要点と過去問10年分
二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)の No.5(令和3年は No.4)で毎年出題される「静定トラス」について、切断法・節点法による軸方向力の求め方と、軸方向力が0の部材の見つけ方を要点にまとめ、令和8年〜平成29年の10年分の過去問を図つきで解説します。

静定トラスの出題の傾向(令和8年〜平成29年)
No.5(令和3年は No.4)は、10年とも静定トラスの問題でした。切断法で解く問題が5年、節点法で解く問題が3年、軸方向力が0の部材の本数が2年です。
10年で10問(令和3年だけ No.4、ほかの年は No.5)。この記事では、10問を問題ごとに解説しています。
過去問の問題文と選択肢は、公益財団法人 建築技術教育普及センターが公表している二級建築士試験の問題から、解説に必要な範囲で引用しています(各選択肢の枠の右下に出典)。正答は、同センターの「合格基準点等(正答肢)」と照らし合わせています。
「要点」は、今の建築基準法・告示や日本建築学会の規準などでまとめています。過去問の解説は、年度別の記事と同じく出題当時の基準によります。その後の改定で答えが変わる選択肢には「🔶 現在の基準では」の枠を付けています。
🔺 静定トラスの解き方
📖 切断法・節点法と0の部材
トラスの部材には軸方向力(引張り・圧縮)だけが働きます。切断法と節点法の2つの解き方と、軸方向力が0の部材の見つけ方を覚えます。
| 解き方・考え方 | 内容 |
|---|---|
| 切断法 | 求めたい部材を含む3本以下の部材で切り、片側のつり合いを考える。2本が交わる点まわりのモーメントをとると、残りの1本が求まる。上弦材・下弦材が水平なら、斜材は鉛直方向のつり合いで求まる |
| 節点法 | 節点に集まる部材の力と外力の、鉛直・水平のつり合いで求める(分からない部材が2本以下の節点から) |
| 斜材の成分 | 45°なら N/√2、30°・60°なら sin・cos で鉛直・水平に分ける |
| 符号 | 引張りを+、圧縮を-。単純梁の形のトラスでは、上弦材は圧縮、下弦材は引張り |
| 軸方向力が0の部材① | 荷重も反力もない節点に部材が2本だけ集まる(一直線でない)→ 2本とも0 |
| 軸方向力が0の部材② | 荷重も反力もない節点に、一直線上の2本と、もう1本が集まる → そのもう1本は0 |
✏️ 過去問:軸方向力の計算(切断法)(10年で5問)
求める部材を含む3本以下で切り、どのつり合い(鉛直・水平・モーメント)で1本だけが残るか決めてから「解答・解説を見る」を開いてください。
令和8年 No.5静定トラスの軸方向力(斜材)
図のような外力を受ける静定トラスにおいて、部材Aに生じる軸方向力の値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。
図を押すと大きく表示します 1-3√2 kN2-√2 kN30 kN4+√2 kN5+3√2 kN出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和8年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.5
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・支点の反力:3kNの荷重は左の支点から2m・右の支点から4mの位置。左の支点の反力=3×4/6=2kN(上向き)、右の支点の反力=3×2/6=1kN(上向き)
・中央のパネル(左から2〜4m)を縦に切り、左側を考える。左側にある外力は、左の支点の反力2kN(上向き)と荷重3kN(下向き)
・切った部材のうち、鉛直方向の力をもつのは斜材Aだけ(上弦材・下弦材は水平)。部材Aの軸方向力を N(引張りを正)とすると、左側の部分を右下へ引く向きで、鉛直成分は N/√2(下向き)
・鉛直方向のつり合い:2-3-N/√2=0 より、N=-√2kN(圧縮)
斜材の傾きは高さ2m・水平2mなので45°。
令和7年 No.5静定トラスの軸方向力(上弦材・切断法)
図のような荷重を受ける静定トラスにおいて、部材Aに生じる軸方向力として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。なお、節点間距離は全て2 mとする。
図を押すと大きく表示します 1-3√3 kN2-2√3 kN3-√3 kN4+2√3 kN5+3√3 kN出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和7年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.5
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・トラスの高さ:一辺2mの正三角形なので 2×sin60°=√3m
・左の支点の反力:9kNの荷重は右の支点から2mの位置なので、9×2/6=3kN(上向き)
・部材A・斜材・下弦材を切り、左側を考える。斜材と下弦材が交わる下弦の節点(左の支点から2m)まわりのモーメントのつり合い:3kN×2m+NA×√3m=0(NAは引張りを正)
・NA=-6/√3=-2√3kN(圧縮)
上弦材は、単純梁と同じように曲げで縮む側なので圧縮になる。
令和5年 No.5静定トラスの軸方向力(両側に張り出したトラス・切断法)
図のような荷重を受ける静定トラスにおいて、部材A、B、Cに生じる軸方向力の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。なお、節点間距離は全て2 mとする。
図を押すと大きく表示します
A B C 1. -√3 kN -2√3/3 kN -4√3/3 kN 2. -√3 kN -2√3/3 kN +4√3/3 kN 3. -√3 kN -2√3/3 kN +2√3/3 kN 4. +√3 kN -2√3/3 kN -2√3/3 kN 5. +√3 kN +2√3/3 kN -4√3/3 kN 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和5年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.5
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・支点の反力:荷重の合計 1+2+2+2+1=8kN、左右対称なので各4kN(上向き)。トラスの高さは 2×sin60°=√3m
・A・B・Cを切って左側を考える(左側の荷重は 1kN〔左の支点から左へ1m〕と 2kN〔右へ1m〕)
・A:BとCが交わる下弦の節点(左の支点から2m)まわりのモーメントのつり合い。1×3+2×1-4×2-NA×√3=0(NAは引張りを正)より NA=-3/√3=-√3kN(圧縮)
・C:AとBが交わる上弦の節点(左の支点から3m)まわりのモーメントのつり合い。4×3-1×4-2×2-NC×√3=0 より NC=4/√3=+4√3/3kN(引張り)
・B:鉛直方向のつり合い。左側の外力は 4-1-2=1kN(上向き)なので、斜材Bの鉛直成分 NB×sin60°=-1 より NB=-2/√3=-2√3/3kN(圧縮)
令和2年 No.5静定トラスの軸方向力(斜材)
図のような外力を受ける静定トラスにおいて、部材Aに生じる軸方向力の値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。
図を押すと大きく表示します 1-3√2 kN2-√2 kN30 kN4+√2 kN5+3√2 kN出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和2年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.5
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・左の支点の反力:3kNの荷重は左から3m・右から6mの位置なので、3×6/9=2kN(上向き)
・中央のパネルを縦に切り、左側を考える。鉛直方向の力をもつ切った部材は斜材Aだけ
・鉛直方向のつり合い:2-3-N/√2=0 より、N=-√2kN(圧縮)
平成29年 No.5静定トラスの軸方向力(縦材A・斜材B・縦材C)
図のような外力を受ける静定トラスにおいて、部材A、B、Cに生じる軸方向力の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。
図を押すと大きく表示します
A B C 1. -4 kN +3√2 kN +1 kN 2. +4 kN +3√2 kN -1 kN 3. +4 kN -3√2 kN -1 kN 4. +8 kN -3√2 kN -1 kN 5. +8 kN +3√2 kN -2 kN 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成29年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.5
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下段を水平に切り、上側(荷重1kN・2kN を受ける部分)のつり合いを考える。切った部材は A(左の縦材)・B(斜材45°)・C(右の縦材)。
・水平方向:1+2=3kN(右向き)とつり合うのは B の水平成分だけ。NB/√2=-3 より NB=-3√2kN(圧縮)
・左の中段の節点まわりのモーメント:1kN×3m=3kN・m を C(腕の長さ3m)が受ける。NC=-1kN(圧縮)
・鉛直方向:A の引張りと、B(圧縮で上向きに3kN)・C(圧縮で上向きに1kN)がつり合う。NA=3+1=+4kN(引張り)
✏️ 過去問:軸方向力の計算(節点法)(10年で3問)
分からない部材が2本以下の節点から、鉛直・水平のつり合いをたてます。
令和6年 No.5静定トラスの軸方向力(片持ち形のトラス・節点法)
図のような外力を受ける静定トラスにおいて、部材A、B、Cに生じる軸方向力の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。
図を押すと大きく表示します
A B C 1. -6 kN +√3 kN -3 kN 2. -6 kN +3√3 kN +3 kN 3. +6 kN -3√3 kN 0 kN 4. +6 kN -√3 kN 0 kN 5. +6 kN +3√3 kN 0 kN 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和6年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.5
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・部材Aの傾き:高さ2m・水平2√3m なので30°
・左端の節点(3kN・部材A・部材B):鉛直方向のつり合い NA×sin30°=3 より、NA=+6kN(引張り)
・水平方向のつり合い:NA×cos30°+NB=0 より、NB=-6×√3/2=-3√3kN(圧縮)
・中央の下の節点:外力がなく、水平な下弦材2本と鉛直材Cだけが集まるので、鉛直方向のつり合いから NC=0kN
令和4年 No.5静定トラスの反力と軸方向力(水平荷重を受ける塔状のトラス)
図のような外力を受ける静定トラスにおいて、支点Bに生じる鉛直反力VBと部材AB、CDにそれぞれ生じる軸方向力NAB、NCDの組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、鉛直反力の方向は上向きを[+]、下向きを[-]とし、軸方向力は引張力を[+]、圧縮力を[-]とする。
図を押すと大きく表示します
VB NAB NCD 1. +20 kN 0 kN 0 kN 2. +20 kN +5 kN -20 kN 3. +10 kN +5 kN +10√5 kN 4. +10 kN +10 kN -10√5 kN 5. +10 kN 0 kN 0 kN 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和4年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.5
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・反力:水平荷重10kNはピンのB点が受ける(左向き10kN)。A点まわりのつり合い VB×2=10×4 より、VB=+20kN(A点は下向き20kN)
・NCD:節点Cは外力がなく、一直線上の鉛直材2本と水平材CDが集まるので、水平方向のつり合いから NCD=0kN
・NAB:節点B(斜材は水平1:鉛直2の傾き)。鉛直方向 20+N斜×2/√5=0 より 斜材=-10√5kN(圧縮)。水平方向 -10-NAB+10√5×1/√5=0 より NAB=0kN
平成30年 No.5静定トラスの軸方向力(斜材A・下弦材B・縦材C)
図のような外力を受ける静定トラスにおいて、部材A、B、Cに生じる軸方向力の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。
図を押すと大きく表示します
A B C 1. +12 kN +6√3 kN 0 kN 2. +12 kN -6√3 kN 0 kN 3. -12 kN +6√3 kN +6 kN 4. +6 kN -3√3 kN 0 kN 5. -6 kN +3√3 kN -6 kN 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「平成30年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.5
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・左端の節点(6kN・部材A・部材B):部材Aは30°の傾き。鉛直方向:NA×sin30°=6 より NA=+12kN(引張り)
・水平方向:NA×cos30°+NB=0 より NB=-12×√3/2=-6√3kN(圧縮)
・下弦の中央の節点:荷重がなく、下弦材2本が一直線なので、縦材Cは0kN
✏️ 過去問:軸方向力が0の部材の本数(10年で2問)
荷重のない節点を順に見て、0の部材をくり返し探します。
令和3年 No.4静定トラスで軸方向力が生じない部材の本数(荷重条件の違う3つのトラス)
図のような、荷重条件が異なる静定トラスA、B、Cにおいて、軸方向力が生じない部材の本数の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、荷重条件以外の条件は、同一であるものとする。
図を押すと大きく表示します
A B C 1. 3 3 3 2. 4 3 1 3. 4 4 2 4. 5 4 2 5. 5 5 5 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和3年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.4
▼ 解答・解説を見る(No.4)▲ 解答・解説を閉じる
「荷重のない節点に、一直線上の2部材と、もう1本の部材が集まるとき、そのもう1本の軸方向力は0」をくり返し使う。
・A(頂点に2P):下弦の左右の節点の鉛直材2本が0 → 上弦の左右の節点(荷重なし)の斜材2本が0 → 下弦の中央の節点(荷重なし)の中央の鉛直材が0。合計5本
・B(下弦の中央に2P):下弦の左右の鉛直材2本と、上弦の左右の節点の斜材2本が0。中央の鉛直材は荷重2Pを頂点へ伝えるので0ではない。合計4本
・C(上弦の3つの節点にP):下弦の左右の節点の鉛直材2本だけが0(上弦の節点には荷重があるので斜材は0にならない)。合計2本
令和元年 No.5片持ち梁形式の静定トラスで軸方向力が生じない部材の本数
図のようなそれぞれ8本の部材で構成する片持ち梁形式の静定トラスA、B、Cにおいて、軸方向力が生じない部材の本数の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。
図を押すと大きく表示します
A B C 1. 1 本 2 本 3 本 2. 2 本 0 本 1 本 3. 2 本 1 本 1 本 4. 3 本 1 本 2 本 5. 3 本 2 本 2 本 出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和元年二級建築士試験 学科Ⅲ(建築構造)」No.5
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・トラスA:左下の節点は2本(左の縦材・下弦材)だけで荷重がないので、2本とも0。上弦の中央の節点は、上弦材2本が一直線なので、中央の縦材が0。合計3本
・トラスB:左上の節点は荷重 P(鉛直)と、上弦材(水平)・左の縦材(鉛直)だけ。水平方向の力は上弦材しかないので、左の上弦材が0。ほかの部材には力が流れる。合計1本
・トラスC:左下の節点は2本(左の縦材・下弦材)だけで荷重がないので、2本とも0。合計2本
まとめ:静定トラスで覚えておくこと
試験の前に見直すことを、章ごとにまとめました。左が覚える数字や言葉、右がその説明です。「要点 ›」を押すと、くわしい説明に戻ります。
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