全30問の解答・解説
令和2年(2020年7月12日実施)の一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)の全30問を、選択肢ごとに正誤の理由を示して解説します。構造力学(計算)・荷重と外力・各種構造(木造・RC・S・SRC・基礎)・建築材料から出題されます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

令和2年 一級建築士試験(学科)の概要
問題文は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)の試験問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各問の枠の右下に出典)。正答は、同センターの合格基準点等(正答肢)と全問を照らし合わせています。
解説は、出題当時の法令・基準によります(法令がからむ問題は令和2年1月1日時点の法令)。その後の改正や基準の改定で答えが変わる問題には「🔶 現在の基準では」、言い方だけが変わった問題には「ℹ️ その後の改正」の枠を付けています。
分野ごとの問題一覧
構造の30問は、毎年おおむね同じ順番で、分野ごとに出題されます。解きたい問題を押すと、その問題へ移動します。
📐 構造力学(全塑性・交差梁・柱のせん断力・崩壊荷重・トラス・座屈)(No.1〜No.6)
No.1全塑性状態の H形断面の柱脚に作用する鉛直荷重と水平荷重
図-1のように、脚部で固定された柱の頂部に鉛直荷重N及び水平荷重Qが作用している。柱の断面形状は図-2に示すとおりであり、N及びQは断面の図心に作用しているものとする。柱脚部断面の垂直応力度分布が図-3のような全塑性状態に達している場合のNとQとの組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、柱は等質等断面とし、降伏応力度はσyとする。
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鉛直荷重 N 水平荷重 Q 1. 2a²σy 9a³σy/h 2. 2a²σy 18a³σy/h 3. 4a²σy 9a³σy/h 4. 4a²σy 18a³σy/h 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.1
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断面は、左右の幅a・せい3aの部分と、中央の幅2a・せいaの部分でできている。図-3より、左端からaが引張り、残りの3aが圧縮。
・引張側:左の部分 a×3a=3a²
・圧縮側:中央の部分 2a×a=2a²と右の部分3a²で、5a²
・N=(5-3)a²×σy=2a²σy(圧縮)
・柱脚の曲げモーメント(図心まわり):中央の部分は図心上にあるので0。左右の部分(3a²ずつ)は図心から1.5aの位置で、M=3a²×1.5a×2×σy=9a³σy
・M=Qh より、Q=9a³σy/h
No.2長さの異なる交差梁の支点反力の比
図に示す交差梁のA材とB材の交点に集中荷重Pが作用したときのA材、B材の支点の反力をそれぞれRA、RBとするとき、その比として、正しいものは、次のうちどれか。なお、A材とB材は等質等断面とし、梁の重量は無視するものとする。
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RA : RB 1. 1 : 1 2. 1 : 2 3. 1 : 4 4. 1 : 8 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.2
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図の寸法から、A材はスパン4l(2l+2l)、B材はスパン2l(l+l)の単純梁で、交点はどちらも中央。荷重PをA材がPA、B材がPB負担すると、交点のたわみは等しい。
・PA(4l)³/(48EI)=PB(2l)³/(48EI) → PBはPAの8倍
・支点の反力は負担荷重の1/2ずつなので、RA:RB=1:8(短くて硬いB材が多く負担する)
No.3柱脚の支持条件が異なるラーメンの柱のせん断力の大小
図のような柱脚の支持条件が異なる3つのラーメンに水平荷重Pが作用する場合、柱A、柱B及び柱Cに生じるせん断力をそれぞれQA、QB及びQCとしたとき、それらの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、全ての柱は等質等断面の弾性部材とし、梁は剛体とする。
図を押すと大きく表示します 1QA>QB>QC2QA=QC>QB3QB>QA=QC4QC>QB>QA出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.3
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梁は剛体なので柱頭は回転しない。柱1本の水平剛性は、柱脚ピンで3EI/h³、柱脚固定で12EI/h³。水平荷重は剛性の比で分かれる。
・左のラーメン:2本とも柱脚ピン → 柱AはP/2
・中央のラーメン:柱B(柱脚ピン)と右の柱(固定)の比は3:12 → 柱Bは P×3/15=P/5
・右のラーメン:2本とも柱脚固定 → 柱CはP/2
よって QA=QC>QB。
No.4柱の長さが異なるラーメンの崩壊荷重(仮想仕事法)
図-1のような水平荷重Pを受けるラーメンにおいて、Pを増大させたとき、そのラーメンは、図-2のような崩壊機構を示した。ラーメンの崩壊荷重Puの値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、柱、梁の全塑性モーメントの値は、それぞれ400kN・m、200kN・mとする。
図を押すと大きく表示します 1200kN2300kN3400kN4600kN出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.4
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図-2の崩壊機構では、左の柱脚(400kN・m)・左の梁端(200kN・m)・右の梁端(200kN・m)・右の柱脚(400kN・m)に塑性ヒンジができる。梁が水平にδ動くとき、左の柱(3m)の回転角はδ/3、右の柱(6m)はδ/6。
・仮想仕事の式:Pu×δ=(400+200)×δ/3+(200+400)×δ/6=(200+100)δ
・Pu=300kN
No.5平行弦トラスの部材の軸方向力(端部の斜材・上弦材・斜材・束材)
図のような荷重が作用するトラスにおいて、部材A、B、C及びDに生じる軸方向力をそれぞれNA、NB、NC及びNDとするとき、それらの値として、誤っているものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。
図を押すと大きく表示します 1NA=-5√2P/22NB=-5P3NC=-√2P/24ND=0出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.5
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支点の反力は左右とも5P/2。左の支点の節点で、鉛直のつり合いから斜材Aの鉛直成分が5P/2(圧縮)なので、NA=-5√2P/2。
部材Bがある3番目のパネルを切り、斜材Cと下弦材が交わる下の節点(左から2l)まわりのモーメントを考えると、5P/2×2l-P×l=4Pl=-NB×l → NB=-4P。-5P ではない。
同じパネルのせん断力は 5P/2-P-P=P/2。斜材Cの鉛直成分がこれとつり合うので、NC=-√2P/2(圧縮)。
束材Dの下の節点には荷重も斜材もつながっていないので、鉛直のつり合いからND=0。
No.6梁の長さと柱脚の条件が異なるラーメンの柱の弾性座屈荷重の大小
図のようなラーメンA、ラーメンB及びラーメンCの柱の弾性座屈荷重をそれぞれPA、PB及びPCとしたとき、これらの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、全ての柱及び梁は等質等断面の弾性部材であり、「柱及び梁の重量」及び「柱の面外方向の座屈及び梁の座屈」については無視するものとする。
図を押すと大きく表示します 1PA=PC>PB2PB>PA>PC3PC>PA=PB4PC>PA>PB出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.6
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どのラーメンも横に移動できるので、柱は水平移動を伴って座屈する。座屈長さが短いほど座屈荷重は大きい。
・柱頭の回転は梁の曲げ剛性で拘束される。梁が短い(剛度が大きい)ほど拘束が強く、座屈長さは短くなる。ラーメンA(梁の長さl)とB(2l)は柱脚がどちらもピンなので、梁の短いAのほうが座屈長さが短い → PA>PB
・ラーメンCは、梁の長さがAと同じで、柱脚が固定なので、さらに座屈長さが短い(柱脚ピンの場合は2h以上、柱脚固定ならh〜2h)→ PC>PA
よって PC>PA>PB。
🌬️ 荷重・外力・木造(No.7〜No.10)
No.7建築基準法における建築物に作用する地震力(Ci の分布・必要保有水平耐力の C₀・Rt と T・Ai と Rt の T)
建築基準法における建築物に作用する地震力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1建築物の地上部分における各層の地震層せん断力係数Ciは、最下層における値が最も小さくなる。2建築物の地上部分の必要保有水平耐力を計算する場合、標準せん断力係数C0は1.0以上とする。3振動特性係数Rtは、建築物の設計用一次固有周期Tが長くなるほど大きくなる。4地震層せん断力係数Ciの建築物の高さ方向の分布を表す係数Aiを算出する場合、建築物の設計用一次固有周期Tは、振動特性係数Rtを算出する場合のTの値と同じとする。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.7
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Ci=Z・Rt・Ai・C0で、Aiは最下層で1、上の層ほど大きいので、Ciは最下層が最も小さい。
必要保有水平耐力を計算する場合は、標準せん断力係数C0を1.0以上とする(建築基準法施行令 第88条第3項)。
振動特性係数Rtは、TがTc以下では1で、それを超えるとTが長いほど小さくなる。
Aiの算出に用いるTは、Rtの算出に用いるTと同じ値とする(昭和55年建設省告示第1793号)。
建築基準法施行令 第88条第1項(Ci=Z・Rt・Ai・C₀)・第3項(必要保有水平耐力の C₀ は1.0以上)
No.8建築基準法における屋根葺き材に作用する風荷重(適用範囲・平均速度圧・ピーク風力係数・基準風速)
建築基準法における屋根葺き材に作用する風荷重に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1屋根葺き材の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準は、建築物の高さにかかわらず適用される。2屋根葺き材に作用する風圧力の算出に用いる平均速度圧q̄については、気流の乱れを表すガスト影響係数Gfは考慮しなくてよい。3屋根葺き材に作用する風圧力の算出に用いるピーク風力係数Ĉfは、一般に、構造骨組に用いる風圧力を算出する場合の風力係数Cfよりも大きい。4屋根葺き材に作用する風圧力の算出に用いる基準風速V0は、構造骨組に用いる風圧力を算出する場合と異なる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.8
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屋根葺き材の風圧に対する構造計算の基準(建築基準法施行令 第82条の4・平成12年建設省告示第1458号)は、建築物の高さにかかわらず適用される。
屋根葺き材の平均速度圧 q̄=0.6Er²V0² では、ガスト影響係数Gfは考慮しない(風の乱れはピーク風力係数で考える)。
ピーク風力係数Ĉfは局部的な大きな風圧を考えた値なので、一般に、構造骨組用の風力係数Cfより大きい。
屋根葺き材の風圧力でも、基準風速V0は構造骨組と同じ値を用いる。
建築基準法施行令 第82条の4(屋根ふき材・外装材・帳壁は、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で風圧に対する安全を確かめる)、平成12年建設省告示第1458号
No.9木造の四分割法(偏心率0.3以下・側端部分のとり方・平家部分の扱い・壁率比を確かめなくてよい場合)
木造軸組工法による地上2階建ての建築物において、建築基準法に基づく「木造建築物の軸組の設置の基準」(いわゆる四分割法)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
図を押すと大きく表示します 1各階について、張り間方向及び桁行方向の偏心率が0.3以下であることを確認した場合は、「木造建築物の軸組の設置の基準」によらなくてもよい。2図-1に示す平面形状の場合、張り間方向及び桁行方向それぞれの計算に用いる側端部分は、建築物の両側(最外縁)より1/4の部分(■)である。3図-2のような建築物の1階側端部分のうちAの部分は、平家建てとして必要壁量を算定する。4各側端部分の壁量充足率が全て1を超えていても、壁率比は0.5以上でなければならない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.9
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各階の張り間方向・桁行方向の偏心率が0.3以下であることを構造計算で確かめた場合は、四分割法によらなくてよい(平成12年建設省告示第1352号 ただし書)。
側端部分は、建築物の両側の最外縁から、それぞれの方向の長さの1/4の部分とする(図-1の網掛けの部分)。
1階の側端部分のうち、上に2階がないAの部分は、平家建てとして必要壁量を算定する(側端部分ごとの階数による)。
各側端部分の壁量充足率が全て1を超える場合は、壁率比が0.5以上であることを確かめなくてよい(平成12年建設省告示第1352号 第三号ただし書)。
No.10木造の既存建築物の耐震性を向上させる方法(基礎の増し打ち・1階の床の火打ち材・2階の床の合板・屋根の軽量化)
木造軸組工法による地上2階建ての既存建築物の耐震性を向上させる方法として、一般に、最も効果の低いものは、次のうちどれか。
1既存の布基礎が無筋コンクリート造であったので、布基礎の外部側面に接着系のあと施工アンカーによる差し筋を行い、新たに鉄筋コンクリート造の基礎を増し打ちした。2基礎に不同沈下がみられたので、1階の床組に火打ち材を入れ、1階の床組の水平剛性を高めた。31階と2階の耐力壁の位置がずれて設置されていたので、2階の床組の下地の構造用合板を梁及び桁に直張りして、2階の床組の水平剛性を高めた。4屋根葺き材が日本瓦であったので、住宅屋根用化粧スレートに葺き替えて、屋根を軽量化した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.10
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無筋コンクリートの布基礎に、あと施工アンカーで差し筋をして鉄筋コンクリートの基礎を増し打ちすると、基礎が一体になり、耐力壁の力を地盤に伝えられるようになる。
基礎の不同沈下は、基礎や地盤の補強で直すべき問題で、1階の床組に火打ち材を入れて水平剛性を高めても、不同沈下は解消せず、耐震性の向上の効果は低い。
1階と2階の耐力壁の位置がずれている場合、2階の床組に構造用合板を直張りして水平剛性を高めると、2階の耐力壁の力を1階の耐力壁へ伝えやすくなる。
日本瓦から化粧スレートに葺き替えて屋根を軽くすると、建築物に作用する地震力そのものが小さくなる。
🏢 鉄筋コンクリート構造(No.11〜No.14)
No.11鉄筋コンクリート構造における付着・継手・定着(隅角部の主筋・継手の性能・定着長さと鋼種・帯筋のフック)
鉄筋コンクリート構造における付着、継手及び定着に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1柱の付着割裂破壊を防止するために、柱の断面の隅角部の主筋には太径の鉄筋を用いることとした。2鉄筋の継手については、継手位置の存在応力にかかわらず、母材の強度を伝達できる継手とした。3柱に定着する梁の引張鉄筋の定着長さにおいて、SD295Aの鉄筋を同一径のSD390の鉄筋に変更したので、定着長さを長くした。4独立柱の帯筋の端部(隅角部)に135度フックを設け、定着させた。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.11
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太径の鉄筋ほど付着割裂破壊が起きやすいので、柱の隅角部の主筋には太径の鉄筋を避ける(細い鉄筋を多く使う、かぶりを大きくするなど)。
鉄筋の継手は、継手位置の存在応力にかかわらず、母材の強度を伝えられるものとする。
強度の高い鉄筋(SD390)は大きな引張力を伝えるので、SD295A より必要な定着長さが長くなる。
独立柱の帯筋の端部は、135°フックを設けて内部のコンクリートに定着させる。
No.12鉄筋コンクリート造のひび割れの図と説明(片持ち梁のせん断ひび割れ・付着割裂・梁上端筋の定着部・柱梁接合部)
鉄筋コンクリート造の建築物において、「躯体に発生したコンクリートのひび割れの状況を示す図」と「その説明」として、最も不適当なものは、次のうちどれか。
図を押すと大きく表示します 1矢印方向に荷重を受けた場合の、「片持ち梁のせん断ひび割れ」2下端筋に沿って付着割裂した場合の、「梁のひび割れ」3柱梁接合部内に定着された梁上端筋が矢印方向に引張力を受けた場合の、「柱梁接合部及び柱のひび割れ」4矢印方向に荷重を受けた場合の、「柱梁接合部のひび割れ」出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.12
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先端に下向きの荷重を受ける片持ち梁では、荷重は斜めの圧縮の帯となって、先端側の上部から固定端側の下部(圧縮側)へ流れる。せん断ひび割れはこれに沿って、固定端側の下から先端側の上へ向かう向き(/)に生じる。図の1は向きが逆(\)で、不適当。
下端筋に沿って付着割裂すると、図のように下端筋に沿ったひび割れが生じる。
柱梁接合部に定着した梁上端筋が引っ張られると、折り曲げ部のまわりのコンクリートが押されて、図のように接合部から柱にかけてひび割れが生じる。
矢印の向きの荷重では、左の梁は上端、右の梁は下端の主筋が引張りになり、接合部は上側で左向き、下側で右向きのせん断力を受ける。接合部は左上から右下の対角線の方向に引っ張られるので、ひび割れは図のように左下から右上に向かう向き(/)に生じる。
No.13鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算(柱の長期許容せん断力・せん断スパン比・柱の許容曲げモーメント・太径の鉄筋の付着)
鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1柱の長期許容せん断力の計算においては、帯筋の効果を考慮しなかった。2梁の短期許容せん断力の計算においては、有効せいに対するせん断スパンの比による割増しを考慮した。3柱の許容曲げモーメントは、「圧縮縁がコンクリートの許容圧縮応力度に達したとき」、「圧縮側鉄筋が許容圧縮応力度に達したとき」及び「引張鉄筋が許容引張応力度に達したとき」に対して算定したそれぞれの曲げモーメントのうち、最大となるものとした。4太径の異形鉄筋を梁の主筋に使用したので、鉄筋のコンクリートに対する許容付着応力度を、かぶり厚さと鉄筋径の比に応じて低減した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.13
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柱の長期許容せん断力は、せん断ひび割れを生じさせないことを目的とするので、帯筋の効果を考慮しない。
梁の短期許容せん断力では、せん断スパン比(M/(Qd))に応じた割増しを考慮できる。
柱の許容曲げモーメントは、圧縮縁のコンクリート・圧縮側鉄筋・引張鉄筋のいずれかが許容応力度に達したときの曲げモーメントのうち、最小のものとする。
太径の異形鉄筋は付着割裂が起きやすいので、かぶり厚さと鉄筋径の比に応じて許容付着応力度を低減する。
No.14鉄筋コンクリート構造(軸方向圧縮力と塑性変形性能・梁の貫通孔・柱梁接合部のせん断耐力・側柱付きの耐力壁)
鉄筋コンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1柱は、作用する軸方向圧縮力が大きいほど、一般に、塑性変形性能が低下する。2梁は、貫通孔を設けることにより、一般に、せん断耐力が小さくなる。3柱梁接合部は、取り付く梁の主筋量が多くなるほど、一般に、せん断耐力が大きくなる。4耐力壁は、壁板の周辺に側柱を設けることにより、一般に、塑性変形性能が向上する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.14
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軸方向圧縮力が大きい柱ほど、圧縮側のコンクリートが早く圧壊し、塑性変形性能が低下する。
梁に貫通孔を設けると断面が欠けるので、せん断耐力は小さくなる(孔の周りを補強する)。
柱梁接合部のせん断耐力は、コンクリートの強度と接合部の形状で決まり、取り付く梁の主筋量が多くても大きくならない(主筋量が多いと接合部に作用するせん断力が大きくなる)。
耐力壁の周辺に側柱を設けると、壁板が拘束されて、塑性変形性能が向上する。
🔩 鉄骨構造(No.15〜No.18)
No.15鉄骨構造(柱の座屈長さ・筋かいの細長比と塑性変形性能・限界細長比と鋼種・降伏比)
鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1横移動が拘束されていないラーメン架構において、柱材の座屈長さは、梁の剛性を高めても節点間距離より小さくすることはできない。2有効細長比λが小さい筋かい(λ=20程度)は、中程度の筋かい(λ=80程度)に比べて塑性変形性能が低い。3柱材を建築構造用圧延鋼材SN400Bから同一断面のSN490Bに変更しても、細長比がSN400Bの限界細長比以上であれば、許容圧縮応力度は変わらない。4梁の塑性変形性能は、使用する鋼材の降伏比が小さいほど、向上する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.15
▼ 解答・解説を見る(No.15)▲ 解答・解説を閉じる
横移動が拘束されていないラーメンでは、梁の剛性を高めても、柱の座屈長さは節点間距離より小さくならない。
有効細長比が小さい筋かい(λ=20程度)は、座屈より先に降伏するので、中程度の筋かい(λ=80程度)より塑性変形性能が高い。
細長比が限界細長比以上(弾性座屈の範囲)なら、許容圧縮応力度はヤング係数と細長比だけで決まり、SN400B と SN490B で変わらない。
降伏比が小さい鋼材ほど、梁の塑性変形性能は向上する。
No.16鉄骨構造の高力ボルト(山形鋼の筋かいの有効断面積・繰返し応力・摩擦接合のせん断力・二面摩擦のすべり係数)
鉄骨構造において使用する高力ボルトに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1山形鋼を用いた筋かいを、材軸方向に配置された一列の高力ボルトによりガセットプレートに接合する場合、筋かい材の有効断面積は、一般に、高力ボルトの本数が多くなるほど大きくなる。2高力ボルト摩擦接合部において、一般に、すべり耐力以下の繰り返し応力であれば、ボルト張力の低下や摩擦面の状態の変化を考慮する必要はない。3高力ボルト摩擦接合は、すべりが生じるまでは、高力ボルトにせん断力は生じない。4高力ボルト摩擦接合のすべりに対する許容耐力の算定において、二面摩擦接合のすべり係数は、一面摩擦接合の2倍となる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.16
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山形鋼を一列のボルトで片側だけ接合する筋かいは、突出脚の一部が有効に働かない。ボルトの本数が多いほど無効部分が小さくなり、有効断面積は大きくなる。
すべり耐力以下の繰返し応力なら、ボルト張力の低下や摩擦面の状態の変化は考えなくてよい。
摩擦接合は摩擦力で力を伝えるので、すべりが生じるまでは高力ボルトにせん断力は生じない。
すべり係数(0.45 など)は摩擦面の状態で決まる値で、一面摩擦でも二面摩擦でも同じ。二面摩擦のすべり耐力が一面摩擦の2倍になるのは、摩擦面の数が2倍だから。
No.17鉄骨構造(筋かいの保有耐力接合・横座屈・鋼種と弾性変形・幅厚比と局部座屈)
鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1引張力を負担する筋かいを保有耐力接合とするためには、筋かい軸部の降伏耐力より、筋かい端部及び接合部の破断耐力を大きくする必要がある。2H形鋼等の開断面の梁が曲げを受けたとき、ねじれを伴って圧縮側のフランジが面外にはらみ出して座屈する現象を横座屈という。3ラーメン架構の柱及び梁に、建築構造用圧延鋼材SN400Bを用いる代わりに同一断面のSN490Bを用いることで、弾性変形を小さくすることができる。4H形鋼の梁の設計において、板要素の幅厚比を小さくすると、局部座屈が生じにくくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.17
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筋かいの保有耐力接合では、端部と接合部の破断耐力を、軸部の降伏耐力より大きくする。
H形鋼など開断面の梁が曲げを受けて、ねじれを伴いながら圧縮側のフランジが面外にはらみ出して座屈する現象を横座屈という。
SN400B と SN490B のヤング係数は同じなので、同じ断面なら弾性変形は変わらない(強度は上がるが剛性は上がらない)。
幅厚比を小さくすると、板要素が局部座屈しにくくなる。
No.18鉄骨構造の耐震計算(ルート1-1 と特定天井・ルート1-2 の角形鋼管柱の割増し・ルート2 の塔状比・ルート3 の BCP 柱)
鉄骨構造の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1「ルート1-1」で計算する場合であっても、特定天井がある場合は、特定天井に関する技術基準に適合することを確かめる必要がある。2「ルート1-2」で、厚さ6mm以上の冷間成形角形鋼管を用いた柱を設計する場合、地震時応力の割増し係数は、建築構造用冷間ロール成形角形鋼管BCRより、建築構造用冷間プレス成形角形鋼管BCPのほうが大きい。3「ルート2」で計算する場合、地上部分の塔状比が4を超えないことを確かめる必要がある。4「ルート3」で、建築構造用冷間プレス成形角形鋼管BCPの柱が局部崩壊メカニズムと判定された場合、柱の耐力を低減して算定した保有水平耐力が、必要保有水平耐力以上であることを確認する必要がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.18
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ルート1-1 で計算する場合でも、特定天井がある場合は、特定天井の技術基準に適合することを確かめる。
ルート1-2 で冷間成形角形鋼管の柱を設計する場合の地震時応力の割増し係数は、BCR(ロール成形)のほうが BCP(プレス成形)より大きい(平成19年国土交通省告示第593号 第一号イ(3)の表。通しダイアフラム形式など内ダイアフラム形式以外で BCR 1.3、BCP 1.2)。
ルート2 では、地上部分の塔状比が4を超えないことを確かめる。
ルート3 で BCP の柱が局部崩壊メカニズムと判定された場合は、柱の耐力を低減して算定した保有水平耐力が必要保有水平耐力以上であることを確かめる。
🪨 地盤・基礎(No.19〜No.21)
No.19土質及び地盤(砂のせん断抵抗と N値・粘土の変形と水分・締固め工法と液状化・極限鉛直支持力)
土質及び地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1砂のせん断力に対する抵抗力の大きさは、標準貫入試験で得られるN 値と相関関係にある。2粘土の変形特性は、一般に、粘土中に含まれる水分量と関係がある。3締固め工法による地盤改良は、一般に、液状化対策としての効果はない。4地盤の極限鉛直支持力は、一般に、土のせん断破壊が生じることにより決定される。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.19
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砂のせん断抵抗力(内部摩擦角)は、N値と相関がある。
粘土の変形特性は、含まれる水分量(含水比)と関係がある。
締固め工法(サンドコンパクションパイル工法など)は、砂地盤の密度を高めるので、液状化対策として効果がある。
地盤の極限鉛直支持力は、土のせん断破壊によって決まる。
No.20基礎の設計のための地盤調査(圧密沈下の特性・予備調査・液状化の調査・PS検層)
基礎の設計のための地盤調査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1基礎を支持する砂礫層直下の粘性土層の圧密沈下の特性を把握するために、粘性土の乱さない試料をサンプリングして、一軸圧縮試験を実施した。2事前調査の結果、地層の構成が推定できなかったので、予備調査を実施した後に、本調査のボーリングの位置及び数量を決定した。3液状化のおそれがある埋立て土層があったので、地下水位調査と粒度試験を実施した。4高層建築物の耐震設計上必要となる地盤特性を調査するために、PS検層を実施した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.20
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粘性土の圧密沈下の特性(圧密量や沈下の速さ)を把握するには、乱さない試料で圧密試験を行う。一軸圧縮試験は粘性土の強さ(粘着力)を求める試験。
地層の構成が推定できない場合は、予備調査を行ってから本調査のボーリングの位置と数量を決める。
液状化のおそれがある埋立て土層では、地下水位の調査と粒度試験を行う。
高層建築物の耐震設計に必要な地盤の特性(せん断波速度など)を調べるには、PS検層を行う。
No.21基礎の設計(パイルド・ラフト基礎・液状化と水平地盤反力係数・異種基礎の併用・負の摩擦力)
基礎の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1直接基礎として支持力はあるが、基礎の沈下が過大となるおそれがある地盤に建つ建築物において、基礎の平均沈下量及び不同沈下量を低減するために、パイルド・ラフト基礎を採用した。2地震時に液状化のおそれのある地盤であったので、杭の水平抵抗を検討する際に、水平地盤反力係数(単位kN/㎥)の値を低減した。3一つの建築物において、高層部には杭基礎、低層部には直接基礎を採用したので、鉛直荷重時の不同沈下の検討のみを行い、基礎及び上部構造に障害が生じないことを確認した。4地盤沈下が生じている埋立て地盤において、杭に負の摩擦力が生じるおそれがあったので、杭の表面に潤滑材を塗布することで対応した。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.21
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支持力はあるが沈下が過大になるおそれがある地盤では、パイルド・ラフト基礎で平均沈下量と不同沈下量を減らせる。
液状化のおそれのある地盤では、杭の水平抵抗の検討で水平地盤反力係数を低減する。
異なる構造方法の基礎の併用は原則禁止で、構造計算で安全を確かめた場合に限り認められる(建築基準法施行令 第38条第2項・第4項)。鉛直荷重時の不同沈下だけでなく、地震時の挙動の違い(水平変位や応力の集中)なども検討する必要がある。
杭の表面に潤滑材(瀝青材など)を塗ると、負の摩擦力を減らす効果がある。
建築基準法施行令 第38条第2項(異なる構造方法による基礎の併用の禁止)・第4項(構造計算で安全が確かめられた場合は適用しない)
🧱 各種構造・耐震・免震・構造設計・材料・天井(No.22〜No.30)
No.22壁式鉄筋コンクリート造及び壁式ラーメン鉄筋コンクリート造(壁梁の幅・直交壁の効果・適用できる高さ・連層耐力壁)
「壁式鉄筋コンクリート造」及び「壁式ラーメン鉄筋コンクリート造」の建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1壁式鉄筋コンクリート造の建築物では、壁梁の幅を、壁梁に接している耐力壁の厚さと同じにすることができる。2壁式鉄筋コンクリート造の建築物では、直交壁の取り付いた耐力壁の曲げ剛性を評価する場合、直交壁の効果を考慮することができる。3壁式鉄筋コンクリート構造は、一般に、壁式ラーメン鉄筋コンクリート構造に比べて、軒の高さの高い建築物に適用することができる。4壁式ラーメン鉄筋コンクリート造の建築物では、張り間方向の外壁となる構面には最下階から最上階まで連続する連層耐力壁を設置する必要がある。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.22
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壁式鉄筋コンクリート造の壁梁の幅は、壁梁に接する耐力壁の厚さ以上とするので、同じにすることができる。
直交壁が取り付く耐力壁の曲げ剛性の評価では、直交壁の効果を考えることができる。
軒の高さの高い建築物に適用できるのは、壁式ラーメン鉄筋コンクリート構造のほう(壁式鉄筋コンクリート造は地上5階・軒の高さ20m以下、壁式ラーメン鉄筋コンクリート造は地上15階・軒の高さ45m以下)。
壁式ラーメン鉄筋コンクリート造では、張り間方向の外壁となる構面に、最下階から最上階まで連続する連層耐力壁を設ける。
No.23各種建築構造(ポストテンション方式・PCa床版の接合部・SRC の部材剛性・CFT 柱の応力伝達)
各種建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1プレストレストコンクリート構造におけるポストテンション方式は、PC鋼材の周りに直接コンクリートを打設し、コンクリートが所定の強度に達した後にPC鋼材の緊張を行って、PC鋼材とコンクリートとの付着力により、コンクリートにプレストレスを導入するものである。2プレキャストプレストレストコンクリート造の床版では、周囲の梁との接合部を、長期及び短期に生じる応力を相互に伝達できるように設計する。3鉄骨鉄筋コンクリート構造の架構応力の計算では、鋼材の影響が小さい場合には、全断面についてコンクリートのヤング係数を用いて部材剛性を評価することができる。4コンクリート充填鋼管(CFT)造の柱では、梁から伝達されるせん断力の一部を充填コンクリートに負担させる場合、鋼管と充填コンクリートとの間で応力伝達ができるように設計する。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.23
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設問はプレテンション方式の説明。ポストテンション方式は、コンクリートが所定の強度に達した後に、シースに通した PC鋼材を緊張して端部の定着具で定着し、プレストレスを導入する(シース内にはグラウトを注入する)。
プレキャストプレストレストコンクリートの床版は、周囲の梁との接合部で、長期・短期の応力を相互に伝えられるように設計する。
SRC 造の架構の応力計算では、鋼材の影響が小さい場合、全断面でコンクリートのヤング係数を用いて部材剛性を評価してよい。
CFT 柱で梁からのせん断力の一部を充填コンクリートに負担させる場合は、鋼管とコンクリートの間で応力を伝えられるように設計する。
No.24建築物の耐震設計(固有周期の精算・Ds と減衰・剛性率と偏心率による割増し・限界耐力計算の減衰)
建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1鉄筋コンクリート造建築物の設計用一次固有周期Tを、略算法でなく固有値解析等の精算によって求める場合には、建築物の振動特性はコンクリートにひび割れのない初期剛性を用い、かつ、基礎や基礎杭の変形はないものと仮定する。2構造特性係数Dsは、一般に、架構の減衰が小さいほど小さくすることができる。3各階の保有水平耐力計算において、剛性率が0.6を下回る場合、又は、偏心率が0.15を上回る場合には、必要保有水平耐力の値を割増しする。4限界耐力計算において、塑性化の程度が大きいほど、一般に、安全限界時の各部材の減衰特性を表す係数を大きくすることができる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.24
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設計用一次固有周期を固有値解析などで求める場合は、ひび割れのない初期剛性を用い、基礎や杭の変形はないものと仮定する。
構造特性係数Dsは、架構の減衰が大きいほど(靱性が高いほど)小さくできる。減衰が小さいほど小さくできるのではない。
剛性率が0.6を下回る階や、偏心率が0.15を上回る階は、形状係数Fesで必要保有水平耐力を割り増す。
限界耐力計算では、塑性化の程度が大きいほど、安全限界時の減衰を表す係数を大きくできる。
No.25免震構造(ダンパーの減衰量と応答・上部構造の層せん断力係数・オイルダンパーの配置・すべり支承)
免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1免震構造において、上部構造の地震時応答せん断力を小さくするには、一般に、ダンパーの減衰量をできるだけ大きくすることが有効である。2免震構造において、上部構造の層せん断力係数は、一般に、Ai分布と異なる分布となる。3免震構造に用いられるオイルダンパーは、免震層平面の外周部に設置すると、免震層のねじれ変形を抑制する効果がある。4免震構造に用いられるすべり支承には、減衰機能はあるが、復元機能はない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.25
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ダンパーの減衰量を大きくすると、免震層の変位は小さくなるが、大きすぎると上部構造に伝わる力が増え、応答せん断力がかえって大きくなる。減衰量には適切な範囲がある。
免震構造の上部構造は一体に近い動きをするので、層せん断力係数の分布はAi分布と異なり、高さ方向にほぼ一様になる。
オイルダンパーを免震層の外周部に設けると、ねじれ変形を抑える効果が大きい。
すべり支承は、摩擦による減衰機能はあるが、元の位置に戻す復元機能はない(積層ゴムなどと組み合わせる)。
No.26建築物の構造設計及び耐震補強(プレストレスの減少率・CFT 柱の塑性変形性能・露出柱脚のせん断耐力・炭素繊維巻き付け)
建築物の構造設計及び耐震補強に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1プレストレストコンクリート構造において、クリープ等によるプレストレスの減少率は、一般に、プレテンション方式に比べて、ポストテンション方式のほうが小さい。2コンクリート充填鋼管(CFT)造の柱は、コンクリートが充填されていない同じ断面の中空鋼管の柱に比べて、剛性は高いが水平力に対する塑性変形性能は低い。3鉄骨構造において、露出柱脚の最大せん断耐力は、「摩擦により抵抗するせん断耐力」と「アンカーボルトのせん断耐力」のいずれか大きいほうとする。4鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震改修において、柱への炭素繊維巻き付け補強は、柱の曲げ耐力を大きくする効果は期待できない。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.26
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クリープなどによるプレストレスの減少率は、一般に、プレテンション方式よりポストテンション方式のほうが小さい。
CFT 柱は、充填コンクリートが鋼管の局部座屈を抑えるので、中空の鋼管柱に比べて剛性が高いだけでなく、塑性変形性能も高い。
露出柱脚の最大せん断耐力は、「摩擦によるせん断耐力」と「アンカーボルトのせん断耐力」の大きいほうとする。
柱への炭素繊維巻き付け補強は、せん断耐力と靱性を高める方法で、曲げ耐力を大きくする効果は期待できない。
No.27木材(クリープと含水状態・耐朽性のある樹種・含水率の定義・圧縮と引張の基準材料強度)
木材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1木材のクリープによる変形は、一般に、気乾状態に比べて、湿潤状態のほうが大きい。2木材は樹種により腐朽菌に対する抵抗性が異なるので、腐朽しやすい土台などには、ひば、ひのきなどの耐朽性のある樹種を使用することが望ましい。3木材の含水率は、水分を含まない木材実質の質量に対する木材に含まれる水の質量の百分率として定義される。4木材の繊維方向の基準材料強度は、一般に、圧縮に比べて、引張のほうが大きい。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.27
▼ 解答・解説を見る(No.27)▲ 解答・解説を閉じる
木材のクリープによる変形は、気乾状態より湿潤状態のほうが大きい。
腐朽しやすい土台などには、ひば・ひのきなど耐朽性のある樹種を使うことが望ましい。
含水率は、水分を含まない木材(全乾状態)の質量に対する、含まれる水の質量の百分率。
無等級材などの繊維方向の基準材料強度は、節などの欠点の影響を受けやすい引張のほうが小さく、一般に圧縮のほうが大きい(例:すぎ 圧縮17.7・引張13.5N/mm²)。
No.28コンクリートの一般的な性質(水中養生・圧縮強度時ひずみ・単位水量とスランプ・単位体積重量とヤング係数)
コンクリートの一般的な性質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1水中で養生したコンクリートの圧縮強度は、同一温度の大気中で養生したものよりも大きくなる。2一軸圧縮を受けるコンクリート円柱試験体の圧縮強度時ひずみは、圧縮強度が大きいほど大きくなる。3コンクリートのスランプは、コンクリートの単位水量が小さいほど大きくなる。4コンクリートのヤング係数は、コンクリートの気乾単位体積重量が大きいほど大きくなる。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.28
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水中養生したコンクリートは水和が十分に進むので、同じ温度の大気中で養生したものより圧縮強度が大きい。
圧縮強度時のひずみは、圧縮強度が大きいほど大きい(おおむね0.2〜0.3%)。
スランプは、単位水量が大きいほど大きくなる(軟らかくなる)。単位水量が小さいほど小さい。
ヤング係数は、気乾単位体積重量が大きいほど大きい(RC規準のヤング係数の式に単位体積重量が入っている)。
No.29鋼材等(シャルピー吸収エネルギー・SN490B の引張強さ・アルミニウム合金の線膨張係数・ステンレス鋼)
鋼材等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーの大きい鋼材を使用することは、溶接部の脆性破壊を防ぐために有利である。2建築構造用圧延鋼材SN490Bの引張強さの下限値は、490N/mm²である。3アルミニウム合金の線膨張係数は、炭素鋼の約1/2倍である。4ステンレス鋼は、炭素鋼に比べて、耐食性、耐火性に優れている。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.29
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シャルピー吸収エネルギーの大きい鋼材は靱性が高く、溶接部の脆性破壊を防ぐのに有利。
SN490B の引張強さの下限値は490N/mm²。
アルミニウム合金の線膨張係数(約23×10⁻⁶/℃)は、炭素鋼(約12×10⁻⁶/℃)の約2倍。1/2倍ではない。
ステンレス鋼は、炭素鋼より耐食性・耐火性(高温での強度の低下が小さい)に優れている。
No.30特定天井(該当する天井・中地震時の検証・既存建築物の落下防止措置・免震建築物)
特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1高さが6mを超え、水平投影面積が200㎡を超え、かつ単位面積質量が2kg/㎡を超える天井は、天井の支持方式にかかわらず、特定天井に該当する。2天井脱落対策に係る技術基準では、稀に生じる地震動(中地震時)において天井が損傷しないことを検証することとしている。3既存建築物においては、落下防止措置としてネットやワイヤーにより一時的に天井の脱落を防ぐ方法も許容される。4免震建築物においても、特定天井については、天井脱落対策に係る技術基準が定められている。出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)」No.30
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特定天井は、吊り天井であって、人が日常立ち入る場所に設けられ、高さ6m超・水平投影面積200㎡超・単位面積質量2kg/㎡超のもの(平成25年国土交通省告示第771号)。支持方式にかかわらず該当するのではない。
天井脱落対策の技術基準では、中地震時に天井が損傷しないことを検証する。
既存建築物では、ネットやワイヤーで天井の落下を防ぐ措置(落下防止措置)も認められる。
免震建築物でも、特定天井には天井脱落対策の技術基準が適用される。
令和2年の合格基準点(学科の試験)
配点は各問題1点(学科Ⅰ・Ⅱは各20点、学科Ⅲ・Ⅳは各30点、学科Ⅴは25点、合計125点)で、各科目の基準点と総得点の基準点のすべてに達した人が合格です。
| 学科Ⅰ 計画 | 学科Ⅱ 環境・設備 | 学科Ⅲ 法規 | 学科Ⅳ 構造 | 学科Ⅴ 施工 | 総得点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格基準点 | 11点 | 10点※ | 16点 | 16点 | 13点 | 88点 |
※ 合格基準点は、各科目は過半の得点、総得点はおおむね90点程度を基本的な水準として想定し、令和2年は学科Ⅱの難易度が高く、総じて難易度が高かったことから、学科Ⅱ(環境・設備)の基準点が10点、総得点の基準点が88点とされました。
出典:建築技術教育普及センター「令和2年一級建築士試験『学科の試験』の合格基準点等について」
令和2年の構造の基準点は16点(30点中)でした。構造は前半に計算問題がまとまって出る科目です。計算問題は解き方の型を身につければ確実に得点でき、後半の各種構造・材料は過去問のくり返しが効きます。
ほかの年度・ほかの科目の過去問
この記事の問題文と図は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している令和2年 一級建築士試験(学科の試験)の問題から、著作権法第32条の引用として掲載しています。著作権は同センターにあります。
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