全30問の解答・解説
令和5年(2023年7月23日実施)の一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)の全30問を、選択肢ごとに正誤の理由を示して解説します。構造力学(計算)・荷重と外力・各種構造(木造・RC・S・SRC・基礎)・建築材料から出題されます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

令和5年 一級建築士試験(学科)の概要
問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)の試験問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各問の枠の右下に出典)。正答は、同センターの合格基準点等(正答肢)と全問を照らし合わせています。
解説は、出題当時の法令・基準によります(法令がからむ問題は令和5年1月1日時点の法令)。その後の改正や基準の改定で答えが変わる問題には「🔶 現在の基準では」、言い方だけが変わった問題には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
分野ごとの問題一覧
構造の30問は、毎年おおむね同じ順番で、分野ごとに出題されます。解きたい問題を押すと、その問題へ移動します。
📐 構造力学(たわみ・軸方向変位・崩壊荷重・ラーメン・トラス・静定)(No.1〜No.6)
No.1片持ち梁と単純梁の荷重点のたわみの比
図のような集中荷重Pを受ける梁A及びBの荷重点に生じるたわみδAとδBとの比として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、梁A及びBは同一断面で、全長にわたって等質等断面の弾性部材とし、自重は無視する。
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δA : δB 1. 4 : 1 2. 8 : 1 3. 16 : 1 4. 32 : 1 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.1
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・梁A(片持ち梁・先端に集中荷重):δA=Pl³/(3EI)
・梁B(単純梁・中央に集中荷重):δB=Pl³/(48EI)
・δA:δB=1/3:1/48=16:1
No.2途中に軸方向力を受ける部材の軸力と先端の軸方向変位
図のような断面積が一定で長さが3lの部材において、a、b及びcの位置における断面の図心にそれぞれ軸方向力P、P及び2Pが矢印の向きに作用するとき、「a-b間の軸力」と「cの軸方向変位」との組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、部材は全長にわたって等質等断面の弾性部材とし、自重は無視する。また、部材の断面積をA、ヤング係数をEとする。
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a-b間の軸力 cの軸方向変位 1. P 2lP/(AE) 2. P 3lP/(AE) 3. 2P 2lP/(AE) 4. 2P 3lP/(AE) 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.2
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部材は上端で固定され、cに下向き2P、aとbに上向きPが働く。下から順に軸力を求める。
・b-c間:2P(引張り)
・a-b間:2P-P=P(引張り)
・上端-a間:2P-P-P=0
cの軸方向変位は、各区間の伸び(軸力×長さ÷AE)の和:(0+P+2P)×l/(AE)=3Pl/(AE)。
No.3柱の高さが異なるラーメンの崩壊荷重(仮想仕事法)
図-1のような水平荷重Pを受けるラーメンにおいて、Pを増大させたとき、そのラーメンは、図-2のような崩壊機構を示した。ラーメンの崩壊荷重Puの値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、柱、梁の全塑性モーメントの値は、それぞれ400kN・m、200kN・mとする。
図を押すと大きく表示します 1225kN2300kN3375kN4500kN出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.3
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図-2の崩壊機構では、左の柱脚・左の梁端・右の梁端・右の柱脚に塑性ヒンジができる(柱と梁の接合部では、全塑性モーメントの小さい梁の端にヒンジができる)。
梁が水平にδ動くとき、左の柱(高さ8m)の回転角はδ/8、右の柱(高さ2m)の回転角はδ/2。
仮想仕事の式:Pu×δ=400×δ/8+200×δ/8+200×δ/2+400×δ/2
=(50+25+100+200)δ → Pu=375kN
No.42層ラーメンの柱の曲げモーメント図から求める水平荷重・梁のせん断力・柱の軸力・鉛直反力
図は、2層のラーメンにおいて、2階に水平荷重P1、R階に水平荷重P2が作用したときの柱の曲げモーメントを示したものである。次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、全ての部材の自重は無視する。
図を押すと大きく表示します 12階に作用する水平荷重P1は、100kNである。22階の梁のせん断力QBは、64kNである。31階右側の柱の軸方向圧縮力NCは、128kNである。4右側の支点の鉛直反力Vは、152kNである。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.4
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柱のせん断力=(柱頭と柱脚の曲げモーメントの和)÷階高。梁の端の曲げモーメントは、節点で柱の曲げモーメントとつり合う。
・2階の柱:(160+120)/4=70kN が2本 → P2=140kN
・1階の柱:(200+280)/4=120kN が2本で240kN → P1=240-140=100kN(選択肢1は正しい)
・2階の梁:端の曲げモーメントは 120+200=320kN・m → QB=(320+320)/10=64kN(選択肢2は正しい)
・R階の梁:(160+160)/10=32kN
・1階右側の柱の軸方向圧縮力:32+64=96kN(128kN ではない。誤り)
・柱脚の下の1階の梁(両端ピン支点):(280+280)/10=56kN → 右側の支点の鉛直反力 V=96+56=152kN(選択肢4は正しい。全体のつり合い 140×8+100×4=V×10 からも152kN)
No.5静定トラス(片持ち形)の塑性崩壊荷重
静定トラスは、一つの部材が降伏すると塑性崩壊する。図のような集中荷重Pを受けるトラスの塑性崩壊荷重として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、各部材は、断面積をA、材料の降伏応力度をσyとし、断面二次モーメントは十分に大きく、座屈は考慮しないものとする。また、全ての部材の自重は無視する。
図を押すと大きく表示します 1Aσy/32Aσy/(3√2)3Aσy/64Aσy/(6√2)出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.5
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静定トラスなので、軸方向力が最大の部材が降伏したときが塑性崩壊荷重になる。最も大きいのは、支点に一番近いパネルの上弦材。
・支点側のパネルを切り、下の支点(斜材と下弦材が集まる点)まわりのモーメントのつり合い:P×(l+2l+3l)=(上弦材の軸力)×l → 上弦材は6P(引張り)
・同じパネルの下弦材は3P(圧縮)、斜材は3√2Pで、いずれも6Pより小さい
・6P=Aσy で降伏するので、P=Aσy/6
No.6静定構造の判別(判別式 m=n+s+r-2k)
次の架構のうち、静定構造はどれか。
図を押すと大きく表示します 1図の12図の23図の34図の4出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.6
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判別式 m=n(反力の数)+s(部材の数)+r(剛節の数)-2k(節点の数)で、m=0なら静定、正なら不静定、負なら不安定。
1:反力3(ローラー1・ピン2)、部材5(上の梁はヒンジで2本)、剛節2(上の2つの隅)、節点5 → 3+5+2-10=0(静定)
2:反力5(固定3・ピン2)、部材4、剛節0、節点4 → 5+4+0-8=1(1次不静定)
3:反力3(ローラー1・ピン2)、部材4、剛節0、節点4 → 3+4+0-8=-1(不安定)
4:反力4(固定3・ローラー1)、部材3、剛節2、節点4 → 4+3+2-8=1(1次不静定)
🌬️ 荷重・外力・木造(No.7〜No.10)
No.7建築基準法における建築物に作用する地震力(Tc・設計用一次固有周期・振動上有効な高さ・Rt)
建築基準法における建築物に作用する地震力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1建築物の基礎の底部の直下の地盤の種別に応じて定められる数値Tcは、沖積層の深さが35mの軟弱な第三種地盤である場合、0.2秒を用いる。2鉄骨造又は木造の建築物の地震力を算定する場合に用いる設計用一次固有周期T(単位秒)は、建築物の高さ(単位メートル)に0.03を乗じて算出することができる。3弾性域における設計用一次固有周期Tの計算に用いる建築物の高さは、建築物の最高高さではなく、振動性状を十分に考慮した振動上有効な高さを用いる場合がある。4地震層せん断力係数の算定に用いる振動特性係数Rtは、一般に、設計用一次固有周期Tが長くなるほど、小さくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.7
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沖積層の深さが30m以上の軟弱な地盤は第三種地盤で、Tcは0.8秒(第一種地盤0.4秒・第二種地盤0.6秒)(昭和55年建設省告示第1793号)。
設計用一次固有周期は T=h(0.02+0.01α)(α:鉄骨造・木造の階の高さの割合)。全体が鉄骨造または木造ならα=1で、T=0.03h。
固有周期の計算に用いる高さは、塔屋などを除いた振動上有効な高さとする場合がある。
振動特性係数Rtは、TがTcを超えると、Tが長いほど小さくなる。
No.8建築基準法における風荷重(屋根葺き材の基準風速・平均速度圧・基準風速の定義・ガスト影響係数と高さ)
建築基準法における風荷重に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1屋根葺き材に作用する風圧力の算出に用いる基準風速V0は、構造骨組に用いる風圧力を算出する場合と同じ値である。2屋根葺き材に作用する風圧力の算出に用いる平均速度圧qは、一般に、気流の乱れを表すガスト影響係数Gfを考慮する。3基準風速V0は、稀に発生する暴風時を想定した、地上10mにおける10分間平均風速に相当する値である。4ガスト影響係数Gfは、一般に、建築物の高さと軒の高さとの平均Hの値が大きくなるほど、小さくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.8
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屋根葺き材の風圧力でも、基準風速V0は構造骨組と同じ値を用いる。
屋根葺き材の風圧力に用いる平均速度圧は q̄=0.6Er²V0² で、ガスト影響係数Gfは含まない(風の乱れはピーク風力係数で考える)(平成12年建設省告示第1458号)。
基準風速は、稀に発生する暴風を想定した、地上10mにおける10分間平均風速に相当する値(30〜46m/s)。
ガスト影響係数は、建築物の高さと軒の高さの平均Hが大きいほど小さくなる(高い所ほど風の乱れが小さい)(平成12年建設省告示第1454号)。
No.9木造の既存建築物の耐震性を向上させる方法(基礎の増し打ち・1階の床・2階の床の合板・吹抜けの補強)
木造軸組工法による地上2階建ての既存建築物の耐震性を向上させる方法として、一般に、最も効果の低いものは、次のうちどれか。
1既存の布基礎が無筋コンクリート造であったので、布基礎の外部側面に接着系のあと施工アンカーによる差し筋を行い、新たに鉄筋コンクリート造の基礎を増し打ちした。2鉄筋コンクリート造のべた基礎を有する1階の床組において、床下地材に挽板が用いられていたので、これを構造用合板に張り替えた。31階と2階の耐力壁線の位置がずれていたので、2階の床組の床下地材として新たに構造用合板を梁及び桁に直張りした。4大きな吹抜けが設けられていたので、その部分を、構造用合板を張り付けたキャットウォークや火打梁を用いて補強した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.9
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無筋コンクリートの布基礎に、あと施工アンカーで差し筋をして鉄筋コンクリートの基礎を増し打ちすると、基礎が一体となって耐力壁の力を地盤に伝えられるようになる。
べた基礎の上にある1階の床は、地震力を耐力壁に伝える水平構面としての役割が小さいので、床下地を挽板から構造用合板に張り替えても、耐震性を高める効果は低い。
1階と2階の耐力壁線がずれている場合、2階の床に構造用合板を直張りして床の剛性を高めると、2階の耐力壁の力を1階の耐力壁へ伝えやすくなる。
大きな吹抜けは水平構面が途切れて力を伝えにくいので、構造用合板を張ったキャットウォークや火打梁で補強すると効果がある。
No.10木造の四分割法(側端部分の階数・存在壁量の方向・壁率比を確かめなくてよい場合・偏心率0.3以下)
木造軸組工法による地上2階建ての建築物において、建築基準法に基づく「木造建築物の軸組の設置の基準」(いわゆる四分割法)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1各側端部分の必要壁量を算定する場合の建築物の階数は、それぞれの側端部分の階数によらず、建築物全体の階数とする。2張り間方向の存在壁量の算定には、桁行方向の耐力壁を考慮しない。3各側端部分のそれぞれについて、壁量充足率が全て1を超える場合は、壁率比がいずれも0.5以上であることを確かめなくてもよい。4各階について、張り間方向及び桁行方向の偏心率が0.3以下であることを確認した場合は、「木造建築物の軸組の設置の基準」によらなくてもよい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.10
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側端部分の必要壁量を求めるときの階数は、それぞれの側端部分の階数による(側端部分に2階がなければ平家として求める)。建築物全体の階数ではない(平成12年建設省告示第1352号 第一号)。
張り間方向の存在壁量には、張り間方向の耐力壁だけを算入し、桁行方向の耐力壁は考えない。
各側端部分の壁量充足率がいずれも1を超える場合は、壁率比が0.5以上であることを確かめなくてよい。
各階の張り間方向・桁行方向の偏心率が0.3以下であることを構造計算で確かめた場合は、四分割法によらなくてよい(平成12年建設省告示第1352号 ただし書)。
🏢 鉄筋コンクリート構造(No.11〜No.14)
No.11鉄筋コンクリート造の部材寸法の設定(耐力壁の厚さ・柱の小径・床スラブの厚さ・片持ちスラブの厚さ)
地上4階建て、階高4m、スパン6mの普通コンクリートを使用した鉄筋コンクリート造の建築物における部材寸法の設定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、特別な調査・研究によらないものとする。
1耐力壁の厚さを、階高の1/30以上などを満たすように、150mmとした。2正方形断面柱の一辺の長さを、階高の1/10以上などを満たすように、600mmとした。3短辺4mの長方形床スラブの厚さを、スラブ短辺方向の内法長さの1/40以上などを満たすように、150mmとした。4バルコニーに用いるはね出し長さ2mの片持ちスラブの支持端の厚さを、はね出し長さの1/15以上などを満たすように、150mmとした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.11
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耐力壁の厚さは12cm以上(建築基準法施行令 第78条の2)で、日本建築学会 RC規準では階高の1/30以上なども目安にする。4000/30≒133mm なので、150mm は満たしている。
柱の小径は支点間距離の1/15以上(建築基準法施行令 第77条第五号)。階高の1/10(4000/10=400mm)も満たす600mm は適当。
床版の厚さは8cm以上、かつ、短辺方向の有効張り間長さの1/40以上(建築基準法施行令 第77条の2)。内法長さは4m より短いので1/40 は100mm以下で、150mm は満たしている。
片持ちスラブの厚さは、はね出し長さの1/10以上を目安とする(これより薄いと、たわみの検討が必要=平成12年建設省告示第1459号)。はね出し2m なら200mm 以上で、150mm では足りない。
建築基準法施行令 第77条第五号(柱の小径は支点間距離の1/15以上)・第77条の2(床版の厚さは8cm以上かつ短辺方向の有効張り間長さの1/40以上)・第78条の2(耐力壁の厚さ12cm以上)、平成12年建設省告示第1459号
No.12鉄筋コンクリート構造の鉄筋の定着(コンクリートの強度・フックの角度・横補強筋による拘束・U字形の定着)
鉄筋コンクリート構造の鉄筋の定着に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1梁主筋の柱への必要定着長さは、柱のコンクリートの設計基準強度が高いほど短くなる。2引張鉄筋の必要定着長さは、フックの折曲げ角度を90度とする場合に比べて、180度とする場合のほうが短い。3引張鉄筋の必要定着長さは、横補強筋で拘束されていない部分に定着する場合に比べて、横補強筋で拘束されたコア内に定着する場合のほうが短い。4最上階以外の梁で、上端筋と下端筋を柱内で連続させてU字形の折曲げ定着とする場合、その定着長さの取り方は折曲げ角度90度のフックを準用してもよい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.12
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コンクリートの設計基準強度が高いほど付着強度が大きくなるので、必要定着長さは短くなる。
フック付き定着の必要定着長さは、フックの折曲げ角度(90°・135°・180°)によって変わらない(日本建築学会 RC規準)。
横補強筋で拘束されたコア内に定着すると、付着割裂が起きにくいので、必要定着長さは短くできる。
最上階以外の梁で上端筋と下端筋を柱内でU字形に連続させる場合、定着長さの取り方は90°フックの規定を準用してよい。
No.13鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算(せん断スパン比による割増し・許容曲げモーメント・耐力壁の長期許容せん断力・柱の許容曲げモーメント)
鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1梁の短期許容せん断力の計算において、有効せいに対するせん断スパンの比による割増しを考慮した。2梁の許容曲げモーメントの計算において、引張鉄筋比が釣合い鉄筋比以下であったので、at(引張鉄筋の断面積)×ft(引張鉄筋の許容引張応力度)×j(梁の応力中心間距離)により算定した。3耐力壁の長期許容せん断力の計算において、壁の横筋による効果を考慮した。4柱の許容曲げモーメントは、「圧縮縁がコンクリートの許容圧縮応力度に達したとき」、「圧縮側鉄筋が許容圧縮応力度に達したとき」及び「引張鉄筋が許容引張応力度に達したとき」に対して算定したそれぞれの曲げモーメントのうち、最小となるものとした。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.13
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梁の短期許容せん断力の計算では、せん断スパン比(M/(Qd))に応じた割増し係数α(1〜2)を考慮できる。
引張鉄筋比が釣合い鉄筋比以下なら、許容曲げモーメントは at×ft×j で求めてよい。
耐力壁の長期許容せん断力は、ひび割れを生じさせないことを目的として、コンクリートだけで負担させ、壁の横筋の効果は考慮しない(短期では考慮する)。
柱の許容曲げモーメントは、圧縮縁のコンクリート・圧縮側鉄筋・引張鉄筋のいずれかが許容応力度に達したときの曲げモーメントのうち、最小のものとする。
No.14鉄筋コンクリート構造の保有水平耐力計算における部材の靱性(梁の内法スパン・引張鉄筋比・平均せん断応力度・壁式構造の耐力壁)
鉄筋コンクリート構造の保有水平耐力計算における部材の靱性に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1両端部が曲げ降伏する梁では、断面が同じ場合、一般に、内法スパン長さが小さいほど、靱性は低下する。2太径の異形鉄筋を主筋に用いる柱では、曲げ降伏する場合、一般に、引張り鉄筋比が大きいほど、靱性は向上する。3軸方向応力度が小さい柱では、断面が同じ場合、一般に、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が小さいほど、靱性は向上する。4壁式構造の耐力壁では、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が同じ場合、一般に、壁板両端に柱があるラーメン構造の耐力壁に比べて、靱性は低下する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.14
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両端が曲げ降伏する梁は、内法スパンが短いほどせん断力が大きくなり、せん断破壊しやすくなるので、靱性は低下する。
太径の主筋で引張鉄筋比が大きいほど、付着割裂破壊やせん断破壊が起きやすくなり、靱性は低下する。
曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が小さい(せん断に余裕がある)柱ほど、靱性は向上する。
壁式構造の耐力壁は、両端に柱がないので、柱付きのラーメン構造の耐力壁に比べて靱性が低い。
🔩 鉄骨構造(No.15〜No.18)
No.15鉄骨構造(H形鋼梁の許容曲げ応力度・継手の基準疲労強さ・柱の継手の位置・露出型柱脚の設計)
鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1H形鋼梁の許容曲げ応力度を、鋼材の基準強度、断面寸法、曲げモーメントの分布及び圧縮フランジの支点間距離を用いて計算した。2多数回の繰返し応力を受ける梁フランジ継手の基準疲労強さを高めるため、梁フランジの継手を高力ボルト摩擦接合から完全溶込み溶接に変更した。3柱の継手に作用する応力をなるべく低減し、かつ、現場での施工性を考慮し、床面から高さ1mの位置に継手を設けた。4軸方向力と曲げモーメントが作用する露出型柱脚の設計においては、ベースプレートの大きさを断面寸法とする鉄筋コンクリート柱と仮定し、引張側アンカーボルトを鉄筋とみなして許容応力度設計を行った。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.15
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H形鋼梁の許容曲げ応力度は、鋼材の基準強度・断面寸法・曲げモーメントの分布(C)・圧縮フランジの支点間距離(横座屈長さ)を用いて計算する。
基準疲労強さは、溶接継手(溶接止端の応力集中)より高力ボルト摩擦接合のほうが大きい。完全溶込み溶接に変えると、疲労強さは高まらない。
柱の継手は、応力の小さい位置で、現場の作業もしやすい床面から1m程度の高さに設ける。
露出型柱脚は、ベースプレートの大きさの鉄筋コンクリート柱とみなし、引張側のアンカーボルトを鉄筋として許容応力度設計を行う。
No.16鉄骨構造の接合部(部分溶込み溶接の制限・突合せ溶接の許容応力度・高力ボルトと溶接の併用・ボルト孔の径)
鉄骨構造の接合部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1部分溶込み溶接は、片面溶接でルート部に曲げ又は荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力が作用する場合には、用いることができない。2突合せ溶接部において、母材の種類に応じた適切な溶接材料を用いる場合、溶接部の許容応力度は母材と同じ値を採用することができる。3高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する接合部の許容耐力の算定において、高力ボルトの締付けを溶接より先に行う場合には、それぞれの許容耐力を加算することができる。4高力ボルトM22を用いた摩擦接合は、支圧ではなく接合される部材間の摩擦力で応力を伝達する機構であるので、施工性を考慮し、一般に、ボルト孔の径を25mmとすることができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.16
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片面の部分溶込み溶接は、ルート部に曲げや荷重の偏心による付加曲げで引張応力が働く場合には用いない。
母材の種類に応じた適切な溶接材料を使えば、突合せ溶接部の許容応力度は母材と同じにできる。
高力ボルト摩擦接合と溶接を併用する接合部では、高力ボルトを先に締め付ける場合に限り、両方の許容耐力を加算できる。
高力ボルト孔の径は、ボルトの径より2mmを超えて大きくしてはならない(建築基準法施行令 第68条第2項)。M22 なら24mm以下で、25mm にはできない。摩擦接合でも同じ。
建築基準法施行令 第68条第2項(高力ボルト孔の径は、高力ボルトの径より2mmを超えて大きくしてはならない。径27mm以上で支障がなければ3mmまで)
No.17鉄骨構造の設計(幅厚比と降伏点・角形鋼管の許容曲げ応力度・H形鋼の幅厚比・降伏点とたわみ)
鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1鋼材断面の幅厚比の規定は、局部座屈防止のために設けられたものであり、鋼材の降伏点に影響される。2角形鋼管を用いた柱は、横座屈を生じるおそれがないので、材長にかかわらず、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値とすることができる。3H形鋼(炭素鋼)の幅厚比の上限値は、骨組の塑性変形能力を確保するために定められたものであり、フランジに比べてウェブのほうが大きい。4大スパンの梁部材に降伏点の高い鋼材を用いることは、鉛直荷重による梁の弾性たわみを小さくする効果がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.17
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幅厚比の規定は局部座屈を防ぐためのもので、上限値は降伏点が高いほど小さくなる。
角形鋼管は横座屈を生じにくいので、材長にかかわらず、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値にできる。
H形鋼の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きい。
梁の弾性たわみは、ヤング係数と断面二次モーメントで決まり、降伏点には関係しない(鋼材のヤング係数はほぼ同じ)。降伏点の高い鋼材を使っても、たわみは小さくならない。
No.18鉄骨造の X形筋かい構面とラーメン構面の荷重-変形関係(履歴ループの形)
図-1~図-3は、鉄骨造のX形筋かい構面及びラーメン構面における、水平方向の荷重-変形関係を示した模式図である。これに関するイ~ニの記述の組合せのうち、最も適当なものは、次のうちどれか。ただし、水平荷重をQ、水平変形をδとし、強度Qaはいずれも同じ値とする。また、部材の接合部は十分な剛性・強度を有するものとし、破線は、変形が増加したときの実線の履歴ループに続くループを示す。
図を押すと大きく表示します イ.図-1は細長比の小さい筋かい構面、図-2は細長比の大きい筋かい構面、図-3はラーメン構面の荷重-変形関係をそれぞれ示している。ロ.図-1は細長比の大きい筋かい構面、図-2は細長比の小さい筋かい構面、図-3はラーメン構面の荷重-変形関係をそれぞれ示している。ハ.筋かいは、一般に、引張側において降伏耐力を発揮する。ニ.細長比の大きい筋かいは、一般に、引張・圧縮の両側において降伏耐力を発揮する。(注)図-1~図-3については、著作権法上の関係から、その出所等を明示しています。「2020年版建築物の構造関係技術基準解説書」(一般財団法人建築行政情報センター・一般財団法人日本建築防災協会編集令和2年10月26日発行)363頁図6.3-4(一部改変)
1イとハ2イとニ3ロとハ4ロとニ出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.18
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・細長比の大きい筋かいは、圧縮側ですぐに座屈するので、引張側だけで抵抗する。引張りで伸びた筋かいは、逆向きに載荷したとき、たるみを取り戻すまで力を負担しないので、荷重が0付近のまま変形が進むスリップ形のループ(図-1)になる。
・細長比の小さい筋かいは、圧縮側でも座屈するまで耐力を発揮するが、座屈した後は耐力が下がるので、図-2のような形になる。
・ラーメン構面は、柱・梁が曲げ降伏して安定したエネルギー吸収をするので、大きく膨らんだ紡錘形のループ(図-3)になる。
よって、ロ(図-1は細長比の大きい筋かい、図-2は細長比の小さい筋かい、図-3はラーメン)が正しく、イは誤り。
・ハ:筋かいは、一般に、引張側で降伏耐力を発揮する(正しい)。
・ニ:細長比の大きい筋かいは、圧縮側では降伏する前に座屈するので、両側で降伏耐力を発揮することはない(誤り)。
🪨 地盤・基礎・擁壁(No.19〜No.21)
No.19土質及び地盤(砂質土の内部摩擦角と N値・含水比と細粒分・減衰定数とせん断剛性・液状化層の沈下の検討)
土質及び地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1砂質土の内部摩擦角は、一般に、N値が大きくなるほど小さくなる。2土の含水比は、一般に、細粒分含有率が大きくなるほど大きくなる。3地震動が作用している軟弱な地盤においては、地盤のせん断ひずみが大きくなるほど、地盤の減衰定数は増大し、せん断剛性は減少する。4液状化のおそれのある地層が基礎底面以深に存在している場合は、液状化の度合い、液状化のおそれのある地層の厚さ及びその上部の地層構成等を考慮して、沈下等の影響について検討する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.19
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砂質土の内部摩擦角は、N値が大きい(締まっている)ほど大きくなる(例:φ=√(20N)+15)。
細粒分(粘土・シルト)が多いほど水を多く含むので、含水比は大きくなる。
せん断ひずみが大きくなるほど、地盤の減衰定数は増大し、せん断剛性は低下する(非線形性)。
基礎底面より深い所に液状化のおそれのある地層がある場合は、液状化の度合い・層の厚さ・その上の地層構成などを考えて、沈下などの影響を検討する。
No.20杭基礎等(終局時の検討・単杭と群杭の沈下・杭先端の許容応力度・周面抵抗力度)
杭基礎等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1重要な建築物等の基礎の設計においては、法令上の要求のほかに大地震後の継続使用性等を目標とする場合、液状化などの地盤変動の可能性を考慮して、必要に応じ、終局時の状況を想定した検討を行う。2杭1本当たりの鉛直荷重が等しい場合、杭の沈下量の大小関係は、一般に、「単杭」<「群杭」である。3杭先端の地盤の許容応力度の大小関係は、一般に、「打込み杭」<「セメントミルク工法による埋込み杭」<「アースドリル工法等による場所打ちコンクリート杭」である。4砂質地盤における杭の極限周面抵抗力度の大小関係は、一般に、「打込み杭」<「場所打ちコンクリート杭」である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.20
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重要な建築物で大地震後の継続使用性なども目標とする場合は、液状化などの地盤変動を考えて、必要に応じて終局時の状況を想定した検討を行う。
1本当たりの荷重が同じでも、群杭は杭どうしの影響で地中の深い所まで応力が及ぶので、単杭より沈下量が大きい。
杭先端の地盤の許容応力度は、一般に「打込み杭」>「セメントミルク工法による埋込み杭」>「アースドリル工法等による場所打ちコンクリート杭」の順で、打込み杭が最も大きい(平成13年国土交通省告示第1113号の係数 300・200・150)。設問は大小が逆。
砂質地盤の極限周面抵抗力度は、一般に、打込み杭より場所打ちコンクリート杭のほうが大きい(日本建築学会「建築基礎構造設計指針」の算定式。場所打ち杭は表面に凹凸があり、地盤とのかみ合いがよい)。
No.21鉄筋コンクリート造の擁壁の設計(底版の上の土の重量・主働土圧と受働土圧・内部摩擦角と土圧・底版の突起)
鉄筋コンクリート造の擁壁の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1L型擁壁における底版の直上にある土の重量は、一般に、擁壁の転倒に対する抵抗要素として考慮できない。2擁壁に常時作用する土圧は、一般に、受働土圧に比べて主働土圧のほうが小さい。3擁壁に常時作用する土圧は、一般に、背面土の内部摩擦角が大きくなるほど小さくなる。4擁壁の滑動抵抗を大きくするために、擁壁底版の底面に突起を設けることは有効である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.21
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L型擁壁の底版の上にある土の重量は、擁壁と一体となって働くので、転倒や滑動に対する抵抗要素として考慮できる。
擁壁に常時作用する土圧(主働土圧)は、受働土圧より小さい。
背面土の内部摩擦角が大きいほど、主働土圧係数が小さくなり、土圧は小さくなる。
底版の底面に突起(シアキー)を設けると、前面の土の抵抗が加わり、滑動に対する抵抗が大きくなる。
🧱 各種構造・耐震・構造計画・材料・天井(No.22〜No.30)
No.22プレストレストコンクリート構造(部材種別判定の軸方向力・プレストレスの減少・曲げ半径の小さい箇所・長期たわみの変形増大係数)
プレストレストコンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1保有水平耐力計算におけるプレストレストコンクリート柱の部材種別判定において、軸方向力にPC鋼材の有効プレストレス力を考慮しない。2プレストレストコンクリート部材に導入されたプレストレス力は、PC鋼材のリラクセーション等により、時間の経過とともに減少する。3プレストレストコンクリート部材のPC鋼材の曲げ半径が小さく、角度変化が大きい箇所においては、内側のコンクリートの局部圧縮応力について検討する。4建築物の使用上の支障が起こらないことを確かめるためにプレストレストコンクリート部材の長期たわみを算定する場合には、部材の曲げ耐力に対するPC鋼材の寄与を考慮して変形増大係数を低減することができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.22
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プレストレストコンクリート柱の部材種別の判定では、PC鋼材の有効プレストレス力も柱に圧縮力として働くので、軸方向力に含めて考える。考慮しないと、軸力を小さく見積もり、靱性を過大に評価してしまう。
導入したプレストレス力は、PC鋼材のリラクセーションやコンクリートのクリープ・乾燥収縮などで、時間とともに減少する。
PC鋼材の曲げ半径が小さく角度変化が大きい所では、内側のコンクリートに局部的な圧縮応力(支圧)が生じるので検討する。
長期たわみの算定では、部材の曲げ耐力に対する PC鋼材の寄与(プレストレスの程度)を考えて、変形増大係数を低減できる。
No.23合成構造及び混合構造(完全合成梁のスタッド・SRC の柱脚・RC柱と鉄骨梁の接合部・外周鉄骨とRCコアの混合構造)
合成構造及び混合構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1鉄筋コンクリートスラブとこれを支持する鉄骨梁とを接合する合成梁を完全合成梁とする場合には、合成梁断面が全塑性モーメントを発揮するのに必要な本数以上の頭付きスタッドを設ける。2鉄骨鉄筋コンクリート構造において、地震時に引張軸力の生じる1階の鉄骨柱脚は、原則として、埋込み形式とする。3鉄筋コンクリート柱・鉄骨梁の混合構造における柱梁接合部の設計では、柱梁接合部のせん断破壊や、接合部に連なる柱頭・柱脚の支圧破壊等が生じないことを確認する。4外周部の骨組を鉄骨造とし、コア部分の壁を鉄筋コンクリート造とした混合構造形式は、一般に、外周部の骨組は主に水平力を負担する主要な構造要素とし、コア部分の壁は主に鉛直荷重を負担する構造形式である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.23
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完全合成梁とする場合は、合成梁断面が全塑性モーメントを発揮するのに必要な本数以上の頭付きスタッドを設ける。
SRC造で地震時に引張軸力が生じる1階の柱脚は、原則として埋込み形式とする。
RC柱・鉄骨梁の混合構造の柱梁接合部では、接合部のせん断破壊や、接合部に連なる柱頭・柱脚の支圧破壊などが生じないことを確かめる。
外周を鉄骨造、コアを鉄筋コンクリート造の壁とした混合構造では、一般に、剛性の高いコアの壁が主に水平力を負担し、外周の鉄骨の骨組は主に鉛直荷重を負担する。設問は役割が逆。
No.24耐震構造・制振構造及び免震構造(構造特性係数 Ds・鋼材ダンパーの効果・ダンパーの効率の低下・積層ゴムの剛性)
耐震構造、制振構造及び免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1構造特性係数Dsは、建築物の振動に関する減衰性及び各階の靱性に応じて、建築物に求められる必要保有水平耐力を低減する係数である。2制振構造に用いられる鋼材ダンパーは、ダンパーが弾性範囲に留まる地震動レベルにおいてもエネルギー吸収能力を発揮する。3制振構造において、ダンパーの接合部及び周辺部材が変形する場合や、ダンパーの取りつく柱の軸変形により架構全体が曲げ変形する場合には、ダンパーの効率が低下する。4免震構造に用いられる積層ゴムアイソレータは、座屈が生じない範囲では、ある変形までは水平変位に比例してせん断力が大きくなり、水平剛性はほぼ一定であるが、さらに変形が進むと徐々に水平剛性が大きくなり、最終的にゴム層の破断に至る。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.24
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構造特性係数Dsは、建築物の減衰性と各階の靱性に応じて、必要保有水平耐力を低減する係数。
鋼材ダンパー(履歴型ダンパー)は、降伏して塑性変形することでエネルギーを吸収するので、弾性範囲に留まる地震動ではエネルギー吸収能力をほとんど発揮しない。
ダンパーの接合部や周辺部材が変形したり、架構全体が曲げ変形したりすると、ダンパー自体の変形が小さくなり、効率が低下する。
積層ゴムは、ある変形までは水平剛性がほぼ一定だが、さらに変形が進むと徐々に剛性が大きくなり(ハードニング)、最後にゴム層が破断する。
No.25建築物の耐震設計(地下部分の地震力・Z の扱い・異種構造の Ds・限界耐力計算の減衰)
建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1建築物の地下部分の各部分に作用する地震力は、一般に、当該部分の固定荷重と積載荷重の和に所定の水平震度を乗じて計算する。2地震層せん断力係数の算定に用いる地震地域係数Zは、許容応力度設計用地震力と必要保有水平耐力の算定において、一般に、同じ値を用いる。31階が鉄骨鉄筋コンクリート造で2階以上が鉄骨造の建築物の構造計算において、2階以上の部分の必要保有水平耐力は、一般に、鉄骨造の構造特性係数Dsを用いて計算する。4限界耐力計算において、塑性化の程度が大きいほど、一般に、安全限界時の各部材の減衰特性を表す数値を小さくすることができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.25
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地下部分の地震力は、その部分の固定荷重と積載荷重の和に水平震度を乗じて計算する(建築基準法施行令 第88条第4項)。
地震地域係数Zは、許容応力度設計用の地震力と必要保有水平耐力の算定で、同じ値を用いる。
1階がSRC造で2階以上が鉄骨造の場合、2階以上の部分の必要保有水平耐力は鉄骨造のDsを用いて計算する。
限界耐力計算では、塑性化の程度(塑性率)が大きいほど履歴によるエネルギー吸収が増えるので、安全限界時の減衰定数は大きくできる(平成12年建設省告示第1457号)。
No.26エキスパンションジョイントで分離した建築物の構造計画(衝突の確認・間隔 H/50・地下一体の割増し・1階床スラブの検討)
エキスパンションジョイント等によって構造的に分離した建築物の構造計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1地下部分も含めて別棟とするに当たって、許容応力度計算で用いる中地震時程度の荷重により生じる変形に対して、建築物の衝突による損傷が生じないことを確かめた。2鉄筋コンクリート造で、地下部分も含めて別棟とするに当たって、保有水平耐力計算で用いる大地震時程度の荷重に対しては、簡便的に、それぞれのエキスパンションジョイントがある部分の高さをHとし、当該高さにおける間隔がH/50以上であることを確かめた。3地下部分が一体で地上部分を別棟とするに当たって、一次設計については、地下部分を検討する際には、地上部分の「耐震計算ルート1」や「耐震計算ルート2」で必要となる割り増し規定を適用しなかった。4地下部分(1階の床・梁を含む。)が一体で地上部分を別棟とするに当たって、1階床スラブを一体の剛床と仮定したので、1階床スラブでの局部的な地震力の伝わり方の検討は省略した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.26
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別棟とする場合は、中地震時程度の荷重による変形で、建築物どうしが衝突して損傷しないことを確かめる。
大地震時に対しては、簡便的に、エキスパンションジョイントのある部分の高さHに対して、間隔がH/50以上であることを確かめる方法がある。
地下一体で地上が別棟の場合、一次設計で地下部分を検討する際には、地上部分のルート1・ルート2で必要な割増しの規定は適用しなくてよい。
地下一体で地上が別棟の場合、1階床スラブは各棟の地震力を地下部分へ伝える役割をもつので、剛床と仮定しても、1階床スラブでの地震力の伝わり方を検討する必要がある(局部的な応力の集中など)。
No.27木材の破壊の性状(めり込み・割り裂き・全体座屈・引張破断)
木材の破壊の性状として、一般に、脆性的な性状を示さないものは、次のうちどれか。
1木材の繊維に直交方向の圧縮によるめり込み2木材の繊維に直交方向の引張による割り裂き3木材の繊維に平行方向の圧縮による全体座屈4木材の繊維に平行方向の引張による破断出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.27
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繊維に直交方向の圧縮によるめり込みは、木材の細胞がつぶれながら変形が大きく進み、耐力が急に失われないので、粘り強い(靱性的な)性状を示す。
繊維に直交方向の引張りによる割り裂きは、繊維の間が急に裂けるので脆性的。
繊維に平行方向の圧縮による全体座屈は、急に耐力を失うので脆性的。
繊維に平行方向の引張りによる破断は、ほとんど塑性変形せずに急に破断するので脆性的。
No.28コンクリート(軽量コンクリート1種のせん断弾性係数・線膨張係数・ヤング係数・許容せん断応力度)
コンクリートに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1軽量コンクリート1種のせん断弾性係数は、一般に、ヤング係数が大きいほど大きい。2常温における軽量コンクリート1種の線膨張係数は、一般の鋼材とほぼ等しく、鋼材と同じ値を用いることが多い。3軽量コンクリート1種のヤング係数は、一般に、同じ設計基準強度の普通コンクリートのヤング係数に比べて小さい。4軽量コンクリート1種の許容せん断応力度は、一般に、同じ設計基準強度の普通コンクリートの許容せん断応力度と等しい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.28
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せん断弾性係数は G=E/{2(1+ν)} で、ヤング係数が大きいほど大きい。
軽量コンクリート1種の線膨張係数は、鋼材とほぼ同じ(1×10⁻⁵/℃程度)とすることが多い。
軽量コンクリートは骨材のヤング係数が小さいので、同じ設計基準強度の普通コンクリートよりヤング係数が小さい。
軽量コンクリートの許容せん断応力度は、普通コンクリートの値の0.9倍とする(日本建築学会 RC規準)。普通コンクリートと等しくはない。
No.29鋼材(SN材の降伏点のレンジ・SUS304A の基準強度・板厚と降伏点・降伏比)
鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1建築構造用圧延鋼材(SN材)B種及びC種は、降伏比だけでなく降伏点のレンジ(上限値から下限値までの幅)が規定されており、これらの鋼材を用いることにより、設計するうえで想定した降伏メカニズムを実現する確度を高めることができる。2建築構造用ステンレス鋼材SUS304Aは、降伏点が明確ではないので、0.1%オフセット耐力をもとに基準強度が定められている。3同じ鋼塊から圧延された鋼材の降伏点は、一般に、「板厚の薄いもの」に比べて「板厚の厚いもの」のほうが高くなる。4降伏点325N/mm²、引張強さ490N/mm²である鋼材の降伏比は、66%である。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.29
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SN材の B種・C種は、降伏比の上限と降伏点の上限・下限(レンジ)が規定されていて、設計で想定した降伏の順序(崩壊メカニズム)を実現しやすい。
ステンレス鋼は明確な降伏点がないので、0.1%オフセット耐力をもとに基準強度が定められている。
同じ鋼塊から圧延した鋼材では、板厚の厚いものほど圧延による結晶の微細化が少ないので、降伏点は低くなる。
降伏比=降伏点÷引張強さ=325÷490≒0.66(66%)。
No.30特定天井(技術基準の目標・既存建築物の増改築・免震構造の場合・隙間を設けない構造方法)
特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1「建築物における天井脱落対策に係る技術基準(国土交通省)」において、特定天井は、稀に生じる地震動の発生時(中地震時)において、天井の損傷を防止することにより、中地震時を超える一定の地震時においても天井の脱落の低減を図ることを目標としている。2既存建築物の増改築においては、特定天井の落下防止措置として、ネットやワイヤーにより一時的に天井の脱落を防ぐ方法は認められていないので、新築時と同様の技術基準に適合させる必要がある。3免震構造の採用により、地震時の加速度が十分に抑えられている場合においても、特定天井についての構造耐力上の安全性の検証は行う必要がある。4特定天井のうち、天井と周囲の壁等との間に隙間を設けない構造方法であっても、地震時における天井材の脱落に対する安全性の検証を行う必要がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30
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天井脱落対策の技術基準は、中地震時に天井の損傷を防ぐことで、中地震を超える一定の地震でも天井の脱落を低減することを目標としている。
既存建築物の増改築では、ネットやワイヤーなどで天井の落下を防ぐ措置(落下防止措置)も認められている(平成17年国土交通省告示第566号)。新築と同じ技術基準に必ず適合させる必要はない。
免震構造で地震時の加速度が小さくても、特定天井の構造耐力上の安全性の検証は必要。
天井と周囲の壁との間に隙間を設けない構造方法でも、地震時の天井材の脱落に対する安全性の検証が必要。
令和5年の合格基準点(学科の試験)
配点は各問題1点(学科Ⅰ・Ⅱは各20点、学科Ⅲ・Ⅳは各30点、学科Ⅴは25点、合計125点)で、各科目の基準点と総得点の基準点のすべてに達した人が合格です。
| 学科Ⅰ 計画 | 学科Ⅱ 環境・設備 | 学科Ⅲ 法規 | 学科Ⅳ 構造 | 学科Ⅴ 施工 | 総得点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格基準点 | 11点 | 11点 | 16点 | 16点 | 13点 | 88点 |
※ 合格基準点は、各科目は過半の得点、総得点はおおむね90点程度を基本的な水準として想定し、令和5年は総じて難度が高かったことから、総得点の基準点が88点とされました。
出典:建築技術教育普及センター「令和5年一級建築士試験『学科の試験』の合格基準点等について」
令和5年の構造の基準点は16点(30点中)でした。構造は前半に計算問題がまとまって出る科目です。計算問題は解き方の型を身につければ確実に得点でき、後半の各種構造・材料は過去問のくり返しが効きます。
ほかの年度・ほかの科目の過去問
この記事の問題文と図は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和5年 一級建築士試験(学科の試験)の問題から、著作権法第32条の引用として掲載しています。著作権は同センターにあります。
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