放射状に広げる扇垂木とし、組物を柱の上だけでなく柱と柱の間にも置く詰組としている。
石山寺多宝塔は、現存最古とされる多宝塔(鎌倉時代)。円形の塔身の上に宝形の屋根をのせ、塔身のまわりに方形の裳階を付けた形をしている。
平等院鳳凰堂は、中央の中堂(阿弥陀堂)、左右の翼廊、背面の尾廊からなり、池の中島に建つ。極楽浄土の宮殿を表したとされる平安時代の建築物。
薬師寺東塔は、各重に裳階を付けた三重塔(外から見ると六重に見える)で、奈良時代の建築物。雲斗・雲肘木や卍崩しの高欄は、法隆寺の金堂・五重塔などに見られる飛鳥様式の特徴で、薬師寺東塔の説明ではない。
No.3西洋の近代建築と説明の組合せ(ロビー邸・シュレーダー邸・バウハウス校舎・バルセロナ・パヴィリオン)
西洋の歴史的建築物とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
歴史的建築物(設計者、所在地) 説明 1. ロビー邸
(フランク・ロイド・ライト、アメリカ)外観において煙突が垂直性を見せる一方で、軒を深く出して水平線を強調し、アメリカの草原地帯と融和するようなプレーリー・ハウス(草原住宅)の代表例となった。 2. シュレーダー邸
(ヘリット・トーマス・リートフェルト、オランダ)ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面の五つの要素を採り入れることで、デ・ステイルの造形原理を具現化した。 3. デッサウのバウハウス校舎
(ヴァルター・グロピウス、ドイツ)工房、教室、寮といった異なる機能をもつ直方体状の棟を非対称に配置し、ファサードでは新技術であるガラスのカーテンウォールを実現させた。 4. バルセロナ・パヴィリオン
(ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、スペイン)屋根スラブを支える鉄骨柱の間に大理石等の非構造壁を配置し、ガラスで内外の空間の関係を曖昧にすることで、基壇と屋根の間に開放的で自由度の高い空間をつくり出した。 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.3
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ロビー邸(シカゴ)は、低く深い軒で水平線を強調したプレーリー・ハウス(草原住宅)の代表作。中央の煙突が垂直の要素になっている。
ピロティ・屋上庭園・自由な平面・水平連続窓・自由な立面は、ル・コルビュジエの「近代建築の五原則」(代表作はサヴォア邸)。シュレーダー邸は、直交する面と線、原色を使ったデ・ステイルの造形の住宅で、可動の間仕切りで2階を一体にも区切ることもできる。五原則で説明するのは誤り。
デッサウのバウハウス校舎は、工房・教室・寮などの棟を風車のように非対称に配置し、工房棟の外壁を全面ガラスのカーテンウォールとした。
バルセロナ・パヴィリオン(1929年のバルセロナ万国博覧会のドイツ館)は、十字形断面の鉄骨柱で屋根スラブを支え、大理石やガラスの壁を構造から切り離して自由に置いた、流れるような空間の建築。
📐 各部の計画・寸法・バリアフリー(No.4〜No.9)
No.4建築物の各部(額縁の留め・メタルカーテンウォール・江戸間・鋼板折板葺き)
建築物の各部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1外壁の開口部において、室内の大壁枠回りに設ける木製の額縁を四隅で45度に切り落とし、留め加工で接合した。2外壁のカーテンウォールにおいて、下部を固定し、上部のファスナーをスライドさせて層間変位に追従させるパネル方式のメタルカーテンウォールを採用した。3住宅の和室において、柱心の間隔を一定寸法の整数倍とする江戸間(シングルグリッド)で平面を計画した。4屋根の鋼板折板葺きにおいて、雨仕舞いの面から折板の谷の部分で下地(タイトフレーム)と接合した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.4
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額縁の四隅を45度に切って合わせる「留め」は、木口(切り口)を見せずに納める一般的な加工。
パネル方式のメタルカーテンウォールでは、パネルの下部を固定し、上部のファスナーをスライドさせて、地震時の層間変位に追従させる方式(スウェイ方式)が使われる。
江戸間は、柱心の間隔を基準寸法(910mmなど)の整数倍とする柱割り(シングルグリッド)。京間は畳の大きさを基準に内法を決める畳割り。
雨水が流れる谷の部分に固定用の穴やボルトがあると、雨漏りの原因になる。重ね形の折板は、雨仕舞いのため山の部分でタイトフレームに固定する(各山ごとにタイトフレームに固定・標準仕様書 13.3.3(3)(ウ))。
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 13.3.3(3)(ウ)(重ね形の折板は各山ごとにタイトフレームに固定)
No.5木造建築物の計画(心持ち材・耐火性能検証法・長期優良住宅の床下・一般流通材)
木造建築物の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1木造軸組構法の一戸建て住宅において、柱に天然乾燥処理によるスギ製材を用いるに当たり、心去り材に比べて乾燥時間が短く、干割れしにくい心持ち材とした。2木造の体育館において、木造の梁を露出させるデザインとするため、床面から梁までの高さを十分に確保するとともに、高い位置に大きな開口部を設けるなどして耐火性能検証法を用いる計画とした。3木造軸組構法の一戸建て住宅において、長期優良住宅の普及の促進に関する法律における「長期優良住宅」の認定を取得するため、床下点検口を設けるとともに、床下空間の有効高さ330 mmを確保した。4木造平家建ての保育園において、構造材の入手性や費用を考慮し、120 mm角の柱や、断面の幅が120 mmの梁等の一般流通材を用いた。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.5
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心持ち材(丸太の中心=髄を含む材)は、心去り材に比べて乾燥に時間がかかり、干割れも生じやすい。干割れを防ぐため、心持ち材の柱には背割りを入れることが多い。「乾燥時間が短く、干割れしにくい」は逆。
耐火性能検証法は、火災のときに部材が受ける熱を計算で確かめる方法。天井を高くして煙や熱がたまる層と梁を離したり、高い位置の大きな開口部から煙や熱を逃がしたりすることで、木の梁を見せる計画にできる場合がある。
長期優良住宅の認定基準(劣化対策)では、木造の住宅は、劣化対策等級3に加えて、床下と小屋裏に点検口を設け、床下空間の有効高さを330mm以上とすることが求められる。
120mm角の柱や幅120mmの梁は、流通量が多く手に入れやすい一般流通材。中規模の木造の施設でも、一般流通材を使うと工期や費用を抑えやすい。
長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準(平成21年国土交通省告示第209号)の劣化対策(木造は床下空間の有効高さ330mm以上)
No.6環境に配慮した建築物の計画(パッシブデザイン・自然通風・昼光利用・緑化)
環境に配慮した建築物の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1パッシブデザインは、建築的な工夫によって、風、太陽の光や熱の利用、太陽光発電等の自然エネルギーの活用により機械への依存を最小限にすることで、快適な室内環境をつくり出す設計手法である。2自然通風は、効果的に室内に屋外の風を取り込めるよう、建設地や周辺環境における夏期及び中間期の卓越風の方向を確認し、風下開口を風上開口よりも大きくするとよい。3昼光利用は、人工照明の消費エネルギー削減に寄与するだけでなく、災害時の光源としての活用、快適性の向上、健康増進等が期待される。4緑化は、植物の蒸散作用によるクールアイランドの形成、地表面の植物被覆による熱放射の抑制等の効果があるが、灌水のための水資源の確保や維持管理等の計画が必要である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.6
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パッシブデザインは、建物の配置・形・窓・断熱・日よけなどの建築的な工夫で、風・太陽の光や熱を利用する設計手法。太陽光発電のように設備(機械)でエネルギーをつくるものは、アクティブな手法に分けられ、パッシブデザインには含めない。
自然通風は、夏や中間期によく吹く風(卓越風)の向きを確かめて開口部を配置する。風下側の開口(流出口)を風上側の開口(流入口)より大きくすると、室内に入る風の速さが大きくなりやすい。
昼光利用は、照明の電力を減らすだけでなく、停電時の明かり、快適さや健康の面でも効果が期待される。
緑化は、植物の蒸散で周りより涼しい場所(クールアイランド)をつくり、地表面の温度上昇と熱放射を抑える。一方で、灌水(水やり)の水の確保や、維持管理の計画が必要になる。
No.7建築計画(ラーニングコモンズ・認知症高齢者グループホーム・ホワイエ・認定こども園)
建築計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1大学図書館において、対話型学習やグループ学習等によるアクティブラーニングに対応するため、動線上に設けられた吹抜けに面してラーニングコモンズを設置した。2認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)において、食堂とリハビリテーションのための機能訓練室は同一の場所とし、設置基準に応じた面積を確保した。3劇場において、もぎり(チケットチェック)の後に配置されるホワイエは、観客の開演待ちや幕間の休憩時における集中的利用に対応できるよう、十分な広さを確保した。4幼保連携型認定こども園において、遊戯室、調理室、管理諸室、屋外環境は幼稚園と保育所の共用の空間として設けた。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.7
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ラーニングコモンズは、グループ学習や話し合いながらの学習(アクティブラーニング)のための開かれた学習空間。人が行き交う吹抜けに面して設けると、活動が見えて利用を促しやすい。
認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の共同生活住居に設けるのは、居室・居間・食堂・台所・浴室などで、居間と食堂を同一の場所とすることができる(基準 第93条)。機能訓練室は設置基準にない。「食堂と機能訓練室を同一の場所とすることができる(合計面積は利用定員×3㎡以上)」のは、通所介護(デイサービス)の基準(第95条)。
ホワイエは、もぎり(チケットの確認)を過ぎた後の、開演前や幕間に観客が過ごす広間。開演前や休憩時に一度に人が集まるので、十分な広さが必要。
幼保連携型認定こども園は、幼稚園と保育所の機能を一体にした施設で、遊戯室・調理室・管理諸室・園庭などを共用の空間として計画できる。
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第93条第2項・第5項(認知症対応型共同生活介護の設備)、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第95条第2項第一号(通所介護の食堂及び機能訓練室)
No.8建築物の各部の寸法(エスカレーターの勾配・トイレの開閉ボタン・体育館・小学校の廊下)
建築物の各部の寸法等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1百貨店において、階高5 mの売場に設置するエスカレーターの最大勾配を、30度とした。2図書館において、車椅子使用者用トイレのドアを開閉するための押しボタンスイッチの高さを、1.4 mとした。3公共体育館において、成人用バスケットボールコートを2面配置するために、床面の内法寸法を、40 m ×50 mとした。4公立小学校において、両側に教室がある廊下の幅を、2.3 mとした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.8
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エスカレーターの勾配は30度以下とする(建築基準法施行令 第129条の12第1項第二号)。30度は基準の上限の値で、適当。
車椅子使用者用便房の自動式引き戸の開閉盤(押しボタン)は、車椅子に座ったまま操作しやすい床から100cm程度の高さに設ける(建築設計標準 10.2.3.2.3)。1.4mでは高すぎて、車椅子使用者が押しにくい。
成人用のバスケットボールコートは28m×15m。周りの安全な余裕(ラインの外側の空き)を含めて2面を配置するには、40m×50m程度の床面が目安になる。
小学校の児童用の廊下で、両側に居室(教室)がある場合の幅は2.3m以上(建築基準法施行令 第119条)。2.3mは基準どおりで適当。
建築基準法施行令 第129条の12第1項第二号(エスカレーターの勾配は30度以下)・第119条(小学校の両側に居室がある廊下は2.3m以上)、建築設計標準(令和7年5月)10.2.3.2.3(便房の開閉盤の高さ100cm程度)
No.9建築設計標準(令和7年5月)による高齢者・障害者等への配慮(当事者参画・劇場の同伴者席・優先駐車区画・階段の手すり)
高齢者、障害者等の利用に配慮した建築物の計画に関する次の記述のうち、国土交通省「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月)に照らして、最も不適当なものはどれか。
1図書館の基本構想・基本計画段階において、「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を基に、ワークショップや類似施設の見学等を通じて施設運営者、施設利用者等と意見交換を行い、多様なニーズを反映した施設整備を行った。2劇場の客席において、座席の総数に応じて車椅子使用者用客席を設け、その背後に同伴者用の座席を同数以上設けた。3大規模店舗の駐車場において、車椅子使用者用の駐車区画とは別に高齢者、妊婦、乳幼児連れ、けが人等、移動に配慮が必要な人のために優先駐車区画を建築物の出入口に近い位置に設け、1台当たりの区画の幅を2.5 mとした。4美術館の階段において、壁に設置する手すりは、踊場にも連続するように設け、階段の端部では段鼻から水平に450 mm延長させた。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.9
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建築設計標準は、建築プロジェクトの各段階で、施設の利用者や高齢者・障害者などの当事者がワークショップなどに参加して意見を出す「当事者参画」が有効としており、令和7年5月の改正で別冊の「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」がつくられた。
建築設計標準では、車椅子使用者用客席と同じ数以上の同伴者用の客席(スペース)を、車椅子使用者用客席の後ろではなく横に隣接して設けるとしている(13.2.3.5)。背後に設けるのは誤り。
優先駐車区画は、車椅子使用者用駐車施設(幅350cm以上)とは別に、広い幅は必ずしも必要ないが移動に配慮が必要な人(高齢者・妊婦・乳幼児連れ・けが人など)のために、建築物の出入口に近い位置に設ける区画(2.3.1.1)。一般の駐車区画の幅は250cm程度なので、幅2.5mは適当。
階段の手すりは、踊場にも連続して設け、上端では水平に45cm以上、下端では斜めの部分を含めて段鼻から45cm以上延ばす(5.2.3.4.1)。端部で段鼻から水平に450mm延長するのは適当。
高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(令和7年5月)13.2.3.5(同伴者用の客席)・2.3.1.1(優先駐車区画)・2.2.1.1(車椅子使用者用駐車施設の幅350cm以上)・5.2.3.4.1(階段の手すり)、別冊「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」
🏙️ 都市計画・住まい(No.10〜No.13)
No.10都市計画・まちづくりの用語(特例容積率適用地区・立地適正化計画・景観計画・登録有形文化財)
各種の法令に基づく、都市計画やまちづくりに関する用語の説明として、最も不適当なものは、次のうちどれか。
1都市計画法に基づく「特例容積率適用地区」とは、都市機能の更新や、優れた都市空間の形成・保全を図ることを目的に、都市計画法と建築基準法による制度の一部を適用せず、街区単位に都市計画を定め、建築物等を個々に認定するものである。2都市再生特別措置法に基づく「立地適正化計画」とは、都市のコンパクト化を推進するために、市街化区域の中に福祉・医療・商業等の都市機能を誘導する区域と、居住を誘導し人口密度を維持する区域をそれぞれ設定するものである。3景観法に基づく「景観計画」とは、景観に関するまちづくりを進めるために、景観計画の区域、良好な景観形成のための行為の制限に関する事項、景観重要建造物又は景観重要樹木の指定方針等を定めるものである。4文化財保護法に基づく「登録有形文化財登録基準」の建造物の部では、原則として、建設後50年を経過し、かつ、一定の基準に該当する建築物、土木構造物及びその他の工作物が、文化財登録原簿への登録の対象となる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.10
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特例容積率適用地区は、公共施設が整った区域で、建築基準法の容積率の限度からみて使われていない容積(未利用の容積)を活用して、土地の高度利用を図るために定める地区(都市計画法 第9条第16項)。区域の中で、ある敷地の使い残した容積を、ほかの敷地に移して使えるようにする制度で、「制度の一部を適用せず、街区単位に都市計画を定め、建築物等を個々に認定する」ものではない(街区を単位に容積率や高さの最高限度などを都市計画で定めるのは、特定街区〔同条第20項〕などの制度)。
立地適正化計画は、市町村が定める計画で、医療・福祉・商業などの施設を誘導する「都市機能誘導区域」と、居住を誘導して人口密度を保つ「居住誘導区域」などを定め、コンパクトなまちづくりを進める(都市再生特別措置法 第81条)。
景観計画には、景観計画の区域、良好な景観の形成のための行為の制限、景観重要建造物・景観重要樹木の指定の方針などを定める(景観法 第8条第2項)。
登録有形文化財(建造物)は、原則として建設後50年を経過し、国土の歴史的景観に寄与している・造形の規範となっている・再現することが容易でない、のいずれかに当たる建築物・土木構造物・その他の工作物が、文化財登録原簿への登録の対象となる。
都市計画法 第9条第16項(特例容積率適用地区)・第20項(特定街区)、都市再生特別措置法 第81条(立地適正化計画)、景観法 第8条第2項(景観計画に定める事項)、登録有形文化財登録基準(文部科学省告示)
No.11都市公園・緑地(近隣公園・総合公園・緑道・生産緑地地区)
都市公園、緑地等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1近隣公園は、主として徒歩圏内に居住する者の利用に供することを目的とする公園で、1か所当たり面積4 haを標準としている。2総合公園は、都市住民全般の休息、観賞、散歩、遊戯、運動等、総合的な利用に供することを目的とする公園で、都市規模に応じ1か所当たり面積10〜50 haを標準としている。3緑道は、災害時における避難路の確保、都市生活の安全性や快適性の確保等のために、近隣住区又は近隣住区相互を連絡するように設けられる植樹帯と歩行者路等を主体とする緑地で、幅員10〜20 mを標準としている。4生産緑地地区は、市街化区域内の農地等で、良好な生活環境の確保に効用があり、公共施設等の敷地として適しているものを、市区町村が都市計画で定めるものである。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.11
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近隣公園は、主として近隣に居住する者が利用する公園で、1か所当たり面積2haが標準(都市公園法施行令 第2条第1項第二号)。主として徒歩圏域内に居住する者が利用する、1か所4haが標準の公園は地区公園(同第三号)。
総合公園は、都市の住民全体の休息・観賞・散歩・遊戯・運動など総合的な利用のための公園で、都市の規模に応じて1か所当たり10〜50haが標準(国土交通省「都市公園の種類」)。
緑道は、災害時の避難路の確保や、都市生活の安全性・快適性の確保などのため、近隣住区や近隣住区どうしを結ぶように設ける、植樹帯と歩行者路・自転車路を主体とする緑地で、幅員10〜20mが標準。
生産緑地地区は、市街化区域内の農地等で、公害や災害の防止など良好な生活環境の確保に相当の効用があり、公共施設等の敷地に適しているものなどについて、都市計画で定める(生産緑地法 第3条)。都市計画を定めるのは市町村。
都市公園法施行令 第2条第1項第二号・第三号(近隣に居住する者の公園は2ha・徒歩圏域内に居住する者の公園は4haが標準)、生産緑地法 第3条第1項、国土交通省「都市公園の種類」
No.12住まいの制度(住宅性能表示の防犯・高齢者等配慮・長期優良住宅の既存住宅・福祉仮設住宅)
住まいの計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく日本住宅性能表示基準に規定される「防犯に関すること」における「開口部の侵入防止対策」の項目では、開口部に防犯建物部品等(CP表示品)が使用されていることが評価対象となっている。2住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく日本住宅性能表示基準に規定される「高齢者等配慮対策等級」において、新築住宅に設ける「特定寝室」と同一の階には、便所が必要となる。3長期優良住宅の普及の促進に関する法律における「長期優良住宅」は、既存住宅の認定は受けられないが、既存住宅を増築又は改築する場合の認定は受けることができる。4災害救助法に基づく「建設型応急住宅」において、高齢者等、日常生活上特別な配慮を必要とする者が複数いる場合に、老人居宅介護等事業等を利用しやすい構造及び設備を有する「福祉仮設住宅」を設置することができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.12
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住宅性能表示制度の「開口部の侵入防止対策」では、住戸に通じる開口部に、侵入を防止する性能が確かめられた戸・錠・サッシ・ガラス・雨戸・面格子など(CPマークの付いた防犯建物部品など)が使われているかを評価する(評価方法基準 10-1)。
高齢者等配慮対策等級(専用部分)では、等級2以上の新築住宅は、日常生活空間のうち便所が特定寝室(高齢者などが使う寝室)の存する階にあることが求められる(評価方法基準 9-1)。
長期優良住宅は、新築や増築・改築のときだけでなく、2022年(令和4年)10月から、増築・改築を伴わない既存住宅も認定を受けられるようになった(長期優良住宅維持保全計画の認定・法 第5条第6項・第7項)。既存住宅の認定は受けられないとするのは誤り。
災害救助法による建設型応急住宅(応急仮設住宅)では、高齢者や障害者などで日常の生活に特別な配慮が必要な人が複数いるときに、老人居宅介護等事業などを利用しやすい構造・設備をもつ「福祉仮設住宅」を設置できる(災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準=内閣府の告示)。
長期優良住宅の普及の促進に関する法律 第5条第6項・第7項(既存住宅の長期優良住宅維持保全計画の認定)、評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)9-1(高齢者等配慮対策等級)・10-1(開口部の侵入防止対策)
No.13都市の住まい・住宅地の用語(ジェイコブズ・セグリゲーション・SI住宅・リビングアクセス)
都市における住まいや住宅地の用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1ジェイン・ジェイコブズは、著書『アメリカ大都市の死と生』において、頻繁に使われる街路は安全な傾向があり、街路には常に住民、通行人、店員等の多数の目を置く必要があるとしている。2セグリゲーションは、クラレンス・スタインとヘンリー・ライトらが計画した住宅地の開発において、通過交通を排除するための袋小路や歩車分離を取り入れた方式である。3SI住宅は、構造躯体と住戸内の間仕切りや設備とが明確に分離された構法により、建築物の長寿命化を図る方式であり、実験集合住宅NEXT21(大阪府)等に採用されている。4リビングアクセス形式は、各住戸のリビングやダイニングを共用空間側に設ける形式であり、住民間の交流や見守りを意図して、釜石市天神復興住宅(岩手県)等に採用されている。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.13
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ジェイン・ジェイコブズは『アメリカ大都市の死と生』で、人がよく通る街路は安全になりやすく、街路には住民・通行人・店の人などの「たくさんの目」が必要だと述べた。
クラレンス・スタインとヘンリー・ライトが計画した、袋小路(クルドサック)と歩車分離で通過交通を入れない住宅地の方式は、ラドバーン方式(アメリカ・ニュージャージー州のラドバーン)。セグリゲーションは、一般に、所得や人種などによって住む地域が分かれる「住み分け(居住地の分離)」をいう言葉で、この方式の名前ではない。
SI住宅は、長く使う構造躯体(スケルトン)と、変えやすい内装・設備(インフィル)を分けてつくり、建物を長く使えるようにする方式。大阪の実験集合住宅NEXT21がよく知られている。
リビングアクセスは、住戸の居間・食事室を共用の廊下や通路の側に設ける形式で、住民どうしの交流や見守りにつながる。東日本大震災の災害公営住宅(釜石市の天神復興住宅など)で採用された。
🏫 各種建築物の計画・保存再生(No.14〜No.17)
No.14商業施設等の計画(防災センター・車椅子使用者用客室・非常用エレベーター・劇場の副舞台)
商業施設等の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1大規模複合施設における防災センターは、消防隊が屋外からアクセスしやすく、かつ、非常用エレベーターにアクセスしやすい位置に配置した。2ビジネスホテルにおける車椅子使用者用客室のベッドサイドキャビネットは、床に固定し、高さをベッドのマットレス上面より高い位置となるようにした。3高層ホテルにおける非常用エレベーターは、その近くにリネン室等のサービス諸室を配置し、サービス用エレベーターとしても利用することとした。4プロセニアムステージ形式の劇場における副舞台は、後舞台のほか、客席から見て主舞台の右側に上手側舞台、左側に下手側舞台を配置した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.14
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防災センターは、火災のときに消防隊が活動の拠点にするので、屋外から入りやすく、非常用エレベーターにも行きやすい位置に設ける。
建築設計標準では、車椅子使用者用客室のベッドサイドキャビネットは、客室内のレイアウトを変えられるよう床に固定することは避けるとしている(11.2.3.8.2。高さはマットレス上面より10cm程度高くするのが望ましい)。床に固定するのは不適当。
非常用エレベーターは、ふだんは乗用や人荷用として使うことができる。ホテルでは、近くにリネン室などのサービス諸室を置き、サービス用エレベーターとして使う計画が多い。
舞台の上手(かみて)は客席から見て右側、下手(しもて)は左側。プロセニアム形式の劇場では、主舞台のまわりに後舞台・上手側舞台・下手側舞台などの副舞台を設け、場面転換に使う。
高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(令和7年5月)11.2.3.8.2(ベッドサイドキャビネット)
No.15公立小学校・中学校等の計画(義務教育学校の職員室・避難所機能・音楽教室・聴覚障害特別支援学校)
公立小学校・中学校等の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1施設一体型の義務教育学校において、小・中学校段階の教職員が連携し、教育内容の充実や学校運営の円滑化を図るため、共同の職員室とした。2小学校において、災害時に指定避難所として使用することを想定し、教育活動の早期再開が可能となるように、避難所機能と教育機能の区画や動線を分けられるようにした。3中学校において、音楽教室は、学習活動に使用する楽器等が適切に配置できる面積を確保し、音圧の分布を一定にするために表面が平滑なドーム天井とした。4聴覚障害特別支援学校において、教員と児童生徒とが相互に表情や口、手の動きを見てコミュニケーションを取れるよう、教室の机の配置を馬蹄形とした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.15
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小・中学校の段階を一体に運営する施設一体型の義務教育学校では、教職員が連携しやすいよう、共同の職員室とすることがある。
学校は災害時に指定避難所になることが多い。避難所の機能と教育の機能の区画や動線を分けておくと、避難所の運営を続けながら教育活動を早く再開しやすい。
表面が平らで滑らかなドーム天井(凹面)は、音を一か所に集めてしまい(音の焦点)、音圧の分布がかえって不均一になる。音楽教室は、天井や壁に凹凸を付けるなどして音を拡散させ、室内の音を均一にする。
聴覚障害特別支援学校では、手話・口の動き・表情を互いに見てやりとりできるよう、机を馬蹄形(U字形)に並べることが多い。
No.16医療施設の計画(ICU・放射線治療の照射室・感染症病室・精神科の保護室)
医療施設の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1ICU(Intensive Care Unit)は、個室を原則とし、人や機器の出入りが多い手術部とは離すなど、集中して治療を行うことができる配置計画が重要である。2放射線治療部門の照射室は、放射線による治療装置(リニアック等)を使用するので、壁や天井等のコンクリート厚さを確保し、鋼板を組み合わせた遮蔽壁等を設けるなど、放射線の漏洩を防ぐ対策が必要となる。3感染症病室は、個室を原則とし、廊下に対して室内を陰圧に保ち、汚染空気が室外に流出しないよう、出入口に前室を設けるなどの配慮が重要である。4精神科病院又は総合病院の精神科病棟の保護室は、患者の自傷行為を防ぐため、床や壁に柔らかい材料等を用い、窓側には観察廊下を設けるなどの設えが必要となる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.16
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ICU(集中治療室)は、手術後の重症の患者を移すことが多いので、手術部の近くに配置し、移動の距離を短くするのが基本。手術部から離すのは不適当。
リニアックなどの放射線治療装置を使う照射室は、厚いコンクリートの壁・天井や鋼板を組み合わせた遮蔽壁などで、放射線が外に漏れないようにする。
感染症病室は個室とし、廊下に対して室内を陰圧(空気が室内側へ流れる状態)に保ち、出入口に前室を設けて、汚れた空気が室外に出ないようにする。
精神科の保護室は、患者が自分を傷つけないよう、床や壁に柔らかい材料を使うなどし、窓の側に観察廊下を設けて安全に様子を見られるようにする。
No.17建築物の保存再生(旧富岡製糸場西置繭所・前川國男自邸・香川県庁舎・アートプラザ)
建築物(所在地)の保存再生に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1旧富岡製糸場西置繭所(群馬県)は、1階の内部に壁と天井をガラスで囲った鉄骨造の部屋(ハウス・イン・ハウス)による耐震補強を行うことで、壁や天井に残された創建時からの痕跡がガラス越しに見えるようにするなど、補強・保存修理、整備活用、耐震補強が行われた。2前川國男自邸(東京都)は、建築資材の入手が困難な時期に竣工した木造住宅であり、鉄筋コンクリート造の自邸に改築する際に解体され、長期間保管されていたが、設計者の没後に、江戸東京たてもの園(東京都)に移築復元が行われた。3香川県庁舎旧本館・東館(香川県)は、コンクリート打放し仕上げでありながら日本の伝統的な木造建築をイメージさせる柱梁の表現や、1階にある階高の高いピロティとロビーを継承しながら、免震レトロフィットによる耐震性能の向上が図られた。4アートプラザ(大分県)は、連続するのこぎり屋根をもつ平家建ての紡績工場の棟の一部を撤去してできたオープンスペースを中心に、ギャラリー等からなる芸術文化の複合施設へと再生が行われた。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.17
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旧富岡製糸場西置繭所は、保存修理で、1階の内部にガラスで囲んだ鉄骨造の部屋(ハウス・イン・ハウス)を設けて耐震補強とし、壁や天井に残る創建当時からの痕跡をガラス越しに見られるようにした。
前川國男自邸は、戦時中の資材の乏しい時期に建てられた木造住宅。鉄筋コンクリート造の自邸に建て替えるときに解体・保管され、前川の没後、江戸東京たてもの園に移築・復元された。
香川県庁舎旧本館・東館(丹下健三)は、木造の柱梁を思わせる打放しコンクリートの表現や、1階の天井の高いピロティとロビーを残したまま、免震レトロフィット(建物の下に免震装置を入れる改修)で耐震性能を高めた。
アートプラザ(大分市)は、磯崎新が設計した旧大分県立大分図書館を、芸術文化の複合施設として再生したもの。のこぎり屋根の紡績工場の棟の一部を撤去して広場をつくり、複合施設に再生した例としては、倉敷アイビースクエア(旧倉敷紡績所)が知られており、アートプラザの説明ではない。
📋 建築生産(契約・積算・マネジメント)(No.18〜No.20)
No.18四会連合協定「建築設計・監理等業務委託契約約款」による契約の解除
四会連合協定「建築設計・監理等業務委託契約約款」に照らして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
1委託者は、受託者に書面をもって通知して、いつでも契約の全部又は一部を解除することができる。2委託者は、受託者に債務の不履行があった場合、委託者の責めに帰すべき事由によるときを除き、書面をもって相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行がないときは、この契約の全部又は一部を解除することができる。3委託者は、受託者において暴力団員等が実質的に経営に関与していると認められるときは、所轄の警察に通報し、対処方法を協議したうえで契約を解除することができる。4委託者は、受託者が債務の一部の履行が不能であるとき又は債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、催告することなく、受託者に書面をもって通知し、この契約の一部を解除することができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.18
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委託者は、受託者に書面で通知して、いつでも契約の全部または一部を解除できる(委託者からの任意の解除)。
受託者に債務の不履行があったときは、委託者の責めによる場合を除き、相当の期間を定めて書面で履行を催告し、その期間内に履行がなければ、契約の全部または一部を解除できる(催告による解除)。
受託者に暴力団員等が実質的に経営に関与していると認められるなど、暴力団排除の条項に当たるときは、委託者は催告をせずに、書面で通知して直ちに解除できる。警察に通報して対処の方法を協議したうえで解除する、という手続きは定められていない。
受託者の債務の一部の履行が不能なとき、または債務の一部の履行を拒絶する意思をはっきり示したときは、催告をせずに、書面で通知して契約の一部を解除できる(民法 第542条第2項〔一部の解除〕と同じ考え方)。
No.19工事費の構成(一般管理費等・現場管理費・共通仮設費)
工事費の構成において、A~Cに該当する用語の組合せとして、最も適当なものは、次のうちどれか。
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A B C 1. 福利厚生費 純工事費 共通仮設費 2. 福利厚生費 一般管理費等 純工事費 3. 一般管理費等 現場管理費 共通仮設費 4. 共通仮設費 現場管理費 一般管理費等 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.19
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福利厚生費は、工事費を構成する区分の名前ではなく、現場管理費(表-2)と一般管理費(表-3)の中にある費用の項目の一つ(公共建築工事共通費積算基準)。Aは一般管理費等。
Bは、工事原価のうち純工事費以外の部分=現場管理費。一般管理費等は工事価格のうち工事原価以外の部分(A)、純工事費は図の灰色の枠の一つ。
工事費=工事価格+消費税等相当額、工事価格=工事原価+一般管理費等(A)、工事原価=純工事費+現場管理費(B)、純工事費=直接工事費+共通仮設費(C)(公共建築工事積算基準 第3)。共通費は、共通仮設費・現場管理費・一般管理費等の三つ(第6)。図の灰色の枠は、左から工事原価・純工事費。
AとCが入れ替わっている。工事価格を構成するのは工事原価と一般管理費等(A)で、直接工事費と合わせて純工事費を構成するのが共通仮設費(C)。
公共建築工事積算基準 第3(工事費の構成)・第6(共通費=共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)
No.20建築のマネジメント(ISO9000シリーズ・LCA・サプライチェーンマネジメント・VE)
建築のマネジメント等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1ISO9000シリーズは、成果物の規格ではなく、品質管理を実施するための仕組みに関する規格であり、責任と権限を明確にし、組織が行う手順やルールを明示し、文書として記録することが求められる。2LCA(Life Cycle Assessment)は、建築物を構成する各部材・設備の製造・施工・使用・解体に至るまでの建築物のライフサイクル全体における環境負荷を評価するものである。3建築のサプライチェーンマネジメントは、部材の製造から製品の消費者への供給、その使用、さらに廃棄・回収、再利用に至るまでの全サイクルの物の流れなどを合理化する取組みである。4VE(Value Engineering)は、適切なコストで必要な機能を達成するための手法であり、プロジェクトの初期よりも実施設計完了後に行ったほうが、効果的な代替案の提案や変更コストの抑制に有効である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)」No.20
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ISO9000シリーズは、品質マネジメントシステムの規格で、製品そのものの規格ではなく、品質を管理する仕組みを定めるもの。責任と権限、手順やルールを明らかにし、文書で記録することが求められる。
LCA(ライフサイクルアセスメント)は、建物に使う部材・設備の製造から、施工・使用・解体までの一生(ライフサイクル)全体の環境への負荷を評価する方法。
サプライチェーンマネジメントは、部材の製造から供給・使用、さらに廃棄・回収・再利用までの物の流れ(供給の連鎖)全体をまとめて効率よくする取組み。
VE(バリューエンジニアリング)は、必要な機能を適切なコストで実現する手法。設計を変える自由度が大きく、変更にかかる費用が小さいプロジェクトの初期の段階で行うほど効果が大きい。実施設計の完了後では、変更の手戻りが大きく、効果が小さくなる。
令和8年の合格基準点(学科の試験)
配点は各問題1点(学科Ⅰ・Ⅱは各20点、学科Ⅲ・Ⅳは各30点、学科Ⅴは25点、合計125点)で、各科目の基準点と総得点の基準点のすべてに達した人が合格です。
| 学科Ⅰ 計画 | 学科Ⅱ 環境・設備 | 学科Ⅲ 法規 | 学科Ⅳ 構造 | 学科Ⅴ 施工 | 総得点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格基準点 | 11点 | 11点 | 16点 | 16点 | 13点 | 94点 |
※ 合格基準点は、各科目は過半の得点、総得点はおおむね90点程度を基本的な水準として想定し、令和8年は総じて難度が低かったことから、総得点の基準点が94点とされました。
出典:建築技術教育普及センター「令和8年一級建築士試験『学科の試験』の合格基準点等について」
令和8年の計画の基準点は11点(20点中)でした。計画は法令集を使えない科目で、20問と問題数が少ないぶん1問の重みが大きく、建築史・各種建築物の計画・都市計画・建築生産と範囲も広いので、過去問で正誤の理由まで説明できるようにしておくと安心です。
ほかの年度・ほかの科目の過去問
この記事の問題文と図は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和8年 一級建築士試験(学科の試験)の問題から、著作権法第32条の引用として掲載しています。著作権は同センターにあります。
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